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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W19
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W19
管理番号 1356907 
審判番号 不服2018-13092 
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-02 
確定日 2019-10-18 
事件の表示 商願2017-66907拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「荒壁パネル」の文字を標準文字で表してなり,第19類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として,平成29年5月17日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同30年3月5日受付の手続補正書により,第19類「荒壁用壁材(下地用を含む。)」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は,「本願商標は,『荒壁パネル』の文字を標準文字で表示してなるところ,その構成中の『荒壁』の文字は『粗塗をしただけの壁』の意味を,『パネル』の文字は『羽目板』の意味を有する語であるので,その構成全体として『荒壁用のパネル』程の意味合いを容易に理解させるものである。そして,本願商標の指定商品を取り扱う分野においては,『荒壁パネル』の文字が一般に使用されている実情が認められる。そうすると,本願商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者及び取引者は,それが『荒壁用のパネル』であることを理解するものであるから,本願商標は,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるといえる。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。さらに,出願人は,意見書において,『本願商標は商標法第3条第2項に該当する』旨主張しているが,意見書及び手続補足書に係るすべての意見の内容を総合してみても,出願人が本願商標を使用した結果,本願商標が,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識されるに至っていると認めることはできない。したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備しない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和元年5月21日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の回答の要旨
1 証拠調べ通知書で提示された,特許公報3件のうち2件(別掲(2)ア,イ)及びインターネット情報(別掲(3))における「荒壁パネル」の文字は,請求人商品を表すものであり,「荒壁パネル」の文字が一般的に使用されているという証拠には成り得ない。
また,同時に使用による識別力も獲得しており,商標法第3条第2項により登録されるべき商標である。
2 証拠調べ通知で引用した特許公報等3件のうち1件(別掲(2)ウ)は,出願自体が36年ほど前のものであり,この記載のみをもって「荒壁パネル」の文字が一般的に使用されているということの証拠にはならない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性
(1)本願商標について
本願商標は「荒壁パネル」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「荒壁」の文字は,例えば別掲(1)の辞書に記載されているように「荒壁土に藁すさを混ぜたものを木舞(こまい)下地に塗った壁。砂壁・土壁・漆喰(しつくい)塗りなどの仕上げ塗りの下地となる。」の意味を有する語として,また,「パネル」の文字は,同様に「一定の寸法に枠材を取り付けて作った板状製品のこと。」の意味を有する語として,いずれも我が国で親しまれているものである。
そうすると,本願商標は,「荒壁」及び「パネル」の文字を組み合わせてなるものと容易に認識,把握されるとみるのが相当であり,これらを一連に表した「荒壁パネル」の文字からは,各語意に相応して「板状の荒壁」程の意味合いが認識されるものである。
そして,当審が職権で調査したところ,本願商標の指定商品の分野において,たとえば,別掲(2)の特許公報等に,「一方の前記荒壁パネルの面外方向の外側には,前記荒壁パネルを土壁下地として中塗りと仕上げ塗りとが施されている」の記載(別掲(2)ア),「1 考案の名称」として「荒壁パネル材」の記載及び「この考案は,壁下地材等として有用せしめんとする新規な荒壁パネル材に関する。」の記載(別掲(2)イ),「1 考案の名称」として「荒壁パネル」の記載及び「本考案は荒壁パネルに関し,一層詳細には,枠体内に葦や竹を格子状に組み込むとともに壁土を塗着して成る荒壁パネルに関する。」の記載(別掲(2)ウ)等があるように,「荒壁パネル」の文字が,「板状の荒壁」程の意味合いにおいて,土壁下地製品の一種を指称するものとして使用されている実情が認められる。
