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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W36
管理番号 1360577 
審判番号 不服2018-16611 
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-12 
確定日 2020-02-13 
事件の表示 商願2017- 75245拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「健康増進型」の文字を標準文字で表してなり、第9類、第16類、第35類、第36類、第41類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成28年8月12日に登録出願された商願2016-92683に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同29年5月24日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同30年5月11日付けの手続補正書により、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,保険情報の提供」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、『健康増進型』の文字を標準文字により表してなるところ、その構成全体より『健康を増進する型(形態、タイプ)』の意味合いを容易に認識できるものである。そして、本願の指定役務である第36類の保険の分野では、健康であれば保険料が安くなる等の健康状態や健康増進に向けた取組み度合いに応じて保険料が変動する保険商品が存在し、これらは『健康増進型保険』と指称されている実情がうかがえ、近年、当該タイプの保険商品が注目され、開発が進んでいるという実情もうかがえる。このような状況の下、本願商標を、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,保険情報の提供」に使用しても、『健康であれば保険料が安くなる等の健康状態や健康増進に向けた取組み度合いに応じて保険料が変動する保険に関する役務』という役務の質(内容)を表示したものと理解するにとどまり、自他役務を識別する標識としては機能し得ないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和1年9月17日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 職権証拠調べに対する請求人の意見
前記3の「証拠調べ通知」に対して、請求人からは何らの意見、応答はなかった。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「健康増進型」の文字からなるところ、構成中の「健康」の文字は、「身体に悪いところがなく心身がすこやかなこと。達者。丈夫。病気の有無に関する、体の状態。」等の意味を有する語であり、「増進」は、「能力などを、ましすすめること。また、ましすすむこと。」を意味する語であり、「型」は、「ものを類に分けた時、それぞれの特質をよく表した典型。そのような形式・形態。タイプ。」等の意味を有する語(いずれも、「広辞苑第六版」岩波書店)として一般に知られているものである。
そして、原審において示した事実のほか、令和1年8月22日付け通知書により通知した刊行物等提出書による情報及び別掲に示す情報からも明らかのように、本願の指定役務を取り扱う分野において、「健康状態や健康増進に向けた取組み度合に応じて保険料が変動したり、保険料をキャッシュバックしたりするタイプの保険商品」を「健康増進型」、「健康増進型保険」と称している実情がある。
そうすると、本願商標である「健康増進型」の構成文字からは、「健康状態や健康増進に向けた取組み度合に応じて保険料が変動したり、保険料をキャッシュバックしたりするタイプ」程の意味合いを容易に理解させるものである。
