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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W29354143
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W29354143
審判 査定不服 外観類似 登録しない W29354143
管理番号 1364170 
審判番号 不服2019-12953 
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-30 
確定日 2020-07-02 
事件の表示 商願2017-156530拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第29類「食肉,肉製品,乳製品,カレー・シチュー又はスープのもと」、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作」及び第43類「飲食物の提供,飲食店に関する情報の提供,飲食店で提供される飲食物に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、平成29年11月28日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
(1)原査定は、「本願商標は、次の(2)の登録商標(以下、当該登録商標をまとめていうときは『引用商標』という。)と類似の商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務と同一又は類似の商品若しくは役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(2)引用商標
引用商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 登録第1201158号の1商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲2
指定商品 第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物」、第30類「コーヒー豆,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」、第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽」及び第32類「飲料用野菜ジュース」
登録出願日 昭和48年4月23日
設定登録日 昭和51年5月20日
なお、指定商品は、平成19年6月27日に指定商品の書換登録がされた結果、上記のとおりとなった。
イ 登録第1698458号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲3
指定商品 第30類「茶,コーヒー及びココア,氷」
登録出願日 昭和57年4月15日
設定登録日 昭和59年7月25日
なお、指定商品は、平成17年6月1日に指定商品の書換登録がされ、平成26年3月25日に区分を減縮する存続期間の更新がなされた結果、上記のとおりとなった。
ウ 登録第3004149号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 別掲4
指定役務 第42類「しゃぶしゃぶ料理を主とする飲食物の提供,すき焼料理を主とする飲食物の提供,かも鍋料理を主とする飲食物の提供,てんぷら料理を主とする飲食物の提供,魚貝類料理を主とする飲食物の提供,野菜料理を主とする飲食物の提供」
特例商標登録出願日 平成4年9月7日
設定登録日 平成6年9月30日(特例商標)、その後、同7年10月31日に、重複商標の登録がされた。
エ 登録第3079564号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 別掲5
指定役務 第42類「日本料理を主とする飲食物の提供」
特例商標登録出願日 平成4年7月16日
設定登録日 平成7年10月31日(特例商標及び重複商標)
オ 登録第4683381号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成 「吉祥」(標準文字)
指定商品 第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
登録出願日 平成14年10月31日
設定登録日 平成15年6月20日
カ 登録第6058871号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成 「吉笑」(標準文字)
指定商品 第30類「茶,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,おにぎり,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦」
登録出願日 平成29年3月23日
設定登録日 平成30年7月6日

