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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1360717 
異議申立番号 異議2019-900265 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-09-13 
確定日 2020-03-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6155154号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6155154号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6155154号商標(以下「本件商標」という。)は,「Loxy」の欧文字及び「ロキシー」の片仮名を上下二段に横書きしてなり,平成30年11月29日に登録出願,第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。)」を指定商品として,令和元年6月7日に登録査定,同月21日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議申立ての理由において,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
(1)登録第1735570号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:ロキシーン
登録出願日:昭和57年1月13日
設定登録日:昭和59年12月20日
書換登録日:平成17年2月2日
指定商品 :第5類「薬剤」
(2)登録第733103号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:LOXEEN
登録出願日:昭和39年11月12日
設定登録日:昭和42年2月14日
書換登録日:平成18年11月8日
指定商品 :第5類「薬剤」
(3)登録第5000819号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:ALOXI(標準文字)
登録出願日:平成18年4月5日
設定登録日:平成18年11月2日
指定商品 :第5類「薬剤,歯科用材料,オブラート,ガーゼ,カプセル」
(4)国際登録第791447号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:ALOXI
優先権主張:2002年(平成14年)4月25日(Switzerland)
国際商標登録出願日:2002年(平成14年)10月24日
設定登録日:平成15年6月13日
指定商品 :第5類「Pharmaceutical products.」
(5)登録第5008844号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:アロキシ(標準文字)
登録出願日:平成18年1月5日
設定登録日:平成18年12月8日
指定商品 :第5類「薬剤,歯科用材料,オブラート,ガーゼ,カプセル」

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は,欧文字の大文字と小文字の組み合わせである「Loxy」及び「ロキシー」の片仮名を上下二段に表してなるところ,その構成より「ロキシー」の称呼を生じる(甲1)。また,本件商標の指定商品の需要者にとってなじみの深い化学用語において,例えば「alkoxy」が「アルコキシ」と称呼されるように(甲11),本件商標は,「ロキシ」の称呼をも生じる。そして,当該文字は,造語であるから,何ら特別な観念を生じない。
(2)本件商標と引用商標1及び引用商標2との対比
ア 外観において,本件商標と引用商標1とは相違し,また,本件商標と引用商標2とは,「Lox」と「LOX」の部分が同じ欧文字で構成されており共通するが,その余については相違し,全体として外観上相違する。
イ 観念において,本件商標と引用商標1及び引用商標2は,ともに造語であり,特別な観念を生じない。
ウ 称呼において,本件商標の称呼「ロキシー」と引用商標1及び引用商標2から生じる「ロキシーン」の称呼を比較すると,いずれも語頭から「ロキシー」の部分が共通する。そして,引用商標1及び引用商標2の語尾音「ン」は,最も印象の薄らぐ末尾にあって,それ自体が両唇や舌などで口から呼気の出口を閉じた上で鼻腔への通路を作って発する微弱な鼻音であり,これが比較的明確に発音される「シ」とその長音に続く音として位置する関係上,前音に吸収されやすい。しかも,引用商標1及び引用商標2は,造語であり,特別の観念を生じるものではなく,「ン」の音を強調しなければならない,観念上の理由も存在しない。
よって,本件商標と引用商標1及び引用商標2をそれぞれ一連に称呼するときは,需要者は称呼において,「ン」の有無を明瞭に聴き分けにくく,また全体の語感が近似して紛らわしく聞き誤るおそれがある(甲7,甲8)。
したがって,本件商標と引用商標1及び引用商標2は,称呼上類似する。
(3)本件商標と引用商標3ないし引用商標5との対比
ア 外観において,本件商標と引用商標3及び引用商標4とは,「Lox」と「LOX」の部分が同じ欧文字で構成されており共通するが,その余については外観上相違し,また,本件商標と引用商標5とは外観上相違する。
イ 観念において,本件商標と引用商標3ないし引用商標5は,ともに造語であり,特別な観念を生じない。
ウ 称呼において,本件商標の称呼「ロキシ」と引用商標3ないし引用商標5から生じる「アロキシ」の称呼を比較すると,「ロキシ」が共通するが,本件商標は,3拍語の外国語的造語であり,1拍目の「ロ」が高く発音される(甲12,甲13)。
一方,引用商標3ないし引用商標5は,4拍語の外国語的造語であり,2拍目の「ロ」が高く発音されるため,語頭音「ア」については相対的に低く発音される(甲12,甲13)。
そして,「アロキシ」の「ア」の音を強調しなければならない,観念上または外観上の特段の理由も存在しないから,「ロキシ」と「アロキシ」をそれぞれ一連に称呼するときは,需要者は称呼において,「ア」の有無を明瞭には聴き分けにくく,全体の語感が近似して相紛らわしく聞き誤るおそれがある。そうすると,「ロキシ」と「アロキシ」の称呼は,全体として音調が共通し,アクセント位置が共通するといえ類似する(甲9,甲14?甲16)。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との対比
本件商標と引用商標の指定商品は,「薬剤」において同一である。
(5)指定商品の取引の実情
「薬剤」は,その性質上,商標,商品について混同,誤認が生じた場合に極めて重大な結果を招来しかねない危険が存在することから,外観,称呼及び観念のいずれにおいても,その混同,誤認可能性についてはより厳格に考慮すべきところ,係る指定商品の取引の実情として,称呼の混同,誤認可能性については,アクセント位置の共通性,全体的な音の類似性からこれをより厳格に判断すべきである(甲9)。
