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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W32
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W32
管理番号 1361757 
異議申立番号 異議2019-900057 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-05-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-02-15 
確定日 2020-04-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6100150号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6100150号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第6100150号商標(以下「本件商標」という。)は,「大雪の水」の文字を標準文字で表してなり,平成30年3月27日に登録出願,第32類「飲料水,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料,ビール」を指定商品として,同年11月7日に登録査定,同月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する登録第5355003号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,平成22年3月3日に登録出願,第32類「北海道産の飲料水」を指定商品として,同年9月17日に設定登録されたものである。

3 登録異議申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第16号及び同項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は,「大雪」の文字と「水」の文字とを助詞「の」で結合した構成よりなるところ,その構成中「大雪」の文字は「北海道中央部,大雪山を中心とする山名など」を意味し(甲2),「大雪の水」全体からは「北海道大雪山系の水」程度の意味合いを容易に想起させるものであるから,本件商標の指定商品中「北海道産の飲料水,北海道産の飲料水を使用した商品」に使用しても,商品の品質を表示するにすぎず,自他商品識別標識としての機能を果たし得ない。
また,「飲料水」や「大雪山の水を利用してつくられた食品」について「大雪の水」や「大雪山の水」の文字が産地表示,品質表示として用いられているから(甲17?甲28),一私人に「大雪の水」の文字の独占使用を認めることは,公益上適当ではない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
また,上記商品以外の商品に使用するときには,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから,商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「大雪の水」の文字を標準文字で表してなり,引用商標は,「大雪な水」の文字に「たいせつ」の文字を振り仮名とした構成よりなるものである。
本件商標と引用商標は,4文字中冒頭2文字「大雪」と語尾「水」の文字の合計3文字を共通にしており,外観において近似した印象を与えるものである。
また,本件商標と引用商標から生ずる称呼を比較するに,両称呼は共に7音からなり,比較的聴取し難い中間音において「ノ」と「ナ」の差異を有するのみで他の配列構成音を同じにするものである。
そして,この「ノ」と「ナ」の差異にしても,いずれも「ナ」行に属し,比較的明瞭には発音されない通鼻音であるから,明瞭には聴別し難く,この差異音が両称呼に与える影響は大きいものとはいえないから,両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは,語感,語調が極めて近似したものとなる。
さらに,本件商標及び引用商標は,いずれも「北海道大雪山系の水」程度の意味合いを想起させ得るものであるから,観念においても近似した印象を与えるものである。
また,本件商標の指定商品中「飲料水,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」は,引用商標の指定商品「北海道産の飲料水」と同一又は類似のものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審おける取消理由の要旨
当審において,本件商標権者に対し,「本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和元年11月29日付けで通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

