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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W30
管理番号 1360635 
審判番号 取消2018-300412 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-06-13 
確定日 2020-02-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第5622105号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5622105号商標(以下「本件商標」という。)は、「天使」の文字を縦書きしてなり、平成25年6月17日に登録出願、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」並びに第29類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同25年10月11日に設定登録がされ、その後、商標登録の取消し審判により、その指定商品中、第29類「全指定商品」及び第32類「飲料用野菜ジュース」について取り消すべき旨の審決がされ、前者は、同31年1月4日に、後者は、同月9日にその確定審決の登録がされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成30年6月28日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成27年6月28日から同30年6月27日までを、以下「要証期間」という場合がある。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、請求人の調査によれば、その指定商品中、上記請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をしていないものであるから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、本件商標は、その指定商品「菓子」(以下「本件商品」という場合がある。)について要証期間内に日本国内において、本件商標に係る商標権者により使用されている旨主張しているが、以下のとおり、商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものではないから、本件商標の登録は取り消しを免れないものである。
(1)被請求人のホームページの画面について
被請求人のホームページ(乙6?乙10)は、標章が付されたものが客観的に展示、頒布等された事実を証明していないばかりか、これらのホームページの画面に記載されている「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の記載は、「天使」という語が被請求人の登録商標であるとの事実を説明したものであって、本件審判の請求に係る商品との具体的関係のない事実の表示であって、本件商標に係る「商品に関する広告」に標章を付して展示又は頒布する使用ではないのであるから、本件商標を請求に係る商品に使用したことを客観的に証明したとはいえない。
(2)被請求人の商品「エンゼルパイ」のパッケージについて
被請求人の商品「エンゼルパイ」のパッケージ(乙13)においては、本件商品のパッケージの展開図の写しが示されているのみであって、当該商品が、要証期間内において現実に包装されて使用された事実が明らかにされていないから、商標法第2条第3項第1号の使用であることを証明したということはできず、また「『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の記載は、「天使」という語が被請求人の登録商標であるとの事実を説明した文章であって、本件商品との具体的な関係において使用されているものとはいえないため、社会通念上の同一の商標ということもできない。
(3)被請求人のカタログ及びSNSサイト上の広告について
被請求人のカタログ(乙15?乙17)に示されている「天使のお菓子箱」については、各文字が四角の枠内にそれぞれ表示され、その文字の上には「お愛用者様から喜びのお声続々!」の記載があり、また下には、「-森永商品詰め合わせセット-」の記載が表示される等、全体がまとまり良く配置された構成となっており、また、その他の商品説明等においては、例えば、乙第15号証の1ページ目の下部に「『天使のお菓子箱』を定期お届け便でご購入の方に」の記載や、乙第16号証の2ページ目の下部に「『天使のお菓子箱』定期お届け便の特典!」及び「すでに『天使のお菓子箱定期お届け便』のお客様にも・・」の記載にあるように「天使のお菓子箱」については、当該文字が鍵括弧などでくくられて表示される一体不可分の商標であり、また、具体的な構成においても「天使」と「お菓子箱」の間に接続詞「の」によって接続された一連の語であって、「お菓子箱」についても商品の内容を直接表示する語ではなく、両語が相まって「天使が提供するお菓子の箱」といった一体的な意味合いを想起させるものとなっているから、「天使」の文字のみを一つの商標として、両語を分離して認識、把握するとは考えられないことから、「天使のお菓子箱」についても、本件商標とは社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
(4)被請求人が示す判決及び審決について
ア 被請求人が示す判決及び審決例(乙19?乙22)は、出所表示機能を有さない態様において商品及び役務に付された商標について、商標の使用を認めた判断例であって、「天使」と他の語が一体的に表示された表示について認めた事案ではなく、商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明する根拠となるということはできない。
イ 「社会通念上の同一と認められる商標」については、工業所有権法逐条解説[第20版]によると、「社会通念」は社会一般に通用する常識と解されており、すなわち社会一般の概念として同一の商標と解釈される範囲で使用が認められるとされる規定であって、商標類似の範囲に拡張されると判断されるべきものではなく、使用態様及びその他の状況を考慮して、登録商標と同一の取り扱いをされている範囲について商標の使用と認められるべきものである。
