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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W28 審判 全部申立て 登録を維持 W28 |
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管理番号 | 1360701 |
異議申立番号 | 異議2018-900158 |
総通号数 | 244 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2020-04-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-06-18 |
確定日 | 2020-05-13 |
分離された異議申立 | 有 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 登録第6030548号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6030548号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6030548号商標(以下「本件商標」という。)は、「The Avenger Reflex」の欧文字を標準文字で表してなり、平成29年7月19日に登録出願、第28類「ゲーム機用コントローラー」を指定商品として、同30年3月9日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立てにおいて引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「AVENGER REFLEX PS4(Avenger Reflex PS4)」の文字からなる商標である。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第7号及び同項第10号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証を提出した。 以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。 1 「Avenger Reflex」の周知性について Kotkin Enterprises,LLC.(以下「Kotkin社」という。)が、「ゲーム機用コントローラーの操作補助具」について使用する商標「Avenger Reflex PS4」及び「Avenger Reflex Controller」は、本件商標の出願日及び登録査定時において、需要者の間に広く認識される商標となっていた(甲4ないし甲29)。 「Amazon.co.jp」における、平成29年1月1日から同年12月31日までの、「Avenger Reflex PS4」ゲーム機用コントローラー操作補助具の売上げは、l1,725,639円であった(甲30)。 2 「LETTER OF ACCEPTANCE」の偽造について 本件商標の審査において、審査官は、引用商標の周知性を認定し、本件商標が、商標法第4条第1項第10号に該当する旨を指摘している(甲2)。 これに対して、商標権者は、「LETTER OF ACCEPTANCE」(以下「承諾書」という。)及びその日本語訳を意見書に添付して提出した。承諾書によれば、Kotkin社が、商標権者に対して、我が国において、「The Avenger Reflex」を含む2つの商標の登録を認める旨が記載されており、記入日として2017年7月5日の日付が記入され、CEOであるA氏による署名がなされている(甲3)。 しかしながら、この書類は偽造であり、署名はA氏によりなされたものではない。申立人は、Kotkin社より、「Avenger Reflex PS4」等の独占輸入及び再販売の権原を授与されており(甲31)、これに記載されている本物のA氏との署名と比較すれば、承諾書の署名は筆跡が異なることが明らかである。 そもそも、Kotkin社は、申立人を日本における正規代理店として、独占輸入及び再販売の権限を与えているのであり、そのような状態で、商標権者に当該商標の許諾を与えることは極めて不自然である。 3 商標権者による正規代理店の販売行為の妨害について 申立人は、「Avenger Reflex PS4」ゲーム機用コントローラー補助具の、日本における独占輸入権者及び再販売業者であるところ(甲31)、商標権者は、本件商標登録後、「Amazon.co.jp」における申立人の販売を停止させた。商標権者は、「Amazon.co.jp」に対して、申立人が「The Avenger Reflex PS4 アペンジャー リフレックス FPS Dua1shock 4 コントローラー」を販売する行為が、商標権侵害である旨を申し立て、平成30年5月10日に、「Amazon.co.jp」により、出品が削除された(甲32)。これは、商標権者が、「Amazon.co.jp」を通じて、申立人による販売を差し止め、申立人の事業を妨害したことを意味する。 4 商標法第4条第1項第10号について 引用商標中、「PS4」は、ソニー株式会社によるゲーム機「PlayStation4」の略語であり、引用商標を使用する商品は、専ら当該ゲーム機に用いる商品である。当該商品がゲーム機用コントローラー操作補助具であることをも考慮すれば、該商標の要部は「Avenger Reflex」である。 一方、本件商標中「The」は英語の定冠詞であり、特段の意味を有さないことから、該商標の要部は、「Avenger Reflex」である。 