また,たとえば,別掲(3)のインターネット情報に,「『荒壁パネル』とは,格子状の下地を土壁のパネルでサンドして,耐震壁を形成する新しい耐震手法です。」の記載(別掲(3)ア),「調温・調湿性などで優れている荒壁がパネルになった『荒壁パネル』を取り付けしました。」の記載(別掲(3)イ),「荒壁パネル 土壁に類似した特性を持つ土壁の工業製品で,乾燥の手間が省けるため工期短縮につながります。」の記載(別掲(3)ウ),「荒壁パネルを下地に用いることで,通常よりも短期間で,厚みのある土壁を作ることができました。」の記載(別掲(3)エ)等があるように,「荒壁パネル」の文字が,「板状の荒壁」程の意味合いにおいて,土壁下地製品の一種を指称するものとして使用されている実情が認められる。
上記のとおり,「荒壁パネル」の文字が「板状の荒壁」程の意味合いを表す語として理解され,また,該文字が実際に「板状の荒壁」程の意味合いにおいて,土壁下地製品の一種を指称するものとして使用されている実情があることよりすれば,本願商標は,これをその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者をして,土壁下地製品の一種としての「板状の荒壁」であること,すなわち,商品の品質を表示したものとして認識させるにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないものというのが相当である。
したがって,本願商標は,商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張
ア 請求人は,「請求人の特許発明に係る商品を『荒壁パネル』として製造販売しており,これ以外の商品で『荒壁パネル』の商標が付された商品は,他社も含めて日本国内において販売されていない。仮に販売されているのであれば,その商品は請求人の特許権の侵害品に該当する可能性が高い。」程を述べ,「『荒壁パネル』の文字が一般的に使用されているという実情は一切ない。」旨主張する。
しかしながら,「荒壁パネル」の文字が請求人の特許発明に係る商品の名称であるとしても,特許権の保護対象は,あくまでもその発明の技術的内容であり,その特許発明に係る商品に対し付した名称までもが,特許発明と同様に,特許権者によって一定期間独占されているのではないこと,また,特許明細書中の発明の名称や特許請求の範囲,発明の概要等には,その発明の技術的内容を客観的に説明するために,当業者における一般名称が用いられることが通常であることから,例えば,別掲(2)の特許公報等において,「荒壁パネル」の文字が,請求人関係者にかかる特許明細書中に記載されていたとしても,それは「板状の荒壁」程の意味合いにおいて,土壁下地製品の一種を指称するものとして使用されていることからすれば,「荒壁パネル」の文字は,単に商品の品質を表示するものとして理解されるというべきである。
また,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,我が国の取引者,需要者が商品の品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものであり,実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解されるところ,本願商標をその指定商品について使用した場合,これに接する取引者,需要者をして,商品の品質を表示したものと認識されるというのが相当であることは上記(1)のとおりであって,本願商標が,請求人関係者以外の者によって,商品の品質等を表示するものとして,取引上,普通に採択,使用されている事実が見当たらないことをもって,上記においてした判断が左右されるものではない。
イ 請求人は,証拠調べ通知で引用した特許公報等3件のうち2件及びインターネット情報における「荒壁パネル」の文字の使用事例は,いずれも,請求人関係者や取引先にかかるものであり,請求人の商品「荒壁パネル」に言及したものであるから,「荒壁パネル」の文字が一般的に使用されているということの証拠にはならない旨主張する。
しかしながら,上記事例を含む特許公報等(別掲2)及びインターネット情報(別掲3)において,「荒壁パネル」の文字は,それが請求人に係る商標ないし請求人に係る特定の商品の名称であると認識し得る記載は見あたらず,「板状の荒壁」という商品の品質,特性を表示記述するものとして使用されているから,本願商標は,その指定商品との関係では,商品の品質を表示するものとして理解されるというべきである。
ウ よって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
2 本願商標の商標法第3条第2項該当性について
請求人は,仮に「荒壁パネル」が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても,請求人は,商品「荒壁用壁材(下地用を含む。)」に対し,長年にわたって,本願商標「荒壁パネル」を使用しており,全国的な周知性を獲得しており,同条第2項により登録されるべきものである旨主張し,その証拠方法として,原審において,甲第1号証ないし第19号証を提出し,さらに,当審において,甲第20号証ないし第24号証を提出しているので,以下検討する。
