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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y33
管理番号 1357759 
審判番号 取消2016-300554 
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-08-10 
確定日 2019-11-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4974148号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4974148号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4974148号商標(以下「本件商標」という。)は、「FANTINI ファンティーニ」の文字を標準文字で表してなり、平成17年10月7日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,いちご酒,なし酒,ぶどう酒,ワイン,シャンパーニュ地方産の発泡性ぶどう酒,スパークリングワイン,りんご酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同18年7月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成28年8月24日にされたものであるから、商標法第50条第2項にいう「その審判の請求の登録前三年以内」とは、同25年8月24日ないし同28年8月23日(以下「要証期間」という場合がある。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判請求書、平成29年1月4日付け審判事件弁駁書、同年2月15日差出しの上申書、同年8月25日付け審判事件弁駁書(2)及び同30年4月10日付け審判事件弁駁書(3)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 平成29年1月4日付け審判事件弁駁書
被請求人が審判事件答弁書において提出した本件商標の使用に係る証拠は、いずれも、商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用とは認められないものである。
(1)乙第1号証ないし乙第4号証について
乙第1号証ないし乙第4号証に係る請求書には「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」又は「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」のいずれかが記載されているところ、これらは、その中の「ファンティーニ」の部分だけを考慮してみても、本件商標と外観が著しく異なっており、本件商標と社会通念上同一とは認められない。
(2)乙第5号証及び乙第6号証について
被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証に係る赤ワインについて、乙第5号証に示す「FANTINI」の商標が表示されたラベルが貼付されたボトルに入った形で供給され、また、乙第1号証ないし乙第4号証に係る白ワインについて、乙第6号証に示す「FANTINI」の商標が表示されたラベルが貼付されたボトルに入った形で供給されている旨主張する。
しかしながら、上記ラベルに表示された商標は、「FANTINI」であり、本件商標とは外観が著しく異なっており、本件商標と社会通念上同一とは認められない。
また、上記赤ワイン及び白ワインが、それぞれ、乙第5号証及び乙第6号証の写真に見られるワインであることを裏付ける証拠は提出されていない。
そうすると、乙第5号証及び乙第6号証に係るワインが本件商標権者により販売されたものであることは証明できず、また、当該各号証には使用時期を裏付ける日付等の情報がないことから要証期間の使用も証明できない。
3 平成29年2月15日差出しの上申書
(1)商標法第2条第3項第1号の使用行為について
商標法第2条第3項第1号の使用行為は「商品又は商品の包装に標章を付する行為」であるところ、乙第1号証ないし乙第6号証は、誰が、いつ、どこで標章を付したのかを立証するに及ばない。
また、ワインの名称が表示された表ラベルは、通常、原産国で生産者等により付された状態で輸入されることが一般的と考えられるところ、輸入業者である本件商標権者が立証しようとする商品は、そのようなものではないようであり、どのような生産者によるどのような商品であるのかは、その流通の過程も含め、不明である。
(2)商標法第2条第3項第2号の使用行為について
ア 既述のとおり、乙第1号証ないし乙第4号証に係る請求書に記載された「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」及び「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」と乙第5号証及び乙第6号証の写真に見られるワインとが同一のものであるとはいえない。
この点については、請求人が本件商標の商標登録について別個に請求した無効審判事件(無効2014-890094)において、被請求人が、本件商標の継続使用に関し、本件審判事件において提出している乙第1号証ないし乙第6号証と同様のもの(ただし、一部が黒塗りされている。)を証拠として提出したところ、当該無効審判事件の審決では、その証拠について、「当該写真のワインに貼付されたラベルには『FANTINI』の文字が表示されているのみで他の文字は記載されておらず、ワインの販売者や生産者も不明であるから、当該請求書に記載された『ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤』及び『ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白』と当該写真のワインが同一のものであるということはできず、また、これらのみからは、被請求人がワインに本件商標を継続して使用しているということができない」と判断されている(甲2、甲3)。
イ 乙第1号証ないし乙第4号証に記載されている「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」及び「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」の品名における「フランス」は、「フランス産」を意味するものと推測されるが、仮に、輸入業者である本件商標権者がこれらを輸入によって入手した場合、どのような生産者から、どのような状態で輸入したものであるのか、その出所や流通過程が全く不明である。
ウ 乙第5号証及び乙第6号証に係る写真は、撮影日及び撮影者が不明であるため、証拠能力を欠くものであり、また、乙第1号証ないし乙第4号証には、発行日が記載されていない。
そして、被請求人が提出した証拠は、全て被請求人自身が作成したもの又は作成者が不明であって、利害関係のない第三者による証拠がなく、客観性を欠くものである。
エ 上記アないしウによれば、要証期間の日本国内における商標権者等による商標法第2条第3項第2号の使用行為は立証されていない。
(3)請求人と本件商標権者との関係及び本件商標の登録出願の経緯
ア 請求人について
(ア)請求人は、イタリアのワイン生産会社であり、「FANTINI」商標を使用したシリーズ(甲6)を含むワインを現在まで継続して生産、販売している者である。
請求人は、高い評価を受けているワイン生産者であり、例えば、イタリアのワインガイドである「Guida dei VINI ITALIANI」(グイダ ディ ヴィニ イタリアーニ)及び「Annuario dei Migliori VINI ITALIANI」(アニュアリオ ディ ミグリオリ ヴィニ イタリアーニ)の2005年版ないし2007年版で3年連続して「最優秀生産者」に選出され、近年、当該2つのガイドブックが一本化された「Annuario dei Migliori VINI ITALIANI」の2012年版及び2013年版で2年連続して「最優秀生産者」に選出された(甲4、甲5)。その他、世界中のワインコンクールにおいて、毎年、請求人は、高く評価され、多くの様々な賞を獲得している。
