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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W0941
審判 査定不服 観念類似 登録しない W0941
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W0941
管理番号 1361671 
審判番号 不服2019-6018 
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-09 
確定日 2020-04-02 
事件の表示 商願2018-97917拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成よりなり,第9類「電気通信機械器具,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,スマートフォン用のカバー,スマートフォン用のケース,スマートフォン用保護フィルム,電子応用機械器具及びその部品,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電気又は電子楽器用フェイザー,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,記録済みCD-ROM,電子ゲーム用プログラム,インターネットを通じてダウンロード可能な携帯電話機用プログラム,ダウンロード可能なスマートフォン及び携帯情報端末用プログラム,インターネットを利用してダウンロード可能なコンピュータプログラム,コンピュータの画面保護用フィルム」及び第41類「電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供,レクリエーション施設の提供,会員制による教育・娯楽の提供,教育及び娯楽に関する情報の提供,インターネットによる電子ゲームの提供,オンラインゲームの提供,その他のゲームの提供,通信ネットワークを利用した音声・音楽・静止画・動画の提供(ダウンロードされるものを除く。),インターネット又はコンピュータネットワークを利用したキャラクターの画像又は動画の提供,アバター・キャラクター画像の提供,文化又は教育のための視覚的美術品の展示及び文献の供覧」を指定商品及び指定役務として,平成29年11月7日に登録出願された商願2017-146322に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として,同30年7月31日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願商標の拒絶の理由に引用した登録第6050161号商標(以下「引用商標」という。)は,「メルチャン」の文字を標準文字で表してなり,平成29年6月20日に登録出願,第9類「ダウンロード可能な携帯電話用のプログラム,ダウンロード可能なスマートフォン用のプログラム,携帯情報端末機用プログラム,アプリケーションソフトウェア,その他の電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,携帯電話,その他の電気通信機械器具,スマートフォン,腕時計型携帯情報端末,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル」,第35類「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務,第41類「電子メール通信を利用したマガジン・ニュースレターなどの電子出版物の提供,その他の電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,電子書籍の貸与,電子計算機端末・移動体電話による通信を用いて行う音声・音楽・画像(動画・静止画を含む)・映像の提供及びそれらに関する情報の提供,音声・音楽・画像(動画・静止画を含む)・映像の制作,フリーマーケット興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供,オンラインゲームの提供及びこれに関する情報の提供」,並びに第38類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として,同30年6月8日に設定登録され,現に有効に存続している。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,別掲のとおり,女の子の人形とおぼしき図形(以下「本願図形部分」という。)を大きく表してなり,その下部に,外側を水色で縁取りしたピンク色の態様で「メルちゃん」の文字(以下「本願文字部分」という。)を横書きしてなるところ,両者は上下に明確に分かれ,視覚上,分離して認識されるものである。
また,本願文字部分を構成する後半の「ちゃん」の文字は,「人を表す名詞に付けて,親しみを表す呼び方」として愛称などを表すための接尾語(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)と容易に理解できるから,本願商標に接する需要者は,本願文字部分が「『メル』という人の愛称」を表示したものと認識するのが自然である。
他方,本願図形部分は,本願の指定商品・指定役務の需要者には,特定の称呼及び観念をもって親しまれているものとは認められないから,本願図形部分と本願文字部分とが,観念的に密接な関連性を有しているとは考え難く,一連一体として何かしらの称呼が生じるともいえない。
また,本願図形部分及び本願文字部分は,その指定商品・指定役務との関係で,当該商品の品質・役務の質等を表すものともいえない上,このほかに各部分が単独では出所識別機能を有しないと認めるに足りる証拠も見当たらない。
これらの事情を総合すると,本願図形部分と本願文字部分とは,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできないから,両者は,それぞれが独立して出所識別機能を有する要部であるというべきである。
以上によれば,本願商標は,その要部の一である本願文字部分から,構成文字に相応した「メルチャン」の称呼及び「『メル』という人の愛称」程度の観念が生じると認められる。
イ 引用商標について
引用商標は,「メルチャン」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字からは,上記アと同様に,その構成文字に相応した「メルチャン」の称呼及び「『メル』という人の愛称」程度の観念が生じるものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標との類否について検討すると,外観においては,本願商標の要部の一である本願文字部分は多少デザインが施されていること及び本願文字部分と引用商標の語尾の3文字は平仮名と片仮名であって文字種を異にするという差異があるものの,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり,デザイン化したりすることが一般的に行われている実情があることに鑑みれば,両者における文字種やデザインの相違が,看者に対し,出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。
