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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W09
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W09
管理番号 1364132 
審判番号 不服2019-7643 
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-10 
確定日 2020-06-25 
事件の表示 商願2017-153323拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第7類,第9類,第28類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成29年11月21日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同30年10月18日受付の手続補正書及び当審における令和元年6月10日付けの手続補正書により,第9類「通信機能を有する電気通信機械器具(産業用・医療用・遊戯用のものを除く。),音声を出力可能な電気通信機械器具(産業用・医療用・遊戯用のものを除く。),カメラ機能を搭載した電気通信機械器具(産業用・医療用・遊戯用のものを除く。)」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は,「本願商標は,その指定商品において,同種の商品の形状として採用し得る立体的形状の範囲を超えるものとは認められないから,商品等の機能又は美感に資する形状を目的とするものといわざるを得ないものであって,本願の指定商品においては自他商品識別標識として機能を有しないものである。そうすると,本願商標は,これを本願の指定商品に使用しても,これに接する取引者・需要者に『ロボット(ロボット形状の商品)』『ロボットおもちゃ』の立体的形状を表示したもの,つまり,単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと理解させるにとどまるものであって,自他商品を区別するための識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ない。そして,本願商標をその指定商品中の『ロボット(ロボット形状の商品)』『ロボットおもちゃ(『おもちゃ』『玩具』に含まれるもの)』以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における審尋
当審において,請求人に対し,令和元年12月19日付けで,別掲2のとおりの事実を示した上で,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨の審尋を発し,相当の期間を指定して,これに対する意見を求めた。