(イ)請求人の生産、販売する「FANTINI」商標を使用したワインには、赤ワインでは、「ファンティーニ サンジョヴェーゼ テッレ ディ キエーティ」及び「ファンティーニ モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」、白ワインでは、「ファンティーニ トレッビアーノ ダブルッツォ」、「ファンティーニ シャルドネ テッレ ディ キエーティ」、「ファンティーニ フィアーノ テッレ ディ キエーティ」、「ファンティーニ ピノ グリージョ テッレ デリ オスチ」及び「ファンティーニ キュヴェ ココチオーラ」(スプマンテ)、ロゼワインでは、「ファンティーニ チェラズオーロ・ダブルッツォ」及び「ファンティーニ グラン キュヴェ・ロゼ」(スプマンテ)等がある(甲6)。
(ウ)「FANTINI」ワインに関する2005年ないし2007年の売上高は、それぞれ、少なくとも「231,852.20ユーロ(約3,175万円)」、「276,275.20ユーロ(約4,037万円)」、「72,529.35ユーロ(約1,169万円)」であった(甲7、甲8)。
(エ)「FANTINI」商標を使用した請求人のワインは、毎年4月に開催されるワインコンペである「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(国際ワインコンテスト)」の2003年大会で、「ファンティーニ・サンジョヴェーゼ 2002」が銅賞、「ファンティーニ・モンテプルチャーノ 2002」及び「ファンティーニ・シャルドネ 2002」がシール・オブ・アプルーバルを受賞した(甲9、甲10)。
また、「ファンティーニ サンジョヴェーゼ」の2001年のものは、「最も買うに値するワイン」部門の第2位に選出されたほか、その2002年のものは、1,650本中のベストバリューに選出、その2004年のものは、61,152本中のベストバリューの第1位に選出された(甲5)。
なお、請求人は、近年も様々な賞を受賞している(甲11、甲12)。
イ 本件商標権者について
(ア)本件商標権者は、主にワインの輸入、販売を業務とし、フランス、イタリア、スペインその他諸外国のワインを輸入し、日本国内において販売する者である(甲13)。
本件商標権者は、請求人の製造、販売するワインの我が国における輸入者の一であったところ、2005年ないし2007年に、請求人の製造、販売する「FANTINI」シリーズのワインを請求人から直接輸入した。具体的には、2005年の取引では9,924本、2006年の取引では4,920本及び4,200本である(甲14の1?甲14の3)。
(イ)上記(ア)のとおり、本件商標権者は、請求人の顧客であり、「FANTINI」ワインが請求人の製造、販売するワインであることを熟知していた。それにもかかわらず、請求人に無断で登録出願をして商標登録を受けたのが、本件商標である。
他方、被請求人が乙第1号証ないし乙第6号証により立証しようとするワインは、その出所、流通過程が明らかにされていない。
4 平成29年8月25日付け審判事件弁駁書(2)
(1)乙第17号証について
ア 乙第17号証は、要証期間後の2017年7月2日に作成されたものであるから、要証期間における商標の使用を立証するものではない。
イ 乙第17号証に係る物品のボトルについて、その表ラベルには、「FANTINI」と記載されている一方、裏ラベルには、「Vin de France Blanc」又は「Vin de France Rouge」と記載されていて、ラベルの表と裏で商品としての名称が一致していないが、このように表と裏とで全く表記が異なることは、通常の取引実情や経験則に照らして、極めて不自然であり、一般に流通する商品とは到底認められない。
ウ 乙第17号証の6葉目に写し出されている左側の2本「Vin de France Blanc」について、左から2本目の裏ラベルには、アルコール度数として、「12.5%」と記載されている一方、左端の表ラベルには、その右下には、判然としないものの「13%」と見える記載があることから、ラベルに表記されたアルコール度数が、その表と裏で一致しないことは明らかである。
上記のような齟齬は、継続的に取引される商品において、通常、放置されることはないから、乙第17号証に係る物品が継続的に取引されているとする被請求人の主張は不自然であり、同号証は、「商品」の存在を示すものではなく、商品に見せかけた物品が証拠作成時に作成されたものである可能性を示すものである。
エ 本件商標は、「FANTINI ファンティーニ」と一行に連続して書してなる商標であるところ、「FANTINI」と「ファンティーニ」との間にある1文字分の空白は、複数の単語からなる場合に普通に挿入されるものであるから、商標全体として、「FANTINI」と「ファンティーニ」とが一連に書されたものであるというのが相当である。
他方、乙第17号証に係る物品に付された表ラベル中央の文字は、「FANTINI」のみからなり、本件商標の構成中の「ファンティーニ」の片仮名が欠落している。
したがって、上記表ラベルの表示は、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。
(2)乙第18号証ないし乙第23号証について
ア 乙第18号証ないし乙第23号証に記載されている「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」又は「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」と乙第17号証に係る物品に付されたラベルの記載とは、一致しない。すなわち、仮に、当該物品の表ラベルに記載された「FANTINI」と裏ラベルに記載された「Vin de France Rouge」とを一連に読んだとしても、欧文字と片仮名という相違のほかに、乙第18号証、乙第19号証及び乙第23号証の明細に記載された「ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」と当該裏ラベルに記載された「Vin de France Rouge」とでは、「ルージュ」と「Rouge」の位置が相違し、両者で表記が一致しない。また、乙第18号証ないし乙第22号証の明細に記載された「ブラン ヴァン.ド.フランス白」と「Vin de France Blanc」との対比でも同様に、「ブラン」と「Blanc」の位置が相違し、両者で表記が一致しない。
イ 被請求人は、乙第20号証について、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤12本が含まれている」旨主張するが、同号証において記載されているものは、「0001500」の「ヴァン・ド・フランス ルージュ 赤」であって、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」ではない。
ウ 上記ア及びイによれば、乙第17号証に係る物品に付されたラベルの記載と乙第18号証ないし乙第23号証の請求書における明細の記載とは一致しないから、当該請求書に記載された取引に係る商品が乙第17号証に係る物品であったとはいうことができない。
(3)乙第24号証について
乙第24号証は、本件商標権者が、要証期間に、日本国内において、ラベルを商品に付したことを立証するものではない。
また、乙第24号証の5葉目には、「FANTINI」の記載の右下に、アルコール度数を示す「13%vol.」の文字がある一方、乙第17号証の6葉目に写し出されているボトルの裏ラベルには、「Vin de France Blanc」のアルコール分として「12.5%」の記載、「Vin de France Rouge」のアルコール分として「13.5%」の記載があり、両者は一致しない。
さらに、乙第24号証の請求書には、「FANTINI2種 各600枚」とされているところ、乙第7号証ないし乙第10号証によれば、本件商標権者は、2014年9月に、「Vin de France Rouge」(750ml/本)及び「Vin de France Blanc」(750ml/本)と称する商品を各600ケース(12本/ケース)注文し、その商品(合計14,400本)が到着したことがうかがえることに照らすと、輸入した商品の本数に対し、ラベルの枚数が極めて少なく、不自然である。