そうすると、両商標の要部は同一であるから、両商標は類似する。 また、引用商標は、ゲーム機用コントローラー操作補助具について使用しているものであり、本件商標の指定商品は「ゲーム機用コントローラー」であるから、両商品は類似する。 前記1のとおり、「Avenger Reflex PS4」の商標は、本件商標の出願時及び登録時において、需要者の間に広く知られた商標である。 前記2のとおり、承諾書は、商標権者により偽造されたものであり、商標権者は、Kotkin社から本件商標を日本で登録する許諾を受けていない。 そうすると、本件商標は、他人の周知な商標と同一又は類似する商標であって、その商品と同一又は類似する商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。 5 商標法第4条第1項第7号について 前記1のとおり、引用商標は、本件商標の出願時及び登録時において、需要者の間に広く知られた商標である。 商標権者は、引用商標の顧客吸引力に着目し、本件商標が我が国において登録されていないことに気付き、それを奇貨として、先回りして出願及び登録した。そして、登録がなされた直後に、正規代理店である申立人の販売を停止させた。 すなわち、商標権者は、当初から申立人に損害を与える目的で本件商標を出願し、登録を受けたものである。 これらの事情、及び商標権者が承諾書を偽造して商標登録を受けた経緯を総合的に勘案すれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第10号該当性について (1)引用商標の周知性について ア 申立人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。 (ア)Kotkin社の外国語によるウェブサイトにおいて、引用商標を付した「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」が販売されている(甲4)。 (イ)「www.yodobashi.com」及び「Amazon」のウェブサイトにおいて、Kotkin社の製造に係る「The Avenger Reflex Controller for PS4 Controller」(甲5)、「THE AVENGER CONTROLLER REFLEX」(甲6)及び「The Avenger Reflex PS4」(甲9)(以下、これらをまとめて「使用商標1」という。)と称する「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」が販売されている。 (ウ)製造者は不明であるが、「Amazon」及び「YAHOO!JAPANショッピング」のウェブサイトにおいて、「The Avenger Reflex PS4」(甲7及び甲12)、「Avenger Reflex Controller Adapter-PlayStation 4 by Avenger Advantage」(甲8)、「The Avenger Controller Reflex for XBox One Elite Wireless Controller Attachment by GE」(甲10)、「The Avenger Reflex XBOX ONE」(甲11)及び「THE AVENGER CONTROLLER REFLEX」(甲13ないし甲17)(以下、これらをまとめて「使用商標2」といい、使用商標1及び2をまとめて「使用商標」という。)と称する「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」が販売されている。 イ 前記アで認定した事実によれば、Kotkin社は、外国において、引用商標を「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」に使用をしていることは認められるものの、我が国において使用をしていることは認められない。 また、Kotkin社は、我が国において、使用商標1を「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」に使用をしていることは認められるものの、該商品の販売数量並びに広告宣伝の方法、期間及び規模等は不明である。 そうすると、使用商標1は、Kotkin社の業務に係る「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできない。 仮に、使用商標2が使用をされた「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」がKotkin社の業務に係る商品であったとしても同様に、使用商標2に係る商品の販売数量並びに広告宣伝の方法、期間及び規模等が不明であるから、使用商標2は、Kotkin社の業務に係る「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできない。 ウ 申立人の主張等について (ア)申立人は、引用商標の周知性の証拠として「YouTube」のウェブサイトの写しを提出している(甲18ないし甲29)。 これらの証拠によれば、動画タイトル等に使用商標が表示されていることは認められるものの、該動画の内容は不明であるから、これらによっても、使用商標がKotkin社の業務に係る「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできない。 (イ)申立人は、「Amazon.co.jp」における、平成29年1月1日から同年12月31日までの、「Avenger Reflex PS4」ゲーム機用コントローラー操作補助具の売上げは、l1,725,639円であった旨主張し、甲30を提出している。 