してみれば、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記意味合いのタイプの保険商品を内容とする役務であることを表示したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識として認識し得ないものであるから、本願商標は、その役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、「『健康増進型保険』の語は、出願人により、自分自身のサービスを表す独自の表示として先駆的かつ積極的に使用されているのであり、出願人以外の保険会社各社が、健康状態や健康に関する取り組みと保険を結びつける新しいサービスを、広く一般に、『健康増進型』又は『健康増進型保険』と称している状態にはないものと見受けられる。そして、『健康増進型』又は『健康増進型保険』の語が、一部のメディア等により使用されているとしても、それは、本来出願人の保険サービスを表す独自性を有する語であるものを、情報伝達に際して適切な用語を持ち合わせていなかったメディア等が、一部において、出願人の使用に注目し追随する形で、あたかも類似のサービス全般を表す語であるかの如く、便宜的に流用しているに過ぎないというべきである。」旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が、自他役務の識別標識として機能し得るか否かは、該登録出願の査定時又は審決時において、該商標の構成態様と指定役務との関係や役務の取引の実情をも踏まえて、具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標は、前記(1)のとおり、現時点において、「健康状態や健康増進に向けた取組み度合に応じて保険料が変動したり、保険料をキャッシュバックしたりするタイプの保険商品」の意味合いを表す語として広く使用されているものであり、本願商標は、請求人の業務に係る役務を表す独自の表示とはいえない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(証拠調べ通知書で通知した事実)
1 本願の指定役務の分野と関係の深い分野において、「健康増進」、「健康増進型」又は「健康増進型保険」の文字が使用されている例
(1)平成31年4月13日差出の「刊行物等提出書」
ア 刊行物2には、「共済と保険 2018.6」(一般社団法人 日本共済協会)の記事として、「生命保険業界の現状と今後の方向」の見出しの下、その7ページには「[表1]健康増進型の保険」の表があり、保険会社7社の商品が紹介され、それぞれの「特長」の項目には、「これまでの一律の年齢別保険料から、医療ビッグデータに基づいて算出した『健康年齢』で更新時に保険料を算出する『カラダ革命』。契約時に判定した健康年齢で保険料を決める『ネオde健康エール』など。健康年齢という新しい概念を導入。」、「契約者にウェアラブル端末を貸与、健康増進活動(1日あたり平均歩数目標8,000歩が達成されたかどうかを判定)に対して、保険料をキャッシュバック(『健康増進還付金』)する業界初の商品。」、「各種保険や特約からなる自由設計型の保険。契約時に健康診断書を提出すると保険料の割引が受けられ、その健康診断書の結果が同社所定の基準を満たしているとさらに割引が適用されるという業界初の『健康診断割引制度』を導入。」、「収入保障保険も拡充。加入から一定期間内に健康状態が改善されると以降の保険料を引き下げるほか、加入時からの保険料差額相当額が支払われる仕組みの『健康チャレンジ制度』を導入。」、「健康増進型保険のノウハウを持つ南アフリカのディスカバリー社、通信技術を持つソフトバンクとの提携開発商品で欧米型の保険。/健康増進活動で貯めたポイントで契約者を5つの健康ステージに区分し、上位グループには翌年の保険料を割り引く。」、「契約者の健康増進を支援する新商品。毎年の健康診断の結果に応じてインセンティブを付与。中期経営計画の一環。」及び「健康増進に向けた取り組みを後押しする保険商品の開発・研究の開始(中期経営計画)」と記載されている。
イ 刊行物4には、「共済総研レポート NO.159(2018.10)」(一般社団法人 JA共済総合研究所)の記事として、「『健康増進型保険』の個別商品の特徴とJA共済の『健康分野』の取組みについての考察」の見出しの下、その31ページには、「現時点で提供されている『健康増進型保険』は、保障内容面で斬新なものはなく、『健康状態・健康増進活動状況により保険料を割引・割増するリスク細分型の保険』が中心であり、リスク細分化の制度構築にあたり、各社固有の医療ビッグデータの分析結果を活用している商品が多い。」の記載があり、また、その32ページないし35ページには、「(表)主な『健康増進型保険』の概要と特徴等」の表があり、保険会社5社の6商品が紹介され、それぞれの「4.