第4 審尋に対する請求人の回答
請求人は,上記第3の審尋に対して,所定の期間内に何ら応答するところがない。

第5 当審の判断
1 本願商標及びその指定商品について
本願商標は,別掲1のとおり,人の上半身の形を模したロボットの立体的形状からなるところ,頭部には,目の位置に相当する場所に灰色の2つの略楕円形のくぼみを配し,その間のやや上部の額にあたる位置に黒い丸を配してなり,上半身の胴体部の左右には,肩にあたる位置から手にあたる位置の先端に向かってやや尖らせたような雫型の形状を有しているものである。
そして,本願の指定商品は,上記第1のとおり,補正されたところ,これらは,電気や電子の作用を本質的な要素としている通信機械器具の範ちゅうに属する商品であって,「人がその意思を他人に知らせること。音信を通ずること。郵便・電信・電話・パソコンなどによって意思や情報を通ずること。」(株式会社岩波書店広辞苑第六版)などの意を有する「通信」の機能や,音を発する機能を有する商品,被写体の映像を撮影等する機能を有する商品である,映像周波機械器具,搬送機械器具,有線通信機械器具,無線応用機械器具,無線通信機械器具,遠隔測定制御機械器具,音声周波機械器具などの商品が該当する。
2 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)ロボットには,「一般に,目的とする操作・作業を自動的に行うことのできる機械または装置。」との意が,我が国における代表的な辞書である広辞苑第六版(株式会社岩波書店)に載録されているように,従来,工場で商品を生産する際に用いられる産業用ロボット(たとえば,物品を掴んだり動かしたりする機能を発揮するもの)が存在しているところ,昨今,このような産業用ロボットとは異なる,ロボットの他の意である「複雑精巧な装置によって人間のように動く自動人形。人造人間。」(同じく広辞苑第六版)を進化させた,人との間での知覚・感情・思考の伝達を行うことを目的とした複数の通信機能を有するロボット(以下「コミュニケーションロボット等」という。)が開発され,取引されている事実が確認できる(別掲2の1)。
そして,これらのコミュニケーションロボット等は,使用者が親しみをこめやすいよう,その多くが,人や動物の形を模した形状からなるロボットであるところ,職権調査によれば(ア)「人の上半身に相当する部位のみで構成され,人の目に相当する部分を有する立体的形状からなるロボット」(別掲2の2),(イ)「腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなるロボット」(別掲2の3)及び(ウ)「人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間に黒い円形部が設けられており,当該円形部は,商品に搭載されたカメラ機能やマイク機能である立体的形状からなるロボット」(別掲2の4)が,それぞれ製造又は販売されている事実が確認できる。
(2)以上の実情を踏まえて本願商標をみるに,本願商標は,(ア)人の上半身に相当する部位のみで構成され,人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間に黒い円形部が設けられている点は,コミュニケーションロボット等で一般に採用されているものであること,(イ)腕に相当する部分がしずくのような輪郭を有する形状は,コミュニケーションロボット等においては,腕に相当する部分を様式化することが普通に行われていること,(ウ)頭部の額にあたる部分の黒い丸の位置は,コミュニケーションロボット等で商品に搭載されたカメラやマイクが一般に配され,商品等の機能に資することを目的として採用されていることからすると,本願商標の形状はコミュニケーションロボット等に採用されている一般的な立体的形状の範ちゅう又はコミュニケーションロボットの機能であるというのが相当であり,指定商品の主目的である通信機能を用いる際に,その使用者が,親しみをこめやすいよう人の形を模した立体的形状からなるロボットであると理解させるにすぎないものと認められる。
してみれば,本願商標は,これをその指定商品に使用しても,これに接する取引者・需要者をして,単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示したものとして理解するにとどまり,自他商品の識別標識として認識し得ないものといわなければならない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標に係る立体的形状は,本願商標の指定商品における一般的な形状ではなく独創的な形状であるので,当該形状を請求人が独占使用することを認めたとしても,他者が指定商品に係る商品を提供することが困難になるものではなく,公益上の問題も生じない旨を主張する。
しかしながら,上記(1)のとおり,本願商標と共通する特徴を備える,複数の通信機能を有するコミュニケーションロボット等が製造又は販売されている取引の実情があることを鑑みると,本願商標に係る立体的形状は,単なる商品の美感又は機能に資することを目的として採用された形状,又はその目的からの形状の選択と予測し得る範囲のものにすぎないというべきであるから,本願商標は,その指定商品に係る需要者,取引者をして,単に商品の形状を普通に用いられる方法で表示する標章と認識,理解されるというべきである。