甲30は、何らかの商品の売上額等を示す表であると認められ、該表には、「開始日」の欄に「2017/01/01」、「終了日」の欄に「2017/12/31」及び「注文商品売上」の欄に「¥11,725,639」の記載が認められる。 これらの記載からすると、2017年(平成29年)1月1日から同年12月31日までにおける何らかの商品の売上額が11,725,639円であることは認められるものの、具体的にどのような商品なのか、製造者又は販売者が誰なのかは不明である。 仮に、該売上額が引用商標又は使用商標に係る「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」のものであるとしても、同商品のシェア等が不明であるから、該売上額の多寡を推し量ることはできない。 エ 小括 以上により、引用商標及び使用商標は、Kotkin社の業務に係る「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできない。 (2)前記(1)エのとおり、引用商標及び使用商標は、Kotkin社の業務に係る「ゲーム機用コントローラー又は同補助具」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められないから、たとえ、本件商標が引用商標又は使用商標と同一又は類似する商標であったとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第7号該当性について (1)申立人の提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。 ア 申立人に対する、「Xbox360」、「Xbox One」、「PS3」及び「PS4」向けの「AVENGER CONTROLLER ADAPTER」についての独占的輸入事業者及び再販売業者としての権限を与える旨の「独占輸入及び販売許諾書」には、2015年(平成27年)3月6日付けでKotkin社代表者名の記載及び署名がなされている(甲31)。 イ 商標権者に対する、日本において本件商標を第28類「ゲーム機用コントローラー」について商標登録を受けることを承諾する旨の「承諾書」(LETTER OF ACCEPTANCE)には、2017年(平成29年)7月5日付けでKotkin社の代表者の署名がなされている(甲3)。 ウ 商標権者は、承諾書を特許庁に提出することにより(甲3)、本件商標の商標登録を受けた(前記第1)。 (2)前記(1)で認定した事実によれば、Kotkin社は、平成27年3月6日に申立人に対して「Xbox360」、「Xbox One」、「PS3」及び「PS4」向けの「AVENGER CONTROLLER ADAPTER」についての独占的輸入事業者及び再販売業者としての権限を与え、その2年後である平成29年7月5日に商標権者に対して日本において本件商標を第28類「ゲーム機用コントローラー」について商標登録を受けることを承諾したことが認められる。 しかしながら、Kotkin社によるこれらの許諾及び承諾については、「AVENGER CONTROLLER ADAPTER」についての独占的輸入及び再販売と、本件商標の商標登録という別個のものについての許諾又は承諾であるから、両者に何ら矛盾する点はなく、不自然な点もない。 申立人は、2つの書類における署名の筆跡が異なるとして、商標権者に対する承諾書は偽造である旨主張している。 しかしながら、申立人は、該署名の筆跡が異なることを客観的に示す証拠は何ら提出しておらず、また、該承諾書が偽造であることを示す客観的な証拠も何ら提出していない。 そして、前述のとおり、Kotkin社によるこれら2つの許諾及び承諾については、何ら矛盾する点はなく、不自然な点もないことからすると、商標権者が、承諾書を特許庁に提出することにより、本件商標の商標登録を受けたことについて、申立人に損害を与える目的で本件商標を出願し、登録を受けたものということはできない。 申立人は、本件商標の登録後、商標権者が申立人による販売行為を商標権侵害であると申し立て、「Amazon.co.jp」により、出品が削除され(甲32)、申立人の事業を妨害した旨主張しているが、商標権者が申立人に損害を与える目的で本件商標を出願し、登録を受けたものでないこと前述のとおりである。 そうすると、本件商標は、その出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあるということはできない。 他に、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第10号に該当せず、その登録は、同項の規定に違反してされたものとはいえない。 他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2020-01-29 |
出願番号 | 商願2017-96651(T2017-96651) |
審決分類 |
T
1
651・
255-
Y
(W28)
T 1 651・ 22- Y (W28) |
最終処分 | 決定却下 |
前審関与審査官 | 小林 大祐、福田 洋子 |
特許庁審判長 |
中束 としえ |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 山田 啓之 |
登録日 | 2018-03-23 |
登録番号 | 商標登録第6030548号(T6030548) |
権利者 | 合同会社ココロックス |
商標の称呼 | ジアベンジャーリフレックス、アベンジャーリフレックス |
代理人 | 越場 隆 |
代理人 | 越場 洋 |