そうすると、乙第18号証ないし乙第23号証に係る「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」又は「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」なる商品について、乙第24号証に係るラベルが付されたものであったか否かについても疑義が生じる。
5 平成30年4月10日付け審判事件弁駁書(3)
(1)乙第27号証及び乙第28号証に係る写真について
ア 被請求人は、要証期間に撮影された写真として、乙第27号証及び乙第28号証を提出しているが、当該写真は、極めて不鮮明であり、背景を含めた全体的な色調やコントラスト等が非常に不自然である。
また、上記各号証において、左側にある写真とその右側に表示された「p7080096のプロパティ」又は「p7080100のプロパティ」との関係は不明であるが、当該各プロパティにおいて示されたデータサイズは、いずれも写真データとしては小さい。
さらに、上記各プロパティにおいては、いずれも「作成日時:2016年7月8日、17:10:28」と表示されているところ、これらを撮影日時と仮定すると、異なる2枚の写真の撮影日時が秒まで一致しているのは、不自然であるし、当該プロパティに係る「p7080096」と「p7080100」とが連番ではないことから、連続して撮影したものではないと推測されるが、そうすると、なおさら不自然である。
イ 本件商標権者が要証期間にワインを譲渡したとして被請求人が提出した乙第18号証ないし乙第21号証に係る請求書の日付のうち、最も新しいものは、2016年1月19日であるから(乙21)、2016年7月8日より後であって、かつ、要証期間にワインが譲渡されたことを示す証拠は、何ら提出されていない。
そうすると、仮に、乙第27号証及び乙第28号証に係る写真の撮影日が2016年7月8日であったとしても、当該写真に写し出された物品が要証期間に譲渡されたということはできない。
(2)ワインボトルの表側のラベルと裏側のラベルとに記載されたアルコール濃度の表示上の差異について
被請求人は、ワインボトルの表側のラベルと裏側のラベルとでアルコール分の表示が一致しないことについて、「酒類の表示方法の届出について」というガイドライン(乙29)を提出し、その5ページ目の「【2】(丸付き数字) ビール、発泡酒、清酒、果実酒またはその他の醸造酒について、アルコール分±1度の場合において、例えば、アルコール分12度以上14度未満のものについて、『アルコール13度』と表示すること」という記載を根拠に、「適正な表示であることに間違いがない」旨主張する。
しかしながら、上記ガイドラインが示しているのは、瓶の中身であるワインの実際のアルコール度数とラベルとの表示の対比であって、表側のラベルと裏側のラベルとの記載が、±1度の範囲なら不一致であってよいということを意味するものではない。
上記ガイドラインの15ページ左下には、表示証を含め酒類に、品質又は成分に誤認されるおそれのある表示などを行うことは不当表示として禁止されているとあり、表示証に限らず、不当表示に該当するおそれのある表示は禁止されているところ、表側のラベルと裏側のラベルとでのアルコール分の表示の齟齬は、記載が矛盾していることに相違なく、十分に品質や成分についての誤認のおそれのあるものである。
仮に、上記表示が不当表示でないとしても、そのような表示に接した取引者や需要者は、疑念を抱くおそれが高いことから、そのような表示は、訂正されるのが普通であり、それが放置されていることは、商慣習として、極めて不自然であることに相違ない。
(3)要証期間のワインボトルへのラベル貼付について
ア 被請求人は、乙第41号証に関して、2015年2月末日あたりの鈴与株式会社(以下「鈴与」という。)から本件商標権者に宛てた請求書であり、そのうち、5番目の項目として、ラベル貼り作業の費用が含まれている旨主張するが、本件に係るラベル貼り作業については、2015年4月22日に行われた旨述べている。
そうすると、本件に係るラベル貼り作業の実行より2か月前の請求書(乙41)において、その作業の請求がなされるはずはないから、当該請求書におけるラベル貼り作業の費用は、本件に係るラベル貼り作業とは関係のないものである。
イ 被請求人は、乙第42号証に関して、通関手続の際に、2種類の数量600本ずつ、合計1,200本の通関がされている旨主張するが、正しくは、12本入り600箱で合計1,200箱であり、合計本数は、右端欄に記載された14,400本と思料される。このことは、被請求人が提出した乙第7号証に係る注文書や、平成29年5月15日付け口頭審理陳述要領書における主張からもうかがえる。
ウ 被請求人は、乙第43号証に関して、本件商標権者が、鈴与に対し、「ヴァン.ド.フランス赤」24ケース及び「ヴァン.ド.フランス白」24ケースについて、それぞれ、ラベル貼り作業の指示を行った作業依頼書である旨主張するが、これよりは、どのようなラベル貼り作業を指示したのかが不明であるし、乙第44号証ないし乙第47号証を参照しても、どのようなラベルに係る作業であるのかが不明である。
また、被請求人は、上記ラベル貼り作業に供されたラベルは、株式会社門プロセス(以下「門プロセス」という。)が作成したラベルである旨主張し、乙第49号証及び乙第50号証を提出するが、当該各号証を参照しても、どのようなラベルに係るものであるかは明らかでない。仮に、乙第24号証の5葉目を参照しても、当該各号証に記載された「FANTINI2種 各600枚」が、具体的にどのような商品であるかが明らかとはいえない。
したがって、要証期間に、本件商標の表示のあるラベルが商品に付されたとはいうことはできないから、商標法第2条第3項第1号にいう行為(商品又は商品の包装に標章を付する行為)を行ったことは立証されていない。
エ 被請求人は、乙第47号証に関して、「このようなラベル貼り作業の管理リストである」旨主張し、証拠説明書において、その作成日を「2015年4月22日」としているが、当該号証には「10/31内貨」とあることから、当該作成日は誤りである可能性が高い。
オ 被請求人は、乙第48号証に関して、「このようなラベル貼り作業の請求明細リストである」旨主張するが、当該号証は、「保管・荷役請求明細書」であって、ラベル貼り作業の請求明細は記載されていない。
また、上記「保管・荷役請求明細書」には、品目コードを「0001500」とし、名称を「ヴァン・ド・フランス ルージュ アカ 750/12」とするもの及び品目コードを「0001600」とし、名称を「ヴァン・ド・フランス ブラン シロ 750/12」とするものについて、「入港日」が「2015/1/21」、「2/10残高」が「600」、「2/20残高」が「24」、荷役料の欄の「出庫積数」が「576」と記載されているところ、これらの記載によれば、2015年1月21日に入港した当該品目は、入庫され、2015年2月10日までは、それぞれ600箱保管されていたが、同年2月11日から20日までの間に576箱出庫され、同20日には、残り24箱となったことが示されている。
すなわち、輸入された600箱のうちのほとんどが、2015年2月11日から2月20日までの間に出庫され、取引先に出荷されたことになるところ、残る僅か24箱の商品については、被請求人の主張によれば、どのようなラベルかは不明であるものの、表ラベルが貼付されたとされる一方、輸入された大半であって、出庫された576箱(すなわち、6,912本。「アカ」及び「シロ」の合計では、1,152箱(13,824本)。)については、不明である。
本件商標権者は、1回の輸入で、相当数の「ヴァン・ド・フランス ルージュ アカ 750/12」及び「ヴァン・ド・フランス ブラン シロ 750/12」を輸入し、そのほとんどを一度に出荷しており、そのような取引の規模からすると、24箱というのは、僅少であり、仮に、それらについてのみ、要証期間に被請求人が主張するような表ラベルが付されたとすれば、取引上、相当不自然なものといわざるを得ない。
被請求人は、自ら主張する使用が名目的な使用ではないとするならば、上記輸入に係る大半のワインについて、その表ラベルがどのようなものであったかを含め、どのような態様で出荷されたのかを明らかにすべきである。
