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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W14
審判 全部申立て  登録を維持 W14
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管理番号 1358877 
異議申立番号 異議2018-900283 
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-26 
確定日 2019-09-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第6061859号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6061859号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6061859号商標(以下,「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成からなり,平成29年11月8日に登録出願,第14類「貴金属製合金,ブレスレット,ブローチ,イヤリング,宝飾品,宝石箱,宝飾用チェーン,ロケット,ネックレス,人造宝飾品,宝飾品のピン,宝玉,宝玉の原石,指輪,貴金属製小立像,時計,貴金属製造形品,腕時計」を指定商品として,同30年6月29日に登録査定,同年7月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標及び申立人商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件登録異議の申立ての理由において,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は,以下の2件の商標であり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,これらの商標をまとめていうときは,「引用商標」という。)。
(1)国際登録第1341298号商標(以下,「引用商標1」という。)は,別掲2に示すとおりの構成からなり,2016年6月27日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,同年11月29日に国際商標登録出願,第14類「clocks,watches,wristwatches」(参考訳:時計,腕時計),第35類「Retail sale services for watches and chronometric instruments」(参考訳:時計及び計時用具の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)を含む第9類,第14類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成30年2月2日に日本国において設定登録されたものである。
(2)登録第2304713号商標(以下,「引用商標2」という。)は,別掲3に示すとおりの構成からなり,昭和62年9月11日に登録出願,第23類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として,平成3年4月30日に設定登録されたものであり,同12年12月19日及び同23年3月15日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。そして,指定商品については,平成13年8月8日に第9類「眼鏡,眼鏡の部品及び附属品」及び第14類「時計,時計の部品及び附属品」とする書換登録がされたものである。

2 申立人が,本件登録異議の申立ての理由において,本件商標が商標法第4条第1項第7号,同項第10号及び同項第19号に該当するとして引用する申立人の標章(以下,「申立人商標」という。)は,別掲4に示した構成からなるものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第11号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号の規定によりその登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した(以下,「甲1」のように表示する。)。

1 申立て理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号
本件商標は,引用商標に類似する商標であって,その指定商品も,引用商標の指定商品,役務と一部同一又は類似である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号
本件商標は,周知著名な申立人商標に類似する商標であって,申立人の製造,販売する商品である「腕時計」と同一又は類似する商品について使用するものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号
申立人商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間で広く認識されている。
そして,本件商標は,申立人商標と類似しており,かつ,不正の目的をもって使用をするものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号
本件商標は,申立人商標を容易に想起,連想させるものであって,剽窃的に採用,使用するものであることから,商標権者による本件商標の独占的な使用は,商標法の法目的である,健全な商取引,流通秩序の維持,発展を害するものであり,国際信義に反するものである。
したがって,本件商標は,公序良俗に反し,商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人商標の周知・著名性について
申立人の主張及び同人の提出に係る上記甲各号証によれば,以下のとおりである。
(1)申立人は,1832年に創業し,スイスのサンティミエに拠点を置く時計メーカーである(甲8の6,14及び15,甲9の5,他)。
(2)申立人は,140以上の国でビジネスを展開しており,これまでに数多くの世界的なスポーツイベントの公式パートナーを務めている(申立人の主張及び甲5の1?5)。
(3)申立人は,傘下に数々の有名時計ブランドを持つスウォッチ・グループのメンバーでもあり,5大陸にまたがり35の事業所を有している。(申立人の主張及び甲9の3)。
(4)申立人は,1867年から「翼のある砂時計」の商標を使用しており,1893年には,現・世界知的所有権機関(WIPO)の前身,知的所有権保護合同国際事務局に商標登録を得ている(申立人の主張及び甲6)。
(5)2017年に,体操の内村航平選手を,日本人として初めてのアンバサダーとして迎え入れたことが話題となった(甲7,8の6)。
(6)申立人の提供する腕時計(以下,「申立人商品」という。)は,国内の雑誌において取り上げられ,2008年及び2017年から2018年頃にかけて,雑誌のオンライン版サイトの記事に掲載されており,申立人商品が申立人商標又は「LONGINES」若しくは「ロンジン」の文字と共に紹介されている(甲8の1?15)。
(7)申立人商品を紹介する一般需要者や時計専門店の運営するブログの中で,申立人商標の図形部分について,「有翼の砂時計」,「翼の生えた砂時計」,「翼を持つ砂時計」,「翼のついた砂時計」のように記載されている(甲9の1?10)。
(8)申立人は,テレビ,雑誌,新聞等さまざまなメディアを通じて自社の提供する腕時計のプロモーションを行っており,2012年から2018年頃にかけて,国内の雑誌にも申立人商標が付された申立人商品の広告が掲載された(甲10の1?7)。
(9)上記(1)ないし(8)の事実等を総合勘案すれば,申立人商標及び「LONGINES」又は「ロンジン」の文字は,申立人商品に使用され,本件商標の登録出願時には既に,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国及び外国の「時計」に係る取引者,需要者の間に広く認識されていたものであり,その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
なお,申立人商標の図形部分が単独で使用されている状況は見いだせない。