イ 請求人は,欧州において,本願商標が,指定商品における典型的な形状及び特徴と異なる特徴を有しているので識別力を有すると判断され登録を受けていること,本願の指定商品に係る分野における典型的な商品の形態に関しては,日本と欧州との間に大きな差がないもことを挙げ,日本においても,本願商標は指定商品において十分な識別力を有する旨を主張する。
しかしながら,本願商標は,我が国商標法のもとで,その登録の可否が判断されるのであって,欧州における登録例をもって本願商標に関する自他商品識別性の判断について,同一に解釈しなければならない事情が存するものとは認められない。
ウ したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。
3 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
商標法第3条第2項は,商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として同法同条第1項第3号に該当する商標であっても,使用により自他商品識別力を獲得するに至った場合には,商標登録を受けることができることを規定している。そして,立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは,当該商標ないし商品の形状,使用開始時期及び使用期間,使用地域,商品の販売数量,広告宣伝のされた期間・地域及び規模,当該形状に類似した他の商品の存否などの事情を総合考慮して判断するのが相当である。
(1)請求人は,本願商標が,商標法第3条第1項第3号に該当するとしても,本願商標の使用を継続してきたことにより識別力を獲得していることから,本願商標は,同法同条第2項に規定する要件を具備しており,登録されるべき商標である旨を主張し,証拠として,当審において甲第1号証ないし甲第74号証を提出している。
そこで,請求人提出の証拠の内容に照らし,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。
ア 本願商標と使用商標との同一性
本願商標は,別掲1のとおり,人の上半身の形を模したロボットの立体的形状からなるところ,頭部には,目の位置に相当する場所に灰色の2つの略楕円形のくぼみを配し,その間のやや上部の額にあたる位置に黒い丸を配してなり,上半身の胴体部の左右には,肩にあたる位置から手にあたる位置の先端に向かってやや尖らせたような雫型の形状を有しているものである。
他方,請求人の業務に係る,たとえば,声を発したり身体を動かしたりすることが困難である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者,一人暮らしの高齢者やその介護者,病気による長期休学中や入院中の子どもなど,商品の使用者のコミュニケーションを支援するためにカメラ・音声デバイスを搭載した「OriHime(オリヒメ)」旨の名称の遠隔操作可能な分身ロボット(甲58,甲63ほか,以下「請求人商品」という。)の立体的形状(以下「使用商標」ということがある。)は,本願商標と形状の特徴を共通にする,人の上半身の形を模したロボットの立体的形状からなるものであるから,本願商標と使用商標とは,外観において同一性を有する形状であると認められる。
イ 請求人商品の使用開始時期及び使用期間,使用地域,販売数量
(ア)請求人の主張によれば,請求人商品は,2016年(平成28年)7月に販売開始し,約3年間にわたって継続的に販売し,2019年(令和元年)6月までの累計販売台数は356台であり,使用地域は,日本全国である。
(イ)他方,請求人が提出した証拠によれば,請求人商品は,2015年(平成27年)6月より,貸与(レンタル)が可能であり(甲5,甲12,甲15,甲60),少なくとも2017年(平成29年)6月には販売されていることがうかがえる(甲2,甲15)。
そして,少なくとも2017年(平成29年)6月には,請求人商品が販売されていたこと,及び,請求人商品が,各種メディア媒体によって,その機能等を中心として,現在に至るまで継続して紹介されていることを踏まえると(職権調査),請求人商品は,少なくとも2017年(平成29年)6月以降,現在まで,継続的に使用していることは認められるものの,その使用期間(販売期間)は2年9月程度であって,殊更長いということはできない。
また,請求人は,請求人商品が販売された台数は,2016年からの約3年の間に356台であると主張するのみであり,それらを客観的に裏付ける証拠の提出がない上,それらの数量は決して多いものということはできない。加えて,本願の指定商品を取り扱う業界の市場規模が不明であり,それを踏まえた請求人商品の市場占有率等についての具体的な証拠も何ら提出されていないことから,請求人商品が,需要者間に認識されたものと評価することはできない。
(ウ)さらに,請求人商品の使用地域は,日本全国であると主張するとともに,岡山県(甲2),岐阜県(甲11),東京都(甲13,甲32,甲34),鳥取県(甲44,甲46),高知県(甲51,甲52),宮城県(甲55),広島県(甲68)における使用の証拠を提出しているが,これらによっては,各地域において,少なくとも1台が使用されたことはうかがえるものの,請求人商品が実際に販売されたのかは不明である。