カ 被請求人は、本件商標を使用した商品について、審判事件答弁書において、「品番0001800/品名ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」及び「品番0001900/品名ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」と主張し、その後に提出した口頭審理陳述要領書及び平成29年7月11日付け審尋回答書においても、同旨の主張をし、乙第1号証ないし乙第4号証、乙第11号証ないし乙第16号証及び乙第19号証ないし乙第23号証には、品番として、「0001800」又は「0001900」が記載されている。
他方、平成29年11月16日付け審尋回答書に添付して提出された証拠のうち、乙第42号証には、品名「ヴァン・ド・フランス ルージュ」及び商品コード「0001500」並びに品名「ヴァン・ド・フランス ブラン」及び商品コード「0001600」との記載、乙第47号証には、「0001500 ファンティーニ ヴァン・ド・フランス ルージュ アカ 750/12」及び「0001600 ファンティーニ ヴァン・ド・フランス ブラン シロ 750/12」との記載、乙第48号証には、「0001500 ファンティーニ ヴァン・ド・フランス ルージュ アカ 750/12」及び「0001600 ファンティーニ ヴァン・ド・フランス ブラン シロ 750/12」との記載がされている。
上記のように、乙第1号証ないし乙第4号証、乙第11号証ないし乙第16号証及び乙第19号証ないし乙第23号証に記載の商品と乙第42号証、乙第47号証及び乙第48号証に記載の商品とでは、品番が相違しており、その他の証拠にも、品番としての「0001800」又は「0001900」の記載はない。
したがって、被請求人が取引をしたと主張する乙第1号証ないし乙第4号証、乙第11号証ないし乙第16号証及び乙第19号証ないし乙第23号証に記載の商品については、本件商標と社会通念上同一の商標が付されていたとはいえない。
(4)本件商標と社会通念上同一の商標であるか否かについて
被請求人は、「FANTINI」及び「ファンティーニ」について、いずれも造語であって、特定の意味を有しないとし、「両者は、観念が同一のものとみることができる」旨主張するが、「FANTINI」と「ファンティーニ」とがいずれも特定の意味を有していないなら、いずれも特定の観念を生じないのであるから、両者は、観念において比較することができないというべきであって、「観念が同一」ということはできない。
また、被請求人は、「FANTINI」と「ファンティーニ」とは、いずれも同じ発音になる旨主張するが、「FANTINI」からは、「ファンティーニ」の称呼以外に、「ファンティニ」の称呼も生じ得ることが排除されないから、本件商標は、前半の「FANTINI」と後半の「ファンティーニ」とで称呼が相違する場合がある。
そうすると、「FANTINI」と「ファンティーニ」とでは、観念において同一とはいえず、かつ、称呼において必ずしも同一とはいえない。
さらに、既述のとおり、本件商標は、「FANTINI ファンティーニ」と一行に連続して書してなる商標であって、「FANTINI」と「ファンティーニ」との間にある1文字分の空白は、複数の単語からなる場合に普通に挿入されるものであるから、商標全体として、「FANTINI」と「ファンティーニ」とが一連に書されたものであるというのが相当であるのに対し、被請求人が本件商標の使用と主張する商標は、「FANTINI」のみからなるものであって、本件商標の構成中にある「ファンティーニ」が欠落し、外観において著しく相違するのみならず、観念及び称呼においても必ずしも同一でないことから、本件商標と被請求人が本件商標の使用と主張する商標とは、社会通念上同一の商標ではない。
(5)乙第53号証に係る陳述書について
被請求人は、乙第53号証として、乙第26号証に係る顧客(レストラン)の代表者による陳述書を提出し、本件商標権者が「FANTINI」なるブランドのワインを販売し、そのワインを当該レストランで提供していることは明白である旨主張するが、当該陳述書は、第三者によるものではなく、当事者が作成したものであるから、証拠としての客観性がなく、採用に値しない。
また、上記レストランにおいて提示されていたメニューなど、要証期間に、本件商標を付したワインを提供していた事実を裏付ける証拠の提出もない。
被請求人は、本件商標権者が一度に相当多数の商品(ワイン)を輸入しているにもかかわらず、要証期間において、たった1つのレストランに対する少数、かつ、数回程度の譲渡を主張するのみで、他の取引者に対する譲渡については何ら示しておらず、さらに、その唯一の取引先においても、その主張に係るワインが提供されていた事実は、全く確認できず、取引の実態も疑われるものである。
そうすると、仮に、被請求人が主張するようにワインボトルにラベルが付され、唯一の取引先と取引があったとしても、それは、商標の取消しを免れるための名目的な使用の範ちゅうを出ず、それをもって、通常の商品取引の形態とみることはできないから、本件商標をその指定商品について使用したとはいえない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を審判事件答弁書、平成29年5月15日付け口頭審理陳述要領書、同年7月11日付け審尋回答書及び同年11月16日付け審尋回答書(2)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第53号証(ただし、乙第30号証及び乙第38号証ないし乙第40号証は欠番である。)を提出した。
1 審判事件答弁書
(1)本件商標権者は、次のとおり、東京都練馬区内の顧客に対し、ワインを販売した。
ア 2014年10月14日付け請求書(乙1)に示すとおり、115本のワインを販売したところ、これらのワインには、「品番0001800/品名ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」が1本、「品番0001900/品名ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」が2本含まれている。
イ 2015年5月19日付け請求書(乙2)に示すとおり、66本のワインを販売したところ、これらのワインには、「品番0001800/品名ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」が12本、「品番0001900/品名ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」が12本含まれている。
ウ 2015年8月17日付け請求書(乙3)に示すとおり、118本のワインを販売したところ、これらのワインには、「品番0001900/品名ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」が12本含まれている。
エ 2016年1月19日付け請求書(乙4)に示すとおり、124本のワインを販売したところ、これらのワインには、「品番0001900/品名ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」が12本含まれている。
(2)上記(1)のア及びイの赤ワインについては、乙第5号証に示す「FANTINI」の商標が表示されたラベルが貼付されたボトルに入った形で、また、上記(1)のアないしエの白ワインについては、乙第6号証に示す「FANTINI」の商標が表示されたラベルが貼付されたボトルに入った形で、それぞれ供給されている。
そして、上記ラベルに表示された商標は、本件商標の構成中のアルファベット部分の文字列と同一であって、外観において本件商標と同視されるものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
また、上記ワインを充填した包装に商標を付す行為は、商標法第2条第3項第1号及び同項第2号の使用に該当するものであり、その使用は、要証期間にされたものである。
したがって、上記(1)の請求書に係るワインの販売により、要証期間に本件商標が適法に使用されたことが証明される。