ウ 乙第15号証ないし乙第17号証に示されている「天使のお菓子箱」については、前記(3)で述べたとおり、「天使」の文字のみを一つの商標として、両語を分離して認識、把握するものではなく、本件商標とは社会通念上同一と認められる商標ということはできない。
エ 以上のとおり、乙第19号証ないし乙第35号証の判決及び審決例の基準に照らしてみても、乙第6号証ないし乙第10号証、乙第13号証及び乙第15号証ないし乙第17号証で示されている各表示は、商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものということはできない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第35号証を提出した。
1 本件商標は、商標権者によって、本件審判の請求に係る指定商品中の「菓子」に使用されている。
2 被請求人等について
被請求人は、日本有数の菓子・食品の製造・販売を業とする会社であり、「天使(エンゼル)」を創業の精神を体現するシンボルとして、天使図形からなる標章を採用し、明治38年(1905年)以来1世紀以上の永きにわたって自社製品に使用し続けている。これは、裁判所においても認められており(乙1)。特許庁における審判事件においても、天使図形のみならず、「天使」、「てんし\天使」、又は、「てんし\天使\テンシ」等の語からなる商標については、強い出所識別能力を有していることが認定されている(乙2?乙5)。
3 本件商標の使用について
(1)被請求人のホームページ画面
乙第6号証は、被請求人が提供している「森永 天使のお菓子レシピ」の画面(以下「本件レシピ画面」という。)の写しである。本件レシピ画面は、自社商品を宣伝するとともに、自社商品を使用した菓子、副菜等のレシピを紹介することによって、商品の拡販を目的とするものである。本件レシピ画面では、被請求人の商品である「ビスケット」や「チョコレート」等の宣伝広告がなされており、その下には、「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」との注意書きがなされているところ、その表示中の「天使」の表示部分は、括弧で他の文字と分けて記載されていることから、需要者にも視覚的に分離して看取され、独立して自他商品の識別機能を果たしている。
これらの行為は、商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に当たる。
乙第7号証ないし乙第10号証は、ウエイバック機能を使用して入手した、平成27年(2015年)11月4日付、同28年(2016年)5月2日、同29年(2017年)5月30日、同30年(2018年)5月29日時点の本件レシピ画面であり、これらには、乙第6号証と同様に商品の宣伝広告に加えて「※『天使』は森永製菓株式会社の登録商標です。」の表示がある。これらは、いずれも要証期間内になされている。
(2)被請求人の商品「エンゼルパイ」のパッケージ
被請求人の商品である「エンゼルパイ」の裏面にも、「エンゼルをトレードマークとする森永製菓は10月4日を”森永・天使の日“『天=テン(10)使=シ(4)』に制定。日本記念日協会に登録されています。」という語とともに、「『天使』は森永の登録商標です」と表示されている(乙13)。被請求人による係る行為は、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に当たる。
そして、当該表示中の「天使」の部分も、鍵括弧でくくられており、視覚的に分離して看取され、独立して自他商品の識別機能を果たしている。また、このエンゼルパイが菓子商品であることも明らかであり、当該商品の賞味期限は、平成30年12月6日であるが、この商品の賞味期間は6か月であるから(乙14)、同一ロットの商品は、遅くとも平成30年6月6日には製造、出荷されたものであり、要証期間内である。
(3)被請求人のカタログ、SNSサイト上の広告
被請求人は、取引者、需要者に、年6回の頻度で、広く商品カタログ(乙15?乙17:以下、これらをまとめていうときは、「本件カタログ」という。)を配布しており、本件カタログは、紙媒体の他FacebookやInstagramでも配信されている(乙18)。
本件カタログ中には、「天使の\お菓子箱」というページが常設され、特に菓子商品の詰め合わせセットの広告を行っており、係る商標の使用も、「本件商品に関する広告又は本件商品を内容とする情報ということができ」、そこに表示された「天使の\お菓子箱」の標章も、被請求人の菓子商品との具体的関係において使用されている。
4 上記3の使用態様と第50条第1項に基づく審判における登録商標の使用について
使用商標は、上記のとおり、菓子商品の宣伝広告として、又は菓子商品に直接付して使用されている。
したがって、本件商標がそのまま菓子商品の名称でなかったとしても、商標法第50条第1項に基づく登録商標の使用に当たることは、乙第19号証ないし乙第22号証の事件においても、同様に判断されている。
5 本件商標と使用商標の同一性
(1)本件商標「天使」と本件レシピ画面及びエンゼルパイに使用している商標「天使」とは、縦書きと横書きの差のみであって、いずれも漢字2字からなり、外観、称呼、観念のいずれについても実質同一の商標である。
(2)本件カタログに使用している「天使の\お菓子箱」の商標は、「天使」の他に、「の」及び「お菓子箱」の語が付記されている点で本件商標とは態様が異なるが、「の」は単なる格助詞であり、「お菓子箱」は、使用商品である「菓子商品の詰合せセット(箱)」を直接的に意味することから、その要部は、「天使」の部分にあり、本件商標と社会通念上同一というべきである。
すなわち、上記表示に接した需要者は、「『天使』印のお菓子」を容易に認識し、また、表示方法についても、天使図形を配し、文字部分も「天使の」の部分を上段にして、さらに「お菓子箱」とは色彩も変えて表示していることから、需要者は「天使」の部分を強く認識する。
