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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W31
審判 査定不服 外観類似 登録しない W31
審判 査定不服 観念類似 登録しない W31
審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W31
管理番号 1357793 
審判番号 不服2018-8342 
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-18 
確定日 2019-11-13 
事件の表示 商願2016-143583拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「桃源郷」の文字を標準文字で表してなり、第31類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成28年12月22日に登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同29年12月28日受付の手続補正書により、第31類「ハオルシア,ハオルシアの苗,ハオルシアの種子」に補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要旨
原審においては、本願を拒絶すべき旨の理由として、以下の(1)及び(2)を通知した後、本願商標は、その(1)の拒絶の理由に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、本願の指定商品との関係において、さつきの品種、多肉植物の品種を理解させるものといえることから、本願商標を、その指定商品に使用しても、これに接する需要者は、「桃源郷」種のさつき(の苗等)、「桃源郷」種の多肉植物(の苗等)、といったことを認識するにとどまるものである。したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、本願商標を前記品質を有する商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願商標は、登録第5397663号商標及び登録第5624534号商標と同一又は類似の商標であって、それらの商標に係る指定役務と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 当審においてした審尋
審判長は、請求人に対し、平成31年1月30日付け審尋において、「請求人は、原審における平成29年12月28日受付の手続補正書により、本願の指定商品を補正しているが、当該補正後の指定商品は、原審における拒絶理由通知書の理由2において引用した登録第5397663号商標(以下「引用商標」という。)の指定役務中、第35類『農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』と類似する商品であり、かつ、本願商標と引用商標は同一のものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨の見解を示し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答の要点
前記3の審尋に対し、請求人は、平成31年4月3日付け回答書を提出し、要旨以下のように主張した。
(1)本来、モノ(第1?34類)とコト(第35?45類)とは基本概念において大きく異なり、第35類における小売、卸売りは、商品販売に付随する、又は付属する役務についての商標であって、商品についての商標ではない。
(2)一般的には、役務と商品とは明確に区別されており、関連性があったとしても混同する可能性は非常に低く、まして本願商標は、ハオルシアという極めて限定された商品を指定するものであるから、どのような役務がこれと混同する可能性があるのか、全く想定できない。
(3)商標法第4条第1項第11号は、指定商品と指定役務とが一緒に記載されており、このような条文が、役務を広範囲に指定して商品に対する同一商標の登録をも阻止するという制度の悪用を許す基となっている。役務を広範囲に指定して、商品名にまで商標を独占使用するというような、制度の悪用(濫用)を許すべきではなく、役務を広範囲に指定しても、同一商品名の保護まではできない、という基準を明確にしてほしい。

5 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「桃源郷」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「俗世間を離れた別天地。」(「広辞苑 第六版」岩波書店)を意味する語として一般に親しまれているものである。
そうすると、本願商標からは、「トウゲンキョウ」の称呼及び「俗世間を離れた別天地」の観念を生ずるものである。
イ 引用商標
引用商標は、「桃源郷」の文字を標準文字で表してなり、平成21年1月15日に登録出願、第35類「農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類、第39類、第42類、第43類及び第45類に属する別掲1のとおりの役務を指定役務として、同23年3月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、引用商標は、上記アと同様、「トウゲンキョウ」の称呼及び「俗世間を離れた別天地」の観念を生ずるものである。
ウ 本願商標と引用商標との類否
本願商標と引用商標とは、上記ア及びイのとおり、共に「桃源郷」の文字を標準文字で表してなるものであるから、外観において同一のものであり、また、称呼及び観念を共通にするものであるから、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれも共通にする同一の商標と認められるものである。
エ 本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
指定商品が類似のものであるかどうかは、商品自体が取引上誤認混同の虞があるかどうかにより判定すべきものではなく、それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認される虞があると認められる関係にある場合には、たとえ、商品自体が互に誤認混同を生ずる虞がないものであつても、・・・類似の商品にあたると解するのが相当である(最高裁昭和33年(オ)第1104号、昭和36年6月27日第三小法廷判決参照)。
これを本願についてみるに、引用商標の指定役務に含まれる「農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「農耕用品」には、肥料、くわや鋤(すき)、飼料、種子類、木や苗等が含まれるところ、本願の指定商品は、上記「農耕用品」に含まれるものである。また、本願の指定商品中「ハオルシア,ハオルシアの苗」は、引用商標の指定役務に含まれる「花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る取扱商品である「花及び木」に含まれるものである。
そして、商品の販売と、その商品を取り扱う小売等役務の提供とが同一の者によって行われることは、商取引上、しばしば見受けられるものであり、そのような場合、該商品の販売場所や需要者の範囲が、該役務の提供場所や需要者の範囲と一致することも、少なからずあるとみるのが相当であるから、本願の指定商品及び引用商標の上記指定役務は、それらに同一又は類似の商標が使用された場合、その出所について誤認混同するおそれがあるものというべきである。
してみれば、本願の指定商品「ハオルシア,ハオルシアの苗,ハオルシアの種子」と引用商標の指定役務中の「農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、互いに類似するものといわざるを得ない。
オ 小括
以上より、本願商標は、引用商標と同一の商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定役務と類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、一般的には、役務と商品とは明確に区別されており、関連性があったとしても混同する可能性は非常に低く、まして本願商標は、ハオルシアという極めて限定された商品を指定するものであるから、どのような役務がこれと混同する可能性があるのか、全く想定できない旨主張する。
しかしながら、商標の類否判断に当たり考慮される取引の実情とは、その指定商品全般についての一般的、恒常的なそれを指すものであって、単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なそれを指すものではない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号、昭和49年4月25日第一小法廷判決参照)。
そして、本願については、本願の指定商品及び引用商標の指定役務の一般的、恒常的な取引の実情を考慮した結果、上記(1)のとおり判断すべきであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
その他、請求人の主張を総合してみても、上記(1)の判断を覆すに足る事情を見いだせない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
引用商標の指定役務
第35類 織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,畳類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,葬祭用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,燃料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
第39類 貨物のこん包,主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く。)の代理・媒介又は取次ぎ,寄託を受けた物品の倉庫における保管
第42類 デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供
第43類 宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与
第45類 ファッション情報の提供,新聞記事情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,占い,身の上相談,装身具の貸与



審理終結日 2019-08-01 
結審通知日 2019-08-23 
審決日 2019-09-04 
出願番号 商願2016-143583(T2016-143583) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W31)
T 1 8・ 262- Z (W31)
T 1 8・ 263- Z (W31)
T 1 8・ 264- Z (W31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 中束 としえ
石塚 利恵
商標の称呼 トーゲンキョー 

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