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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない W12
審判 一部無効 外観類似 無効としない W12
審判 一部無効 観念類似 無効としない W12
管理番号 1364192 
審判番号 無効2019-890049 
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2019-08-30 
確定日 2020-06-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第6070405号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6070405号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1の構成からなり,平成30年5月30日に登録出願,第12類「陸上の乗物用の動力機械器具(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自転車,自転車の部品及び附属品,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として,現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標
請求人が,本件商標の登録の無効の理由として引用する商標(以下「引用商標」という。)は,以下のとおりであり,現に有効に存続しているものである。
登録第4129208号の2商標
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成8年6月20日
設定登録日:平成10年3月27日
指定商品:第12類「自転車並びにそれらの部品及び附属品」

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標の指定商品「自転車,自転車の部品及び附属品」の部分についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
1 無効理由
本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,同法第46条第1項第1号により,無効にすべきものである。
(1)本件商標と引用商標との類否
本件商標は「LEADERBIKES」の欧文字からなるもので,本件商標の「BIKES」の部分は「自転車」(複数形)を意味し,指定商品の普通名称に該当する。このような指定商品の普通名称の部分には,商標の顕著性・自他商品識別標識としての機能は存在しない,極めて弱いといえる。
一方で,本件商標の構成中の「LEADER」の欧文字は,「先導者」,「指導者」及び「リーダー」の意味合いを想起させるところ,本願の指定商品中「自転車,自転車の部品及び附属品」との関係においては,商品の品質等を示す記述的な語とは認められず,自他商品識別標識としての機能を有するといえる。
したがって「LEADER」の文字部分が,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの(要部)というべきであり,一般公衆は「あ,この商品の名称(識別標識)は『LEADER』の部分なんだ」と認識すると考えられる。
「LEADER」と「BIKES」のような一般に馴染みのある親しまれた単語を一列に並べても「LEADERBIKES」という一つの文字と認識されることはなく「LEADER」と「BIKES」の二つの文字に分離されて認識するのが一般的である。すなわち,本件商標では「LEADER」と「BIKES」に分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。
したがって,本件商標と引用商標との類否判断に際して,本件商標から「LEADER」の文字部分を抽出することは当然に許されるべきものといえる。本件商標の要部「LEADER」からは,「リーダー」の称呼を生じる。
一方,引用商標は「LEADER」の欧文字と「リーダー」の片仮名を横書きした二段表記からなる商標で,引用商標からは「リーダー」の称呼を生じる。
したがって,本件商標の要部も引用商標も称呼が同一であり,本件商標の要部である「LEADER」からは「先導者,指導者,リーダー,首領,主将,指揮官等」という観念(意味)を生じる(英和辞典・和英辞典-Web1io)。この点,引用商標の「LEADER」の部分からも同様の観念(意味)を生じる。また,引用商標中の「リーダー」からも「先頭となるもの。『頭領』ならび『統領』の意味合いを持つ語として用いられることがある。グループ,集団を代表,指導,先導,統率する存在」や「指導者,統率者」という観念(意味)を生じる(Wikipedia)。
