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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W093542
審判 一部申立て  登録を維持 W093542
審判 一部申立て  登録を維持 W093542
管理番号 1357035 
異議申立番号 異議2018-900357 
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-30 
確定日 2019-10-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6078528号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6078528号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6078528号商標(以下「本件商標」という。)は、「TIG」の欧文字を標準文字で表してなり、平成29年10月30日に登録出願、第9類「アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能な移動体電話用プログラム,ダウンロード可能なコンピュータプログラム,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,業務用テレビゲーム機用プログラム,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音声ファイルまたは音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル又は動画ファイル,録音済み又は録画済みの記録媒体,電子出版物」、第35類「広告業,電子的手段及びグローバルな情報ネットワークによる広告スペースの提供,広告に関するコンサルティング及びこれに関する情報の提供,広告に関する情報の提供,商品の売買契約の媒介又は代理,商品の販売促進又は役務の提供促進のための企画及び運営,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,アンケート調査及びその結果の分析又は評価及びこれらに関する情報の提供,事業管理,競売の運営,広告用具の貸与,商品の選択及び購入する品物の選択に関する消費者への情報の提供及び助言,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(つけづめ・つけまつ毛・ひげそり用具入れ・ペディキュアセット・まつ毛カール器・マニキュアセット・耳かき・携帯用化粧道具入れ・懐中鏡・鏡袋・化粧道具(「電気式歯ブラシ」を除く。)・化粧落とし用の布(化粧落とし剤を含ませたものを除く。)・つけあごひげ・つけ口ひげ・ヘアカーラー(電気式のものを除く。)を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、第42類「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機の貸与,デザインの考案,インターネットプラットフォーム用ソフトウェアの設計・作成又は保守,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,電気に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,コンピュータプログラムに関する試験又は研究」のほか第38類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同30年7月25日に登録査定、同年9月7日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下のとおりである(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
(1)米国商標登録第2720478号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:TIG
出願日:2001年3月12日
登録日:2003年6月3日
指定役務:第37類「Computer hardware and network installation, support and maintenance services.」及び第42類「Computer hardware, software and network integration services; computer hardware, software and network design services; computer hardware, software and network management and control services; data warehousing; web site hosting services for others; computer software installation, maintenance and support; computer hardware, and network support services.」(以下、これらの役務を「申立人役務」という。)
(2)使用商標「TIG」(甲2:以下「引用商標2」という。)は、日本に駐在する在日米軍海軍基地において、申立人役務について使用していると主張するものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「全指定商品」、第35類「全指定役務」及び第42類「全指定役務」(以下「申立てに係る商品及び役務」という。)について、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反してなされたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであると申立て、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)申立ての根拠と具体的な理由
申立人は、アメリカ・サンディエゴに本社を有し、申立人役務を全米において提供し、年商が250ミリオンドルの企業である(甲3)。
また、申立人は、2015年2月9日に、大手ソフトウェアメーカーであるCisco社から、顧客満足度の優秀賞を表彰され(甲5)、2016年10月24日に、米国商務省から年間小規模技術志向企業賞MBDAを表彰されている(甲6)。その際に、米国商務省のThe Secretary of CommerceであるPenny Pritzkerがこの表彰式に自ら出席し、申立人を表彰した経緯がある(甲4)。
以上のとおり、申立人がこれまで受賞した数々の表彰歴から、引用商標は、アメリカにおいて周知著名であることは明らかである。
なお、申立人は、日本においても、日本に駐在する在日米軍海軍基地において、申立人役務を提供している(甲2)。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念において、同一若しくは類似する商標である。
また、引用商標は、日本国内において申立人の業務を示すものとして周知著名であるから、本件商標の登録は、申立人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものである。