健康関連制度のポイント(保険料率適用の判断要素・基準)」の項目には、「【健康年齢に基づく保険料】契約時および3年毎の更新時に『健康診断結果等』の所定項目の数値から算定した『健康年齢』に基づく保険料を適用する(実年齢に対して割引・割増)。」、「【健康体割引特約】契約時の『健康診断結果等と1年以内喫煙有無』に基づき、標準体料率から割り引く保険料率(喫煙者健康体、非喫煙者健康体)に該当する場合、当該割引保険料を保険期間中適用する。」、「【健康診断割引特約】契約時に以下割引が適用される場合、当該割引保険料を保険期間中適用する。(1)健康診断基本割引 契約時に健康診断書等を提出した場合に適用(2)健康診断優良割引 健康診断結果が所定の要件を満たした場合に(1)に加えて適用」、「【健康体料率特約】契約時の『健康診断結果等と1年以内喫煙有無』に基づき、標準体料率から割り引く保険料率(喫煙者健康体、非喫煙者標準体、非喫煙者健康体)に該当する場合、当該割引保険料を保険期間中適用する。」、「【健康増進特約】<健康増進還付金の支払要件・支払額>支払対象期間(2年間)を計測単位期間(6か月)ごとに4区分して平均歩数を計測。2年毎の計測結果に基づき、以下算式で算出した金額を支払う。(健康還付金額÷4)×1日あたり平均歩数8,000歩以上の計測単位期間の数」及び「【健康増進乗率適用特約】(1)毎年度、標準保険料に所定の『健康増進乗率』を乗じて保険料を算出する。」の記載がある。
また、それぞれの「<参考2>主な健康支援サービス・特典等」の項目には、「○第一生命のスマホアプリ『健康第一』(1)My健診アドバイス(健診結果をスマホカメラで撮影し、健康年齢と健康タイプを判定。同年代と比較したがん、糖尿病等の将来発生リスクを見える化)・・・(5)Myリズム(生活時間や体調に応じて、食事・活動・睡眠などから生活改善メニューを提供)」、「○健康チャレンジサポートサービス/サービス利用期間を、『有効契約で契約日から5年以内』と限定し、『健康☆チャレンジ!制度』の利用を促進(1)リンククロス フィット(専用アプリで毎日の歩数・体重や食事を記録。食事内容への専門家アドバイス)」、「○からだ予測ナビ 生活習慣病編(生活習慣から10年後の生活習慣病発症率を予測するWebサービス)」及び「○会員向けの特典(リワード)・・・(1)健康診断(血液検査)の無料・割引クーポン(2)ウェアラブルデバイスの割引購入(運動状態把握に必要)」の記載がある。
ウ 刊行物5には、「JIJI.COM」のウェブサイトにおいて、「【図解・経済】健康増進型保険のイメージ(2018年5月)」の見出しの下、「生命保険各社が、運動や健康診断を行うことで保険料が割引される『健康増進型』保険の開発に力を入れている。運動などを促して病気や死亡のリスクを減らす。健康寿命を延ばしたいというニーズに応える商品だが、保険金給付や医療費が減れば保険会社や地方自治体にもメリットがある。血圧の高低や喫煙習慣の有無などに応じて割引する仕組みは以前からあるが、健康増進型は健診結果の提出や加入後の行動も含めて評価する。」の記載がある。
エ 刊行物7には、「東京新聞TOKYO Web」のウェブサイトにおいて、「生保、健康増進型に力 診断結果や運動で割引 2019年2月22日 朝刊」の見出しの下、「生命保険各社が、保険料割引などで加入者の健康への取り組みを後押しする『健康増進型保険』に力を入れている。健康意識を高めて病気を未然に防ぐことで、保険金の支払いや社会保障費の抑制につなげる。」の記載があり、「生保各社の健康増進型保険」の表には、「明治安田生命 健康診断の結果によって保険料の一部を還付(4月発売)」、「第一生命 健康診断結果を提出すれば保険料を割引」、「住友生命 運動など健康への取り組み状況によって保険料が変動」、「東京海上日動あんしん生命 1日平均8000歩以上歩くと保険料の一部を還付」及び「損保ジャパン日本興亜ひまわり生命 喫煙しない、体重や血圧などの基準を満たす、などの契約者は保険料を割引」の記載がある。
オ 刊行物18には、「保険比較」のウェブサイトにおいて、「健康になると保険料が割引に!各保険会社が力を入れる『健康増進型』の生命保険を比較/近年、生命保険会社各社が、健康診断書の提出や、運動をはじめとする健康状態改善への取り組みを行うことで、保険料の割引や特典が受けられる『健康増進型』の保険商品を相次いで発売しています。これまでの生命保険は、契約者の病気やケガに備えるものが主でしたが、健康増進型の生命保険では、病気やケガの際の保障に加え、契約者の健康状態が改善・維持された場合、保険料の割引を受けることができるサービスや、契約者の健康促進をサポートするサービス等、様々な特典が付帯。さらに、契約者の健康志向を促すことで、病気やケガによる死亡のリスクを減らせると、注目を集めています。」の記載がある。