2 平成29年5月15日付け口頭審理陳述要領書
本件商標権者は、フランスからワインを輸入し、顧客に対して販売しているところ、乙第1号証ないし乙第6号証に係るワインは、次のとおりの経緯により輸入し、販売したワインである。
(1)本件商標権者は、2014年9月29日に、フランスのワインの仲買人に対し、「ヴァン.ド.フランス赤 750ml」を600ケース×12(7,200ボトルズ)、「ヴァン.ド.フランス白 750ml」を600ケース×12(7,200ボトルズ)を発注した(乙7)。
(2)上記(1)の発注に応じて、ドイツの船舶仲介会社は、本件商標権者宛に、2014年11月21日付け船積通知書を発した(乙8)。当該通知書に係る内容物は、「HE-0276」の参照番号が付された「600+600=1200」パッケージのワインのコンテナであって、「ワイン」と明確に表示されている。
なお、上記コンテナは、「JPT880310、0914/2259」である。
(3)上記(2)の船積通知書に応じて、ドイツの船荷保証会社は、船荷証券を発行した(乙9)。当該証券に係る内容は、参照番号「HE-0276」で示され、全部で「1200」パッケージのワインに関するものであり、乙第7号証に係る注文書により発注されたワインについての船荷保証を行うものである。
(4)上記(3)の船荷証券が発行されたワインについて、ドイツの船舶仲介会社は、2014年12月18日に、インボイス(請求書)を発行した(乙10)。当該インボイスは、到着港である東京において、支払いと交換の下に、ワインの引取りを促すことを通知するものであり、貨物到着案内書も兼ねている。
(5)上記(1)ないし(4)に係る乙第7号証ないし乙第10号証によれば、本件商標権者が「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」及び「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」のそれぞれをフランスから輸入したことは明白であり、また、本件商標権者は、実際にそれらのワインの一部を所定の顧客に販売している。
したがって、被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証により、本件商標を使用していたことを明白に立証できる。
(6)被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証に係る販売以外の販売の事実について、次のとおり、証拠を提出する。
なお、次のアないしオに示すものは要証期間の販売に当たる一方、次のカに示すものは要証期間後の販売に当たるものであるが、後者は、要証期間にかかわらず、継続して販売を行っていることを立証するために提出するものである。
ア 本件商標権者は、2014年10月14日に、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」を1本及び「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」を2本、顧客へ販売した(乙11)。
イ 本件商標権者は、2015年5月15日に、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」を12本及び「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」を12本、顧客へ販売した(乙12)。
ウ 本件商標権者は、2015年6月23日に、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」を12本、顧客へ販売した(乙13)。
エ 本件商標権者は、2015年8月17日に、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」を12本及び「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」を12本、顧客へ販売した(乙14)。
オ 本件商標権者は、2016年1月19日に、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス白」を12本、顧客へ販売した(乙15)。
カ 本件商標権者は、2016年10月14日に、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス白」を12本、顧客へ販売した(乙16)。
3 平成29年7月11日付け審尋回答書
(1)乙第17号証は、本件商標権者が販売している「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」及び「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」の写真に関するものである。
乙第17号証から明らかなように、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」及び「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」には、そのボトル正面に、「FANTINI」の表示がされた比較的大きなラベルが貼付されており、また、そのボトルの円周方向約180度後側には、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」については「Vin de France Rouge」の表示、「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」については「Vin de France Blanc」の表示がされたバックラベルが貼付されている。
したがって、上記ワインには、本件商標と同一又は類似の商標が明示されていることが明らかである。
(2)本件商標権者は、次のとおり、顧客へファンティーニブランドのワインを売却し、売上代金を受領していることから、本件商標は、明らかに使用されたことになる。
なお、次のアないしエに示すものは要証期間のワインの販売に関するものである一方、次のオ及びカに示すものは要証期間後のワインの販売に関するものであるが、後者は、要証期間後においても、本件商標権者が継続して「FANTINI」なる商標を付したワインを販売していることを立証するために提出するものである。
ア 本件商標権者は、2014年10月14日付けで、顧客から10銘柄の103本のワインの注文を受け、それに対し、請求書を発行しているところ、当該請求書には、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」が1本、「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」が2本含まれている(乙18)。
そして、上記請求書に対し、顧客は、その代表者の個人名義で、平成26年10月15日に、本件商標権者の口座へ請求金額と同額を振り込んでいる(乙18)。
イ 本件商標権者は、2015年6月23日付けで、顧客から15銘柄の124本のワインの注文を受け、それに対し、請求書を発行しているところ、当該請求書には、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」が12本含まれている(乙19)。
そして、上記請求書に対し、顧客は、その代表者の個人名義で、平成27年6月23日に、本件商標権者の口座へ請求金額と同額を振り込んでいる(乙19)。
ウ 本件商標権者は、2015年8月17日付けで、顧客から13銘柄の120本のワインの注文を受け、それに対し、請求書を発行しているところ、当該請求書には、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」が12本、「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」が12本含まれている(乙20)。
そして、上記請求書に対し、顧客は、その代表者の個人名義で、平成27年8月19日に、本件商標権者の口座へ請求金額と同額を振り込んでいる(乙20)。
