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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2018900240 審決 商標
無効2018890073 審決 商標
不服201810016 審決 商標
不服20187002 審決 商標
不服201810015 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W25
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W25
審判 査定不服 観念類似 登録しない W25
管理番号 1358741 
審判番号 不服2018-14531 
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-01 
確定日 2019-12-16 
事件の表示 商願2017-94273拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,履物用滑り止め具」を指定商品として、平成29年7月13日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、平成30年4月2日付けの手続補正書により、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,履物用滑り止め具」と補正されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録第5880257号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成28年1月15日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」を指定商品として、同年9月9日に設定登録され、その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、そのためには、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合し、当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し、図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、経験則上、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合、取引の実際において、一部の構成部分のみによって称呼、観念されることも少なくないといえる。このことから、結合商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などは、当該構成部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号、最高裁平成3年(行ツ)第103号、最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。
上記の観点から、本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、「SCHOOL」の欧文字(やや右側に斜傾した態様で書されている)を横書きし、当該文字の左側に、空白を空けて、楕円とそれに接する曲線からなり、全体として左周りの隅丸の弧線からなる黒色の渦巻き状と想起しうる図形(以下、単に「図形部分」という。)を配してなるものである。
そして、本願商標の文字部分と図形部分とは、互いに接することなく、視覚的に明確に分離して認識できるところ、図形部分は、その構成から特定の称呼や観念が想起されるとは認め難いものである。
他方、文字部分である「SCHOOL」の欧文字は、「学校」を意味する語として、我が国において広く親しまれている英語であるから(「ベーシック ジーニアス英和辞典」参照)、その構成文字に相応して、「スクール」の称呼、及び「学校」の観念が生じるものである。
そして、本願商標の文字部分と図形部分とが、観念的に密接な関連性を有しているとは考え難いし、一連一体となった何かしらの称呼が生じるともいえない。また、該文字部分及び図形部分は、指定商品との関係で、当該商品の品質等を直ちに表すものともいえない上、このほかに各部分が単独では出所識別機能を有しないと認めるに足りる事情も見当たらない。
これらの事情を総合すると、本願商標は、その文字部分と図形部分を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合していると認めることはできないから、その構成中の文字部分及び図形部分のそれぞれを要部として抽出し、この部分のみを他人の商標(引用商標1)と比較して商標の類否を判断することも許されるものである。
したがって、本願商標は、その要部の一である文字部分の構成文字に相応して、「スクール」の称呼が生じ、「学校」の観念が生じるというのが相当である。
(3)引用商標
引用商標は、「SCHOOL」の欧文字(エジプシアンのシティ・ボールド書体に近い態様(「改訂 基本レタリング」真覚静子著、株式会社凰山社発行参照)を横書きしてなるところ、構成文字に相応して、「スクール」の称呼が生じ、「学校」の観念が生じるものである。
(4)本願商標と引用商標の類否
ア 外観について
本願商標の要部の一である「SCHOOL」の文字部分と引用商標とを対比すると、両者はつづり及び一連に横書きされている点を共通にすることに加えて、欧文字の表記も、格別特異な態様であるということもできないから、外観上、近似した印象を与える。
イ 称呼及び観念について
本願商標の要部の一である「SCHOOL」の文字部分と引用商標は、「スクール」の称呼及び「学校」の観念を共通にする。
ウ 小括
以上から、本願商標の要部の一である「SCHOOL」の文字部分と引用商標を対比すると、両者は、「スクール」の称呼及び「学校」の観念を共通にし、また、その外観においては近似した印象を与えるものである。そうすると、本願商標は、その要部における引用商標との外観、称呼及び観念の共通性を総合的に勘案すれば、本願商標と引用商標は、同一又は類似の商品に使用されるときは、相紛らわしい類似する商標というべきである。
したがって、本願商標は、引用商標と類似する商標であるというのが相当である。
(5)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否
本願商標の指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」と引用商標の指定商品である第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」とは、同一又は類似の商品と認められる。
(6)まとめ
以上によれば、本願商標は、引用商標に類似する商標であり、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、「@SCHOOL」の7文字を横一連に全体を特徴的な書体を全ての構成文字に用いて、同色・同大・同間隔で書してなるものであって、引用商標とは非類似である旨主張する。
しかしながら、「@」の記号は、欧文字「a」を構成する丸の右に付けた縦の接線を伸ばして文字全体を覆うように円を描き、「a」の下まで弧線を有する点に特徴を有し、全体として、丸まった印象を受けるものである。これに対し、本願商標中の図形部分は、縦長の円を描き、その右側に付けた接線が上へ伸び、やや角を有しながら左へ曲がって、更に同様の角を有しながら下に曲がった線を配してなるが、接線の終点はその起点と高さを揃えて、縦長の円の下部まで弧線を有していない。そのため、本願商標の図形部分は、全体として、角張った印象を受けるものである。
そうすると、本願商標の図形部分は、「@」の記号とは、構成の軌を一にするとはいえず、全体の印象も大きく異なるものであって、記号というよりも図形として印象付けられるとみるのが自然である。
また、本願商標の指定商品を取り扱う業界において、本願商標の図形部分が「@」の記号と一般的に認識されるものと認めるに足る事実は発見できなかった。
したがって、本願商標の図形部分は「@」の記号を表したものとはいえず、本願商標は、図形と「SCHOOL」の6文字からなる商標と見るのが相当である。
そうすると、上記(6)のとおり、本願商標と引用商標とは、互いに類似する商標といわざるを得ない。
イ 請求人は、引用商標の商標権の効力は、そのデザイン化されたロゴによる外観上の特徴を異にする商標にまで拡大されて及ぶものではなく、それが、あらゆる表示態様の「SCHOOL」の文字にまで独占排他的に及ぶということになれば、「学校用(学生用)の商品」が数多く存在する指定商品中の「被服」「靴」などの商取引において、「SCHOOL」の文字の使用・採択にまで無用な制約を受け、正常な商取引を著しく阻害し、混乱を招くこととなりかねない旨主張する。
しかしながら、指定商品中「被服」「靴」の分野において、「学校用(学生用)の商品」が存在することによって、仮に、「SCHOOL」の語が、一部指定商品との関係において、自他商品識別力が弱い場合があるとしても、例えば、商品「被服」の範ちゅうに含まれる「寝巻き類、和服、ナイトキャップ」や、商品「靴」の範ちゅうに含まれる「サンダル靴、靴中敷き、地下足袋」等との関係においては、自他商品識別力が無い又は弱いとみるべき事情は見いだせないから、「SCHOOL」の語は、これらの商品との関係において、自他商品識別力を有するといえるものである。
そうすると、引用商標の商標権の効力が引用商標と態様の異なる「SCHOOL」の文字に独占排他的に及ぶことによって、そのことが直ちに「SCHOOL」の文字の使用・採択を制約し、正常な商取引の阻害や混乱を招くとまではいうことはできない。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(8)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標)


審理終結日 2019-09-30 
結審通知日 2019-10-03 
審決日 2019-10-31 
出願番号 商願2017-94273(T2017-94273) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (W25)
T 1 8・ 261- Z (W25)
T 1 8・ 262- Z (W25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 晃弘河島 紀乃山本 敦子 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 豊田 純一
庄司 美和
商標の称呼 アットスクール、アットマークスクール、エイスクール、アスクール、スクール 

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