したがって,本件商標の要部である「LEADER」の文字部分と引用商標から生じる観念(意味)も同一といえる。
以上のとおり,本件商標の要部である「LEADER」の文字部分と引用商標は,少なくとも称呼と観念が同一である。また,本件商標と引用商標は,要部である「LEADER」の文字部分を共通にするものであるから,外観上も相紛れるおそれもある。
以上より,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛らわしく商標全体として類似する。
(4)商品の類似について
本件商標の指定商品には「自転車,自転車の部品及び附属品」が含まれている。
一方で,引用商標の指定商品は「自転車並びにそれらの部品及び附属品」であり,指定商品の記載が実質的に同一であるから,本件商標の指定商品中の「自転車,自転車の部品及び附属品」と引用商標の指定商品は「自転車,自転車の部品及び附属品」は同一又は類似であるといえる。
(5)まとめ
本件商標と引用商標とは,ともに「リーダー」の称呼及び「リーダー」の観念を共通にする類似の商標であり,その指定商品も一部,同一又は類似である。
上記のとおり,本件商標の指定商品の一部である「自転車,自転車の部品及び附属品」は,引用商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標の外観・称呼・観念の特定
ア 本件商標の外観構成・自然な称呼及び観念について
本件商標は,別掲1のとおり統一感のある特殊な書体の欧文字11字を横一行で一連一体に,文字の上下が全体として平行な二直線をなすよう表した,非常にまとまりよい構成態様からなる。そして,その構成文字に相応して,英語風に「リーダーバイクス」なる称呼が自然に生じるものである。称呼「リーダーバイクス」は実質6音でまとまりよく発音でき,これをいずれかの部分でもって略称しなければならない理由や必然性は見いだせない。「LEADERBIKES」という語は,一般の辞書に見あたらず造語と認められるものである。よって,そこから一般に親しまれた観念は生じない。
イ 請求人の主張について
(ア)請求人の主張
請求人は,過去の裁判例や審決例を挙げ,要するに,本件商標中の「BIKES」の部分が「自転車」(複数形)を意味し,指定商品の普通名称に該当するから,需要者,取引者が本件商標から「LEADER」の文字部分のみを分離抽出して捉え,これを「リーダー」と称呼し,そこから「先導者,指導者,リーダー,首領,主将,指揮官」等という観念(意味)を生じるから,本件商標は引用商標に類似すると主張している。
(イ)請求人の主張の妥当性
しかし,以下に述べるごとくこの主張は全く失当である。
a 本件商標の外観及び称呼上のまとまりよさについて
請求人は,本件商標が非常に特徴的な書体で一連一体に表されていること,そして,本件商標が実質6音でまとまりよく称呼できることを意識的に考慮の外に置き,その外観及び称呼上のまとまりよさを全く無視して商標同士の類否に関する主張をしている。需要者,取引者が,このような外観上特殊な書体で一連に表され,称呼上も簡潔で全く略称する必要のない商標に接したときに,短時間でなされる商品取引においてわざわざそれを構成部分毎に分解して捉え,「『BIKES』は『自転車』の『複数形』であるから本件商標は実質的に『LEADER』商標である」と解釈し,「だから,これは『リーダー』と略称すべき」というような迂遠な思考プロセスを踏んで,本件商標を捉えるとは考えにくい。本件商標は,請求人も審判請求書において挙げている判例の「複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認められる場合」に当たるものであり,まさに「その構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,原則として許されない」場合に当たるものである。
需要者,取引者は,商品取引の短い時間の中で,本件商標を素直に外観上特徴のある一連一体の商標として捉え「リーダーバイクス」とのみ称呼するものであり,これを後述するような他の特徴的な外観構成を単に「リーダー」と称呼される引用商標とは全く異なる商標として区別するものであって,本件商標と引用商標とを紛らわしく感じ混同することはないものである。
b 「BIKES」,「BIKE」及び「バイク」という語が商品「自転車」の普通名称でないことについて
次に,請求人は,本件商標中の「BIKES」を指定商品に含まれる「自転車」の普通名称であると主張するが,それも失当である。確かに「BIKE」という言葉は,英語においては「自転車」の意味合いも含むようではあるものの,かといって,我が国で「BIKE」に相当する「バイク」という語が「自転車」を意味する言葉として普通に使われているとはまだまだいえない。「バイク」という語は,我が国では「オートバイ」その他の「原動機が付いた二輪車」を表す言葉として「自転車」とは異なる語として明らかに区別して広く一般に用いられている。被請求人がインターネット上の検索エンジン「Google」で「バイク」の語を「自転車」という語とともに検索したところでも,「バイク」という語が「原動機が付いた二輪車」を示しているヒット例がほとんどであり,「バイク」という語と「自転車」という語は我が国では区別して用いられている(乙1)。