エ 本件商標権者は、2016年1月19日付けで、顧客から13銘柄の124本のワインの注文を受け、それに対し、請求書を発行しているところ、当該請求書には、「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」が12本含まれている(乙21)。
そして、上記請求書に対し、顧客は、その代表者の個人名義で、平成28年1月20日に、本件商標権者の口座へ請求金額と同額を振り込んでいる(乙21)。
オ 本件商標権者は、2016年10月14日付けで、顧客から4銘柄の36本のワインの注文を受け、それに対し、請求書を発行しているところ、当該請求書には、「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」が12本含まれている(乙22)。
そして、上記請求書に対し、顧客は、その代表者の個人名義で、平成28年10月17日に、本件商標権者の口座へ請求金額と同額を振り込んでいる(乙22)。
カ 本件商標権者は、2017年3月15日付けで、顧客から6銘柄の64本のワインの注文を受け、それに対し、請求書を発行しているところ、当該請求書には、「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス赤」が12本含まれている(乙23)。
そして、上記請求書に対し、顧客は、その代表者の個人名義で、平成29年3月22日に、本件商標権者の口座へ請求金額と同額を振り込んでいる(乙23)。
(3)本件商標権者は、以前から門プロセスへラベルの注文を行っているところ、平成26年9月30日に、「FANTINI」2種(600枚)を含む、10種類のラベルの注文を行っている(乙24)。
また、被請求人は、上記ラベルの注文に関し、当該ラベルの原板及びラベル作成に伴う門プロセスとのやりとり(メール)並びに、平成26年10月31日に、本件商標権者からラベルの代金が振り込まれたことを裏付ける証拠を提出する(乙24)。
これらにより、本件商標権者が、ワインのラベルとして、「FANTINI」のラベルを600枚作成し、それをワインボトルに貼付したことは明白である。
なお、被請求人は、門プロセスが印刷製版等を行っている証拠として、そのホームページを提出する(乙25)。
(4)上記(2)の取引に係る顧客は、「FANTINI」の商標を付したワインを提供しているレストランであり、東京西部に複数店舗を展開している(乙26)。
4 平成29年11月16日付け審尋回答書(2)
(1)被請求人は、乙第17号証に係る写真の撮影日が要証期間後であるとされたため、「FANTINI」のラベルを貼ったワインボトルの写真として、新たに乙第27号証及び乙第28号証を提出する。これらの写真は、2016年7月8日に、ワインのボトルが寄託されていた鈴与の社員が撮影したものであり、このように要証期間に撮影された管理用写真に「FANTINI」の文字が記載されたラベルが貼付されていることから、要証期間に販売されたワインに当該ラベルが貼付されていたことになる。
(2)ワインボトルの表側のラベルと裏側のラベルとに記載されたアルコール濃度の表示上の差異については、以下のとおりである。
ア ワインの販売において、ラベルによって内容物たるワインの表示を行う場合には、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則」の定めに基づいて行わなければならないところ、乙第29号証として示す「酒類表示の方法」として、特に、ワインのアルコール濃度の表示については、「6.アルコール分」の項において、「【2】(丸付き数字) ビール、発泡酒、清酒、果実酒またはその他の醸造酒について、アルコール分±1度の場合において、例えば、アルコール分12度以上14度未満のものについて、『アルコール13度』と表示すること」となっている。
上記のように、アルコール分の濃度に関して、実際の濃度と異なる表示を行うようにしているのは、ワインの原材料であるぶどうが工業製品ではなく、農産物であることに起因する。農産物であるぶどうは、特に、アルコール濃度に大きな影響を及ぼす糖分が必ずしも均一にならず、生育した時の天候や温度等の影響を受け、糖度がばらつくことになり、このようなばらつきにより、発酵した後のアルコール濃度もばらつく。そのばらつきを細かく表示するようにすると、極めて煩雑となるため、一定の許容範囲を設け、その範囲内における代表値をもって、ワインのアルコール濃度としているのである。
被請求人の立証に係るワインについても、上記定めのガイドラインに従ってアルコール度数の表示を行っており、適法な表示であることは明白である。
イ ラベル上の表示については、上記定めのガイドライン(14ページ)に示されるように、品名、容量、アルコール分、酸化防止剤含有の有無、原産国、輸入者、住所、取引先を記載すれば良く、その他の表示は、必ずしも強制されるものではない。
したがって、上記の点に鑑みて、被請求人の立証に係るワインのラベル上の表示は、要件を満たしており、特に、これによって不都合を生じることはなく、また、法令違反をしているわけでもない。すなわち、当該ワインについては、表側に主たる表示としての「FANTINI」のラベルを貼付し、裏側には、標章として、上記ガイドラインに示された表示を行っているのであり、何ら不都合はないはずである。
(3)本件商標権者は、ワインを輸入する場合、そのワインを自社内に持ち込まず、荷揚げ港近くにある倉庫に寄託し、必要に応じて、その倉庫から一定量ずつ小売店や一般事業者又はその他の中間業者に供給するようにしており、その過程において、同時に商標を付したラベルの貼付作業を行うようにしている。
具体的には、本件商標権者は、鈴与の倉庫にワイン等の輸入品を常時寄託しており、鈴与のワイン物流サポートを利用して、必要に応じてラベリングを行い、その後に再梱包して出荷するというシステムにしている(乙51、乙52)ところ、被請求人の立証に係るワインについては、次のとおりである。
ア 乙第41号証は、2015年2月末日あたりの鈴与から本件商標権者に宛てた請求書であり、そのうち、5番目の項目として、ラベル貼り作業の費用が含まれている。
イ 乙第42号証は、「FANTINI」のラベルが付されるワインの通関手続に係る伝票であって、通関手続の際に、2種類の数量600本ずつ、合計1,200本の通関がされている。
ウ 乙第43号証は、本件商標権者が、鈴与に対し、「ヴァン.ド.フランス赤」24ケース及び「ヴァン.ド.フランス白」24ケースについて、それぞれ、ラベル貼り作業の指示を行った作業依頼書である。このような作業依頼書に基づき、鈴与の子会社である開進株式会社(以下「開進」という。)が、鈴与の大井総合センターにおいて、2015年4月22日にラベル貼り作業を行った(乙44)。
また、乙第45号証は、2015年4月22日に、鈴与の倉庫内で行われた流通加工作業スケジュールを示すものであり、そのうち、4番目の項目として、ヴァン.ド.フランス「FANTINI」の表示ラベル貼付作業に係る48カートンの記載があり、乙第46号証には、ラベル貼りとして、48カートンの請求明細が記載されている。
なお、乙第47号証及び乙第48号証は、上記のようなラベル貼付作業の管理リスト及び請求明細リストである。
エ 上記ウのラベル貼付作業に供されたラベルは、門プロセスが2014年9月30日に本件商標権者に納品したラベル(FANTINI2種、各600枚)であり(乙49、乙50)、当該ラベルが本件商標権者に納品された後、本件商標権者がそのラベルを鈴与へ宅配便により送り、ラベリング作業に備えている。
オ 上記アないしエによれば、2015年4月17日付け指示書に基づき、「ヴァン.ド.フランス赤」24ケース及び「ヴァン.ド.フランス白」24ケースについてのラベル貼り作業が開進により行われたことは明白である。
(4)請求人は、被請求人の主張及び立証に係る本件商標の使用態様について、本件商標と社会通念上同一の商標ではない旨主張する。
しかしながら、本件商標権者が使用しているのは本件商標の構成中の「FANTINI」の欧文字部分のみであるところ、本件商標の主要部分は、「FANTINI」の欧文字部分であり、「ファンティーニ」の片仮名部分は、その欧文字部分の振り仮名に当たる表示であって、補助的、従属的に付加されているものであるから、当該「FANTINI」の欧文字部分が正しく表示されていれば、本件商標の要部が明らかに表示されていることとなり、振り仮名を省略したとしても、それによって商標としての一体性が損なわれることにはならない。