よって、本件商標は、申立人の商標と同一若しくは類似であり、さらに、申立人の周知著名な商標「TIG」に係る商品「コンピュータプログラム」と本件商標の指定商品中、第9類の商品「アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能な移動体電話用プログラム,ダウンロード可能なコンピュータプログラム,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,業務用テレビゲーム機用プログラム,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音声ファイルまたは音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル又は動画ファイル,録音済み又は録画済みの記録媒体」は類似し、さらには、申立人の役務である「コンピュータソフトウェアの設計・制作」と本件商標の第42類の指定役務とは類似する役務である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、引用商標と同一若しくは類似であり、本件商標の指定商品・役務は、申立人が使用する商品・役務と同一若しくは類似であるが、仮に指定商品・役務が同一若しくは類似でないとしても、引用商標は、周知著名であるから、本件商標の指定商品・役務とは出所の混同が生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標の商標権者は、引用商標が既にアメリカ及び/若しくは日本において周知著名であることが明らかであるにもかかわらず、引用商標が日本において登録されていないことを奇貨として、不正の目的をもって商標登録に及んだものである。
そもそも、本件商標の商標権者が引用商標をそっくりそのまま採用する合理的理由はなく、かかる行為は引用商標が使用を通じて蓄積した業務上の信用をただ乗りする行為であり、不正の目的をもって商標登録に至ったものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人は、申立人役務を全米において提供し、年商が250ミリオンドルの企業であって、引用商標は、「コンピュータプログラム」、「コンピュータソフトウェアの設計・制作」等の申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、周知著名である旨主張しているところ、申立人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。
申立人は、引用商標1の権利者であり(甲1の2)、2016年10月31日時点の売上高が約325ミリオンドルである旨の記載がある(甲3)ものの、該売上高が引用商標1を付した商品及び役務についてのものであるのかが不明であって、申立人の業務に係る商品及び役務についての広告方法、回数、範囲や市場シェア等については確認できないものである。
申立人は、甲第2号証をもって、日本に駐在する在日米軍海軍基地において申立人役務を提供し引用商標2を使用している旨主張しているが、当該証拠には、「TIG」の文字が表示されているものの、申立人による使用事実は確認できず、いかなる役務についての使用をするものか不明である。
また、2015年2月9日に、アメリカの大手ソフトウェアメーカーであるCisco社から、顧客満足度の優秀賞を受賞し、2016年10月24日に米国商務省から年間小規模技術志向企業賞を受賞したのは、「テクノロジー インテグレーション グループ」である旨記載されているが、当該グループと申立人との関係は不明である(甲4?甲6)。
そのほかに、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、アメリカ及び我が国において、申立人の業務に係る具体的な商品及び役務を表示するものとして、周知性を獲得していたと認めるに足りる証拠を見いだすことはできない。
したがって、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く知られていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」と規定されている。
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ないから、同号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知・著名性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品及び役務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性について
本件商標及び引用商標は、前記1及び2のとおり、「TIG」の欧文字を共通にするものであるから、類似性の程度は相当高いものである。
ウ 申立てに係る商品及び役務と、申立人役務の関連性、需要者の共通性について
申立てに係る商品及び役務中「アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能な移動体電話用プログラム,ダウンロード可能なコンピュータプログラム,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム」及び「電子計算機用プログラムの提供」と申立人役務とは、関連性が高く、取引者、需要者の共通性も高いものの、そのほかの申立てに係る商品及び役務は、その目的、販売場所又は提供場所、業種等において異なるものであるから、両者の関連性はそれ程高いものではなく、その取引者、需要者の共通性が高いともいえない。
エ 引用商標の独創性について
引用商標は、上記2のとおり、「TIG」の欧文字からなるところ、単に欧文字3文字を連ねた構成であり、構成上顕著な特徴を有するものとはいえないものである。
オ 出所の混同のおそれについて
上記アないしエを総合して判断するに、本件商標と引用商標は、類似性の程度が高いものであるとしても、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているとは認められないものである。
また、申立てに係る商品及び役務と、申立人役務とは、その一部において関連性があって、需要者の共通性が高いものの、そのほかの商品及び役務における関連性や需要者の共通性は、高いとはいえず、引用商標が構成上顕著な特徴を有するものでもないことからすれば、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人の業務に係る引用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれを申立てに係る商品及び役務について使用しても、取引者、需要者が、その商品及び役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標について、出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用商標とは、同一又は類似の商標であって、引用商標1が米国において登録されているとしても、引用商標は、前記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして我が国又は米国における需要者の間に広く認識されていたということはできないものである。
また、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商標権者が不正の目的をもって本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くと認めるべき事情が存するものということはできず、かつ、引用商標の周知著名性へのただ乗りをする等、不正の目的をもって使用されるものであるということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、申立てに係る商品及び役務について、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-10-15 
出願番号 商願2017-143038(T2017-143038) 
審決分類 T 1 652・ 25- Y (W093542)
T 1 652・ 222- Y (W093542)
T 1 652・ 271- Y (W093542)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
鈴木 雅也
登録日 2018-09-07 
登録番号 商標登録第6078528号(T6078528) 
権利者 パロニム株式会社
商標の称呼 ティグ、ティッグ、テイアイジイ 
代理人 朝倉 美知 
代理人 前田 大輔 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 西脇 眞紀子 
代理人 中村 知公 

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