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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W0709111235
管理番号 1360597 
審判番号 不服2018-16791 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-17 
確定日 2020-02-20 
事件の表示 商願2017-89746拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「より良い未来を次世代へ」の文字を標準文字で表してなり,別掲1に掲げる第7類,第9類,第11類,第12類及び第35類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成29年7月3日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は,「本願商標は,『より良い未来を次世代へ』を標準文字で表してなるところ,全体として『より良い未来を次世代へ届けるために』のような意味合いを認識,理解させるものであり,また,『次世代』,『未来を』あるいは『より良い』等の文字が,企業の事業の遂行における企業理念や公益法人等の施策を行う際に,一般的に使用されていると認められる。
そうすると,本願商標をその指定商品又は指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者は,事業の遂行における企業理念や公益法人等における施策を表したものと理解するにとどまり,自他商品又は自他役務の識別力を有するものとはいい難いため,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標といわざるを得ない。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和元年8月29日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は,上記第3の通知に対して,要旨以下のとおり,意見を述べた。
1 証拠調べ通知書で提示された10件の引用情報は,「より良い未来を次世代へ」等の文字(フレーズ)並びに「より良い未来」及び「次世代(次の世代)」等の文字が,各企業の会社情報や企業概要等のウェブサイトの中で,企業理念や活動方針等を説明する文章中に用いられているようだが,それらはあくまでも当該文章中の一部分として使用されているにすぎず,商標としての使用として客観的に認識され得るものではない。
2 本願商標は,2017年(平成29年)1月から請求人のブランドスローガンである「Crafting the Core」に対応する日本語のブランドメッセージとして,請求人ウェブサイト・テレビCM・新聞雑誌広告・空港看板広告等の自社企業広告において,日本全国で大々的に使用されている。
3 本願商標については,単なる企業理念や経営方針等を表示するものを超えた請求人の「ブランドメッセージ」として,本願指定商品又は指定役務について十分に自他商品役務識別力を発揮し得る商標として我が国の取引者・需要者に把握・認識され得る。よって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当しない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性
(1)本願商標について
本願商標は「より良い未来を次世代へ」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「より」の文字は,「(多く形容詞・形容動詞の上に付けて)それまでの程度を越えて。いっそう。さらに。もっと。」を,「良い」の文字は,「物事が質的に他よりすぐれまさっている。すぐれている。上等である。」を,「未来」の文字は,「過去・現在とともに時の流れを三区分した一つで,まだ来ていない部分。」の意味を有するものである。
そして,構成中後半の「次」の文字は,「順序がすぐあと(のもの)」の意味を,「世代」の文字は,「親・子・孫と続いてゆくおのおのの代」の意味を,「へ」の文字は,「(助詞)作用の向かって進む目標地点・方向を示す。…の方に。…に向かって。」の意味をそれぞれ有するものである(いずれも「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)。
そうすると,本願商標全体としては,それぞれの構成文字の語義に相応して,「さらに良い未来を次の世代へ」ほどの意味合いを容易に理解させる記述的な文字である。
(2)取引の実情について
一般に,多くの企業は,企業活動に際して,企業理念や経営方針等を策定し,企業の宣伝広告の一環として,ウェブサイトやインタビュー記事などにおいて,当該企業理念や経営方針等を会社や経営者からのメッセージとして表明することを普通に行っている。
そして,当審が職権で調査したところ,別掲2のとおり,本願商標と同一である「より良い未来を次世代へ」及び本願商標と類似する「より良い未来を次世代に」又は「より良い未来を次の世代に」の表現,並びに「より良い未来を」及び「次世代(次の世代)」を組み合わせた表現が,「つなぐ」,「届ける」,「残す」又は「引き継ぐ」等の動詞を伴い,企業理念や活動方針等として一般的に採択されている実情がある。
(3)小括
以上よりすると,本願商標は,「さらに良い未来を次の世代へ」ほどの意味合いを容易に理解させる記述的な文字であること,及び本願商標と同一又は類似する文字が「つなぐ」,「届ける」,「残す」又は「引き継ぐ」等の動詞を伴い,企業理念や活動指針等を表す際に一般的に使用されている。
そうすると,本願商標に接する取引者・需要者は,本願商標を自他商品役務の識別標識として認識するのではなく,さらに良い未来を次の世代につなぐ(届ける,残す,引き継ぐ等)ことを目標としている企業等の企業理念や活動方針等の一種と理解するにすぎないものである。
また,本願商標は,標準文字で表してなるから,その態様上顕著な特徴は認められない。
そうすると,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標というべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,証拠調べ通知書で提示された各引用情報の「より良い未来」及び「次世代」等の使用例は,あくまでも,企業理念や活動方針等を説明する文章中の一部分として使用されているにすぎず,商標としての使用として客観的に認識され得るものではない旨主張する。
しかしながら,「より良い未来」及び「次世代」の文字が,各企業の企業理念や活動方針等を表す際に一般的に使用されている表現であることからすると,本願商標に接する取引者・需要者は,本願商標が上記の表現と同様に企業の企業理念や活動方針等を表示するものと理解するにすぎないものであり,商標としての使用例か否かは問題とならない。
(2)請求人は,本願商標からは,「より良い未来を次世代へ贈る」程度の意味合いが看取され得るにすぎないと考えるのがごく自然だから,「より良い未来を次世代へ届けるために」といった意味合いを端的に認識・理解させるにすぎないという原査定の拒絶の理由はその解釈にやや飛躍がある旨主張する。
しかしながら,「贈る」の文字は「本来は、意志的に後からついて行く意。転じて、後から心をこめて人に物をとどける意。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)であることから,「より良い未来を次世代へ贈る」と「より良い未来を次世代へ届けるために」とは,ほぼ同義の印象を与えるものといわざるを得ない。
(3)請求人は,本願商標は,2017年(平成29年)1月から請求人のブランドスローガンである「Crafting the Core」に対応する日本語のブランドメッセージとして,請求人ウェブサイト・テレビCM・新聞雑誌広告・空港看板広告等の自社企業広告において,日本全国で大々的に使用されており,2017年(平成29年)及び2018年(平成30年)における宣伝広告費用は約5億円にあがる旨主張する。
しかしながら,提出された証拠によっては,2017年(平成29年)1月に本願商標がブランドメッセージとして採用されたことは確認できるとしても,広告規模,頻度,費用等を客観的に裏付ける証拠の提出はなく,本願商標が使用をされた結果,その指定商品及び指定役務との関係において,日本全国における取引者・需要者の間において広く知られていると認めることはできない。
(4)請求人は,過去の商標の登録例を挙げて,本願商標もそれらと同様に,登録されるべきである旨主張する。
しかしながら,過去の登録例に関わらず,商標の識別性の有無の判断は,商標の構成文字や構成態様等に則して,事案に応じて判断すべきであるから,請求人が主張する過去の登録例によって,本願商標の上記判断が左右されるものではない。
(5)よって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標の指定商品及び指定役務