すなわち,本件商標と引用商標は,係る指定商品の取引の実情として,称呼において,混同,誤認を生じ得るというほかなく,称呼上類似の商標である。
(6)小括
本件商標と引用商標とは,ともに「薬剤」を指定商品とするものであるから,上記(5)の指定商品における取引の実情に鑑みれば,その混同,誤認可能性については,より厳格に判断すべきところ,本件商標と引用商標は,称呼上類似であるから,その外観及び観念の異同について論及するまでもなく,全体的に混同,誤認を生じる程度に類似しているというべきである。
そうすると,両商標は,外観,称呼又は観念によって需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に観察し,本件商標を「薬剤」に使用した場合に出所混同のおそれがある。
したがって,本件商標は,引用商標と類似のものであり,また,その指定商品も同一又は類似のものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
本件商標は,上記1のとおり,「Loxy」の欧文字及び「ロキシー」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ,下段の片仮名は,上段の欧文字の読みを特定したものと無理なく理解できるから「ロキシー」の称呼が生じ,また,当該文字は,辞書等に掲載されている既成語ではなく一種の造語であるといえるから,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標1及び引用商標2について
引用商標1及び引用商標2は,それぞれ「ロキシーン」及び「LOXEEN」の文字を横書きしてなるから,その構成文字に相応して「ロキシーン」の称呼を生じ,また,当該文字は辞書等に掲載されている既成語ではなく一種の造語であるといえるから,特定の観念を生じないものである。
ウ 引用商標3及び引用商標4について
引用商標3及び引用商標4は,それぞれ「ALOXI」の文字を表してなるところ,その構成文字に相応して「アロキシ」の称呼を生じ,また,当該文字は,辞書等に掲載されている既成語ではなく一種の造語であるといえるから,特定の観念を生じないものである。
エ 引用商標5について
引用商標5は「アロキシ」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して「アロキシ」の称呼を生じ,当該文字は,辞書等に掲載されている既成語ではなく一種の造語であるといえるから,特定の観念を生じないものである。
オ 本件商標と引用商標との類否について
(ア)外観について
本件商標は,上記1のとおり上下二段に横書きしてなる構成に対し,引用商標は,上記2のとおり欧文字又は片仮名を一段に横書きしてなるものであり明白な差異を有するから,両者は,外観上,相紛れるおそれのないものである。
(イ)称呼について
a 本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否について
本件商標から生じる「ロキシー」の称呼と引用商標1及び引用商標2から生じる「ロキシーン」の称呼とは,語尾における「ン」の音の有無という差異を有し,その差異が4音又は5音という短い音構成である両称呼において,この差異が称呼全体に与える影響は大きく,両者をそれぞれ一連に称呼した場合には語調語感が異なり,称呼上,相紛れるおそれのないものである。
b 本件商標と引用商標3ないし引用商標5との類否について
本件商標から生じる「ロキシー」の称呼と引用商標3ないし引用商標5から生じる「アロキシ」の称呼とは,称呼の識別上重要な要素である語頭における「ア」と「ロ」の音に差異を有し,さらに,語尾における長音の有無という差異を有するものである。
そして,その差異が共に4音という短い音構成である称呼全体に与える影響は大きく,両者をそれぞれ一連に称呼した場合には語調語感が異なり,称呼上,相紛れるおそれのないものである。
c したがって,本件商標と引用商標とは,称呼上,相紛れるおそれのないものである。
(ウ)観念について
本件商標と引用商標とは,特定の観念を生じないから,両者は,観念上,比較できない。
(エ)以上からすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観及び称呼において,相紛れるおそれのないものであるから,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は非類似の商標というのが相当である。
カ 小括
以上のとおり,本件商標は,引用商標とは非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似する場合があるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)申立人の主張について
申立人は,「薬剤」はその性質上,商標,商品について混同,誤認が生じた場合に極めて重大な結果を招来しかねない危険が存在することから,外観,称呼及び観念のいずれにおいても,その混同,誤認可能性についてはより厳格に考慮すべきところ(甲9),本件商標と引用商標は係る指定商品の取引の実情として,称呼において,混同,誤認を生じ得るというほかなく,称呼上類似の商標である旨の主張をしている。
しかしながら,上記オのとおり,本件商標と引用商標とは観念において比較できないとしても,外観及び称呼において,相紛れるおそれのないものであるから,明らかに相違する非類似の商標である。
よって,申立人の上記主張は,採用することができない。
(3)むすび
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものではなく,その登録は同条第1項の規定に違反してされたものとはいえないものであり,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2020-02-27 
出願番号 商願2018-147044(T2018-147044) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W05)
T 1 651・ 262- Y (W05)
T 1 651・ 261- Y (W05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 緋呂子片桐 大樹 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 浜岸 愛
小松 里美
登録日 2019-06-21 
登録番号 商標登録第6155154号(T6155154) 
権利者 大正製薬株式会社
商標の称呼 ロキシー 
代理人 葛和 清司 

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