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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W05
審判 査定不服 観念類似 登録しない W05
審判 査定不服 外観類似 登録しない W05
管理番号 1358740 
審判番号 不服2018-12443 
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-18 
確定日 2019-12-17 
事件の表示 商願2017-122150拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第5類「食餌療法用飲料,食餌療法用食品,食餌療法用食品・飲料・薬剤,ミネラルを主原料とする栄養補助食品,栄養補助食品,プロテインを主原料とする栄養補助食品,ビタミン剤」を指定商品として、平成29年9月13日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5983311号商標(以下「引用商標」という。)は、「毎日腸活」の文字を横書きしてなり、平成29年2月24日に登録出願、第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),サプリメント,蛋白質・ペプチド・アミノ酸・アミノ糖類・糖質・脂質・ビタミン・ミネラル・炭水化物・食物繊維・食用動植物又はその抽出物・食用菌類の1又は2以上を主原料とする固形状・粉末状・顆粒状・錠剤状・カプセル状・ペースト状・ゲル状・ゼリー状・液体状の加工食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」を指定商品として、同年9月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、複数の図形と文字からなる商標と看取、把握されるものであり、その全体構成において、青色で彩色され、本願商標の上部に配された「Nestle」(「N」の文字はややデザイン化されており、語尾の「e」の文字にはアクサン記号と思しき図形が付されている。以下同じ。)の文字、赤色の略楕円を背景として白抜きで右上がりに傾斜をつけて大きく表された「BOOST」の文字及び青色で彩色され、本願商標のほぼ中央部に大きく横書きされた「毎日腸活」の文字が、それぞれの配置、大きさ及び態様から、看者の注意をひく部分であるといえる。
そして、本願商標の構成中の「Nestle」の文字は、請求人の略称であって、請求人が販売する食品、飲料に使用されるものであり、また、「BOOST」の文字は、「押し上げる」の意味を有する語(「ベーシックジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店)として、一般に広く知られているものであり、さらに、「毎日腸活」の文字部分は、その構成中、「毎日」の文字が「日ごと。ひび。」の意味を(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)、「腸活」の文字が「腸内に生息する腸内細菌のうち、善玉菌(乳酸菌)を強化して腸内環境を改善し、腸内フローラ(菌叢)のバランスを維持するための活動を指す。」の意味を有する語(「現代用語の基礎知識 2019」株式会社自由国民社)であるものの、両者が結合した「毎日腸活」の文字は、辞書等に載録のないものであり、本願の指定商品を取り扱う業界において、特定の意味合いを有する語として使用されている等の事情もないものであるから、「毎日腸活」の文字全体としては、特定の語義を有しない一種の造語とみるのが自然である。
そうすると、「Nestle」の文字、「BOOST」の文字及び「毎日腸活」の各文字は、それぞれ上記の意味合い等を有する語又は造語として理解されるものであり、本願の指定商品との関係において、商品の品質等を具体的に表したものとして認識されるといった事情も見いだせないことから、自他商品を識別する機能を有するものであるといえ、また、これらの各文字は、それぞれの配置、大きさおよび態様から、外観上、明確に分離して看取されるものであり、さらに、各文字は、相互に関連性を有する語でもないことから、観念上のつながりもなく、文字部分全体から生じる「ネスレブーストマイニチチョウカツ」の称呼は、長音を含めて15音と冗長なものであることからすれば、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認めることはできない。
以上のことからすれば、本願商標は、その構成中、「Nestle」の文字、「BOOST」の文字及び「毎日腸活」の文字が、それぞれ独立して取引者、需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たす要部になり得る部分であり、特に、「毎日腸活」の文字については、本願商標のほぼ中央部に、普通の書体で極めて読みとりやすく大きく一段に表されていること、及び本願の指定商品の品質等を具体的に表したものとして認識されるといった事情も見いだせないことから、構成上、独立して看者の注意をひく要部の一であるといえる。