そうすると,これらをもって,請求人商品が全国的に使用(販売)されているとはいえない。
ウ 広告宣伝のされた期間・地域及び規模
請求人のウェブサイトの「PRODUCT」の項に,請求人商品の写真とともに,その機能等の説明が記載されている。また,同「ORDER」の項に,請求人商品の立体的形状を模した図形の描写とともに,請求人商品のレンタルのプラン紹介及び月極の金額並びにその申込みフォームが掲載されている(職権調査 https://orylab.com/)。
しかしながら,当該ウェブサイトには,請求人商品の金額や購入場所,手段など,商品の販売に結びつく具体的な情報が見受けられない。
また,請求人のウェブサイトを含む請求人による広告宣伝の期間・地域及び規模等については,何ら証拠は提出されていない。
そうすると,請求人によって,請求人商品を販売するための広告宣伝が行われてきたと認めることはできない。
エ 当該形状に類似した他の商品の存否
請求人商品に類似した他の商品として,上記2(1)のとおり,請求人商品と共通する特徴を備える,「人の上半身に相当する部位のみで構成され,人の目に相当する部分を有する立体的形状からなるロボット」(別掲2の2),「腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなるロボット」(別掲2の3)及び「人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間に黒い円形部が設けられており,当該円形部は,商品に搭載されたカメラ機能やマイク機能である立体的形状からなるロボット」(別掲2の4)が多数存在することから,請求人商品の立体的形状や形状自体の特徴は,他の同種商品の形状に比して特異なものということはできない。
オ その他
(ア)請求人商品は,テレビ番組,新聞,雑誌,ウェブサイト等によって紹介されている。
a テレビ番組(地上波放送,CS放送,インターネットテレビ等)における紹介(甲1,甲29,甲30,甲47?甲48,甲55,甲67,甲68)
b 新聞における紹介(甲2,甲4,甲22,甲27?甲28,甲32,甲38,甲44?46,甲50,甲51?甲52,甲55,甲64)
c 雑誌,書籍,チラシにおける紹介(甲23,甲33,甲62,甲65,甲66)
d 請求人以外の者に係るウェブサイトにおける紹介(甲3,甲5?甲8,甲10?甲15,甲17?甲21,甲24?甲26,甲31,甲34?甲37,甲39?甲41,甲43,甲53?甲54,甲56?甲61,甲69?甲74)
e 上記aないしdの各記事には,いずれも,請求人商品の写真が掲載されていることから,請求人商品が,請求人以外の者に係るウェブサイト,新聞,雑誌,テレビ等の多数の媒体(メディア)で取り上げられたことが認められる。
しかしながら,上記aないしdの各記事のほとんどが,請求人の事業概要,又は,請求人商品が開発されていること,商品の開発の目的,商品の機能等を重点的な内容とする紹介や,請求人の代表取締役所長の生い立ち,人物像,人生観等に焦点をあてた内容であって,請求人商品の立体的形状自体やその形状の特徴等を積極的に言及した記載は見あたらない。
そのため,これらの各記事は,請求人商品の立体的形状や形状自体の特徴について,需要者が,請求人との具体的関係を認識していることを直接示すものではなく,また,需要者に対して,請求人商品の立体的形状を,請求人らの自他識別標識であることを印象づけるように寄与するとはものとは直ちに理解し難い。
(イ)請求人の受賞歴
請求人は,ICCパートナーズ株式会社が企画・運営するICC サミット FUKUOKA 2018 Session 6A「CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)」において,優勝したことが認められる(甲58)。
しかしながら,当該賞の選考基準,表彰までの経緯等が定かでないことに加え,当該賞の受賞対象は,請求人商品の立体的形状ではなく,あくまでも,請求人(オリィ研究所株式会社)であり,当該受賞を伝える記事においても,請求人商品の写真並びにその開発の目的等に関する記載は認められるものの,請求人商品の立体的形状や形状自体の特徴に関する記載はない。
(2)小括
以上検討したところによれば,請求人商品に接する需要者において,請求人商品の立体的形状のみが商品の出所識別機能を有するものとして強く印象付けられるとはいい難く,請求人商品の立体的形状は,自他商品識別力を獲得するまでには至っていないと判断する。
したがって,請求人商品の立体的形状と同一視できる本願商標は,使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないから,商標法第3条第2項の要件を具備しない。
4 まとめ
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであって,同条第2項の要件を充足するものとも認められないから,商標登録を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。