また、「FANTINI」は、造語であって、特定の意味を有しないものであり、「ファンティーニ」は、その振り仮名の表音であって、特定の意味を有しないものであるから、両者は、観念が同一のものとみることができる。
さらに、「FANTINI」と「ファンティーニ」とは、いずれも同じ発音になるので、称呼上、類似する。
したがって、本件商標のように、仮名部分であって、振り仮名を構成する「ファンティーニ」を省略しても、本件商標の使用においては、何ら変更を生じるものではなく、社会通念上同一の商標であることは明白である。
(5)乙第26号証に係る顧客(レストラン)の代表者による陳述書(乙53)によれば、本件商標権者が「FANTINI」なるブランドのワインを販売し、そのワインを当該レストランで提供していることは明白であり、また、そのことにより、本件商標が2015年頃に使用されていたことが明らかとなる。

第4 当審の判断
被請求人は、本件商標について、要証期間に、本件商標権者により、本件審判の請求に係る指定商品中の第33類「ワイン」に使用をしている(商標法第2条第3項第1号及び同項第2号)旨主張し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第53号証(ただし、乙第30号証及び乙第38号証ないし乙第40号証は欠番である。)を提出しているところ、被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、本件商標の使用については、以下のとおりである。
1 商標法第2条第3項第1号について
(1)被請求人の主張によれば、本件商標権者は、2014年(平成26年)9月30日に門プロセス(印刷業者)から納品された「FANTINI2種 各600枚」と称するラベルを、その納品後に、自らが輸入したワインを寄託している鈴与(倉庫業者)へ宅配便により送り、鈴与は、本件商標権者からの作業指示に基づき、子会社の開進を使って、2015年(平成27年)4月22日に当該ラベルを寄託されているワインに貼付したとする。
そこで、被請求人の上記主張に係る甲各号証についてみるに、乙第24号証の1葉目(乙50)は、門プロセスから本件商標権者に宛てた請求書(2014年9月30日締切分)であって、その内訳における伝票日付を「2014/09/30」、伝票Noを「10423」とするものの「品番・品名」として、「FANTINI2種 各600枚」の記載があり、また、乙第24号証の4葉目及び5葉目は、2014年(平成26年)9月19日に、門プロセスの担当者から本件商標権者の担当者へ宛てたメール及びその添付ファイルと思しきものであって、そのメール本文中には、「13度に修正いたしました。こちらでよろしければ進行させていただきます。」の記載があり、その添付ファイルと思しきものには、肌色の横長長方形中に「FANTINI」、「750ML」及び「13%vol.」等の表示がされたラベルの原稿様のものが見受けられ、さらに、乙第49号証は、門プロセスから本件商標権者へ宛てた2014年9月30日付け納品書であって、その右上に「No.10423」の記載があるほか、その内訳における「品番・品名」として、「FANTINI2種 各600枚」の記載がある。
しかしながら、上記メール本文中の記載によれば、そのメールの添付ファイルと思しきものが最終的に印刷され、本件商標権者へ納品されたものと同一のものであるか否かは明らかでないことからすれば、上記2014年(平成26年)9月30日に納品されたとする「FANTINI2種 各600枚」と称するラベルにいかなる表示がされていたかは、不明である。
また、被請求人は、本件商標権者が鈴与へ上記ラベルを送付したことを裏付ける証拠を提出していない。
(2)乙第43号証ないし乙第46号証は、本件商標権者から鈴与へのラベル貼付作業依頼ないし鈴与によるその作業実行を裏付ける証拠とされるものであるところ、乙第43号証は、手書きの書面であって、右上に「4/17」の記載があるほか、「作業依頼 ラベル貼り」、「ヴァンドフランス赤 ラベル13.5度 24ケース(12入)」及び「ヴァンドフランス白 ラベル13度 24ケース(12入)」等の記載があるものであり、最上段には、ファクシミリ送信日時と思しき「2015/04/17 11:31」の表示がある。
また、乙第44号証は、平成27年4月17日付けで鈴与の担当者から子会社とされる開進へ宛てた「流通加工指示書」とするものであって、荷主名として「東京実業貿易」、品名として「ヴァンドフランス赤、白」、数量として「576 BTL(24C/T+24C/T=48C/T×12BTL)」、作業日として「平成27年4月20日?平成27年4月24日」、作業内容として「ラベルはり」の記載があるほか、作業終了確認印欄には、開進の従業者による「’15.4.22」の日付印が押されている。
さらに、乙第45号証は、更新日を「2015/4/22」とする鈴与から本件商標権者へ宛てた「流通加工作業スケジュール」とする一覧表であって、その表中の優先順位4の項目には、作業開始日及び作業終了日として「4/22(火)」、荷主名として「東京実業」、作業内容/備考として「ヴァンドフランス ファンティーヌ 表ラベル貼り作業」、数量(CT)として「48C/T」、数量(本)12本箱として「576本」、数量(本)6本箱として「288本」の記載がある。
加えて、乙第46号証は、鈴与が作成したとされる「東京実業貿易殿 流通加工請求明細 4月分」の標題に係る書面であって、その右上に「2015/4/30」の記載があるほか、その内訳における日付を「4月22日」とするものの作業名の1つとして、「ラベルはり(ヴァンドフランス)」の記載があり、その作業に係る数量として「48」、荷姿として「C/T」の記載がある。
上記乙第43号証ないし乙第46号証を総合勘案すれば、平成27年4月17日に本件商標権者から「ヴァンドフランス赤 ラベル13.5度」及び「ヴァンドフランス白 ラベル13度」の各24ケースについてのラベル貼り作業を指示された鈴与は、子会社である開進を使って、同月22日に「ヴァンドフランス ファンティーヌ 表ラベル貼り作業」を行ったことがうかがえるが、その作業において貼られた表ラベルがいかなるものであったかは明らかでない。
(3)被請求人は、本件商標の使用に係る商品「ワイン」の写真として、乙第5号証、乙第6号証、乙第17号証、乙第27号証及び乙第28号証を提出しているところ、乙第5号証及び乙第6号証は、いずれもボトル状容器を正面から写した写真であって、その容器胴部に「FANTINI」の文字が記載されたラベルが貼付されていることはうかがえるものの、それらがワインであることを認めるに足る事実は見いだせない。
また、乙第17号証(全6葉)は、果実酒のボトル状容器を正面、側面及び裏面から写した写真であって、その容器胴部の正面に「FANTINI」の文字が記載されたラベルが貼付されていることはうかがえるが、当該写真は、要証期間後の2017年(平成29年)7月2日に被請求人が撮影したとするものであるから、これをもって、本件商標権者が要証期間に販売したとするワインに当該ラベルが貼付されていたとはいえず、まして、本件商標権者が要証期間に当該ラベルを貼付したとはいえない。
さらに、乙第27号証及び乙第28号証は、いずれも本件商標権者がワインを寄託している鈴与の社員が2016年(平成28年)7月8日に撮影したとする写真及びそのプロパティであるところ、当該写真は、乙第5号証及び乙第6号証と同様、いずれもボトル状容器を正面から写した写真であって、その容器胴部に「FANTINI」の文字が記載されたラベルが貼付されていることはうかがえるものの、それらがワインであることを認めるに足る事実は見いだせず、また、当該写真は、被写体を異にする2枚の写真であるにもかかわらず、それぞれの写真のプロパティにおける作成日時が「2016年7月8日、17:10:28」と同一であることからすると、その撮影日時には疑義がある。