カ 刊行物19には、「マネーポストWEB」のウェブサイトにおいて、「生保会社が続々参入する『健康増進型保険』に注目集まる理由 2018年6月28日 11:00」の見出しの下、「これまでの生命保険は、『病気など、もしものときの備え』というイメージが強く、『加入時の健康状態で、保険料が決定される』ものが大半だった。しかし『健康増進型保険』は、リスクをカバーするのではなく、『リスク自体を減らすために、継続的な健康活動を促す保険』で、保険料も固定ではなく、加入者の生活習慣や日々の健康活動に応じて変動するという点が特徴だ。2017年以降、生保各社は健康増進型保険の新商品を次々に投入している。例えば『歩くこと』に特化しているのが、東京海上日動あんしん生命から発売されている『あるく保険』だ。ウエアラブル端末とスマートフォンを使い、定期的なウォーキングに対して還付金を支払う仕組みとなっている。さらに、今年3月に第一生命から発売された『ジャスト』は、契約時に健康診断を提出するだけで保険料が割り引かれる仕組み。」の記載がある。
キ 刊行物21には、「アフラック生命保険株式会社」のウェブサイトにおいて、2018年9月19日付けの「NEWS RELEASE」として、「?生保初のオンライン専用健康増進型保険? <アフラックの健康応援医療保険>を発売」の見出しの下、「今般発売する<アフラックの健康応援医療保険>は、『健康年齢が実年齢未満なら健康還付金をお支払いする』オンライン専用の健康増進型保険です。また、本商品の発売と同時に健康増進のための健康サービスプログラムを搭載したスマートフォンアプリの提供を開始し、お客様の『健康でありたい』という想いに応えます。なお、オンライン専用の健康増進型保険は生命保険業界では初めてとなります。」及び「<アフラックの健康応援医療保険>の主な特長/1.健康なら保険料をキャッシュバック/● 健康年齢が実年齢未満の場合、『健康還付金』を毎年お支払いします。/・・・4.お客様の健康増進をサポートする各種機能をスマートフォンアプリで提供/● 本商品の発売と同時に、健康増進のための健康サービスプログラムを搭載したスマートフォンアプリを提供します。」の記載がある。
ク 刊行物23には、「明治安田生命保険相互会社」のウェブサイトにおいて、2019年2月26日付けの「? 『みんなの健活プロジェクト』における健康増進型保険 ? 万一を支える、健康を応援する ベストスタイル 健康キャッシュバックの発売について」の見出しの下、「明治安田生命保険相互会社・・・は、『みんなの健活プロジェクト』における重要な柱として、2019年4月2日から、健康増進型保険『ベストスタイル 健康キャッシュバック』<5年ごと配当付組立総合保障保険>を発売します。『ベストスタイル 健康キャッシュバック』では、『病気になったとき、万一のときの保障』に加え、『健康増進の取組みを応援する機能』を新たな生命保険の価値として提供いたします。『健康増進の取組みを応援する機能』として、健康診断の結果をご提出いただいたお客さまへ、最大で保険料1ヵ月分相当・・・のキャッシュバックをするとともに、健康増進に役立つ情報を記載した『MY健活レポート』をご提供いたします。」の記載がある。
(2)インターネット情報
ア 「メットライフ生命保険株式会社」のウェブサイトにおいて、「2019年5月28日/メットライフ生命保険株式会社/健康増進型保険『あなたと会社の健康計画』を新発売 みんなで歩数を伸ばして健康に、企業の成長と従業員の健康をサポートします」の見出しの下、「メットライフ生命保険株式会社・・・は、2019年6月17日から企業・団体向け健康増進型保険『あなたと会社の健康計画』(正式名称:新医療保障保険(団体型))を新たに販売いたします。団体保険分野において、『歩く』といった健康増進の取り組みにより配当金が変動する健康増進型保険は、業界初です。/『あなたと会社の健康計画』は、スマートフォンアプリ『kencom×ほけん』を利用して計測した従業員の歩数実績により、ご契約者である企業・団体(以下、『企業等』)にお支払いする配当金額を変動させる『歩数実績配当方式』を新たに導入した、全員加入型の団体医療保険です。当社はこの新たな仕組みをもった保険商品により、企業等に対して、従業員の病気やケガによる入院といった身近なリスクを保障するだけでなく、企業等における従業員の健康増進を含む『健康経営(R)』の推進を支援いたします。」の記載がある。