証拠及び請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)事実認定
ア 本件商品における標章の使用態様
請求人は,本願商標と実質的に同一と認め得る「荒壁パネル」の文字を「板状の荒壁用壁材」(以下「請求人商品」という。)について使用している(甲6?甲8等)。
イ 本件商品の販売開始時期・販売期間・販売地域
請求人商品は,2002年(平成14年)に販売を開始し,京都府,東京都,静岡県,奈良県,大阪府,兵庫県等の取引先・工事現場に納品された(甲2,甲4,甲6,甲10,甲21?甲24等)。
ウ 本件商品の販売実績
「商品『荒壁パネル』の販売年度,販売数及び販売金額のグラフ」(甲5)及び請求人の主張によると,請求人商品の販売数量は2002年(平成14年)度183枚,2003年(平成15年)度1,346枚,2004年(平成16年)度2,640枚,2005年(平成17年)度4,700枚,2006年(平成18年)度5,472枚,2007年(平成19年)度5,054枚,2008年(平成20年)度8,485枚,2009年(平成21年)度6,382枚,2010年(平成22年)度7,413枚,2011年(平成23年)度12,559枚,2012年(平成24年)度11,750枚,2013年(平成25年)度13,205枚,2014年(平成26年)度13,274枚,2015年(平成27年)度15,012枚であり,及び請求人商品の販売額は2002年(平成14年)度約135万円,2003年(平成15年)度約9百万円,2004年(平成16年)度約1千8百万円,2005年(平成17年)度約2千8百万円,2006年(平成18年)度約3千4百万円,2007年(平成19年)度約3千2百万円,2008年(平成20年)度約4千4百万円,2009年(平成21年)度約3千2百万円,2010年(平成22年)度約3千8百万円,2011年(平成23年)度約6千万円,2012年(平成24年)度約5千7百万円,2013年(平成25年)度約6千7百万円,2014年(平成26年)度約6千8百万円,2015年(平成27年)度約7千8百万円とある。
エ 広告宣伝のされた期間・地域及び規模
(ア)請求人は,2002年(平成14年)から商品「荒壁パネル」に関する広告宣伝を,請求人のウェブサイトやパンフレットの頒布を通じて行っている(甲6?甲8等)。
(イ)請求人は,2015年(平成27年)7月の文化財保護・復元技術展(甲10),2011年(平成23年)5月の住宅リフォームフェア2011(甲13),2011年(平成23年)3月のハウジング&リフォームあいち2011(甲15),2010年(平成22年)5月の住宅リフォームフェア(甲16),2010年(平成22年)1月の東京都耐震改修展示会(甲17),2009年(平成21年)7月のリフォーム産業フェア(甲18)に,請求人商品を展示した。
しかしながら,当該展示会等への来訪者の数等は明らかでなく,当該展示会等におけるいずれの写真も不鮮明であり,「荒壁パネル」の文字及び請求人商品が,どのように展示されたかも明らかでない。
(ウ)2015年(平成27年)6月7日に朝日放送のテレビ番組「大改造劇的ビフォーアフター」において,請求人商品の製造作業並びに実際に用いる際の方法及び効果が紹介された(甲12)。
(エ)請求人商品は,一般社団法人HEAD研究会が開催する「HEADベストセレクション賞2016」を受賞した(甲19)。
(2)判断
上記(1)の認定事実によれば,請求人は,本願商標と実質的に同一と認め得る「荒壁パネル」の文字を使用した請求人商品を,1都2府3県等の取引先を含む地域において,2002年(平成14年)度から2017年(平成29年)度にかけて15年間,製造・販売していたことは認められる。
しかしながら,請求人商品を取り扱う業界の規模が不明であることに加え,請求人商品の販売数量及び販売金額は,その数量,金額を裏付ける客観的な証拠の提出はなく,それらをもって,本願商標が需要者間に認識されたものと評価することはできない。
広告宣伝においては,請求人商品は,請求人のウェブサイトでの紹介やパンフレットの頒布が行われたことが認められるものの,当該パンフレットの頒布時期及び頒布数は明らかでなく,展示会等に出品されたことは認められるとしても,その回数は平成21年から同27年の7年間において10回にも満たず,その来訪者数等や「荒壁パネル」の文字及び請求人商品の展示の態様も明らかではない。また,テレビ番組において紹介されたとしても,わずか1回にすぎない。さらに,「HEADベストセレクション賞2016」を受賞したことは認められるとしても,そのことをもって,本願商標が需要者間に認識されたものと評価することはできない。
以上よりすると,本願商標は,その指定商品「荒壁用壁材(下地用を含む。)」に使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することが至ったものとは認められない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(4)請求人の主張
請求人は,「請求人しか荒壁パネルを販売していないものと思われるため,市場占有率は100%になるものと思われる。」旨主張している。