なお、酒類を輸入する者は、保税地域から引き取る時までに、輸入する酒類の容器の見やすい箇所に、法令で定められた輸入者名、容器の容量、酒類の品目等を表示しなければならず、その表示方法の届出を管轄する税関に行わなければならないとされているところ(乙29)、上記乙第17号証に係る果実酒のボトル状容器の裏面には、「Vin de France Blanc/750ml 12.5% VOL」及び「Vin de France Rouge/750ml 13.5% VOL」や輸入者としての本件商標権者名等の表示のあるラベルが貼付されていることがうかがえることからすれば、本件商標権者が要証期間に本件商標を使用したラベルを貼付したとするワインについても同様の表示のあるラベルが貼付されていたことが想定されるところ、その想定に係るワインについて、被請求人は、本件商標権者が上記法令で定められた表示及びそのラベルに係る表示方法の届出をした事実を裏付ける証拠を提出していない。
(4)上記(1)ないし(3)によれば、本件商標権者からラベル貼り作業を指示された鈴与が、子会社の開進を使って、平成27年4月22日に、品名を「ヴァンドフランス赤、白」とする商品について、ラベル貼りをしたことはうかがえるものの、その商品がいかなるものであり、かつ、そのラベルにいかなる表示がされていたかは明らかでなく、ほかに、本件商標権者が、要証期間に、商品「ワイン」の包装にラベルを貼付するなどした事実も見いだせない。
また、被請求人が本件商標を使用したラベルと主張するものに本件商標の構成中の「FANTINI」の文字と同じつづりの文字の記載があるとしても、そのラベルが、要証期間に、商品「ワイン」の包装に貼付されたことを認めるに足る事実も見いだせない。
そうすると、本件商標権者が、要証期間に、商品「ワイン」の包装について、上記主張に係る「FANTINI」の文字の記載のあるラベルを含め、いかなる表示がされたラベルを貼付するなどしたかが明らかでない以上、本件商標権者は、要証期間に、商品「ワイン」の包装に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を付したとは認められず、その他、被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証を総合してみても、要証期間に、日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標の指定商品のいずれか又はその包装に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を付したと認めることはできない。
2 商標法第2条第3項第2号について
被請求人の主張によれば、本件商標権者は、ワインを輸入する場合、そのワインを自社内に持ち込まず、荷揚げ港近くにある鈴与の倉庫に寄託し、必要に応じてラベルの貼付作業を行った後、再梱包をして、その倉庫から一定量ずつ小売店や一般事業者又はその他の中間業者へ出荷するようにしているところ、2014年(平成26年)10月から2017年(平成29年)3月までの間、東京西部に複数店舗(レストラン)を展開している顧客へファンティーニブランドのワインを販売したとする。
そこで、被請求人の上記主張に係る乙各号証についてみるに、乙第1号証ないし乙第4号証、乙第11号証ないし乙第16号証、乙第18号証ないし乙第23号証は、それぞれ、2014年(平成26年)10月14日締切分(乙1、乙11、乙18)、2015年(平成27年)の5月19日締切分(乙2、乙12)、6月23日締切分(乙13、乙19)及び8月17日締切分(乙3、乙14、乙20)、2016年(平成28年)の1月19日締切分(乙4、乙15、乙21)及び10月14日締切分(乙16、乙22)並びに2017年(平成29年)3月15日締切分(乙23)とする本件商標権者から顧客へ宛てた請求書であり、また、乙第18号証ないし乙第23号証においては、当該請求書と同日ないし数日後に顧客から本件商標権者へ請求金額と同額の振り込みがされたことを裏付けるとする書面も含まれている。
そして、上記各請求書には、「品番・品名」として、「0001800/ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」(乙1、乙2、乙11?乙13、乙18、乙19、乙23)又は「0001900/ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」(乙1?乙4、乙11、乙12、乙14?乙16、乙18、乙20?乙22)の記載がある。
そうすると、本件商標権者は、要証期間に、顧客に対し、「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」及び「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」を品名とする商品を販売(5回)したことがうかがえるが、その販売に係る商品にいかなる商標が付されていたかは明らかでない。
また、本件商標権者は、ワインを小売店等に出荷するに当たり、ワインを寄託している鈴与において、ラベル貼付や再梱包をしてから出荷するとしているところ、上記1のとおり、鈴与において、要証期間に、商品「ワイン」の包装に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を付したとは認められず、さらに、当該出荷においては、本件商標権者から鈴与へその出荷に係る指示がされたり、鈴与から本件商標権者へその出荷に係る商品の在庫変動等を知らせることが想定されるところ、それらの事実を裏付ける証拠の提出はない。
加えて、顧客が、自己のレストランにおいて、要証期間に本件商標権者から購入した「ファンティーニ ルージュ ヴァン.ド.フランス赤」及び「ファンティーニ ブラン ヴァン.ド.フランス白」を品名とする商品をどのようにして提供していたかも明らかでない。
してみれば、本件商標権者は、要証期間に、商品「ワイン」の包装に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を付したものを譲渡したとは認められず、その他、被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証を総合してみても、要証期間に、日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標の指定商品のいずれか又はその包装に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を付したものを譲渡等したと認めることはできない。
3 まとめ
以上によれば、本件商標権者は、要証期間に、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を商品「ワイン」について使用(商標法第2条第3項第1号及び同項第2号にいう行為)をしていたと認めることはできない。
その他、被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証を総合してみても、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)が、要証期間に、本件審判の請求に係る指定商品について使用をされていたことを認めるに足る事実は見いだせない。
してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品についての本件商標の使用をしていることを証明していない。
また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2019-09-18 
結審通知日 2019-09-20 
審決日 2019-10-03 
出願番号 商願2005-94171(T2005-94171) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y33)
最終処分 成立  
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 田中 敬規
中束 としえ
登録日 2006-07-28 
登録番号 商標登録第4974148号(T4974148) 
商標の称呼 ファンティーニ、ファンティニ、ファンチニ 
代理人 森 幸一 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 
代理人 松村 修 

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