次に,称呼及び観念についてみると,両者は「メルチャン」の称呼及び「『メル』という人の愛称」程度の観念を同一にするものである。
以上のとおり,本願文字部分と引用商標とは,称呼及び観念を同一にするものであって,外観における差異についても,称呼及び観念の同一性をしのぐほどの顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないことから,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合的に勘案すれば,本願商標と引用商標は相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
エ 本願商標の指定商品・指定役務と引用商標の指定商品・指定役務との類否について
本願商標の第9類の指定商品中の「メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電気又は電子楽器用フェイザー」以外の指定商品と引用商標の第9類の指定商品とは同一又は類似の商品であり,本願商標の指定商品中,第9類「メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,電気又は電子楽器用フェイザー,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,記録済みCD-ROM」と,引用商標の指定役務中,第35類「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは互いに類似する商品及び役務である。
また,本願商標の第41類の指定役務と引用商標の第41類の指定役務とは同一又は類似の役務である。
オ 小括
以上によれば,本願商標は,引用商標と相紛れるおそれのある類似の商標であり,かつ,本願商標の指定商品・指定役務は,引用商標の指定商品・指定役務と同一又は類似の商品・役務であるから,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「引用商標を構成する『メルチャン』の文字は,株式会社メルカリの運営するライブコマースの『メルカリチャンネル』の略称として,高い知名度を有して需要者に広く認識されていることは明らかであるから,当該文字からは,女の子の名前は想起されない。」及び「1歳半からを対象とした商品である抱き人形『メルちゃん』は,平成4年(1992年)の発売以来26年にわたって広く親しまれ,年間の出荷数50万体以上,8歳までの女児を持つお母さんの認知率97%,8歳までの女児の「メルちゃん」シリーズ保有率約50%など,圧倒的な知名度を誇っている。したがって,本願商標と引用商標とは観念において異なる。」旨を主張し,証拠として当審において,資料1ないし資料11を提出している。
しかしながら,審判請求書には,株式会社メルカリが平成29年(2017年)にライブコマース「メルカリチャンネル」をスタートしたこと及び18ないし22歳の男女を対象とするライブコマースの利用に関するアンケート調査(回答者数85名)において,「聞いたことがあるサービスはありますか?」という質問に対し,「メルカリチャンネル」と回答したのは49.4%であることが示されてはいるものの,当該アンケート調査を実施した時期は不明であり,調査対象とされる年齢層及び回答者数もごく一部に限定されていることからすると,本願の指定商品・指定役務の需要者の間で「メルカリチャンネル」がライブコマースの代表格として高い知名度を有し需要者に広く認識されているとまで認めることはできない。
また,「メルチャン」の文字が「メルカリチャンネル」の略称として広く使用されているとして示されたインターネットの事例は僅か4件であり,それ以外の具体的な証拠の提出はなく,当該事例のみをもって「メルチャン」の文字が「メルカリチャンネル」の略称として需要者に広く認識されているとは直ちに理解し難いといわざるを得ない。
さらに,本願商標の指定商品・指定役務は,上記1のとおりであるところ,これらの商品及び役務は,抱き人形を含む幼児用玩具の需要者ばかりではなく,幅広い年齢層を含む一般の需要者を対象としていることから,たとえ,抱き人形「メルちゃん」が,8歳までの女児を持つ母親等の限られた需要者層の間では一定程度知られているとしても,本願の指定商品・指定役務の需要者にまで「メルちゃん」の文字が請求人の製造に係る抱き人形の名称として親しまれていることを示す証拠の提出はなく,「メルちゃん」の文字が当該需要者にまで知られていることを認めることはできない。
そうすると,上記(1)で述べたように本願文字部分後半の「ちゃん」又は引用商標後半の「チャン」の文字は,「人を表す名詞に付けて,親しみを表す呼び方」として愛称などを表すための接尾語と理解され,「『メル』という人の愛称」を表示したものと認識するのが自然であり,本願文字部分と引用商標からは「『メル』という人の愛称」の観念を生じ,本願商標と引用商標は当該観念を共通にするものである。
イ 請求人は,過去の審決例を挙げて「本願と引用商標との称呼の共通性は,かかる外観及び観念の相違や,需要者のしゅん別力をしのぐ程のものということはできず,本願商標と引用商標とをいずれの商品・役務に使用しても,その出所について誤認混同を生ずるおそれはない」旨を主張している。
しかしながら,請求人が挙げる審決例は,いずれも本願商標とその構成態様を異にするものである。また,商標の類否判断は,登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において,個別具体的に判断されるものであるから,請求人の挙げた審決例をもって本願商標の上記判断が左右されるものではない。
ウ よって,請求人の主張は,いずれも採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
別掲 本願商標(色彩は原本参照。)

審理終結日 2020-01-30 
結審通知日 2020-02-04 
審決日 2020-02-18 
出願番号 商願2018-97917(T2018-97917) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W0941)
T 1 8・ 261- Z (W0941)
T 1 8・ 262- Z (W0941)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 浜岸 愛
大森 友子
商標の称呼 メルチャン、メル 
代理人 飯田 昭夫 
代理人 安藤 敏之 
代理人 上田 千織 
代理人 江間 路子 

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