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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2013890044 審決 商標
不服20187002 審決 商標
不服201615639 審決 商標
不服20179616 審決 商標
無効2018890072 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W30
審判 査定不服 観念類似 登録しない W30
審判 査定不服 外観類似 登録しない W30
管理番号 1360660 
審判番号 不服2019-7405 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-05 
確定日 2020-03-06 
事件の表示 商願2018-16516拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「どんぐりのちくわパン」の文字を標準文字で表してなり、第30類「調味したツナを詰めたちくわにパン生地を巻きつけて焼いたパン,ちくわを使用したパン,ちくわを使用したロールパン,ちくわを使用したパン用のマヨネーズソース,ちくわを使用したパン用の調味料,ちくわを使用したパン用の香辛料,ちくわを使用したパン用のパン生地,ちくわを使用した即席パンのもと,ちくわを使用したパン用の食用粉類」を指定商品として、平成30年2月9日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5337805号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成21年11月2日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同22年7月16日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「どんぐりのちくわパン」の文字を標準文字で表してなり、「どんぐり」の文字と、「ちくわパン」の文字を、格助詞「の」で結合させてなるものと容易に認識されるものである。
そして、その構成中、「どんぐり」の文字は、「カシやクヌギ・ナラなどの果実の俗称」の意味を有する語(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)として一般によく知られた語であり、本願の指定商品との関係においては、商品の品質などを表したものとして認識されることはなく、商品の出所識別標識としての機能を発揮し得るものである一方、「ちくわパン」の文字は、原審において示した例(別掲2)並びに請求人が提出した平成30年10月26日付けの甲第3号証及び甲第4号証によれば、請求人も主張するとおり、本願の指定商品を取り扱う業界において、「ちくわを包んだパン又はちくわを使用したパン」を指称する語として一般に使用され、各地で取引されている実情が認められることから、本願の指定商品中、第30類「調味したツナを詰めたちくわにパン生地を巻きつけて焼いたパン,ちくわを使用したパン,ちくわを使用したロールパン」との関係においては、商品の品質と把握され、出所識別標識としての機能を発揮し得ないものである。
そうすると、本願商標の構成中の「どんぐり」の文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであるから、本願商標は、その構成中の「どんぐり」の文字部分を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して、商標そのものの類否を判断することが許されるものというべきである。
したがって、本願商標は、要部である「どんぐり」の文字部分から「ドングリ」の称呼及び「カシやクヌギ・ナラなどの果実の俗称」の観念が生じるものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲1のとおり、上段に、どんぐりと思しき茶色の輪郭図形内に「櫟」の文字を茶色で表し、中段に、「kunugi」の文字を茶色で小さく表し、下段に、「どんぐり」の文字を黒色で大きく表してなるものである。
そして、引用商標の構成中、上段の輪郭図形内に表された「櫟」の文字と中段に表されている「kunugi」の文字とは、後者は前者の読みを欧文字で表したものと理解されることに加え、上段部分及び中段部分(以下「上中段部分」という。)が茶色で彩色されていることから、上中段部分は、まとまりのよい一体的なものとして把握されるものである。
他方、下段に表された「どんぐり」の文字は黒色で大きく表されており、上中段部分の構成中の文字と下段部分の文字とは、その色彩に加え、文字の種類及び大きさを異にすることから、引用商標は、これを上中段部分と下段部分とに分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合してなるものとは認められず、上中段部分の構成中の「櫟」及び「kunugi」の文字と下段の「どんぐり」の文字とは、それぞれが独立したものであるとの印象を与え、視覚上、分離して認識されるものである。
また、引用商標の構成中、上段に表された「櫟」の文字は、「ブナ科の落葉高木」の意味を、下段に表された「どんぐり」の文字は、上記(1)と同様に、「カシやクヌギ・ナラなどの果実の俗称」の意味を有する語(それぞれ「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)として一般によく知られた語であり、引用商標の指定商品との関係においては、いずれも商品の品質などを表したものとして認識されることはなく、商品の出所識別標識としての機能を発揮し得るものである。
以上よりすると、引用商標は、その構成中の「櫟」及び「kunugi」の文字部分と「どんぐり」の文字部分とが、それぞれ要部として自他商品識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
