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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W25 審判 一部申立て 登録を維持 W25 審判 一部申立て 登録を維持 W25 |
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管理番号 | 1361759 |
異議申立番号 | 異議2019-900312 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-10-28 |
確定日 | 2020-04-21 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6168684号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6168684号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6168684号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成30年4月9日に登録出願、第25類「被服,バンド,ベルト,ズボンつり,履物」を指定商品として、同31年4月26日に登録査定、令和元年8月2日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第4569047号商標(以下「引用商標」という。)は、「FREYA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成13年6月22日に登録出願、第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成14年5月17日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、その指定商品中「被服」(以下「申立てに係る商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第36号証を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。 (1)本件商標について 本件商標は、別掲のとおりであるところ、当該文字は、特定の意味合いを想起させる語として知られていないから、特定の観念を生じることのない造語である。 そして、欧文字からなる商標を称呼するときは、我が国で親しまれている英語の発音に倣って称呼するのが自然といえる。 また、5文字目と6文字目の「EA」の文字部分は、例えば、「idea」を「アイディア」、「Korea」を「コリア」、「area」を「エリア」と発音するのに倣って、「イア」と発音される。 よって、本件商標全体としては、「フレイイア」の称呼が生じる。 また、本件商標の5文字目と6文字目の「EA」の文字部分は、大文字で表されていることから、訓令式ローマ字表のとおり、「エア」と発音されることがあり得るため、本件商標全体としては、「フレイエア」の称呼も生じる。 以上のとおり、本件商標は、「フレイイア」又は「フレイエア」の称呼を生じる。 (2)引用商標について 引用商標は、「FREYA」の欧文字を標準文字により書してなる。そして、欧文字からなる商標は、前述のとおり、英語の発音に倣って称呼するのが自然といえ、引用商標全体としては、「フレイア」の称呼が生じる。 また、「FREYA」の欧文字の使用態様においても、「フレヤ」とのみ称呼すべきとする特段の事情も認められなく、インターネットの検索結果では、「フレイア」又は「フレイヤ」と称呼している(甲16ないし甲35)。 以上のとおり、引用商標からは、「フレヤ」の称呼のみが生じるとはいえず、「フレイア」又は「フレイヤ」の称呼が生じる。 (3)本件商標と引用商標の類否について ア 本件商標の称呼「フレイイア」と引用商標の称呼「フレイア」及び「フレイヤ」との比較 本件商標の称呼「フレイイア」と引用商標の称呼「フレイア」及び「フレイヤ」とは、比較的聴者の耳に残り難い中間において、「イ」の音の有無、又は「イ」の音の有無及び語尾音「ア」と「ヤ」とが異なる。 そして、差異音の「イ」の前音が「イ」であることから、「イ」の音の有無は微差にすぎず、該差異音が全体の称呼に及ぼす影響は小さい。 また、語尾音「ア」と「ヤ」とは、例えば、「acasia」を「アカシア」又は「アカシヤ」、「rossia」を「ロシア」又は「ロシヤ」のように、特に語尾に配置されたとき、称呼する者においてさえも明確に区別されていないから、該差異音は、全体の称呼の中にあっては、ほとんど同一音といえる。 したがって、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し、聞き誤るおそれがあり、両称呼は、類似する。 イ 本件商標の称呼「フレイエア」と引用商標の称呼「フレイア」及び「フレイヤ」との比較 本件商標の称呼「フレイエア」と引用商標の称呼「フレイア」及び「フレイヤ」とは、比較的聴者の耳に残り難い中間において、「エ」の音の有無、又は「エ」の音の有無及び語尾音「ア」と「ヤ」とが異なる。 ここで、本件商標の第3音目以降の「イエア」は、3音とも母音で構成され、「エ」の音は、澄んだ音として聴取される「イ」の音と強く発せられる「ア」の音の中間にあって、前後の音の響きに吸収されやすいから、「イエア」と称呼されたとき、「エ」の音は、響きが相対的に弱められる結果、微弱な音として聴取され、「イア」の音に近似したものとして聴取される。 また、「エ」の音は、いわゆる母音三角形に示されるように、「イ」と「ア」の中間の音であって、口の開きは徐々に縦に開くように動く(甲36)ことからも、「イエア」と称呼されたとき、口の開きの動きがほとんど同一である「イア」の音に近似したものとして聴取される。 さらに、語尾音の「ア」と「ヤ」とは、ほとんど同一音として称呼される。 したがって、それぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し、聞き誤るおそれがあり、両称呼は、類似する。 ウ 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、相違音の有無において差異があるとしても、語韻、語調、抑揚が同じであることから、それぞれを時と所を異にして称呼すると、聴者はこれを相似たものとして聴取し、相紛らわしい。 (4)申立てに係る商品と引用商標に係る商品との類否について 本件商標に係る指定商品中、申立てに係る商品は、引用商標に係る指定商品「被服」と同一である。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する。 また、本件商標は、その指定商品中、申立てに係る商品は、引用商標の指定商品と同一である。 さらに、本件商標は、引用商標が登録された後に登録出願されたものであって、本件商標の商標権者は、引用商標の商標権者と異なる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)本件商標について ア 本件商標は、別掲のとおり、「Frei」と「EA」との間に少し間隔を有する「Frei EA」の欧文字を同書及び同大で、まとまりよく一体に表されてなるものである。 そして、本件商標は、その構成文字に相応して、「フレイイイエイ」又は「フレイエア」の称呼を生じるものであり、「Frei」と「EA」との間に少し間隔を有する構成であることから、当該称呼は、「フレイ」の次に一拍程おいて「イイエイ」又は「エア」と称呼されるというべきである。 また、本件商標からは、特定の観念を生じないものである。 イ 申立人は、本件商標から「フレイイア」の称呼も生じる旨主張している。 しかしながら、たとえ「idea」が「アイディア」、「Korea」が「コリア」、「area」が「エリア」と発音されるとしても、本件商標は、別掲のとおり、「Frei」と「EA」との間に少し間隔を有する「Frei EA」の欧文字からなるものであり、視覚上「Frei」と「EA」とは分離・独立して観察されるものであるから、「EA」の文字部分は、欧文字の2字をそれぞれ発音する「イイエイ」又はローマ字つづり風に発音する「エア」と称呼されるとみるのが相当である。 (2)引用商標について 引用商標は、「FREYA」の欧文字を標準文字で表してなるものであり、これより、「フレヤ」、「フレイア」又は「フレイヤ」の称呼を生じるものであり、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について ア 本件商標と引用商標とを比較すると、両商標の構成文字には明らかな差異があるため、外観において明確に区別できるものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「フレイイイエイ」又は「フレイエア」の称呼と、引用商標から生じる「フレヤ」の称呼とは、前半における「フレ」の音を共通にするものの、後半における「イイイエイ」又は「イエア」と「ヤ」において、明らかな差異を有するものであるから、明確に区別できるものである。 また、本件商標から生じる「フレイイイエイ」の称呼と、引用商標から生じる「フレイア」又は「フレイヤ」の称呼とは、前半における「フレイ」の音を共通にするものの、後半における「イイエイ」と「ア」又は「ヤ」において、明らかな差異を有するものであるから、明確に区別できるものである。 さらに、本件商標から生じる「フレイエア」の称呼と、引用商標から生じる「フレイア」又は「フレイヤ」の称呼とは、前半における「フレイ」の音を共通にするものの、後半における「エア」と「ア」又は「ヤ」の差異を有するのみならず、本件商標は「フレイ」の次に一拍程おいて「エア」と称呼されるのに対し、引用商標は一拍空けることなく一気一連に称呼されるものであるから、両称呼の語調、語感が相違し、相紛れるおそれはないというべきである。 そうすると、本件商標から生じる称呼と引用商標から生じる称呼とは、いずれにおいても相紛れるおそれはないものである。 さらに、観念においては、両商標からはいずれも特定の観念が生じないものであるから、比較することができない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、その外観及び称呼において、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 イ 他に、本件商標と引用商標とが出所の混同を生じるというべき事情は見いだせない。 ウ 申立人は、本件商標から生じる「フレイエア」の称呼と、引用商標から生じる「フレイア」又は「フレイヤ」の称呼との比較において、本件商標の第3音目以降の「イエア」は、3音とも母音で構成され、「エ」の音は、前後の音の響きに吸収されやすいから、響きが相対的に弱められる結果、微弱な音として聴取され、「イア」の音に近似したものとして聴取される旨主張している。 しかしながら、本件商標は「フレイ」の次に一拍程おいて「エア」と称呼されるものであるから、一拍程おいた後の「エ」の音は、明瞭に発音されるというべきである。 (4)小括 以上からすると、本件商標の申立てに係る商品が、引用商標の指定商品中に包含され、同一の商品であるとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (5)むすび したがって、本件商標は、その指定商品中、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえず、その登録は、同項の規定に違反してされたものとはいえない。 他に、申立てに係る商品について、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。 したがって、申立てに係る商品について、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
異議決定日 | 2020-04-07 |
出願番号 | 商願2018-44711(T2018-44711) |
審決分類 |
T
1
652・
262-
Y
(W25)
T 1 652・ 261- Y (W25) T 1 652・ 263- Y (W25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 内田 直樹 |
特許庁審判長 |
木村 一弘 |
特許庁審判官 |
山田 啓之 板谷 玲子 |
登録日 | 2019-08-02 |
登録番号 | 商標登録第6168684号(T6168684) |
権利者 | 株式会社三陽商会 |
商標の称呼 | フレイエア、フレイイイエイ、フレイ |
代理人 | 西村 啓一 |