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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z09 |
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管理番号 | 1361606 |
審判番号 | 取消2018-300196 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-04-05 |
確定日 | 2020-03-18 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4624349号の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4624349号の2商標の指定商品中第9類「眼鏡」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4624349号の2商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成より,平成12年8月23日に登録出願,第9類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として,同14年11月22日に設定登録されたものである。その後,平成16年1月15日登録の本件商標の分割移転がなされた結果,本件商標の指定商品は,第9類「電池,眼鏡,電気計算機」となり,現に有効に存続しているものである。 なお,本件審判の請求の登録日は,平成30年4月23日であり,商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは,同27年4月23日ないし同30年4月22日である(以下「要証期間」という。)。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書,弁駁書及び上申書において,その理由を要旨以下のとおり述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。 1 請求の理由(要旨) 本件商標は,その指定商品中,「眼鏡」(以下「取消請求商品」という場合がある。)について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。 (1)使用の事実について ア サングラスカタログ2016年版について サングラスカタログ2016年版(乙1)が実際に平成28年のカタログであるか否については明確でなく,当該カタログが発行された正確な日付を確認するための証拠はない。さらに,当該カタログが存在するということは分かっても,現実に指定商品の眼鏡が販売されていたか否かは分からないため,本件商標の使用の証拠とはいえない。 イ 老眼鏡カタログ2015年版について 老眼鏡カタログ2015年版(乙2)の奥付には,5年も前(2010年(平成22年)6月)の日付が記載されており,当該老眼鏡カタログが作成された正確な日付に関する詳細な記載とその証拠がない。さらに,当該老眼鏡カタログが存在することによって実際に指定商品の眼鏡が販売されていたか否かは分からないため,当該老眼鏡カタログのみでは本件商標の使用の証拠とはいえない。 ウ 2016年定番サングラス変更表について 2016年定番サングラス変更表(乙3)は,定番サングラスの変更点であるにも関わらず,被請求人のカタログ(乙1,乙2)のいずれにおいても定番である筈の当該商品は見当たらない。 また,2016年(平成28年)1月19日という当該書面が作成された日付について証明する証拠はない。さらに,当該書面によっても実際にサングラスが販売されていたか否かは分からないため,本件商標の使用の証拠とはいえない。 エ サングラス什器の写真について サングラス什器の写真(乙4)には,本件商標の記載は一切なく,これら什器は指定商品の眼鏡とも異なる。 オ 販売リストについて 販売リスト(乙5)には,本件商標と社会通念上同一の商標の使用は認められない。また,当該リストには,明確に読み取れる日付の証拠も認められない。さらに,右三分の一ほどに記載された被請求人が作成した表にもマルマンというブランドの記載は見当たらない。 カ サングラス一覧表について サングラス一覧表(乙6)の3葉目の下部には,15段×6列の判別不可能なシャープの羅列が見られ,非常に不自然な印象が感じられる。また,2015年(平成27年)10月6日に当該書面が作成されたことを証明する証拠もない。そして,当該書面のみでは,実際にサングラスが販売されていたか否かは分からないため,本件商標の使用の証拠とはいえない。 キ 販売実績データについて 販売実績データ(乙7)には,本件商標と社会通念上同一の商標の記載はなく,日付に関しても何年度のものであるか不明であり,日付を証明した証拠ではない。また,当該販売実績データの記載によっては,実際にサングラスが販売されていたか否かは分からないため,本件商標の使用の証拠とはいえない。 ク メールについて (ア)サングラス廃盤モデル代替モデルのお知らせ(乙8)には,本件商標と社会通念上同一の文字構成「maruman」は一切表示されていない。また,当該メールのコピーの証拠の記載によっては,実際にサングラスが販売されていたか否かは分からないため,本件商標の使用の証拠とはいえない。 (イ)シニアサングラス廃盤案内(乙9)には,本件商標と社会通念上同一の文字構成「maruman」は一切表示されていない。また,当該メールのコピーの証拠の記載によっては,実際にサングラスが販売されていたか否かは分からないため,本件商標の使用の証拠とはいえない。 ケ サングラス代品案内書について サングラス代品案内書(乙10)には,実際に眼鏡やサングラスが販売されているか否かは分からず,本件商標の使用の証拠とはいえない。 コ 見積書について 見積書(乙11)には,本件商標と社会通念上同一の商標の記載はない。