第7類「工業用ロボット,工業用ロボットアーム,化学機械器具,化学処理用ロボット及びロボットアーム,化学機械器具用ロボット及びロボットアーム,プラスチック加工機械器具,プラスチック加工用ロボット及びロボットアーム,プラスチック加工機械器具用ロボット及びロボットアーム,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),動力機械器具の部品,風水力機械器具,ポンプ,圧縮機,送風機,電動式扉自動開閉装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。),起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),直流発電機,交流発電機」

第9類「タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,製図用又は図案用の機械器具,青写真複写機,票数計算機,郵便切手のはり付けチェック装置,盗難警報器,ガス漏れ警報器,火災報知機,電子キー並びにその部品及び付属品,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,太陽電池,電池,電気磁気測定器,ETC(自動料金収受システム)車載器,電気通信機械器具,乗物用ナビゲーション装置,腕時計型携帯情報端末,スマートフォン,電子応用機械器具及びその部品,遠隔監視システム用電子応用機械器具及びその部品」

第11類「蒸発装置,熱交換器,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸留装置,乗物用エアコンディショナー及びその部品,業務用暖冷房装置及びその部品,業務用冷凍機械器具,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,電球類及び照明用器具,家庭用電熱用品類(美容用又は衛生用のものを除く。),ラジエーターキャップ,空気調和装置」

第12類「自動車並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の機械要素,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),陸上の乗物用の電動機,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),乗物用盗難防止装置,乗物用盗難警報器」

第35類「広告業,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,一般事務処理,広告用具の貸与,インターネットにおけるウェブサイトの広告用スペースの提供,インターネットによる商品の販売促進及び役務の提供促進に関する情報の提供,コンピュータデータベースへの情報編集及び情報構築,自動車の部品及び付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車の部品及び付属品のインターネットを介した小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車の部品及び附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭用給湯器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,蓄電池の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,暖冷房装置の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子応用機械器具及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,工業用ロボットの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,測定機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気通信機械器具の小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