したがって、引用商標は、その要部の一である「どんぐり」の文字部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものであり、該文字部分から「ドングリ」の称呼及び「カシやクヌギ・ナラなどの果実の俗称」の観念が生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標とは、上記(1)及び(2)のとおり、その構成全体をもって比較するときは、外観上、相違するものの、本願商標の構成中にあって出所識別標識としての要部たる「どんぐり」の文字部分と引用商標の構成中の要部の一である「どんぐり」を比較するときは、文字構成が同一であることに加え、一般的な書体で横書きに表されている点を共通にするため、外観上、酷似し、また、「ドングリ」の称呼及び「カシやクヌギ・ナラなどの果実の俗称」の観念を共通にするものである。
そうすると、両者は、外観において酷似し、称呼及び観念を共通にする類似のものというべきであるから、これらを総合勘案すれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願の指定商品中、第30類「調味したツナを詰めたちくわにパン生地を巻きつけて焼いたパン,ちくわを使用したパン,ちくわを使用したロールパン」は、引用商標の指定商品である第30類「菓子及びパン」と同一又は類似のものである。
(5)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標について、標準文字で横一段に同書、同大、等間隔をもって、視覚上まとまりよく一体的に表わされていること、また、構成文字全体から生じる称呼も格別冗長とはいえず、無理なく一連に称呼し得るものであること、さらに、本願商標とほぼ同じ音数の「△△」の文字と商品の普通名称とを「の」で連結した商標「△△の普通名称」の構成からなる商標が、商標「△△」に類似しないと判断されている過去の商標登録例に鑑みれば、本願商標は、その文字の長さに関わらず全体をもって一つの商標として認識されるというべきであり、「のちくわパン」の文字を省略して「どんぐり」の文字のみをもって取引に当たると解するのは不自然である旨主張する。
しかしながら、「ちくわパン」の文字は、原審において示した例(別掲2)並びに請求人が提出した甲第3号証及び甲第4号証によれば、本願の指定商品を取り扱う業界において、「ちくわを包んだパン」を指称する語として一般に使用され、各地で取引されている実情が認められることから、本願の指定商品との関係においては、商品の普通名称と把握され、出所識別標識としての機能を発揮し得ないものであるのに対し、本願商標の構成中、「どんぐり」の文字が、自他商品の識別標識として、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるものであって、当該文字を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して、商標そのものの類否を判断することが許されるといえることは、上記(1)のとおりである。
また、請求人の挙げる商標の登録例は、いずれも商標の構成態様を本願商標と異にするものであって、本願とは事案を異にするというべきものであるばかりでなく、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるものであるところ、本願商標と引用商標とは、上記(3)のとおり、類似の商標であるから、請求人の挙げた商標登録例があるからといって、それらが上記判断を左右するものではない。
イ 請求人は、ちくわの中にツナサラダを入れパンを巻き付けて焼いた「ちくわパン」は、請求人が考案したもので1983年頃から販売しているところ(甲1の3)、ちくわを使用した「ちくわパン」は、いまや日本全国で販売されており、特定の「ちくわパン」を指す場合、「ちくわパン」の前に店名を付けて「○○のちくわパン」と呼ぶと解するのが妥当であり、「どんぐりのちくわパン」は元祖「ちくわパン」を示す格別な呼び名として認識され、本願商標は構成全体をもって一体不可分のものとして把握される旨主張する。
しかしながら、本願商標がその構成全体をもって、特定の商品の出所を表示するものなどとして知られているとまではいい難く、「どんぐり」の文字部分が単独では出所識別標識としての機能を発揮し得ないと認めるに足りる事情も見当たらない。
ウ 請求人は、引用商標について、その構成中の「櫟」の文字は、「kunugi」、「どんぐり」の文字に比べて大きく表されていることから、引用商標から「櫟」の文字部分を省略して「どんぐり」の文字部分のみを抽出するのは不自然である旨主張する。
しかしながら、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合は、一つの称呼、観念が他人の商標の称呼、観念と同一又は類似であるといえないとしても、他の称呼、観念が他人の商標のそれと類似するときは、両商標はなお類似するものと解するのが相当である(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁参照)。
そして、引用商標については、「櫟」の文字を捨象して「どんぐり」の文字部分のみが取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると判断したものではなく、その構成中の「櫟」及び「kunugi」の文字部分と「どんぐり」の文字部分とが、それぞれ要部として自他商品識別標識としての機能を果たし得るものと判断したものであり、本願商標との類否を判断するに当たって、引用商標の構成中の「どんぐり」の文字部分を要部の一として抽出したものである。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(6)まとめ
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
引用商標(色彩は原本参照)


別掲2
原審において示した例