別掲

別掲1 本願商標(色彩は原本参照。)





別掲2 当審における審尋で開示した事実
1 人との間での知覚・感情・思考の伝達を行うことを目的とした通信機能を有するロボット(コミュニケーションロボット)が開発され,上市されている事実
(1)weblio辞書のウェブサイトの「実用日本語表現辞典」において,「コミュニケーションロボット」の項に「言語や身体を使って人とやり取りをすることができるロボットを指す語。コミュニケーションロボットには,言葉を理解する能力のほかに,人の表情を読み取ったり,人の方へ移動したりする機能などを備えたものもある。」の記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88)
(2)weblio辞書のウェブサイトの「IT用語辞典バイナリ」において,「人間型ロボット」の項に「人間型ロボットとは,一般には,人間の姿に似て自律二足歩行ができる機能をもつロボットの総称である。人間の上半身の機能のみ備えているロボットや,動作は行わないがコミュニケーション可能であるロボットなどもあるが,それらを人間型ロボットに含めるか否かは明確ではない。人間の作業を肩代わりするロボットや対人サービスを行うロボットなどは,人の生活空間において動作するため,人との協調や共存的な機能が必要となる。その流れとして,ロボットの姿も人間に近いほうが有効であると考えられている。」の記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/%E4%BA%BA%E9%96%93%E5%9E%8B%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88)
(3)2019年(令和元年)11月16日付け「毎日新聞 地方版」の20頁に,「東海経済:ロボットと共生提案 名古屋高島屋,専門店を開店 /愛知」の見出しの下,「人間と会話したり,近寄ってきたりするコミュニケーションロボットを集めた専門店『ロボティクススタジオ』が,ジェイアール名古屋高島屋(名古屋市中村区)11階に開店した。・・・近い将来,ロボットと人が共生する新たな暮らしを提案する目的で開設した。今年末から2020年1月にかけて順次納品が予定されている『LOVOT(らぼっと)』(1体と充電器では税抜き29万9800円+月額料金)は,頭上のカメラやマイクで画像や音を認識。抱っこされたり,なでられたりすることを好み,よく構ってくれる人を好きだと認識し駆動輪を使って寄っていく。両腕を上げて抱っこをねだるポーズが可愛らしく,玄関でのお出迎えもできる。・・・」の記載がある。
(4)2019年(令和元年)7月14日付け「東京読売新聞 朝刊」の19頁に,「[シングルスタイル]支え お話しロボと2人暮らし」の見出しの下,「・・・AI(人工知能)を内蔵し,会話や動作で人間と交流する『コミュニケーションロボット』が,ひとり住まいを支える存在になりつつある。高齢者の見守り役としてロボットを貸し出す自治体も現れた。・・・パぺロは身長30センチほど。『今,何時かな』と話しかけると,頬を赤く光らせ,答えてくれる。大きな目に内蔵されたカメラで佐伯さんを追い,顔を向けてくる。・・・コミュニケーションロボットは,人の言葉を理解して顔を認識し,愛着がわく会話やしぐさをするのが特徴だ。・・・」の記載がある。
(5)2019年(平成31年)1月25日付け「朝日新聞 朝刊」の25頁に,「会話するロボット,全小学校に『赴任』 姫路市,来月から授業で活用へ/兵庫県」の見出しの下,「姫路市教育委員会は,会話できるロボットを,今月末までに全市立小学校に配ると発表した。授業で活用し,子どもたちに人工知能(AI)などの先端技術に親しんでもらう狙い。導入されるのは,コミュニケーションロボット『ロボホン』(シャープ製)。人型で,高さ約20センチ,重さ約400グラム。自己紹介はもちろん,『踊って』と話しかけると音楽に合わせて手足を軽快に動かし,『踊るって楽しいね』と答える。『写真を撮って』と求めると,内蔵カメラで人の顔を認識し,撮影してくれる。・・・」の記載がある。
(6)2019年(平成31年)1月1日付け「日本経済新聞 朝刊第2部」の5頁に,「元旦第2部・AI入ってる??ロボ共感,癒やしのアイボ,散歩の友,ロボホン,見守りのハロー。」の見出しの下,「日本は生産現場で使う産業用ロボットの普及が先行していたが,コミュニケーションを取る家庭用ロボットも普及してきた。ソニーの犬型ロボット『aibo(アイボ)』は人工知能(AI)が進化し,先代より犬らしい行動ができるようになった。シャープが手がける『RoBoHoN(ロボホン)』もいる。・・・鼻に搭載した画像認識カメラ,頭部や下顎のタッチセンサー,音声認識の3つから,アイボに接した時の感情や気持ちの変化といった人の『情報』を得る。タッチセンサーはなでられたかどうかに加えてその強さも認識し,飼い主の感情を判断できる。笑顔なども自動で認識する。・・・」の記載がある。
(7)2018年(平成30年)12月22日付け「東京読売新聞 朝刊」の28頁に,「新旧ロボに会いに来て AI搭載,50年前の作品も 多摩六都科学館=東京」の見出しの下,「・・・イベントでは,AI搭載のコミュニケーションロボット『ATOM(アトム)』などを陳列する。アトムは頭部のカメラで人の顔を見分け,子ども,成人男性,成人女性,お年寄りの4属性を判断するといい,来場者の年代などに合わせた会話ができる。・・・」の記載がある。
(8)2018年(平成30年)4月4日付け「日刊工業新聞」の26頁に,「深層断面/世界のユニークロボ,生活・仕事快適に」の見出しの下,「・・・香港のハンソンロボティクスが開発した『ソフィア』は人そっくりな顔を持つ人型ロボット。笑顔や怒り,悲しみと多彩な表情を使ってコミュニケーションする。応接や案内のほか,教育での活躍が期待されている。・・・9月に発売予定のコミュニケーションロボット『バディー』は,仏ブルー・フロッグ・ロボティクスが開発した。・・・バディーは家の中を車輪で動き回る。搭載カメラやセンサーに加え,顔のタッチパネルと音声対話を使いコミュニケーションできる。相手の感情も認識でき,自身も首の動きや画面に表情を映して感情を表す。・・・」の記載がある。