別掲2 当審における証拠調べ通知で開示した事実
1 「より良い未来を次世代へ」の文字(フレーズ)を,経営方針や活動指針等として表示する事例(下線は合議体で付与,以下同じ。)
(1)「株式会社TRIPLETS」のウェブサイトにおいて,「ABOUT US 企業概要」の見出しの下,「CSR 地域と未来への貢献」の項に,「TRIPLETSは,社会に対する企業の責任を重大なものと位置づけ,より良い未来を次世代へ残すための取り組みを大切にしています。」の記載がある。
(https://www.triplets-inc.jp/aboutus/)
(2)「山下電気株式会社」のウェブサイトにおいて,「会社情報」の項目の「品質環境方針」の見出しの下,「満足いただける製品を供給し,環境保全に取り組みます」及び「山下電気ではプラスチック成形品製造において,・・・地球環境の保全に貢献する取組みを積極的に行ない,より良い未来を次世代へ残すよう努めてまいります。」の記載がある。
(https://www.yamashita-denki.co.jp/company/environment.html)

2 「より良い未来を次(の)世代」に「つなぐ,届ける」ことを,企業理念,経営理念等として表示する事例
(1)「相田化学工業株式会社」のウェブサイトにおいて,「経営理念」の見出しの下,「企業メッセージ」の項に,「『1gを大切に』がモットー」及び「限りある資源を決して無駄にしないこと。高精度の貴金属リサイクルを通じて,より良い未来を次世代につなぎます。」の記載がある。
(https://www.aida-j.jp/policy)
(2)「株式会社イマリ」のウェブサイトにおいて,「GROVAL CHALLENG」の見出しの下,「より良い未来を次世代に届けるために,私たちは行動します。」の記載がある。
(https://www.imari-group.co.jp/)
(3)「株式会社OCHIAI」のウェブサイトにおいて,「企業理念」の見出しの下,「そしてこれらの事業活動により,人と人が,心と心が繋がり社会全体がより良くなってくれること,そしてより良い未来を次の世代に繋げていくことを私達のミッションとしております。」の記載がある。
(http://www.ochi-den.com/idea/)
(4)「北陸ダイセキ株式会社」のウェブサイトのトップページに「より良い未来を次世代につなぐー。」の記載がある。
(http://www.hokuriku-daiseki.com/index.html)

3 「より良い未来」及び「次世代(次の世代)」の語(又は同趣旨の内容)を,企業理念,活動方針等のメッセージの中に表示する事例
(1)「株式会社栗本鐵工所」のウェブサイトにおいて,「企業情報」の項目の「企業理念・経営理念・社是・コーポレートメッセージ」の見出しの下,「経営理念」の項に「5(数字は丸付き数字)『夢ある未来』クリモトグループは,・・・これからも日本国内だけではなく,世界中の社会や環境に貢献することで,人や社会にとってより良い未来を創り出し,次の世代に責任を持って,夢ある未来の創造に挑戦していきたいと考えます。」の記載がある。
(http://www.kurimoto.co.jp/company/cat01/ideology.php)
(2)「Google」のウェブサイトの「Google 環境報告書 2018」の資料において,「環境的に持続可能な方法で事業を運営していくことはGoogleの中核をなす価値観です。・・・Googleは,美しくより良い未来を次の世代に引き継げるよう,これからも真摯に環境に取り組んでいきます。」の記載がある。
(https://sustainability.google/intl/ja/reports/environmental-report-2018/)
(3)「税理士事務所ランニングパートナーズ」のウェブサイトにおいて,「私たちの想い」の項目の「経営理念(志・全社員で共有し,使うもの)」の見出しの下,「未来パス」の項に「4.社会に貢献し,次世代により良い未来を創ります。」の記載がある。
(https://www.running-partners.com/%E4%BA%8B%E5%8B%99%E6%89%80%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/)
(4)「古河産業株式会社」のウェブサイトにおいて,「CSR・環境活動」の項目の「社会への取り組み」の見出しの下,「古河電工グループ社会貢献基本方針(2011年3月改定)」の項に「世紀を超えて培ってきた社会との絆を継承・発展させ,より良い次世紀を来るべき世代に引き継いでいくために,・・・着実でたゆまぬ社会貢献活動を行います。」の記載がある。
(https://www.furusan.co.jp/csr/social.htm)

審理終結日 2019-12-16 
結審通知日 2019-12-17 
審決日 2020-01-06 
出願番号 商願2017-89746(T2017-89746) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W0709111235)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 浜岸 愛
大森 友子
商標の称呼 ヨリヨイミライオジセダイエ、ヨリヨイミライ、ミライオジセダイエ 
代理人 大橋 啓輔 
代理人 田島 壽 
代理人 外川 奈美 
代理人 青木 篤 
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