(https://www.metlife.co.jp/about/press/2019/pdf/190528.pdf)
イ 「近代セールス社」のウェブサイトにおいて、「ファイナンシャル・アドバイザー NO.236 2019年春号」の記事として、「サブ特集/保険商品の新トレンド『健康増進型』とは何か?」の見出しの下、「各社が『健康増進型』保険をリリースしている背景・狙いとは?/ここ数年、健康状態の改善や運動習慣に応じ、翌年の保険料が下がったり、保険料の一部が戻ってきたりする保険が相次いで登場し、これらを『健康増進型保険』と呼んでいる。保険会社から新しい保障が提供されるようになったわけではないが、従来の保険が加入時の健康状態に注目していたのに対し、『健康増進型』では加入時だけでなく、保険に入ってからの加入者の健康状態や行動が将来支払う保険料などに影響するため、結果として加入者の健康増進を促すという特徴がある。」の記載がある。
(http://www.kindai-sales.co.jp/images/upload/files/FA19%E6%98%A5%20P70-73.pdf)
ウ 「保険市場」のウェブサイトにおいて、「健康増進型保険とは?」の見出しの下、「健康になるような行動をすると保険料が安くなったりキャッシュバックされる『健康増進型保険』が続々と登場しているのをご存知ですか?」、「『健康年齢』で保険料が決まる保険/『健康年齢』という言葉をご存知でしょうか。現在の健康状態を年齢で表したもので、健康診断や人間ドックでの検査結果をもとに算出されます。従来の保険は加入者の年齢が高いほどリスクも高まるため保険料が高額になりますが、健康増進型保険の中には実年齢の代わりに健康年齢で保険料が変わる商品があります。」及び「健康志向の人に向いている保険/健康増進型保険には、実年齢より健康年齢が若い方には保険料が安くなったり、キャッシュバックがある商品もあります。健康な人、健康志向の高い人には『健康を維持するモチベーションアップ』にも繋がりおすすめの保険ではないでしょうか。」の記載がある。
(https://www.hokende.com/health)
(3)新聞記事情報
ア 2019年6月9日付け「産経新聞」(東京朝刊5ページ)に、「【日曜経済講座】令和は『生保過剰』の時代に 市場縮小、生き残りへ再編必至 経済本部長・・・」の見出しの下、「現在、生保各社がこぞって開発を競い合っている健康状態をベースに保険料を割り引くなど“予防”に重点を置いた健康増進型保険はそのはしりだろう。今後は人工知能(AI)やビッグデータなどの新技術を活用した斬新な保険商品が次々と開発され、限られたパイの中での顧客の奪い合いが一段と激化することが予想される。」の記載がある。
イ 2019年5月4日付け「毎日新聞」(朝刊2ページ)に、「当世保険選び事情:38歳記者奮闘記/下 特約の審査通らず、会社の制度を確認 人生再設計の機会」の見出しの下、「近年では、長寿化によって老後資金がなくなるリスクに備え、長生きするほど受け取る年金が増える『トンチン年金保険』や、健康状態の改善や改善努力を評価して保険料を割り引く『健康増進型保険』などの新型保険も登場。多様化が進む中で保険選びは難しさを増している。」の記載がある。
ウ 2019年3月28日付け「毎日新聞」(朝刊7ページ)に、「第一生命HD:糖尿病改善にアプリ 契約者向け、年内にも」の見出しの下、「生保各社は近年、健康になるための努力や改善結果を評価して保険料を割り引く『健康増進型保険』を相次ぎ投入。第一生命は昨年3月、加入時に健康診断書を提出するだけで保険料を割り引く特約を導入した。・・・氏は、特約導入後10カ月で健康診断書提出数が前年比2・6倍に増加したことを明らかにし、『健康無関心層に生活習慣を変えてもらうことが生命保険会社にとって最も効果がある』と狙いを語った。」の記載がある。
エ 2019年3月11日付け「メディカル&テスト」(7ページ)に、「メタボ男性対象に『健康増進型保険』開発/未病ビジネス化で武田薬品など8社」の見出しの下、「湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川県藤沢市、通称=湘南アイパーク)は2月26日、未病のビジネス化を目指す『湘南会議』の第1期として、メタボリック症候群の中年男性が生活習慣病を発症せず健康に過ごすための『健康増進型保険』の開発など2つのビジネスモデルの構築を決めたと発表した。・・・1つ目は、同じ趣味を持つメタボ男性をターゲットにしたビジネスモデル。例えば、スポーツチームやアイドルのファンクラブが健康増進型保険の代理店になり、ファンに保険加入してもらう。一般的に健康増進型保険は、健康診断で基準の数値をクリアすれば保険料が割り引きになるタイプの商品。新たに開発する商品は、ファンに運動などの健康プログラムを提供し、健康状態が改善するとスポーツ選手やアイドルに会えるなどのインセンティブを提供する。」の記載がある。
