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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
審判 一部申立て  登録を維持 W09
審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1356281 
異議申立番号 異議2017-900165 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-11-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-22 
確定日 2019-03-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5923200号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5923200号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5923200号商標(以下「本件商標」という。)は、「Ever Eden」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年1月27日に登録出願、第9類「増幅器,バッテリーチャージャー,ビデオカメラ,携帯電話機用ストラップ,コンピュータ用キーボード,コンピュータ周辺機器,コンピュータ記憶装置,データ処理装置用カプラー,ガルヴァーニ電池,全地球測位装置(GPS),電話用ハンズフリーキット,ヘッドホン,スピーカー,メガホン(拡声器),鏡(光学用のもの),マウス(コンピュータ周辺機器),マウスパッド,光学ガラス,スマートフォン,タブレット型コンピュータ」及び第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同29年1月18日に登録査定、同年2月17日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由として引用する商標は、以下の1ないし3のとおりであり、いずれも申立人の業務に係る商品「スピーカー、楽器用の電気式増幅器、エフェクター、被服、マグカップ、バッグ、タオル、時計」(以下「引用商標に係る商品」という。)について使用しているとするものである。
1 「EDEN」の欧文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)
2 別掲1のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」という。)
3 別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標3」という。)
以下、引用商標1ないし引用商標3をまとめて「引用商標」という場合がある。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中の第9類「増幅器,ビデオカメラ,携帯電話機用ストラップ,データ処理装置用カプラー,全地球測位装置(GPS),電話用ハンズフリーキット,ヘッドホン,スピーカー,メガホン(拡声器),スマートフォン」(以下「申立てに係る商品」という。)については、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第231号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号該当性について
本件商標は、引用商標と類似し、申立てに係る商品は、引用商標に係る商品と類似する。
また、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国における取引者や需要者の間に広く認識されていた。
すなわち、本件商標は、申立人及びその一員の業務に係る商品を表示するものとして、取引者や需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その商品と同一又は類似の商品について使用をするものである。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、引用商標と類似し、申立てに係る商品は、その一部が引用商標に係る商品と共通しているのに加えて、取引者や需要者及び販売場所が引用商標に係る商品と共通する。
また、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国における取引者や需要者の間に広く認識されていた。
さらに、申立人の業務に係る商品の範囲は、引用商標に係る商品の範囲を超えて拡大している。
そうすると、本件商標が申立てに係る商品について使用された場合、取引者や需要者は、当該商品が申立人あるいはその関連企業によって取り扱われている商品であるかのごとく、当該商品の出所について誤認、混同を生じるおそれがある。
すなわち、本件商標は、申立人等の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある商標である。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、引用商標と類似し、また、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国における取引者や需要者の間で広く認識されていた。