また,当該見積書の数量及び金額部分が空欄である。このような見積書の記載では,実際に老眼鏡やサングラスが販売されているか否かは分からず,本件商標の使用の証拠とはいえないものである。 サ 商標使用権許諾契約書について 商標使用権許諾契約書(乙12)には,本件商標の記載はなく,添付書類等も一切ないものであり,この契約書が本件商標に関する契約書であるか不明である。また,使用許諾地域についても,日本が含まれていない。 シ サングラスの写真について サングラスの写真(乙13)には,本件商標と社会通念上同一の商標の記載はなく,通常の眼鏡の取引で見られる商標が記載された下げ札等も付けられていない。 したがって,この写真の証拠では,実際にサングラスが販売される証拠とならず,本件商標の使用の証拠とはいえない。 ス 小括 したがって,乙第1号証ないし乙第13号証は,要証期間内における本件商標の使用を立証する証拠とはいえない。 (2)被請求人の状況と使用の関係について 被請求人は,平成27年11月の時点で,「破産申請」という状況になった(甲4,甲5)。 2 むすび したがって,被請求人は本件商標を要証期間に使用していたものとは認められない。 第3 被請求人の主張 被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,答弁書等において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第14号証(なお,答弁書と同時に提出された乙第1号証を乙第14号証とする。)を提出した。 1 本件商標権者は,2000年(平成12年)10月5日から,登録第4624349号の2商標の使用を公開し,使用し始めた。商標の使用規定に違反していない。 2 本件商標権者は,2016年(平成28年)6月に経営上問題が発生し,当時は長期にわたり,経営改善が見込めず,一時休業せざるを得なかったが,現在は経営構造の改革を進めており,2019年(平成31年)3月に事業再開する予定である。会社を休業してから,2018年(平成30年)4月まで2年経ったが,継続して本件商標を3年以上使用していないことは事実ではない。 3 本件商標権者は,現在休業しているが,本件商標権者の海外業務提携会社「MARUMAN PRODUCTS CO.,LTD.(TAIWAN)」に本件商標の使用権を与えており,「MARUMAN PRODUCTS CO.,LTD.(TAIWAN)」が現在本件商標を使用し,当該製品を販売している。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出した証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。 (1)商品カタログについて ア サングラスカタログ(乙1)の表紙には,「2016/SUNGLASS/CATALOG」及び「2016/4 サングラスカタログ」の文字,商品「サングラス」の写真及び楕円の左右を少し太くして,その中に「M」の文字をデザイン化した図形とともに「maruman」の文字(以下,これらを「使用商標」という。)が記載されているが,当該サングラスカタログは,製本されたものでなく写しであり,表紙の印刷は,他の頁の印刷より荒い印刷となっている。 そして,このカタログの裏表紙には,本件商標権者の名称が記載され,使用商標が表示されている。 イ 老眼鏡カタログ(乙2)の表紙には,「Senior Glass/Catalog」及び「シニアグラス カタログ/2015/10」の文字,商品「老眼鏡」の写真及び使用商標が記載されているが,当該老眼鏡カタログは,製本されたものでなく写しであり,1葉目や3葉目の印刷の一部が切れており,6葉目には,意味不明の文字列が3列記載されている。 そして,このカタログの裏表紙には,「2010年6月現在のメーカー希望小売価格(税抜)」の記載があり,本件商標権者の名称が記載され,使用商標が表示されている。 (2)廃盤製品処分販売リストについて 廃盤製品処分販売リスト(乙5)について,4枚の「返品通知書」の画像が掲載されているが,文字が不鮮明で判読できない。 (3)定番サングラス変更表について 2016年定番サングラス変更表(乙3)には,使用商標が表示され,「2016.1.19」の記載がある。 (4)サングラス一覧表について サングラス一覧表(乙6)には,使用商標が表示され,「2015.10.6」の記載がある。 (5)サングラス代品案内書について サングラス代品案内書(乙10)には,使用商標が表示され,「2015.8.25」の記載がある。 (6)その他の証拠について ア 見積書(乙11)は,製造者と思われる会社から本件商標権者宛てに老眼鏡の商品を見積もったものである。 イ 商標使用権許諾契約書(乙12)は,本件商標の記載はなく,当該契約書が本件商標に関する契約書であるか不明である。また,使用許諾地域についても,日本が含まれていない。 ウ 「MARUMAN サングラス 2018年ニューモデル」と表題のついた写真(乙13)には,サングラスの写真が2枚掲載されているが,当該写真の撮影日は,証拠説明書によれば平成28年7月17日であり,要証期間内であるとされている。 エ 製品販売一覧(乙14)は外国語で記載され,印刷された日付の記載もない。 オ サングラス什器の写真(乙4),販売実績データ(乙7)及びメールのコピー(乙8,乙9)には,要証期間内の日付は記載されているが,本件商標の表示はない。 (7)本件商標権者の状況について 「TSR/TOKYO SHOKO RESEARCH」(甲4)の,2016年(平成28年)3月18日(金)付けの記事には「時計,雑貨販売 [東京]/(株)マルマンプロダクツ/?『maruman(マルマン)』ブランドの時計など展開?/破産申請へ 負債総額約8億円」の見出しの下「(株)マルマンプロダクツ・・・は3月17日付けで事業を停止し,破産手続きを・・・弁護士・・・ほか4名に一任した。負債総額は約8億円(平成27年3月期時点)。」の記載がある。 2 上記1からすれば,次のとおり判断できる。 (1)商品カタログについて ア サングラスカタログ(乙1)の表紙には,「SUNGLASS」及び「サングラス」の文字の記載があり,2016年(平成28年)4月を表す文字,商品「サングラス」の写真及び使用商標が表示され,裏表紙には,本件商標権者の名称が記載されるとともに使用商標が表示されているが,日付を表す文字が表示されている当該カタログの表紙は,他の頁に比べると印刷が荒く,その上,当該日付けは本件商標権者が破産を申請した平成28年3月17日(甲4)直後の日付であることから,当該商品カタログが2016年(平成28年)4月に実際に存在したか疑義がある。 イ 老眼鏡カタログ(乙2)の表紙には,「Senior Glass」及び「シニアグラス」の文字の記載があり,2015年(平成27年)10月を表す文字,商品「老眼鏡」の写真及び使用商標が記載され,裏表紙には,本件商標権者の名称が記載されるとともに使用商標が表示されているが,1葉目及び3葉目の印刷の一部が切れていること,6葉目には意味不明の文字列が3列記載されていること,裏表紙に5年前のメーカー希望小売価格であることが記載されていることなどを踏まえると,当該商品カタログが2015年(平成27年)10月に実際に存在したか疑義がある。 ウ 以上のことからすると,これらの商品カタログは,要証期間内に実際に存在したか疑義があり,また,本件商標権者が,これらの商品カタログをいつ誰にどのくらいの数量を作成依頼したのかを証明する証拠もなく,これらの商品カタログを取引者,需要者に頒布したことを証明する客観的な証拠の裏付けもない。 (2)廃盤製品処分販売リストについて 廃盤製品処分販売リスト(乙5)には,本件商標(社会通念上同一の商標を含む)の表示はなく,また4枚の「返品通知書」の画像の文字が不鮮明で判読できないことから,日付等の確認ができない。 さらに,当該販売リストは「旧商品名」欄に「サングラス」の表示はあるものの当該サングラスに本件商標が使用されているかは不明である。 (3)2016年定番サングラス変更表,サングラス一覧表及びサングラス代品案内書について 2016年定番サングラス変更表(乙3),サングラス一覧表(乙6)及びサングラス代品案内書(乙10)には,使用商標が表示され,作成日が,それぞれ,平成28年1月19日,同27年10月6日及び同年8月25日であって,全ての日付は要所期間内であると認められるが,当該資料が,取引者,需要者に頒布されたことを示す具体的な証拠の提出はない。 (4)その他 見積書(乙11)は,製造者と思われる会社から本件商標権者宛てに老眼鏡の商品を見積もったものであるから,当該老眼鏡が,要証期間内に,本件商標権者よって実際に取引されていた(引き渡されていた)ことを証明するものではない。 また,「MARUMAN サングラス 2018年ニューモデル」と表題のついた写真(乙13)には,サングラスの写真が2枚掲載されており,被請求人は当該写真は要証期間内に撮影した旨主張しているが,それを証する証拠の提出はない。 さらに,製品販売一覧(乙14)は,外国語で表記されたものであり,印刷された日付の記載もないことから,我が国での要証期間内の使用とは認められない。 その他,被請求人が提出した証拠からは,本件商標権者が,要証期間内に本件商標を取消請求商品に使用した証拠を見いだすことができない。 (5)小括 以上よりすれば,商品カタログの日付が要証期間内のものであるとしても,これらの商品カタログは,要証期間内に実際に存在したか疑義があり,また,これらの商品カタログを取引者,需要者に頒布した事実を証明する客観的証拠の提出はない。 また,他の本件商標が表示されている書証が,取引者,需要者の間に頒布されたことを証明する客観的証拠の提出はない。 その他,被請求人が提出した証拠からは,本件商標権者が,要証期間内に,本件商標を取消請求商品について,商標法第2条第3項の各号に係る使用をしたことを見いだすことができない。 したがって,本件商標権者であるマルマンプロダクツ社は,要証期間内に,日本国内において,本件商標を取消請求商品について,使用していたということはできない。 3 被請求人の主張について 被請求人は,「日本国において本件商標権者は現在休業しているが,本件商標権者の海外業務提携会社『MARUMAN PRODUCTS CO.,LTD.(TAIWAN)』に本件商標の使用権を与えており,『MARUMAN PRODUCTS CO.,LTD.(TAIWAN)』が現在本件商標を使用し,当該製品を販売している。」と主張し,乙第14号証を提出している。 しかしながら,当該証拠は,上記1(6)のとおり,外国語による製品販売一覧であり,また,日付の記載もないことから,いつ使用されたかも不明であって,本件商標が要証期間内に日本国内で使用されたことを確認することができない。 したがって,被請求人の上記主張は,採用できない。 4 むすび 以上のとおり,被請求人は,本件審判の登録前3年以内に,日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,請求に係る指定商品について,本件商標を使用したことを証明したものと認めることはできない。 また,被請求人は,その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
審理終結日 | 2020-01-15 |
結審通知日 | 2020-01-21 |
審決日 | 2020-02-06 |
出願番号 | 商願2000-98684(T2000-98684) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Z09)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 忠司、鈴木 慶子、平澤 芳行 |
特許庁審判長 |
薩摩 純一 |
特許庁審判官 |
大森 友子 榎本 政実 |
登録日 | 2002-11-22 |
登録番号 | 商標登録第4624349号の2(T4624349-2) |
商標の称呼 | マルマン |
代理人 | 久門 保子 |
代理人 | 久門 享 |
代理人 | 株式会社 エムジー |