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、別掲1のとおり、構成中の上段には、左側にセリフ付きの「I」の欧文字を配し、その右側には、「I」に少し重なるように、上半分を灰色、下半分を赤色とした「く」の字状の3本の線を配した図形(以下「本願図形部分」という。)を、その下段には「KISSHO」の欧文字(以下「本願文字部分」という。)を配してなる、文字と図形との結合商標である。
本願商標の外観についてみるに、本願図形部分及び本願文字部分は、いずれも重なることなく間隔を空けて上下に配置されており、外観上、各構成部分が視覚的に分離して看取され得るといえるものである。
次に観念についてみるに、本願図形部分は、特定の文字又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められないことから、本願図形部分からは特定の観念は生じないものである。また、本願文字部分は、辞書等に掲載されておらず、一般に親しまれた語でもないから、特定の観念を生じるものではない。
そして、本願図形部分と本願文字部分が結びついて特定の観念を生じるという事情は見いだせない。
さらに、称呼についてみるに、本願図形部分は、上記のとおり、特定の文字等を表すものとはいえないものであるから、これより称呼は生じず、本願文字部分は、特定の語義を有しない欧文字からなるものであるところ、これを称呼するときは広く親しまれているローマ字風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから、本願文字部分からは、「キッショー」の称呼を生じるものとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、本願図形部分と本願文字部分とが、それぞれを分離して観察することが取引上不自然と思われるほど不可分的に結合しているものということはできず、本願文字部分及び本願図形部分それぞれが独立して、自他商品又は役務の識別標識として機能し得るというのが相当である。
そして、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中、はっきりと明瞭に表され、称呼しやすい欧文字からなる「KISSHO」の文字部分に着目し、これを記憶にとどめて取引にあたる場合も少なくないというのが相当である。
以上からすると、本願文字部分が、取引者、需要者に対し、商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから、本願商標は、当該「KISSHO」の文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものである。
したがって、本願商標は、要部である「KISSHO」の文字部分から「キッショー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1
引用商標1は、前記2(2)アのとおり、「吉祥」(なお、「祥」の文字は、旧字体で書されている。この審決においては便宜上「祥」と表す。)の文字を毛筆体風に横書きしてなるところ、当該文字は、「めでたいきざし。よい前兆。」を意味する語であるから、これに相応して、「キッショー」又は「キチジョー」の称呼及び「めでたいきざし。よい前兆。」の観念を生じるものである。
イ 引用商標2
引用商標2は、前記2(2)イのとおり、「吉祥」の文字と、当該文字の読みを特定したものと理解される「きっしょう」の文字とを、左右二列に縦書きしてなるものであるから、これに相応して「キッショー」の称呼を生じ、上記アと同様の理由により、「めでたいきざし。よい前兆。」の観念を生じるものである。
ウ 引用商標3
引用商標3は、前記2(2)ウのとおり、「吉祥」(なお、「祥」の文字は、旧字体。)の文字を毛筆体風に縦書きしてなるものであるから、上記アと同様の理由により、「キッショー」又は「キチジョー」の称呼及び「めでたいきざし。よい前兆。」の観念を生じるものである。
エ 引用商標4
引用商標4は、前記2(2)エのとおり、構成中の上段に下線付きの「日本料理」の文字を、下段には上段に比して大きく「吉祥」の文字を毛筆体風に横書きしてなるところ、引用商標4に係る指定役務「日本料理を主とする飲食物の提供」との関係において、その構成中の「日本料理」の文字は、主として提供される飲食物の内容を表したに過ぎないものであるから、自他役務の出所識別標識としての機能はないか極めて弱いものといえ、上段の文字に比べ、ひときわ大きく表されている「吉祥」の文字部分が独立して自他役務の出所識別標識として機能し得るものといえる。
そうすると、引用商標4は、構成中の「吉祥」の文字部分に相応して、上記アと同様の理由により、「キッショー」又は「キチジョー」の称呼及び「めでたいきざし。よい前兆。」の観念を生じる。
オ 引用商標5
引用商標5は、前記2(2)オのとおり、「吉祥」の文字を標準文字で表してなるものであるから、上記アと同様の理由により、「キッショー」又は「キチジョー」の称呼及び「めでたいきざし。よい前兆。」の観念を生じる。
カ 引用商標6
引用商標6は、前記2(2)カのとおり、「吉笑」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「キッショー」の称呼を生じ、該文字は、一般の辞書等に掲載のない語であるから、特定の観念は生じない。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標の要部と引用商標(引用商標4についてはその要部)との外観を比較すると、文字の種類が欧文字と漢字とで相違するとしても、いずれも普通に用いられる域を脱しない書体で表されたものであって、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記されることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、引用商標の「吉祥」又は「吉笑」の文字は、「KISSHO」として表記されるから、両者における文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。