なお,「?バイク」という形で商品「自転車」の意で用いられているものがあるが,これはあくまで「マウンテンバイク」,「ロードバイク」等の形,つまり,他の言葉を付加した形で初めて特定種類の自転車を表したものとして意味が通じるものであって,「バイク」の語単体では「原動機が付いた二輪車」を表したものとして我が国の需要者,取引者は受け取るものであり,「バイク」という語自体が商品「自転車」の普通名称になっているとまではいえないのが我が国の現状である。
本件商標は「バイク」に通じうる「BIKES」の前に「LEADER」という語がついており,他の語と結合されているという点において「マウンテンバイク」や「ロードバイク」等と横並びに考えて,全体で何らかの種類の「自転車」を表した語として捉えられる余地はあるものの,しかし,それはあくまで商標全体としての間接的な暗示にすぎず,だからといって,上述のような外観上の一体性を全く無視して本件商標「LEADERBIKES」から「LEADER」の文字部分だけが抽出され,ブランドとして認識され,その部分だけが称呼され,そこから観念が生じるということにはならない。むしろ,本件商標は,何らかの種類の「自転車」を示す造語として,需要者や取引者に一体不可分に把握され,「リーダーバイクス」と略さずに称呼されると考えるのが自然である。
なお,百歩譲って,もし仮に,「BIKES」の部分が「自転車」として需要者,取引者に認識されるのだとしても,「LEADER」が「先導者,指導者,リーダー,首領,主将,指揮官等」という意味合いを持つことから考えれば,本件商標「LEADERBIKES」全体から「先駆者たる自転車」や「自転車のリーダー的存在」のごとき観念・イメージを生ずるものであり,その観念・イメージ上の一体性から,本件商標は,需要者,取引者により一体的に捉えられるということになる。
(2)引用商標の外観・称呼・観念の特定
引用商標は,別掲2のとおりの構成からなり,上段に「LEADER」というブロック体の欧文字6文字を,下段に「リーダー」なる特徴的な書体の片仮名4文字を配してなる2段横書きの商標である。下段の片仮名は,上段の欧文字の自然な読みをデザイン化して表したものと解され,そこから「リーダー」なる称呼を生じる。また,この欧文宇はよく知られた英語と解され,そこから「先導者,指導者,リーダー,首領,主将,指揮官」等といった観念を生じる。
(3)本件商標と引用商標との比較
ア 外観上の比較
本件商標が横一連の特殊な書体で全て欧文字により「LEADERBIKES」と表されているのに対し,引用商標は上段に通常文字の「LEADER」を書し下段に特殊な構成態様の片仮名「リーダー」を書してなるものであり,その外観は明らかに異なる。よって,需要者,取引者は本件商標と引用商標とを外観上区別でき,両者を紛らわしく感じ混同することはないから,両商標は外観上,非類似の商標である。
イ 称呼上の比較
本件商標の称呼が「リーダーバイクス」であるのに対し,引用商標の称呼は「リーダー」であって,両商標は「バイクス」の音の有無という明らかな違いがあり,称呼上,非類似である。
ウ 観念上の比較
引用商標には「先導者,指導者,リーダー,首領,主将,指揮官」等という観念があるのに対し,本件商標からは何も観念が生じないから,両者は混同のしようがなく観念上,非類似である。
エ 総合的観察
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念によって需要者,取引者に与える印象,記憶,連想等を総合し考察すると,本件商標の指定商品中第12類「自転車,自転車の部品及び附属品」の出所が,引用商標の商標権者である請求人であるとの誤認混同を生ずるおそれがあるとは認められず,本件商標と引用商標とは,総合観察すると全体として互いに類似する商標であるとはいえない。
2 むすび
以上述べたように,本件商標の指定商品中第12類「自転車,自転車の部品及び附属品」についての登録は,商標法第4条第1項第11号の規定に違反せず登録されたと認められるから,商標法第46条第1項第1号の規定に該当せず,その登録は無効にされるべきではないことが明らかである。

第5 当審の判断
1 本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,同じ書体で同じ大きさで等間隔に「LEADERBIKES」の文字を書してなるところ,その構成態様は,ややデザイン化された特殊な書体で一連一体にまとまりよく配されているものである。
そして,当該文字は,辞書等に載録されている成語ではないから,一種の造語とみるのが相当であり,特定の観念を生じないものである。