オ 2019年3月8日付け「産経新聞」(東京朝刊13ページ)に、「【検証エコノミー】デジタル革命 保険に転換期 『予知できればいらない』 新事業模索」の見出しの下、「実際、保険各社はIT企業を中心に異業種と提携し、新技術を使った新たなサービスの開発にかじを切り始めた。個人の健康データを取れるウエアラブル端末を活用し、健康な人ほど保険料が安くなる『健康増進型保険』はその典型だ。損保業界でも、年内にはAIで契約者の運転の仕方や事故状況を分析し、保険料や事故時の過失を即時に判定する新サービスの提供などが予定される。」の記載がある。

2 本願の指定役務の分野と関係の深い分野において、「健康増進保険」の文字が使用されている例
(1)インターネット情報
ア 「Google ブックス」のウェブサイトにおける「最新 金融業界の動向とカラクリがよ?くわかる本 第5版」の「152ページ」に、「第4章 生損保編 注目される健康増進保険」の見出しの下、「健康増進保険は、例えば、契約するスポーツジムでの参加状況や健康診断の受診内容など、契約者の健康増進の取り組みをポイントに換算して健康レベルを評価し、それに基づいて翌年からの保険料が高くも安くもなる仕組みです。」の記載がある。
(https://books.google.co.jp/books?id=KZ2dDwAAQBAJ&printsec=frontcover&dq=%E5%9B%B3%E8%A7%A3%E5%85%A5%E9%96%80%E6%A5%AD%E7%95%8C%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%9C%80%E6%96%B0%E9%87%91%E8%9E%8D%E6%A5%AD%E7%95%8C%E3%81%AE%E5%8B%95%E5%90%91%E3%81%A8%EF%BD%B6%EF%BE%97%EF%BD%B8%EF%BE%98%E3%81%8C%E3%82%88%E3%80%9C%E3%81%8F%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8B%E6%9C%AC%5B%E7%AC%AC%EF%BC%95%E7%89%88%5D&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwiqw-H6markAhXExosBHSlPDD8Q6AEILzAB#v=onepage&q&f=false)
イ 「SankeiBiz」のウェブサイトにおいて、「生保各社、健康増進保険の開発相次ぐ 割引や買い物に特典/2016.10.28 05:00」の見出しの下、「死亡保険や医療保険の加入者の健康状態が良くなると、保険料の割引や買い物の利用特典を受けられる『健康増進保険』の開発に、生保各社が力を入れている。健康志向の高まりを背景に、新しいタイプの保険商品の開発で契約の拡大を狙う。」の記載がある。
(https://www.sankeibiz.jp/business/news/161028/bse1610280500002-n1.htm)
ウ 「経済産業省」のウェブサイトにおける「第5回 産業構造審議会 2050経済社会構造部会」の「参考資料2 滝波政務官提出資料(明るい社会保障改革研究会 報告書)」に、「?予防・健康づくりを社会保障の『第5分野』に位置づけ、『百年健幸』の国づくりを進めるべき?/平成31年4月10日」の見出しの下、「4.個人へのナッジ・インセンティブ」に、「(3)健康増進保険の導入促進 現在、生命保険の中で、健診受診や歩行等の健康増進に応じて保険料の割引等を行う健康増進特約の導入が進んでいる。こうした仕組みは、生命保険加入者の予防・健康づくりを促進する上で効果的と考えられることから、がん保険も含めて、その導入を促進すべきである。」(6ページ)の記載がある。
(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/005.html)
(2)新聞記事情報