さらに、本件商標の商標権者が本件商標の採択、使用をする行為には、不正の目的があったものと推認せざるを得ない。
すなわち、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国における取引者や需要者の間で広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、引用商標の周知性については、以下のとおりである。
ア EDEN Amplification(以下「EDEN社」という。)は、1976年に米国において設立、1980年初頭からはベースアンプとスピーカーキャビネットの製造に特化し、以後、それらの製品(エフェクター、コントロールペダル等を含む。)の製造、販売をしている(甲2?甲5、甲10?甲13、甲17?甲19、甲53?甲101、甲103?甲115)。
また、EDEN社の事業を所有していたUS Music Corporationは、2011年12月に、当該事業を申立人(Marshall Amplification plc)へ売却し(甲7)、EDEN社は、申立人の一員となったことがうかがえる(甲2、甲3、甲18、甲63、甲103、甲104)。
なお、申立人は、上記EDEN社の製品について、世界60か国以上の販売代理店を通じて販売されており(甲9)、また、販売代理店が存在する国や地域において、引用商標の商標登録をしている(甲19、甲21?甲32)旨主張するところ、その主張に係る甲各号証によれば、2017年(平成29年)8月10日時点で、アジア(我が国を含む15か国・地域)、オセアニア(4か国)、北アメリカ(5か国)、欧州(28か国)、南アメリカ(10か国)にEDEN社に係る何らかの拠点があることはうかがえるものの、その設置時期や製品販売等の事実に関する詳細は明らかでなく、また、同月14日時点で、申立人が、我が国のほか、米国、カナダ、欧州、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スイス、ベネルクス、中国、ベトナム、オーストラリア、韓国において、引用商標1又は引用商標2と同一又は類似する標章について、第9類、第15類若しくは第28類に属する商品又は第35類若しくは第37類に属する役務を指定して登録(国際登録を含む。)又は出願していることはうかがえるものの、その詳細は明らかでない。
イ 上記EDEN社の製品は、我が国においては、2011年(平成23年)5月及び6月頃に日本エレクトロ・ハーモニックス株式会社(以下「日本エレクトロ・ハーモニックス社」という。)が販売しており、その販売に係る製品には、別掲3(1)に示すとおりの標章(以下「使用標章1」という。)が付されていた(甲10?甲13)。
その後、2014年(平成26年)3月から株式会社ヤマハミュージックジャパン(以下「ヤマハミュージックジャパン社」という。)を代理店として国内流通が再開し、少なくとも2017年(平成29年)8月頃までは継続してその販売をしていたことが見受けられる(甲2?甲4、甲14?甲20、甲62?甲79、甲81?甲96、甲98?甲101、甲103、甲104、甲108、甲109)。
また、上記EDEN社の製品は、2017年(平成29年)8月に、我が国において、インターネット通販における楽器関連のサイトで取り扱われていたことが見受けられる(甲53?甲60)。
しかしながら、上記EDEN社の製品の我が国における販売に係る具体的な期間、数量、金額等は不明である。
なお、申立人は、日本国内の販売代理店について、2012年(平成24年)以降はヤマハミュージックジャパン社(旧ヤマハミュージックトレーディング株式会社)であり(甲9、甲14?甲18、甲20)、同社を通じて、引用商標が使用されている申立人の業務に係る製品を現在まで継続して販売している(甲33?甲52)旨主張するが、甲第33号証ないし甲第52号証からは、2012年(平成24年)9月から2017年(平成29年)6月までの間に、申立人からヤマハミュージックトレーディング株式会社又はヤマハミュージックジャパン社に対する何らかの請求書が複数回発せられたことがうかがえるにすぎず、その請求の対象が引用商標が使用された製品であるか否かは不明であるし、その他申立人の主張に係る甲各号証を併せ見ても、申立人による主張を認めるに足る事実は見いだせない。
ウ ヤマハミュージックジャパン社は、少なくとも2014年(平成26年)2月、2015年(平成27年)5月、2016年(平成28年)7月に、自己の取扱いに係る上記EDEN社の製品のカタログを作成した(甲2?甲4)。
また、ヤマハミュージックジャパン社は、2017年(平成29年)8月に、自己が属するヤマハ株式会社(甲20)のウェブサイトにおいて、「ヤマハが販売する他ブランド製品」の一つとして、EDEN社の紹介などとともに、上記EDEN社の製品に関する情報を掲載した(甲17?甲19、甲116)。
そして、上記カタログやウェブサイトにおいては、主に引用商標2及び引用商標3と同一の標章(色彩を異にするものの、実質的に同一と認められるものを含む。)が使用されており、また、当該カタログやウェブサイトに掲載されている製品には、専ら使用標章1が付されており、ベースアンプの一部については、その標章に代えて、別掲3(2)に示すとおりの標章(以下「使用標章2」という。)が付されているものもある。さらに、当該カタログやウェブサイトにおいては、上記EDEN社の製品を使用する国内外のアーティスト(ベーシスト)を紹介しているものもある。