また,造語である欧文字は,我が国で一般的に親しまれている英語又はローマ字読みに倣って称呼されるものであり,本件商標は,英語読みに倣って,「リーダーバイクス」の称呼を生じるものである。
したがって,本件商標は,「リーダーバイクス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
2 引用商標
引用商標は,別掲2のとおり,上段に「LEADER」の文字と,下段に「リーダー」の文字を二段書きに書してなるところ,下段の文字は,上段の文字の読みを表したものとみるのが相当であるから,これより「リーダー」の称呼を生じるものである。
そして,「LEADER」の文字は,我が国でよく知られた英語で,「先導者,指導者,リーダー,首領,主将,指揮官」の意味を有する語であるから,これより「先導者,指導者,リーダー」等の観念を生じるものである。
したがって,引用商標は,「リーダー」の称呼を生じ,「先導者,指導者,リーダー」等の観念を生じるものである。
3 本件商標と引用商標の類否
(1)外観について
本件商標は,横書きでややデザイン化された特殊な書体で書しているのに対し,引用商標は,上下二段書きに書してなるところ,外観が大きく異なり,その上,「BIKES」の文字又は「リーダー」の文字の有無の差異を有するから,外観上,判然と区別できるものである。
(2)称呼について
本件商標からは「リーダーバイクス」の称呼を生じるものであり,引用商標からは「リーダー」の称呼を生じるものであるから,両商標は「バイクス」の音の有無という明らかな差異を有し,8音と4音という音数の差異を有するから,称呼上,明瞭に聴別できるものである。
(3)観念について
本件商標からは,特定の観念が生じないものであり,引用商標からは「先導者,指導者,リーダー」等の観念を生じるから,観念上,両者は紛れるおそれがないものである。
(4)小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,外観において,判然と区別ができ,称呼においては,明瞭に聴別ができ,観念においては,紛れるおそれがないから,これらを総合的に考慮して判断すると,外観,称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標である。
してみれば,たとえ,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似の商品であるとしても,本願商標と引用商標は,非類似の商標である。
したがって,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 請求人の主張について
(1)請求人は,過去の裁判例や審決例を挙げ,本件商標中の「BIKES」の部分が「自転車」(複数形)を意味し,指定商品の普通名称に該当するから,需要者,取引者が本件商標から「LEADER」の文字部分のみを分離抽出して捉え,これを「リーダー」と称呼し,そこから「先導者,指導者,リーダー,首領,主将,指揮官」等という観念(意味)を生じるから,本件商標は引用商標に類似する旨主張している。
しかしながら,これらの裁判例及び審決例は,本件商標とは,構成文字が異なり,事案を異にするものであり,かつ,個別の事案の登録性の有無の判断については,過去の裁判例及び審決例に拘束されることなく行われるべきであるから,これらの事例の存在が上記の判断を左右するものではない。
よって,請求人の主張は,採用することができない。
5 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品について,商標法第46条第1項第1号に該当しない。
よって,結論のとおり決定する。

別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標)


審理終結日 2020-04-27 
結審通知日 2020-04-30 
審決日 2020-05-18 
出願番号 商願2018-71944(T2018-71944) 
審決分類 T 1 12・ 262- Y (W12)
T 1 12・ 261- Y (W12)
T 1 12・ 263- Y (W12)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浦崎 直之 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 小俣 克巳
榎本 政実
登録日 2018-08-10 
登録番号 商標登録第6070405号(T6070405) 
商標の称呼 リーダーバイクス、リーダー、バイクス 
代理人 山本 龍郎 
代理人 特許業務法人あい特許事務所 
代理人 山本 彰司 

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