しかしながら,仮に請求人が「板状の荒壁用壁材」において,100%のシェアを獲得しているとしても,請求人のシェアの対象を「板状の荒壁用壁材」及びそれに類似する商品のみに限定して評価しなければならない理由はない。
したがって,請求人の上記主張は,採用できない。
(5)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,かつ,同条第2項の要件を具備しないから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 当審における証拠調べ通知で開示した事実
(1)辞書における載録例
ア 「広辞苑第七版」(株式会社岩波書店)において,「あらかべ【粗壁・荒壁】」の項に,「粗塗りをしただけの壁。漆喰塗りの土壁で,下地になる壁。」の記載がある。
イ 「新明解国語辞典 第七版」(株式会社三省堂)において,「あらかべ【粗壁】」の項に「練った土を塗って作る壁の下塗り(をしただけの壁)。『荒壁』とも書く。」の記載がある。
ウ 「岩波国語辞典 第3版」(株式会社岩波書店)において,「あらかべ【粗壁・荒壁】」の項に「下塗りをしただけの壁。」の記載がある。
エ weblio辞書のウェブサイトの「大辞林」(株式会社三省堂)において,「あらかべ【荒壁・粗壁】」の項に「荒壁土に藁すさを混ぜたものを木舞(こまい)下地に塗った壁。砂壁・土壁・漆喰(しつくい)塗りなどの仕上げ塗りの下地となる。」の記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/%E8%8D%92%E5%A3%81)
オ 「住宅建築専門用語辞典」のウェブサイトにおいて,「荒壁」の項に「荒壁とは,小舞下地に粘性のある土を塗った壁。通常,この上に仕上げ塗りをしますが,茶室などでこのままの仕上げとすることがあります。」の記載がある。
(http://www.what-myhome.net/01a/arakabe.htm)
カ 「新明解国語辞典 第七版」(株式会社三省堂)において,「パネル[panel]」の項に「(建築で)羽目板・鏡板などの板。」の記載がある。
キ 「岩波国語辞典 第3版」(株式会社岩波書店)において,「パネル」の項に「建築で,羽目板・鏡板・壁板などの板。」の記載がある。
ク weblio辞書のウェブサイトの「大辞林」(株式会社三省堂)において,「パネル【panel】」の項に「1 壁板・扉板など一定の枠にはめ込む一枚板。鏡板。羽目板。2 建築用の,規格の寸法・仕様で製造された板。金属製・コンクリート製・木製など。」の記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/%E3%83%91%E3%83%8D%E3%83%AB)
ケ weblio辞書のウェブサイトの「実用空調関連用語」において,「パネル panel」の項に「一定の寸法に枠材を取り付けて作った板状製品のこと。型枠パネル,壁パネル,内装パネル,プレキャスト鉄筋コンクリートパネルなどがその例である。」の記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/%E3%83%91%E3%83%8D%E3%83%AB)
コ weblio辞書のウェブサイトの「照明大辞典」において,「パネル」の項に「板状の形状を総称して言う。」の記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/%E3%83%91%E3%83%8D%E3%83%AB)
サ weblio辞書のウェブサイトの「リフォーム用語集」において,「パネル」の項に「板状のものの事を指す。ボードと同類。」の記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/%E3%83%91%E3%83%8D%E3%83%AB)
シ 「リフォーム用語集」において,「壁パネル」の項に「板状に成型した部材のこと。多くは,ツーバイフォー工法による建築物のように,面で建築物を構成する構造に用いられ,構造を支える面材として使われる。構造上,耐力壁として建築物を支える壁パネルは,プレハブメーカーなどによって,サイズや形状は異なる。あらかじめ工場などで,合板や角材を張り合わせるなどしてパネル状に生産され,現場に持ち込まれることが多い。」の記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/%E5%A3%81%E3%83%91%E3%83%8D%E3%83%AB)

(2)「荒壁パネル」の文字が公開特許公報等において壁材の名称の1つとして使用されている事実について
ア 公開特許公報 特開2014-173331
「出願番号 特願2013-46979
出願日 平成25年3月8日(2013.3.8)
出願人 株式会社竹中工務店
・・・
【発明の名称】耐震壁
【要約】
・・・
【解決手段】初期剛性が大きい構造用合板110によって損傷限界時の建築物剛性が向上する。また,構造用合板110よりも変形性能が大きい荒壁パネル120によって安全限界時の建築物耐力が向上する。
・・・
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架構に設けられた構造用合板と,
前記架構における前記構造用合板の面外方向外側に設けられ,前記構造用合板よりも変形性能が大きい荒壁パネルと,
を備える耐震壁。
【請求項2】
前記構造用合板の面外方向の両外側にそれぞれ前記荒壁パネルが設けられ,