ア 2019年6月14日付け「ニッキン」(5ページ)において、「メットライフ生命、法人向け健康増進保険、社員の歩数で配当変動」の見出しの下、「メットライフ生命保険は6月17日から、法人向けに健康増進保険を発売する。契約企業の全社員を被保険者とし、社員の歩数によって配当が変わる仕組みを採り入れたのが特徴。大手生保を中心に、個人向けの健康増進保険が広がるなか、企業ぐるみの取引で差別化を図る。新商品の名称は、医療保険『あなたと会社の健康計画』。同生保と企業が団体保険契約を結び、社員が病気やけがで入院した場合などに所定の給付金を支払う。配当が変わる『歩数実績配当方式』は、全社員の保険加入が条件。専用アプリを入れたスマートフォンを装着してもらい、年間を通じた全社員の一日平均の歩数を算出。そのレベルに応じて、企業が受け取る配当も3段階で変動する。例えば、社員数百人(40歳の男女50人ずつ)の企業で、一日の平均歩数が8千歩以上なら年間の配当額は約14万7千円。一番下のレベルの3千歩未満だと、約12万5千円まで下がる。」の記載がある。
イ 2018年5月15日付け「日刊工業新聞」(23ページ)に、「インタビュー/第一生命HD社長・・・氏『保険でQOL向上に貢献』」の見出しの下、「-商品面での取り組みは。/『顧客ニーズが多様化する中、魅力的な商品をどれだけ提供できるかが生き残りの条件になる。その中で我々が根幹に置くのは、人の生活の質(QOL)向上に貢献すること。新中計に合わせて発売した健康増進保険『ジャスト』は検診結果の提出で保険料を割り引く。健康の意識を高め、より豊かな生活につなげてもらう』」の記載がある。
ウ 2018年5月4日付け「日刊工業新聞」(13ページ)に、「『健康増進』生保各社、続々と 医療・介護費圧縮に期待」の見出しの下、「定期的な運動など健康を増進させる活動にインセンティブを与える新型の生命保険が、2018年度に本格普及しそうだ。第一生命保険は健康診断を提出するだけで保険料が安くなる保険『ジャスト』を3月末に発売。住友生命保険も、海外で実績を持つ健康増進保険『バイタリティー』を7月にも発売する。明治安田生命保険や日本生命保険も同種保険の発売を計画。健康増進保険は従来もあったが、知名度は低く加入者もまだ少ない。大手の参入で市場は広がるか。・・・健康増進保険は、この状況に一石を投じる商品だ。定期的な運動などにより保険料の割り引きやキャッシュバックがあるため、保険契約者の健康増進活動を促す。健康に気をつける人は生活習慣病にかかるリスクが低いことが多く、保険金の支払いも減少。さらには国民の健康度が広く向上することで、国の医療費や介護費の圧縮につながる期待もある。/【コンセプト進化】/健康増進保険を業界で先んじて発売したのが、東京海上日動あんしん生命保険や第一生命グループのネオファースト生命保険だ。あんしん生命の『あるく保険』は、ウエアラブル端末とスマートフォンを使い、定期的なウオーキングに対し還付金を支払う。ネオファースト生命の『からだプラス』は、健康診断の数値などを元に『健康年齢』を算出、健康状態が良ければ、実際の年齢より保険料が割安になる。損保系生保では損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険も、健康増進活動により保険料を割り引く収入保障保険『リンククロスじぶんと家族のお守り』を4月2日に発売。病気やケガによる収入の減少をカバーする商品で、加入後に禁煙するか、身長と体重のバランス(BMI)、血圧などを改善すれば保険料が最大3割安くなる。」の記載がある。
エ 2018年4月13日付け「日刊工業新聞」(25ページ)に、「インタビュー/アフラック社長・・・氏、事業戦略にスピード感」の見出しの下、「-がん保険以外の取り組みは。/『病気やケガによって働けなくなるリスクをカバーする保険を17年に発売した。商品の内容は好評だが、新たなジャンルの商品であり本格的な普及はこれから。健康状態に応じて保険料を還付するような健康増進保険についても研究している』」の記載がある。

審理終結日 2019-12-05 
結審通知日 2019-12-09 
審決日 2019-12-24 
出願番号 商願2017-75245(T2017-75245) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯田 亜紀藤平 良二 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 水落 洋
鈴木 雅也
商標の称呼 ケンコーゾーシンガタ 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 

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