2 人の上半身に相当する部位のみで構成され,人の目に相当する部分を有する立体的形状からなる通信機能等を有するロボットが製造又は販売されている事実
(1)「LoveTech生活研究所」のウェブサイトの2019年(平成31年)1月9日付けニュース記事において,「究極にエモい次世代版コミュニケーションロボット『BOCCO emo』が新デザインを公開」の見出しの下,「ラジオ再生機能」の項に,「『エモちゃん。ラジオをつけて』と話しかけると,あらかじめ設定しておいたラジオ番組を選局して聴くことができます。」の記載とともに,人の上半身に相当する部位のみで構成され,人の目に相当する部分を有する立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://lovetech-media.com/news/family/20180109_01/)
(2)「株式会社MJI」のウェブサイトの2019年(令和元年)5月8日付けプレスリリース記事において,「MJIとユーキャンがオリジナルロボットを共同開発 5月8日 『おたすけ タピ太』 販売開始」の見出しの下,商品の「主な機能」の説明として,「会話,音楽再生,カラオケ再生,脳トレゲーム,ラジオ体操,アラーム,スケジュール,俳句,短歌,名作など」の記載,商品の特長の説明として,「1.言葉を認識して,さまざまな返答や反応をする対話機能を搭載」の項に,「話しかけて操作したり,会話を楽しんだりできるコミュニケーションロボットです。」,及び「2.音楽,脳トレゲーム,俳句・短歌,ダジャレなどの多彩なコンテンツが満載」の項に,「あなたを楽しませてくれて,毎日の暮らしを彩り豊かにしてくれます。」の記載とともに人の上半身に相当する部位のみで構成され,人の目に相当する部分を有する立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://mjirobotics.co.jp/180508/)
(3)「株式会社童友社」のウェブサイトにおいて,「コミュニケーションロボット AT<エー・ティー> (レッド)」の商品の特徴として,「話しかけたり,触ったりすることで反応するロボットAT<エー・ティー>。頭部にあるタッチセンサーで動きやオウム返しのおしゃべりを楽しんだり,胸のボタンで,メッセージを録音することも可能です。」の記載とともに,人の上半身に相当する部位のみで構成され,人の目に相当する部分を有する立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(http://www.doyusha-model.com/product/vriety/at_robot_red.html)
(4)「本田技研工業株式会社」のウェブサイトの商品「3E-A18」の項に,「人と触れ合い,共感しあうロボット」の見出しの下,「『Empathy=人と共感する』をテーマとする,人と触れ合い,暮らしに溶け込むコミュニケーションロボットのコンセプトモデル。CIを搭載しており,人の感情を認識して,豊かな表情と音や動きでコミュニケーションを行い,人の行動をサポートします。」の記載とともに,人の上半身に相当する部位のみで構成され,人の目に相当する部分を有する立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://www.honda.co.jp/CES/2018/detail/001/)
(5)「カシオ計算機株式会社」のウェブサイトの商品「デジタル英会話学習機 Lesson Pod」の項に,商品の主な機能の説明として,「Lesson Podは学習する人の話す英語をキャッチして,聞き取りやすい言葉で話します。」の記載とともに,人の上半身に相当する部位のみで構成され,人の目に相当する部分を有する立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://lessonpod.casio.jp/)