商標法第50条における使用証明については、登録商標と使用商標との完全同一までは要求されていないことはいうまでもなく、「社会通念上同一と認められる商標」については、乙第23号証ないし乙第35号証のとおり、従前より比較的緩やかに解されてきた特許庁の審理実績に鑑みても、本件カタログに使用している「天使の\お菓子箱」は本件商標の使用と認められるべきである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第15号証は、商品カタログ(抜粋)であるところ、これには、その表紙に「商品カタログ/2017年11・12月号/天使の健康」及び「『天使のお菓子箱』を定期お届け便でご購入の方に 2018年エンゼルカレンダープレゼント」の表示があり、カレンダーの写真が掲載されている。
そして、2葉目の上段には、別掲に示したとおりの構成からなる「天使のお菓子箱」の文字(以下「本件使用商標」という。)が表示され、その下には、「森永商品詰合せセット」の表示があり、クッキーやチョコレートなどの菓子(以下「本件使用商品」という。)の写真が掲載されている。また、「新規で定期お申込みで2018年エンゼルカレンダープレゼント」の表示があり、表紙と同じカレンダーの写真が掲載されている。
さらに、3葉目には、商品の購入に関するQ&A、WEB会員への登録案内及び会員特典、並びに商品や注文についての問合せ先として、「森永製菓『天使の健康』お客さまセンター」の表示及び問合せ電話番号、ホームページアドレス等が表示され、「【お客様の個人情報について】」の見出しの下、その取り扱いについての説明が記載されている。
(2)乙第16号証は、商品カタログ(抜粋)であるところ、これには、その表紙に「商品カタログ/2018年1・2月号/天使の健康」及び「天使のお菓子箱/森永商品詰合せセット/定期ご注文で牛乳で飲むココアプレゼント」の表示があり、プレゼント対象の商品写真が掲載されている。
そして、2葉目には、本件使用商標が表示され、その下には、「森永商品詰め合わせセット」の表示があり、本件使用商品の写真が掲載されている。また、「新規で定期お申込みでプレゼント! 牛乳で飲むココア」の表示があり、表紙と同じ商品の写真が掲載されている。
さらに、3葉目には、商品の購入に関するQ&A、WEB会員への登録案内及び会員特典等、乙第15号証の3葉目と同様の記載がある。
2 上記1において認定した事実によれば、以下のように判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は「天使」の文字を縦書きしてなるものである。
他方、本件使用商標は、上段の白い3つの四角の中に、いずれも赤色で「天」、「使」及び「の」の文字を配し、下段に、ピンクと緑の四角を交互に4個並べ、「お」「菓」「子」及び「箱」の文字を上段よりやや大きい白抜き文字で配した別掲のとおりの構成態様からなるところ、上段と下段の文字とは、上記のとおり、文字が表されている四角の色、文字の色及び大きさが異なってなっていることから、視覚上、必ずしも一体のものとして、把握されるものとはいえず、また、構成文字全体として、熟語的な関連性があるものとして認識されるとまではいい難いものである。
そして、本件使用商標は、その構成中、「お菓子箱」の文字は、その下に「森永商品詰合せセット」の文字が表示され、そのセット内容と理解されるクッキーやチョコレートなどの菓子の写真が掲載されていることからすれば、当該「お菓子箱」の文字は、本件使用商品である「菓子」を詰め合わせたものであることを認識させるものであって、商品の内容を表し、自他商品識別力を有するものではなく、また、「天使の」の文字中の「の」文字は、格助詞にすぎないものであるから、本件使用商標は、上段の白い2つの四角の中に赤色で表示されている「天使」の文字部分が強く看者の注意を惹く要部として理解されるものというべきである。
以上よりすると、本件商標と本件使用商標の要部とは、いずれも「天使」の文字から構成されているものであるから、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。
(2)使用者及び使用時期について
本件使用商標が表示されている、平成29年(2017年)11月頃から翌年1月頃までに発行された商品カタログには、「森永製菓」の表示があることから、本件商標の使用者は、商標権者といえるところ、これには、商品の購入に関するQ&A、顧客の個人情報の取扱いについての説明やWEB会員の特典などが記載されていることからすれば、商標権者が、顧客へ配布するために当該カタログを作成し、要証期間内に頒布したことが推認できる。
(3)使用商品について
本件使用商品は、クッキーやチョコレートなどの「菓子」であるから、本件審判の請求に係る指定商品中の「菓子」と同一の商品である。
(4)小括
以上(1)ないし(3)によれば、商標権者は、要証期間内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中の「菓子」に本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付したカタログを頒布したと認められる。
そして、上記使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう商品に関する広告に標章を付して頒布する行為に該当する。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品中、「菓子」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件使用商標(色彩は、原本参照。)



審理終結日 2019-12-23 
結審通知日 2019-12-25 
審決日 2020-01-17 
出願番号 商願2013-46356(T2013-46356) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W30)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 北口 雄基齋藤 貴博 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 岩崎 安子
中束 としえ
登録日 2013-10-11 
登録番号 商標登録第5622105号(T5622105) 
商標の称呼 テンシ 
代理人 小林 彰治 
代理人 小野寺 隆 
代理人 鳥海 哲郎 
代理人 廣中 健 
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