2 本件商標と引用商標の類否について
(1)本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,「LIGE」の欧文字と図形の組み合わせからなるところ,「LIGE」の文字は,我が国において親しまれた語ともいえないことから,特定の意味合いを生ずることのない一種の造語として認識されるものである。
そして,特定の意味を有さない欧文字からなる造語にあっては,我が国において親しまれた外国語である英語読み又はローマ字読みに倣って,称呼されるとみるのが一般的であるから,本件商標の構成中「LIGE」の文字部分からは,「リジェ」又は「リゲ」の称呼が生じるとみるのが自然である。
また,図形部分は,中央部に輪郭線を伴う黒塗りの7角形状図形(該図形の内側には,白抜きで大きく表記されたL字状の図形が配されている。)を配し,その左右に翼状の幾何図形を配した構成からなるものであるから,全体として,左右に広げた翼をモチーフとする図形として看取され得るものである。
(2)引用商標
引用商標1及び引用商標2は,別掲2及び別掲3のとおり,「LONGINES」の文字と図形の組合せからなるところ,これは,申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者,需要者の間に広く認識されていた申立人商標と同一又は類似の商標であると認められるものである。
そして,引用商標は,構成中の大きく顕著に表された文字部分も図形部分とは独立して自他商品識別機能を有するものであり,該文字部分に相応して,「ロンジン」の称呼を生じ,「(申立人のブランドとしての)LONGINES」の観念を生じさせるものである。
また,図形部分は,中央部に上下に横線とその横線を交叉させた斜線が描かれているやや縦長四角形を配し,該やや縦長四角形を基点として左右に切れ込みが3本ある一体的で直線的な翼状の幾何図形を配した構成からなるものであるから,全体として,左右に広げた翼をモチーフとする図形として看取され得るものであり,これよりは,特定の称呼及び観念は生じない。
(3)本件商標と引用商標の比較
そこで,本件商標と引用商標とを比較するに,両者は,それぞれ上記において述べたとおりの構成態様からなるものであるから,両商標は,その構成中の図形部分において,左右に広げた翼をモチーフとする図形という点においては共通するものの,文字部分における構成文字及び文字数の相違並びに図形部分の中央部における形状等といった構成上の相違を勘案すれば,全体から受ける印象が明らかに相違するものであり,外観上,相紛れるおそれはない。
また,本件商標からは,「リジェ」又は「リゲ」の称呼を生じるものであるのに対し,引用商標からは,「ロンジン」の称呼を生じるものであるから,両称呼は,その音の構成及び数において明らかに相違するものであって,それぞれを一連に称呼しても,語感,語調が相違し,互いに聴き誤るおそれはない。
さらに,本件商標は特定の観念を生じることのないものであるのに対し,引用商標は「(申立人のブランドとしての)LONGINES」の観念を生じるものであるから,両商標は,観念上,相紛れるおそれはない。
加えて,本件商標と引用商標の図形部分のみを比較したとしても,上記のとおり各図形の中央部における形状において明らかな相違があるから,両者は外観において相紛れるおそれはない。
また,本件商標と引用商標の文字部分のみを比較したとしても,上記のとおり,両者は,外観,称呼及び観念において相紛れるおそれはない。
その他,本件商標と引用商標とが類似する商標であるとする理由は,見いだせない。
以上のことを総合して考察すると,本件商標と引用商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

3 商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標と申立人商標とは,たとえ本件商標の指定商品と申立人商品が類似し,申立人商標が本件商標の登録出願時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,「時計」に係る取引者,需要者の間に広く認識されていたとしても,上記2のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,引用商標と同一又は類似の商標であると認められる申立人商標もまた,本件商標とは,非類似の商標であって,十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第11号該当性について
引用商標の指定商品又は指定役務が本件商標の指定商品と同一又は類似のものを含むものであるとしても,本件商標と引用商標とは,上記2のとおり,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1の(9)のとおり,申立人商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国及び外国の需要者の間に広く認識されているものであるとしても,上記2のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,引用商標と同一又は類似の商標と認められる申立人商標もまた,本件商標とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
また,本件商標権者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的,その他の不正の目的をもって本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を見いだすこともできない。
そうすると,本件商標は,申立人商標の出所表示機能を希釈化し又は名声を毀損させるなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。

6 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人商標が,申立人商品のブランドとして,我が国の時計の取引者及び需要者の間において広く知られていたものといえるとしても,上記したとおり,本件商標は,申立人商標と非類似の商標であって別異の商標であり,申立人商標又は申立人商品を連想,想起させるものではないから,これを登録することが,申立人と何等かの関連があるかのような誤認を生じさせるおそれはなく,本件商標権者が,不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的,その他の不正の目的をもって本件商標を登録出願したものとはいうことができない。
また,本件商標は,その構成自体がきょう激,卑わい,差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないことはもとより,申立人提出の証拠からは,本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くなどの事実は見当たらず,本件商標をその指定商品について使用することが,社会の一般道徳観念に反するものとはいえず,さらに,他の法律によってその使用が禁止されているものとも,外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって,国際信義に反するものとも認められないものである。
その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。
したがって,商標法第4条第1項第7号に該当しない。

7 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第11号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1
本件商標(登録第6061859号)


別掲2
引用商標1(国際登録第1341298号)


別掲3
引用商標2(登録第2304713号)


別掲4
申立人商標


異議決定日 2019-07-26 
出願番号 商願2017-146853(T2017-146853) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W14)
T 1 651・ 25- Y (W14)
T 1 651・ 261- Y (W14)
T 1 651・ 222- Y (W14)
T 1 651・ 262- Y (W14)
T 1 651・ 22- Y (W14)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菊池 夏未福田 洋子 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 木村 一弘
板谷 玲子
登録日 2018-07-13 
登録番号 商標登録第6061859号(T6061859) 
権利者 黄忠紹
商標の称呼 リジェ、リゲ 
代理人 西尾 隆弘 
代理人 杉村 憲司 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 門田 尚也 

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