(1)2018年9月5日付け「日本経済新聞」(地方経済面 中部、7頁)において、「期間限定ちくわパン、フジパン、ツナ味など。」の見出しの下、「フジパンは9月から『ちくわパン』を販売した。2007年から期間限定で売り出しており、今年はチーズ味とツナ味の2種類を2カ月限定で発売する。パンに合わせた特製のちくわを1本丸ごと包んだ。発売日はツナ味が9月1日、チーズ味は11月1日。参考価格は140円。」の記載がある。
(2)2017年11月17日付け「日本食糧新聞」(14頁)において、「カルビー、『ポテトチップス ちくわパン味』発売 道民グルメを再現」の見出しの下、「【北海道】カルビーは13日、北海道のご当地グルメ『ちくわパン』の味を再現した『ポテトチップスちくわパン味』を道内CVSで先行発売し、27日からスーパーなどで期間限定販売する。・・・なお、『ちくわパン』はちくわの穴にツナマヨサラダを入れ、マヨネーズとともに焼いた北海道のご当地パン。」の記載がある。
(3)2016年12月6日付け「毎日新聞」(地方版、23頁)において、「おうみのお店:Boulangerie OLIVE /滋賀」の見出しの下、「◆Boulangerie(ブーランジェリー) OLIVE(オリーブ)・・・故郷・北海道では定番の『ちくわパン』(120円)。ちくわを丸ごと包み、穴にツナを詰め込んでおり、パンの甘みとちくわの塩っ気が絶妙だ。』の記載がある。
(4)2016年10月12日付け「日本経済新聞」(地方経済面 北海道、1頁)において、「札幌のちくわパン??ソウルフード、広がる輪、結合の妙、観光客も楽しむ(築け食の王国)」の見出しの下、「ちくわをパンに挟んで焼き上げた『ちくわパン』は、スープカレーなどと並ぶ札幌市民のソウルフードだ。パンと具の絶妙なバランスが生み出す何ともいえないもっちりとした食感が特徴。誕生から約30年、コンビニエンスストアなどを通じて全道に広まった。・・・十数年前からは道内の複数企業もちくわパンを手がけている。大手菓子メーカーのもりもと(千歳市)は12年前、登場したばかりの道産小麦『春よ恋』を使ったパン作りの一環としてちくわパンに挑戦した。・・・全道に普及させたのはコンビニエンスストアチェーンのセイコーマートだ。約10年前にちくわパンを自社開発し、道内の大半の店で入手できるようになった。」の記載がある。
(5)2016年5月10日付け「神戸新聞」(朝刊、28頁)において、「東京の豊岡市アンテナショップ 但馬牛にホタルイカ並み居る強敵押しのけて 売り上げトップ ちくわパン独走 味と手軽さ 土曜限定販売で月700本」の見出しの下、「東京・有楽町にある豊岡市のアンテナショップ『コウノトリの恵み豊岡』。但馬牛、ホタルイカ、さばのへしこ…と但馬を代表する産品が並ぶ中、ここ数年、売り上げ首位を譲らないのが『ちくわパン』だ。豊岡産のちくわを1本丸ごとパン生地で包み、土曜限定で月約700本を売り切る。」の記載がある。
(6)2015年5月20日付け「北海道新聞」(朝刊地方(札幌市内)、29頁)において、「<探る見る さっぽろプラス 見?つけた 道央圏のソウルフード>6*ちくわパン=札幌市*食感のハーモニー絶妙」の見出しの下、「ちくわパンは、マヨネーズと塩、こしょう、しょうゆで味付けしたツナサラダを穴に詰めたちくわを、パンの真ん中に入れて焼き上げた調理パン。・・・札幌市内でちくわパンをつくるパン屋は多い。道内で7店を展開する北欧(西区)は『札幌発祥のパンなので、北海道のパン屋としてメニューに取り入れるのは当然』と、15年前から販売している。イソップベーカリー(東区)ではツナサラダ、納豆、めんたいこの3種類の味を販売。同店は『1番人気は納豆。和洋折衷の絶妙な味がウケているようです』と話す。道内コンビニエンスストア大手のセイコーマートも9年前から道内店舗で扱う。『100種ある調理パンの中で、常に売り上げ上位の欠かせないアイテムです』・・・勢いは道内だけにとどまらない。ちくわパンの人気に目をつけたパン製造大手のフジパン(名古屋)は、07年から期間限定で全国販売している。ちくわの中にチーズクリームを入れた味が人気といい、『売れ行きは常に堅調で、人気味として定番化してきた』と同社。今年も秋の販売を予定している。」の記載がある。
(7)2014年9月4日付け「北海道新聞」(夕刊地方(帯広・十勝)、8頁)において、「<どちらがお好き?>ちくわパン マヨネーズでコク/バターブレッド 生地にクリームも」の見出しの下、「清水町のJR御影駅にほど近いパン店『じゅん&まき』。自家製天然酵母を使った総菜パンや菓子パンなどが、毎日40?50種類並ぶ。定番人気の2種類を紹介する。子供からお年寄りまで、幅広い層に支持されているのが『ちくわパン』(140円)。軟らかくほんのり甘みのある生地に、ちくわが包まれている。」の記載がある。
(8)2014年1月24日付け「中日新聞」(朝刊 地方版(くろしお版)、16頁)において、「ちくわパン愛され30年 師匠の味引き継ぐ 御浜の柏木さん」の見出しの下、「【三重県】紀南地方で三十年にわたり親しまれている総菜パンがある。熊野市発祥で、販売当初は全国的にも珍しいとされた『ちくわパン』。考案したパン店・ポピーは閉店したものの、弟子・・・が味を進化させながら引き継いでいる。・・・御浜町で一九九六年に開業したパン店・ぐうちょきぱん。四十種以上のパンがある中、必ず売り切れるのがちくわパン(百四十円)だ。ちくわの穴にマヨネーズや具を詰めており、軟らかな食感でファンが多い。」の記載がある。


審理終結日 2019-12-25 
結審通知日 2020-01-08 
審決日 2020-01-23 
出願番号 商願2018-16516(T2018-16516) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W30)
T 1 8・ 261- Z (W30)
T 1 8・ 262- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古里 唯吉野 晃弘 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 石塚 利恵
小田 昌子
商標の称呼 ドングリノチクワパン、ドングリノ、ドングリ 
代理人 佐川 慎悟 
代理人 江部 陽子 
代理人 太田 清子 
代理人 川野 陽輔 
代理人 大窪 智行 
代理人 小林 基子 

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