3 腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなる通信機能等を有するロボットが製造又は販売されている事実
(1)「マイナビ マイナビニュース」のウェブサイトの2019年(平成31年)3月19日付けレポート記事において,「モーションキャプチャによる富士通のロボット『ロボピン』の新たな展開」の見出しの下,商品の説明として,「・・・重量は3.5kgで,頭部に30万画素のカメラと感情表現をするLED,タッチセンサー,背中にもタッチセンサー,手に方向指示用LED,台座にスピーカーやUSBを備える。・・・」の記載とともに,腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://news.mynavi.jp/article/20190319-791151/)
また,同商品の製造・販売を行う「富士通株式会社」のウェブサイトにおいて,「ロボティクスの取り組みとロボット研究の足跡」の見出しの下,「富士通のコミュニケーションロボット ロボピン」の項に,腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://www.fujitsu.com/jp/microsite/robotics-solutions/)
(2)「日本サード・パーティ株式会社」のウェブサイトの2017年(平成29年)11月28日付けプレスリリース記事において,「日本サード・パーティ,世界で活躍するヒューマノイドロボット『Sanbot Elf』の取り扱いを開始」の見出しの下,商品のスペックの説明として,「HDカメラやマイク,Wi-Fi,Bluetooth機能などを搭載し,頭,胸部,腕,脚部にはタッチセンサーやジャイロスコープセンサー,障害回避センサーなどを装備します。10.1インチの胸部ディスプレイを搭載し,頭部にはプロジェクターを用意。駆動時間約4時間(スタンバイ時約10時間)の大容量バッテリーを装備します。」の記載とともに,腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://www.jtp.co.jp/aboutus/pr/2017-11-28_001/)
(3)「ユニロボット株式会社」のウェブサイトにおいて,商品「unibo」の項に,商品の基本機能の1つであるコミュニケーション機能の説明として,「喜怒哀楽を推察する感情認識機能を備えたユニボ。人工知能であらかじめ学習済みの挨拶,日常生活に即した会話だけではなく,たとえば悲しい時には,励ましの言葉をかけたり,一緒に悲しんだり,元気付けてくれたりします。天気予報の情報も提供してくれます。」の記載とともに,腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://www.unirobot.com/)
(4)「有限会社ブリューナク」のウェブサイトにおいて,「コミュニケーションロボットの新しいカタチ“Pul“誕生。」の記載とともに,腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(http://design.brionac.jp/pul/)
(5)「Hamee株式会社」のウェブサイトにおいて,商品「HAMIC」の項に,商品の説明として,「はみっくベアは,スマホを持たない子どものための,音声メッセージロボット。・・・はみっくベアに話しかけて,ともだちに音声メッセージを送ったり,ともだちの持っているはみっくベアから音声メッセージを受け取ることもできます。」の記載とともに,腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://hamic.ai/bear/)
(6)「ハタプロ・ロボティクス株式会社」のウェブサイトにおいて,「手のひらサイズの,マーケティング支援AIロボット」の見出しの下,商品の説明として,「ハタプロ・ロボティクスが提供する『ZUKKU(ズック)』は,身長わずか10cm,安価で手軽に導入できる手のひらサイズのマーケティング支援AIロボットです。SIMカード内蔵でスイッチ1つで稼働し特殊な設定いらずに通信に繋がり自律思考し,プライバシーを侵害しないセキュアな形式でデータを取得・解析し,人を手助けする様々な提案や行動を促進してくれる,愛らしくも頼もしい小さなパートナーです。」の記載とともに,腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://hatapro.co.jp/group/robotics/)
(7)「ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社」の「ソニーモバイル公式サイト」において,「Xperia Hello! G1209 あなたを理解するコミュニケーションロボット」の見出しの下,商品の主な特長の説明として,「コミュニケーション」の項に,「Xperia Hello!は,LINE(※1)を使ってメッセージを送受信したり,Skypeで音声通話やビデオ通話,さらに家族へのビデオ伝言を残すことができます。Xperia Hello!を介して,家の外にいる家族とメッセージのやりとりや通話ができます。また,外出先でもスマートフォンからXperia Hello!を通して,家の中の家族とコミュニケーションをとれます。」の記載がある。
(https://www.sonymobile.co.jp/product/smartproducts/g1209/)
そして,同社の同サイトの「Xperia Hello! 公式ユニフォーム」の項に,「ロボット用アパレルブランド『ROBO-UNI』を展開するRocket Road社が製造するXperia Hello!専用のユニフォームは,動きを阻害しないよう日本の先端素材と高度な縫製技術により設計製作されています。」の記載とともに,腕に相当する部分が様式化された立体的形状からなる通信機能等を有するロボットの写真が掲載されている。