次に称呼については、本願商標の要部からは「キッショー」の称呼が生じ、引用商標2及び6からは「キッショー」の称呼を、引用商標1及び3ないし5(引用商標4についてはその要部)からは「キッショー」又は「キチジョー」の両称呼を生じるものであるから、本願商標の要部と引用商標とは、「キッショー」の称呼を共通にするものである。
さらに観念については、本願商標の要部である「KISSHO」の欧文字部分からは、特定の観念が生じないのに対し、引用商標1ないし5(引用商標4についてはその要部)からは、「めでたいきざし。よい前兆。」程の観念が生じ、引用商標6からは、特定の観念を生じないものと認められるから、本願商標の要部と引用商標とは、観念において比較することはできない。
そうすると、本願商標の要部と引用商標(引用商標4についてはその要部)は、観念において比較できないとしても、「キッショー」の称呼を共通にし、外観における差異についても、称呼の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないことから、これらの外観、称呼、及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合勘案すれば、これらは相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
したがって、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似する商標というのが相当である。
(4)本願商標の指定商品又は指定役務と引用商標の指定商品又は指定役務との類否
ア 本願商標の指定商品である第29類「食肉」は、引用商標1の指定商品中、第29類「食肉」と、同一の商品である。
イ 本願商標の指定商品である第29類「肉製品」は、引用商標1の指定商品中、第29類「肉製品,加工水産物」と、同一又は類似の商品である。
ウ 本願商標の指定商品である第29類「カレー・シチュー又はスープのもと」は、引用商標1の指定商品中、第29類「カレー・シチュー又はスープのもと」と、同一の商品である。
エ 引用商標1、2、5及び6の指定商品は、本願商標の指定役務中の第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「飲食料品」に含まれるものである。
そうすると、本願商標の上記指定役務の取扱商品と引用商標1、2、5及び6の指定商品とは共通又は類似する商品を有するため、商品の販売及び役務の提供が同一業者によって行われるのが通常で、その商品の販売場所と役務の提供場所、需要者の範囲も一致することから、それぞれの商品と役務の間に出所の混同を生じるおそれがあるものであり、相互に類似するものといえる。
オ 本願商標の指定役務である第43類「飲食物の提供,飲食店に関する情報の提供,飲食店で提供される飲食物に関する情報の提供」は、引用商標3の指定役務、第42類「しゃぶしゃぶ料理を主とする飲食物の提供,すき焼料理を主とする飲食物の提供,かも鍋料理を主とする飲食物の提供,てんぷら料理を主とする飲食物の提供,魚貝類料理を主とする飲食物の提供,野菜料理を主とする飲食物の提供」及び引用商標4の指定役務、第42類「日本料理を主とする飲食物の提供」と、同一又は類似の役務である。
(5)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、図形部分と文字部分とがまとまりよく上下に配置されており、外観上まとまった印象を看者に与えるものであって、さらに、日本において「吉祥」という文字が店舗名や会社名などとして相当程度使用されていることを考慮すると、自他商品識別力が弱いものとして認識されるのが自然であるから、「まとまりよく表された本願商標にあっては、その構成中自他商品識別力が弱い『KISSHO』の文字部分のみが着目、記憶されるというより、むしろその構成全体に着目し記憶されるものと判断するのが相当である」旨、主張している。
しかしながら、請求人が提出する資料は、単に「吉祥」の文字をGoogle検索した結果であって、これからは「吉祥」の文字を含む検索結果が表示されるにすぎないものであるから、このことをもって「吉祥」の文字が、店舗名や会社名などとしてありふれたものであると判断することはできない。
そして、前記(1)のとおり、本願商標は、本願図形部分と本願文字部分とが、それぞれ独立して自他商品又は役務の識別標識として機能し得るところ、本願図形部分は、請求人主張のように一見して「K」の文字からなると理解するものとはいい難く、たとえ「K」をモチーフにした図形と認識できる場合があるとしても、かなり図案化されたものであるといえるのに対し、本願文字部分は、はっきりと明瞭に表されたものであるから、容易に読み取れ、称呼しやすい「KISSHO」の文字部分に着目し、取引にあたることも少なくないというべきである。
(6)まとめ
以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、同一又は類似の商品又は役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1(本願商標、色彩については原本参照)



別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標2)


別掲4(引用商標3)


別掲5(引用商標4)


審理終結日 2020-04-14 
結審通知日 2020-04-21 
審決日 2020-05-12 
出願番号 商願2017-156530(T2017-156530) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W29354143)
T 1 8・ 262- Z (W29354143)
T 1 8・ 263- Z (W29354143)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小岩井 陽介竹之内 正隆 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 黒磯 裕子
板谷 玲子
商標の称呼 キッショー、キッショ、ケイ 
代理人 羽柴 拓司 
代理人 是枝 洋介 
代理人 楠屋 宏行 

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