少なくとも一方の前記荒壁パネルの面外方向の外側には,前記荒壁パネルを土壁下地として中塗りと仕上げ塗りとが施されている,
請求項1に記載の耐震壁。」
イ 公開実用新案公報 昭60-15516
「実願 昭58-109336
出願 昭58(1983)7月13日
出願人 村上博
・・・
1 考案の名称 荒壁パネル材
2 実用新案登録請求の範囲
新聞紙等を溶かした溶解液に任意の土材を混練し,これに任意の硬貨剤を混入した。溶解新聞紙等(1),土材(2),硬化剤(3)から成る溶解剤を,金属,竹,木等による網目状材等を芯材(4)として介在せしめ乾燥硬化し芯材(4)を介在せしめた前記溶解剤の層(5)による任意厚の一体のシート状荒壁パネル材(6)に作って成ることを特徴とする荒壁パネル材。
3 考案の詳細な説明
この考案は,壁下地材等として有用せしめんとする新規な荒壁パネル材に関する。」
ウ 公開実用新案公報 昭59-167132
「実願 昭58-58918
出願 昭58(1983)4月20日
出願人 中山徳太郎
・・・
1 考案の名称 荒壁パネル
2 実用新案登録請求の範囲
少なくとも3方向を囲むように設けたパネル枠体と,このパネル枠体内に,パネル枠体を内側から支持するように設けた補強材と,前記パネル枠体内壁にその周縁において固定された,竹および葦等を縄等で編み組みしてなる下地材と,前記補強材と下地材とを覆って補強材と下地材とに塗着させた荒壁土とから成る荒壁パネル。
3 考案の詳細な説明
本考案は荒壁パネルに関し,一層詳細には,枠体内に葦や竹を格子状に組み込むとともに壁土を塗着して成る荒壁パネルに関する。」

(3)本願商標の指定商品を取り扱う業界において「荒壁パネル」の文字が使用されている事実について
ア 「ナカオアーキオフィス」の「聞明寺 改築工事日誌」のウェブログにおいて,「2017年03月20日 3月20日 木造耐震化の秘密兵器 『荒壁パネル』設置開始」の見出しの下,「『荒壁パネル』とは,格子状の下地を土壁のパネルでサンドして,耐震壁を形成する新しい耐震手法です。」との記載がある。
(https://monm.exblog.jp/27805173/)
イ 「株式会社ナカタ」のウェブログにおいて,「調温・調湿性に優れた荒壁パネルを取付しました 2015-07-07 10:00:01 テーマ:工事の状況」の見出しの下,「調温・調湿性などで優れている荒壁がパネルになった『荒壁パネル』を取り付けしました。従来の荒壁は貫板があり,竹小舞下地の上に表裏に土壁を塗り,1?2ヶ月の乾燥期間が必要でした。このパネルは工期の短縮,調湿性・耐熱性,リサイクル性に優れた結露防止の自然素材。また,従来の荒壁よりも耐震性も高く,両面張りで壁倍率2.6倍!」との記載がある。
(https://ameblo.jp/kyoto-nakata/entry-12047581259.html)
ウ 「大阪市立大学」のウェブサイトの「オープンナガヤ大阪2015記録集」の「大阪長屋の特徴」の項において,「古い長屋を支える新しい耐震技術」の見出しの下,「荒壁パネル 土壁に類似した特性を持つ土壁の工業製品で,乾燥の手間が省けるため工期短縮につながります。変形能力が高く,建物の耐力を上げます。」との記載がある。
(http://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/111H0000010-1-07.pdf)
エ 「大学と民間企業等の連携により,先進的な技術や新たな住まい方を提案するZEH(※)のモデル住宅を実際に建築し,住宅の環境・エネルギー性能の測定・実証や,展示を通じた普及啓発を行うプロジェクトです。※ZEH:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(年間での一次エネルギー消費量が正味ゼロの住宅)」とのプロジェクトである「エネマネハウス2017」のウェブサイトにおいて,同プロジェクトの2017年の優秀賞である武庫川女子大学大学院の「キセカエハウス-伝統的住環境技術を用いた対話のしつらえ-」の紹介ページの「4-2.土壁パネル制作」の項において,「土壁パネルは,短期間での施工や運搬を考えて,サイズや厚みを検討しました。荒壁パネルを下地に用いることで,通常よりも短期間で,厚みのある土壁を作ることができました。」との記載がある。
(https://www.enemanehouse.jp/assets_v2/doc/doc_grad_mukogawa_02.pdf)



審理終結日 2019-08-16 
結審通知日 2019-08-23 
審決日 2019-09-04 
出願番号 商願2017-66907(T2017-66907) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (W19)
T 1 8・ 13- Z (W19)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 浦崎 直之齋藤 健太谷村 浩幸 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 山根 まり子
大森 友子
商標の称呼 アラカベパネル、アラカベ 
代理人 本田 史樹 

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