(https://www.sonymobile.co.jp/product/smartproducts/g1209/uniform/)

4 人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間に黒い円形部が設けられており,当該円形部が,商品に搭載されたカメラ機能やマイク機能である立体的形状からなる通信機能等を有するロボットが製造又は販売されている事実
(1)「ヴイストン株式会社」のウェブサイトにおいて,商品「CommU(コミュー)」の説明として,「CommU(コミュー)は,複数のロボット同士の対話を人間に見せることで,より高度な対話感を実現することができる,新しい形態の対話ロボットです。カメラやマイク,スピーカ,ネットワーク機能などを搭載し,IoTデバイスやクラウドAIなどと高度に連携することで,あらゆるロボットサービスを提供できるプラットフォームとなっています。」の記載とともに,人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間に黒い円形部が設けられている立体的形状からなるロボットの写真が掲載されている。

(https://www.vstone.co.jp/products/commu/index.html)
そして,同社のウェブサイトにおいて,当該商品の商品仕様詳細として,人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間の黒い円形部が「カメラ」である旨の説明写真が掲載されている。

(https://www.vstone.co.jp/products/commu/spec.html)
(2)「ヴイストン株式会社」のウェブサイトにおいて,商品「Sota(ソータ)」の説明として,「Sota(ソータ)は,言葉や身振り・手振りを使った自然な対話を実現する,テーブルトップサイズのコミュニケーションロボットです。カメラやマイク,スピーカ,ネットワーク機能などを搭載し,IoTデバイスやクラウドAIなどと高度に連携することで,あらゆるロボットサービスを提供できるプラットフォームとなっています。高度な機能と可愛らしいデザインを両立しており,人に寄り添う全く新しいコミュニケーションサービスを実現できます。」の記載とともに,人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間に黒い円形部が設けられている立体的形状からなるロボットの写真が掲載されている。

(https://www.vstone.co.jp/products/sota/index.html)
そして,同社のウェブサイトにおいて当該商品の商品仕様詳細として,人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間の黒い円形部が「カメラ」である旨の説明写真が掲載されている。

(https://www.vstone.co.jp/products/sota/spec.html)
(3)「大栄機工」のウェブサイトにおいて,「大栄機工が扱うヒューマノイドロボット「SoftBank Robotics/NAO(ナオ)」のご紹介」の見出しの下,商品の特徴の説明として,「・・・4つのマイクを利用した音声認識と分析システムを使うことができます。音の発生源を検出することができ,その方向にマイクを向けることができます。・・・」の記載とともに,人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間に黒い円形部が設けられている立体的形状からなるロボットの写真が掲載されている。
そして,当該写真においては人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間の黒い円形部が「指向性マイク」である旨説明されている。

(http://daiei-kikou.com/feature-softbank-robotics-nao/)
(4)「NECプラットフォームズ株式会社」のウェブサイトにおいて,商品「PaPeRo i(パペロ アイ)」の項に,商品の特長の説明として,「・・・表情を表現するLED 頬,口,胸にあるLEDを使って愛らしい感情表現ができます。言葉を聞き取るときは耳を光らせて,聞き取りをしている状態を表現することもできます・・・」の記載とともに,人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間に黒い円形部が設けられている立体的形状からなるロボットの写真が掲載されている。


(https://www.necplatforms.co.jp/solution/papero_i/)
そして,同社のウェブサイトにおいて当該商品の基本仕様の項に,人の目に相当する部位の大きな2つの穴の間の黒い円形部が「音声認識用マイク(日本語),ノイズキャンセル用マイク」である旨の説明写真が掲載されている。

(https://support.necplatforms.co.jp/papero_i/paperoi_leaf.pdf)




審理終結日 2020-03-31 
結審通知日 2020-04-07 
審決日 2020-05-08 
出願番号 商願2017-153323(T2017-153323) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W09)
T 1 8・ 17- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 山根 まり子
大森 友子
商標の称呼 ゼロゼロゼロニニ 
代理人 泉 通博 

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