そうすると、「毎日腸活」の文字と引用商標とを比較して、商標の類否を判断することは許されるというべきであり、本願商標からは「毎日腸活」の文字部分に相応して「マイニチチョウカツ」の称呼を生じ、上記のとおり一種の造語であるから特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「毎日腸活」の文字を横書きしてなるものであり、上記(1)と同様に、「マイニチチョウカツ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否
本願商標の要部の一である「毎日腸活」の文字部分と引用商標とを対比すると、両者は、「毎日腸活」の文字構成が同一であることに加え、一般的な書体で横書きに表されている点を共通にするため、外観上、酷似し、また、「マイニチチョウカツ」の称呼を共通にするものである。
そうすると、本願商標の構成中の「毎日腸活」の文字と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観において「毎日腸活」の文字を同一とし、「マイニチチョウカツ」の称呼をも同一とするものであるから、これらを総合勘案すれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願の指定商品は、引用商標の指定商品中、第5類「薬剤(農薬に当たるものを除く。),サプリメント,蛋白質・ペプチド・アミノ酸・アミノ糖類・糖質・脂質・ビタミン・ミネラル・炭水化物・食物繊維・食用動植物又はその抽出物・食用菌類の1又は2以上を主原料とする固形状・粉末状・顆粒状・錠剤状・カプセル状・ペースト状・ゲル状・ゼリー状・液体状の加工食品,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」と同一又は類似のものである。
(5)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、「腸活」の文字は、「腸内環境を整える活動」といった意味で広く一般的に使用されており、「毎日」の文字は、健康食品等の分野において、日々の健康維持や健康増進効果を謳うフレーズに用いられている実情があることから、「毎日腸活」の文字は、「日々の腸内環境を整える活動」といった意味合いで理解され、さらに、サプリメントや食品、飲料の分野において、「毎日腸活」「毎日の腸活」が上記意味合いで使用されている事実が見受けられることから、該文字は、品質を表すにすぎず、単独で出所識別標識として機能するものではない旨主張し、甲第1号証ないし甲第20号証を提出している。
しかしながら、請求人が挙げる甲各号証からは、腸活用のサプリメントが販売されていること、ヨーグルトや発酵食品等を紹介する記事やそれらの販売促進等の宣伝広告に「毎日腸活」の文字が用いられる場合があることが見受けられるものの、それらをもって、本願の指定商品に係る取引者、需要者が、該「毎日腸活」の文字について、商品の品質等を具体的に表したものと認識するとまでは認められない。
なお、請求人は、サプリメントについて「毎日腸活」の文字を使用した例として、甲第12号証を提出しているが、提出された証拠は、個人のブログにおいて、ヨーグルトに関連して乳酸菌サプリメントを紹介する際に、「毎日腸活」の文字が用いられているにすぎず、その使用例も僅か1件にとどまるものであることからすれば、これをもって、「毎日腸活」の文字が出所識別標識としての機能を果たし得ないとはいえない。
イ 請求人は、ヨーグルト等の食品に含まれる乳酸菌が腸内環境の改善に役立つものであることは広く知られており、ヨーグルトが毎日の腸活に有効であることを示すために「毎日腸活」や「毎日の腸活」の語が使用されているところ、栄養補助食品(サプリメント等)と一般的な食品、飲料とが、同一事業者によって製造販売されることは、実際の取引において一般的に行われており、これらは共にドラッグストアやコンビニエンスストアで販売されていることから、商品の生産部門、販売部門を共通するため、本願商標が、本願の指定商品について使用された場合にも、「毎日腸内環境を整える」ための商品を表す品質表示であると一般に認識されると考えるのが自然である旨主張し、甲第21号証ないし甲第25号証を提出している。
しかしながら、請求人が挙げる甲各号証からは、医薬品及び食品を製造販売する大手企業が、自社のウェブサイトにおいて、「菓子」「健康食品」「サプリメント、医薬品」等を商品カテゴリとして表示していること(甲23)、また、大手乳製品企業が、自社のウェブサイトにおいて、機能性表示食品のヨーグルトと通常のヨーグルトとを、「ヨーグルト」のカテゴリに表示している(甲22)といったこと等が見受けられるものの、それらの証拠をもって、サプリメント等の栄養補助食品と一般的な食品、飲料とに、密接な関連性があるとまではいえない。
