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審決分類 |
審判 査定不服 外観類似 登録しない W44 審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W44 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W44 審判 査定不服 観念類似 登録しない W44 |
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管理番号 | 1360563 |
審判番号 | 不服2019-3111 |
総通号数 | 244 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-03-05 |
確定日 | 2020-02-10 |
事件の表示 | 商願2017-157197拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「くれおん」の平仮名を標準文字で表してなり、第44類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成29年11月29日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同30年8月17日付けの手続補正書及び当審における同31年5月7日付けの手続補正書により、最終的に、第44類「障がい者(高齢者を除く。)・障がい児の養護,障がい者(高齢者を除く。)・障がい児のためのセラピー,障がい者(高齢者を除く。)・障がい児の健康管理に関する指導及び助言,障がい者(高齢者を除く。)・障がい児のための心理相談及び心理療法における生活指導」に補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、拒絶の理由に引用した登録第5663867号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおり、「クレヨン」の片仮名及び「CRAYON」の欧文字、そして「C」の文字部分をやや図案化した「CRAYON」の欧文字を三段に書してなり、平成25年7月18日登録出願、第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),会議室の貸与,展示施設の貸与」を指定役務として、同26年4月11日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、「くれおん」の文字からなるところ、我が国の一般的な辞書に載録されている「クレヨン」の解説として、「棒状のろう絵の具。洋画・児童画に使う。クレオン。」(「大辞泉第二版」小学館)と記載されていることからすれば、当該文字は、「クレヨン」の同義語「クレオン」を平仮名で表記したものと理解されるとみるのが相当であるから、その構成文字に相応して「クレオン」の称呼及び「クレヨン。棒状のろう絵の具」の観念が生じるものである。 (2)引用商標について 引用商標は、上記2のとおり、「クレヨン」の片仮名及び、「CRAYON」の欧文字と「C」の文字部分をやや図案化した「CRAYON」の欧文字からなるところ、その構成中の「クレヨン」の片仮名は、「棒状のろう絵の具。洋画・児童画に使う。クレオン。」(「大辞泉第二版」小学館)の意味を有する語であり、また、「CRAYON」の文字は、「(図画用)クレヨン。クレヨン画」等の意味を有する英語(「ランダムハウス英和大辞典第2版」小学館)であるから、「クレヨン」の文字は、「CRAYON」の読みを表したものといえる。 したがって、引用商標はその構成文字に相応して「クレヨン」の称呼及び「クレヨン。棒状のろう絵の具。」の観念を生じるものである。 (3)本願商標と引用商標の類否について 本願商標と引用商標の類否を検討すると、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、両商標は、その構成文字に差異を有するものであるから、外観上、相違するものである。 次に、称呼においては、本願商標から生じる「クレオン」の称呼と、引用商標から生じる「クレヨン」の称呼とを比較すると、両商標は、いずれも4音で構成されるものであって、第3音目において「オ」と「ヨ」の音が相違するものの、他の「ク」、「レ」、及び「ン」の音を共通にするものである。そして、相違する「オ」と「ヨ」の音にしても、母音「o」を共通にする互いに近似した音であって、しかも、明確に聴覚し難い中間に位置することから、それぞれを一連に称呼したときは、語調、語感が近似し、互いに聞き誤るおそれがあるというべきである。 また、観念においては、両者は「クレヨン。棒状のろう絵の具。」の観念を共通にするものである。 そうすると、本願商標と引用商標は、外観において差異を有するものの、観念を同一にし、称呼において互いに聴き誤るおそれがあるから、これらを総合して考察すれば、両商標は、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。 (4)本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について 本願商標の指定役務中の第44類「 障がい者(高齢者を除く。)・障がい児の養護」と引用商標の指定役務中の第43類「高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。)」とは、いずれもその業種が「社会保険・社会福祉・介護事業」(日本標準産業分類「大分類P-医療,福祉 中分類85-社会保険・社会福祉・介護事業」)に含まれるものであり、共に福祉を目的とする事業であって、事業者も共通になり得ることから、これらに同一又は類似の商標が使用された場合には、その出所について混同を生ずるおそれのある類似の役務というべきである。 (5)小括 以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、引用商標の指定役務と類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (6)請求人の主張について ア 請求人は、「くれおん」の文字が原審において引用した辞書類に記載されていないとして、「一般に外来語を表音する場合に用いられるのはカタカナ文字であり、引用された辞書類においても、『クレオン』が『クレヨン』とともにフランス語『crayon』の日本語表記であることは理解できるものの、一般的な日本人のフランス語に対する理解力を前提とすれば、ひらがな文字『くれおん』に接した需要者が直ちに『クレヨン』や『crayon』を連想想起するとは到底思われない。」旨主張する。 しかしながら、「クレオン」の片仮名が、「クレヨン」の意味合いとして理解されることからすれば、これを単に平仮名表記したことによって、全く別異の意味合いを生じるようなことはなく、また、何の意味合いも想起することのない造語と理解させるとみるべき合理的理由も見いだせない。 そして、前記のとおり、称呼において紛れるおそれもあることをも勘案すれば、本願商標は、「クレヨン」の意味合いを理解させる「クレオン」の片仮名を平仮名表記したにすぎないものであって、「クレヨン」と同じ意味合いを理解させるとみるのが相当であるから、容易に「クレヨン」を想起するものといえる。 イ 請求人は、平成31年5月7日付けの手続補正書により、本願の指定役務を「障がい者(高齢者を除く。)・障がい児の養護,障がい者(高齢者を除く。)・障がい児のためのセラピー,障がい者(高齢者を除く。)・障がい児の健康管理に関する指導及び助言,障がい者(高齢者を除く。)・障がい児のための心理相談及び心理療法における生活指導」に補正すること、すなわち、本願の使用対象役務から「高齢者を除く」とすることで、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務が非類似である旨主張する。 しかしながら、商標法第4条第1項第11号は、他人の先願に係る登録商標と同一又は類似の商標であって、その登録商標に係る指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をする商標は登録を受けることができない旨定めており、商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは、その指定商品又は指定役務全般についての一般的、恒常的なそれを指すものである。 そして、請求人は、本願商標の指定役務から「高齢者を除く」としているが、本願商標の指定役務中「障がい者(高齢者を除く。)・障がい児の養護」と引用商標に係る指定役務中「高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。)」とは、共に福祉関連事業であること、事業者が共通するといい得ることからすれば、請求人がその指定役務から「高齢者を除く」としているのは、恣意的に需要者層を限定しているにすぎず、本来、「障害者の養護」という役務は、その需要者には高齢者も含まれる役務であり、両役務に同一又は類似の商標を使用した場合には、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるとみるのが相当であるから、両役務は類似するとみるべきである。 したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。 (7)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(引用商標) |
審理終結日 | 2019-11-28 |
結審通知日 | 2019-12-02 |
審決日 | 2019-12-19 |
出願番号 | 商願2017-157197(T2017-157197) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(W44)
T 1 8・ 263- Z (W44) T 1 8・ 264- Z (W44) T 1 8・ 261- Z (W44) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 吉澤 拓也、榊 亜耶人 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 水落 洋 |
商標の称呼 | クレオン |
代理人 | 小林 十四雄 |
代理人 | 岡村 信一 |