5 本件商標権者の意見
商標権者は,上記3の取消理由の通知に対して,指定した期間内に何ら意見を述べていない。

6 当審の判断
(1)本件商標の構成中,「大雪」の語の意味について
ア 「コンサイス地名辞典-日本編-」(1981年(昭和56年)1月10日発行 株式会社三省堂)の「だいせつ 大雪」の項に,「北海道中央部。大雪山を中心とする山名など。【別名】たいせつ。」の記載がある(甲2)。
イ 「広辞苑第六版」(2008年(平成20年)1月11日発行 株式会社岩波書店)の「おおゆき」及び「たいせつ」の項に,「はげしく降る雪,多く積もった雪」等の記載がある(職権調査)。
(2)「大雪の水」の文字が「北海道の大雪山を中心とする山からの湧水の名称」を指称するものとして使用されている例
申立人の提出に係る甲各号証及び同人の主張並びに職権による調査によれば,次の事実が認められる(なお,申立人の提出する証拠において,掲載日が明らかでないものもあるが,本件商標の登録査定日以降に掲載されたものについては除く。)。
ア 「平成の水百選/大雪旭岳源水」を紹介するウェブサイトにおいて,「・・・安全・安心品質と,ゆたかな自然の味わい,理想的なミネラルバランスを併せもった大雪の水をぜひ,貴社ブランドへ。」の記載がある(甲17)。
イ 「株式会社加藤農産」が運営する「お米屋北海道」のウェブサイトにおいて,「大雪の水が育んだ北海道一おいしいお米の専門店です。」の記載がある(甲18)。
ウ 「北海道ファンマガジン」のウェブサイトにおいて,「タンタカタ?ン!白糠発祥の焼酎! 2008/03/12・2016/10/15」の見出しの下,「同年1992年の12月ついに,白糠町赤シソ+大雪の水のコラボレーションによる『しそ焼酎・鍛高譚』が発売となりました。」の記載がある(甲19)。
エ 「youtube.com」のウェブサイト中の「北海道新聞動画ニュース」において,「北海道産の米と水から『食べる甘さけ』3種類を発売へ(2018/03/06)北海道新聞」の見出しの下,「北竜町の特別栽培米を大雪の水で米麹に仕上げたノンアルコールの発酵食品。」の記載がある(甲20)。
オ 「HOTPEPPERグルメ」のウェブサイトにおいて,「よし乃ラーメン上川店」の見出しの下,「投稿日:2014/04/20」の「・・・上川店限定で大雪の水と上川産のもち米で育った渓谷味豚と言うのも有って・・・」の記事がある(甲22)。
カ 2011年12月14日付け「北海道新聞朝刊地方(札幌市内)」において,「<おすすめ北海道 旬の旅>味*仕込み本番『北の灘』蔵元巡ろう(旭川市)*地酒造りの魅力存分に*大雪の水使用【訂正あり】」の見出しの下,「・・・『仕込みには大雪山系の伏流水を使います。旭川は気候風土に恵まれ酒造りの適地です』-。高砂酒造総合企画課の山崎浩一課長は,工場の見学者に説明する。・・・」の記載がある。
キ 2009年11月29日付け「北海道新聞朝刊全道」において,「<湯けむり名人の温泉!とっておき>旭岳万世閣 ホテル ディアバレー=上川管内東川町旭岳温泉*泉質希少 大雪の“別荘”」の見出しの下,「・・・また,湯上がりに用意されている『大雪旭岳源水』の味わいといったら! 体の中から浄化されるようだ。 大雪の水は,すべての料理の味にも生きている。」の記載がある。
ク 1997年10月10日付け「日本農業新聞」において,「統一ブランド米デビュー『大雪山見て育ったの』旭川市内8JA」の見出しの下,「・・・『大雪山見て育ったの』を試食した市内の女性は『大雪の水と旭川の地で育ったクリーンなお米。ササニシキよりおいしい』と買い求めていた。」の記載がある。
ケ 「ESD 学び合いフォーラム in 東川町 ?大雪の恵みを守り伝える?[平成28年度第2回大雪の『価値』について考えるフォーラム in 東川町]」の開催報告の3頁に,「第2回目となる本フォーラムでは大雪の水をテーマに,東川町の水事情を知り,その価値を活かし守るための仕組み等について学び合う。なお,第3回目のフォーラムについては,平成29年2月12日(日)に開催予定。」の記載があり,5頁には「大雪の水は,最上流の東川住民の健康を保ち美味しい米を生み,さらに町内4か所の水力発電所を通して電気を生み出したうえ,石狩川中下流部に生きる数多の動植物と数百万の人々の生存と生産を支えている水の淵源だ。本日はその大雪山がもつ価値を守り伝える活動についてのご講演を伺えるのを楽しみにしている。」の記載がある。
(http://epohok.jp/wp-content/uploads/2017/03/ESD%E5%AD%A6%E3%81%B3%E5%90%88%E3%81%84%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A0in%E6%9D%B1%E5%B7%9D%E7%94%BA%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%EF%BC%88WEB%E7%94%A8%EF%BC%89.pdf)
(3)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は,「大雪の水」の文字を標準文字で表してなるところ,上記(1)によれば構成中の「大雪」の文字は,「はげしく降る雪,多く積もった雪」を意味するものとしても,「北海道中央部。大雪山を中心とする山名など。」の意味を有し,当該地域を認識させる場合があるものと認められる。
また,上記(2)によれば「大雪の水」の文字は,本件商標の登録査定時前より,北海道の大雪山を中心とする山からの湧水を利用した商品について,使用されている実情が認められる。
そうすると,本件商標は,これをその指定商品に使用するときは,これに接する取引者,需要者をして,その商品の原材料が「大雪の水」すなわち「北海道の大雪山を中心とする山からの湧水を利用した商品」であるものと認識される場合があるから,これを特定人に独占使用させることは公益上適当でないというべきである。
したがって,本件商標は,これをその指定商品中の「北海道の大雪山を中心とする山からの湧水を利用した商品」に使用するときは,商品の品質又は原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるものというのが相当であるから,商標法第3条第1項第3号に該当し,また,本件商標の指定商品中「北海道の大雪山を中心とする山からの湧水を利用した商品」以外の商品について使用するときは,商品の品質の誤認を生じるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものであるから,その余の申立ての理由について論及するまでもなく,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
別掲 引用商標




異議決定日 2020-02-26 
出願番号 商願2018-38733(T2018-38733) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (W32)
T 1 651・ 272- Z (W32)
最終処分 取消  
前審関与審査官 松浦 裕紀子三井 敏匡 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 平澤 芳行
大森 友子
登録日 2018-11-22 
登録番号 商標登録第6100150号(T6100150) 
権利者 株式会社北海道興農社
商標の称呼 オーユキノミズ、タイセツノミズ、ダイセツノミズ、オーユキノ、タイセツノ、ダイセツノ、オーユキ、タイセツ、ダイセツ 
代理人 三浦 光康 
代理人 皆川 由佳 
代理人 岡本 茂樹 
代理人 中井 博 

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