なお、サプリメント等の栄養補助食品は、飲食料品の製造業者や製薬業者によって製造されているものであって、通常、薬局やドラッグストア、インターネット上の通信販売等により販売されているものであり、一般的な食品、飲料は、主に飲食料品の製造業者によって製造されているものであって、通常、デパート、スーパーマーケット、コンビニエンスストア及びドラッグストアを含む様々な小売店のほか、インターネット上の通信販売等によっても販売されているものである。そうすると、両者は、同一の事業者が両商品を製造する場合があり、インターネット上の通信販売等において販売場所を共通にする場合があるとしても、それぞれの商品の品質、原材料及び用途については相当異なるものであり、さらに、それぞれの商品の販売部門及び需要者層についても、相違するものとみるのが相当である。
ウ 請求人は、「毎日腸活」の文字は、上記アのとおり、商品の出所識別標識として機能することはなく、むしろ、著名な「Nestle」の文字や、外観上目を引く「BOOST」の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与える旨述べるとともに、本願の指定商品である栄養補助食品のような健康に資する商品は、その品質や効能が重視されるため、需要者、取引者は、商品選択にあたって、商品の出所について十分な注意を払って吟味するという実情があり、パッケージに表示された様々な要素が商品選択に際して重要な役割を果たすことから、「毎日腸活」の文字が大きく表されているとしても、需要者、取引者が、商品の品質を表したにすぎない「毎日腸活」部分のみに着目し、取引にあたるとは考えられず、本願商標に接した需要者、取引者は、「ネスレが展開する『BOOST(ブースト)』シリーズの一つ」と認識すると考えるのが自然である旨主張し、甲第37号証及び甲第38号証を提出している。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、本願商標は、「Nestle」の文字、「BOOST」の文字及び「毎日腸活」の文字が、外観上、明確に分離されていることに加え、「毎日腸活」の文字は、本願の指定商品との関係において、商品の品質等を表すものではないから、本願商標からは、「毎日腸活」の文字のみでも、商品の出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものであり、請求人が主張するように、パッケージに表示された様々な要素が商品選択に際して重要な役割を果たすという取引の実情からすれば、本願商標のほぼ中央部に、普通の書体で極めて読みとりやすく大きく一段に表されている「毎日腸活」の文字が、商品選択に際して果たす役割は大きいものといえる。また、請求人は、本願商標から需要者は「ネスレが展開する『BOOST(ブースト)』シリーズの一つ」と認識すると主張するが、「Nestle」の文字が「BOOST」及び「毎日腸活」の文字よりも著しく離れた箇所に小さく表示されている上、「BOOST」及び「毎日腸活」の各文字がほぼ同じ横幅で表示されていることからすれば、本願商標に接する需要者等が、請求人が主張するように各文字を一体に捉えた意味合いを必ず認識し、それにより商品を選択すると認め得る事情は見当たらない。
そうすると、本願商標は、その構成中、「毎日腸活」の文字が独立して取引者、需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものであり、該文字を要部の一として抽出し、これと引用商標とを比較して、商標そのものの類否を判断することが許されるといえることは、上記(1)のとおりである。
なお、請求人は、過去の判決例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、いずれも商標の構成態様、指定商品などについて、本願とは事案が異なるものであるばかりでなく、商標の類否の判断は、登録出願に係る商標と他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるものであるところ、本願商標と引用商標とは、上記(3)のとおり、類似の商標であるから、請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標(色彩については原本参照。)




審理終結日 2019-07-19 
結審通知日 2019-07-22 
審決日 2019-08-06 
出願番号 商願2017-122150(T2017-122150) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W05)
T 1 8・ 263- Z (W05)
T 1 8・ 261- Z (W05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 旦 克昌大橋 良成 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 小田 昌子
石塚 利恵
商標の称呼 ネスレヘルスサイエンス、ネスレ、ネッスル、ヘルスサイエンス、サイエンス、ブースト、マイニチチョーカツ、グアーガムブンカイブツ、オツージガキニナルカタエ、ショクセーカツワシュショクシュサイフクサイオキホンニショクジノバランスオ 
代理人 黒川 朋也 
代理人 水谷 綾乃 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 魚路 将央 
代理人 工藤 莞司 

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