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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W03 |
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管理番号 | 1361573 |
審判番号 | 取消2018-300601 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-08-02 |
確定日 | 2020-03-11 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5768752号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5768752号商標の指定商品中、第3類「せっけん類,化粧品,香料,薫料」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5768752号商標(以下「本件商標」という。)は、「阿原」の文字を標準文字で表してなり、平成27年1月20日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料,薫料」並びに第18類及び第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年6月5日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中、第3類「せっけん類,化粧品,香料,薫料」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 弁駁の理由 (1)被請求人の答弁書は、審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについて登録商標の使用をしていることを証明するものではない。 (2)被請求人は、「本件商標については、OEM製品での製品製造を社内検討しているなか、商標法第50条に規定された期間中に、被請求人の新規事業担当者が出産、育児休暇を取得し、事業化が遅延した。」と主張し、乙第2号証として住民票写しを提出しているが、このことは商標法第50条第2項ただし書きに規定の「正当な理由」に該当するものではないことは明らかである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を以下のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。 1 本件審判事件の請求の経緯について 被請求人は、本件審判の請求日(平成30年8月2日)と同日付の内容証明書(乙1)を受領しており、これには、請求人は、本件商標に係る商標権の譲渡を希望していること、本件商標の使用がうかがえないことから譲渡に応じてもらえない場合は、不使用取消審判請求を検討している旨の記載がある。 そして、上記本件審判請求書の提出日と内容証明の日付が同日であることを考慮すると、請求人及び請求人代理人は本件商標の譲渡の交渉についての意図がないことは明白であることから、内容証明書(乙1)における本件商標を譲渡しない場合に取消審判を請求するという前提条件の記載内容部分については、被請求人の誤認を生じるような虚偽内容が含まれていると考えられる。 また、内容証明受領日(平成30年8月6日)の翌日、代理人に架電し、内容証明(乙1)の虚偽記載部分である譲渡を前提とした協議及び請求人が反社会勢力と関わりない旨の調査を行うため、本件起案の背景の開示及び請求人に関する情報の開示を依頼したところ、請求人代理人から、未だ、情報開示を得られていない。弁理士法第3条(職責)の記載がある中で、情報開示についての依頼については、公正な対応がなされておらず、被請求人に対し、請求人代理人は、一定の説明責任があると考え、本件を起案した経緯、背景について開示を依頼する。 2 請求人について 請求人代理人の情報非開示により請求人の特定ができていない。 本件については、請求人の住所及び氏名によれば、日本以外の個人、法人と推測できるところ、その調査が不十分であり、請求人及び請求人が関わる全ての所属法人、団体などが反社会勢力と関わりない旨の資料を、日本語の対訳を添えて提出を求める。 3 担当者の不在について 本件商標については、OEM製品での製品製造を社内検討しているなか、商標法第50条に規定された期間中に、被請求人の新規事業担当者が出産、育児休暇を取得し、事業化が遅延した。 第4 当審の判断 1 本件審判請求に関する被請求人の主張について 被請求人は、請求人が本件商標に係る商標権の譲渡を希望する書面と同日付で本件審判の請求を行っていることから上記書面の記載内容には虚偽があること、請求人代理人は説明責任があるにもかかわらず、請求人に関する情報開示等の求めに応じておらず説明責任を果たしていない旨などを縷々述べている。 ところで、商標法第50条第1項は、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。上記規定は、平成8年法律第68号による改正前の商標法において、登録商標の不使用による取消審判の請求人適格について明示の規定がなかったことから、その反対解釈として、利害関係人に限って同審判を請求することができると解される余地が存在していたのを、「何人」にも認めることとし、その旨を法文上明示したものと解される。したがって、登録商標の不使用による取消審判の請求が、専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情がない限り、当該請求が権利の濫用となることはないと解するのが相当である(平成20年6月26日判決言渡 平成20年(行ケ)第10025号 知的財産高等裁判所 参照)。 これを、本件についてみるに、被請求人の主張及び提出された証拠において、請求人による本件審判の請求が被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情は見いだせないし、被請求人は、それを立証する証拠の提出もしていない。 また、不使用取消審判の請求人については、上記のとおり、商標法第50条第1項で「何人も・・・審判を請求することができる。」とされており、商標法上、これを制限する規定はないことからすれば、被請求人の主張する請求人に関する情報公開などは、本件審判請求に何ら関係のないものといわざるを得ない。 2 商標法第50条第1項による商標登録の取消審判の請求に関して、同条第2項本文は、「その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定しているところ、被請求人は、「本件商標については、OEM製品での製品製造を社内検討しているなか、商標法第50条に規定された期間中に、被請求人の新規事業担当者が出産、育児休暇を取得し、事業化が遅延した。」と述べるのみで、本件商標について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品についての登録商標の使用をしていることを証明してしていない。 また、商標法第50条第2項のただし書きにおいて、「その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときは、この限りでない。」と規定しているところ、同項が規定する「正当な理由」とは、地震、水害等の不可抗力、放火、破損等の第三者の故意又は過失による事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由等、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責めに帰することができない事由が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用をすることができなかった場合をいうと解すべき(東京高等裁判所 平成7年(行ケ)第124号判決、知的財産高等裁判所 平成20年(行ケ)第10160号判決、知的財産高等裁判所 平成22年(行ケ)第10012号判決 参照)ものである。 被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて、上記のとおり主張し、証拠方法として住民票の写し(乙2)を提出するのみであり、その主張及び証拠からは、上記のような、第三者の故意又は過失による事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由や、商標権者等の責めに帰することができない事由に該当するということはできない。 そうすると、被請求人の主張及び提出に係る証拠のみによっては、被請求人が本件商標の使用をしていないことについて、商標法第50条第2項に規定する正当な理由があるということはできない。 3 むすび 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明したということはできない。 また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったものということもできない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、第3類「せっけん類,化粧品,香料,薫料」についての登録を取り消すべきものである。 なお、被請求人は、事業化を目的として本件商標を保有している権利者である被請求人が審判費用を負担する理由はない旨述べているが、商標登録取消審判に関する費用は、商標法第56条第1項において準用する特許法第169条第2項によって準用する民事訴訟法第61条において、「訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。」と規定されていることから、結論のとおり、被請求人の負担とする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-01-14 |
結審通知日 | 2020-01-16 |
審決日 | 2020-01-31 |
出願番号 | 商願2015-4007(T2015-4007) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(W03)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 赤星 直昭 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
小松 里美 中束 としえ |
登録日 | 2015-06-05 |
登録番号 | 商標登録第5768752号(T5768752) |
商標の称呼 | アハラ、アゲン、アバラ、ユアン |
代理人 | 安達 友和 |