なお、上記カタログについて、その作成数や配布先は明らかでない。
エ ヤマハミュージックジャパン社は、2014年(平成26年)3月から2017年(平成29年)1月に発行されたベーシスト向けの音楽雑誌「ベース・マガジン」(甲62?甲79、甲81?甲84)や、2014年(平成26年)5月から2017年(平成29年)4月に発行された「ウィ・ロック」(甲85?甲96、甲98、甲99)及び2014年(平成26年)7月に発行された「月刊YMMプレイヤー」(甲101)といった音楽雑誌に上記EDEN社の製品に係る広告を掲載した。
そして、上記広告においては、主に引用商標1及び引用商標3と同一の標章(色彩を異にするものの、実質的に同一と認められるものを含む。)が使用されており、また、当該広告に掲載されている製品には、専ら使用標章1が付されており、ベースアンプの一部については、その標章に代えて、使用標章2が付されているものもある。
オ 上記EDEN社の製品を紹介する記事は、「ベース・マガジン」(甲80)や「ウィ・ロック」(甲97)のほか、2016年(平成28年)8月27日発行の音楽雑誌「GiGS」(甲100)に掲載され、また、2014年(平成26年)3月から2017年(平成29年)5月までの間、楽器関連のウェブサイトやブログ等に掲載された(甲103?甲115)。
そして、上記記事に掲載されている製品には、専ら使用標章1又は使用標章2が付されている。
カ 申立人は、EDEN社が製造、販売する引用商標に係る商品について、「スピーカー、楽器用の電気式増幅器、エフェクター、被服、マグカップ、バッグ、タオル、時計」であるとし、甲第4号証及び甲第8号証を提出しているところ、甲第4号証は、ヤマハミュージックジャパン社が2016年(平成28年)7月に作成したEDEN社の製品に係るカタログであって、当該カタログには、専らEDEN社の製造に係るベースアンプやスピーカーキャビネット、エフェクター、コントロールペダルといった製品が掲載されているほか、その製品中の「Terra Nova」と称する製品シリーズのアンプヘッド専用のキャリングバッグが掲載されており、これらには、専ら使用標章1又は使用標章2が付されているが、申立人が主張する被服、マグカップ、バッグ、タオル、時計は掲載されていない。
また、甲第8号証は、2017年(平成29年)8月10日のEDEN社のホームページにおける商品掲載ページとされるものであるところ、当該ページには、引用商標2若しくは引用商標3又は使用標章1若しくは使用標章2のいずれかが付されたシャツ、バッグ、マグカップ、帽子、タオル、置き時計が掲載されていることがうかがえるが、そこで使用されている言語は、ほとんど全てが英語である上、各商品に付された価格も英国の通貨単位である「ポンド」により表示されていることからすれば、当該ページは、少なくとも我が国の需要者に向けたものとはいい難い。
キ 上記アないしカによれば、1976年に米国で設立されたEDEN社は、1980年代初頭からはベースアンプ及びスピーカーキャビネット(エフェクター、コントロールペダル等を含む。)の製造に特化した会社であり、2011年12月に申立人の一員となった前後を含め、その製造、販売を継続しており、その製品は、近年において、国内外のアーティスト(ベーシスト)に使用されているとはいえるものの、その製品について、具体的に、海外のいかなる国(地域)において、いつから、どの程度の販売や広告がされたかは明らかでないし、いつから、いかなる商標が使用されていたかも明らかでないことからすれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、外国において、引用商標がEDEN社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとは認められない。
また、EDEN社の製品は、我が国においては、2011年(平成23年)5月及び6月頃に日本エレクトロ・ハーモニックス社による販売があったほか、少なくとも2014年(平成26年)3月から2017年(平成29年)8月頃までの間は、国内代理店であるヤマハミュージックジャパン社による販売及び広告があり、その販売及び広告の際には、引用商標1ないし引用商標3又は使用標章1若しくは使用標章2の一又は複数が使用されたとはいえるものの、その販売に係る具体的な期間、数量、金額等が明らかでないことからすれば、この観点から引用商標の周知性を推し量ることは困難であるし、その広告については、カタログによるものの数量や範囲といった詳細は明らかでなく、雑誌によるものは主にベーシスト向けの音楽専門誌に係るものであって、その掲載回数もさほど多いものとはいえないことからすれば、この観点から引用商標が周知性を有するものであるとはいい難い。そして、EDEN社の製品は、インターネット通販における楽器関連のサイトで取り扱われたり、上記音楽専門誌や楽器関連のウェブサイト等に記事が掲載されたりしたことはあるものの、その内容や頻度等に照らせば、この観点からも引用商標が周知性を有するものであるとはいい難い。
そうすると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、我が国において、EDEN社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたとは認められず、このような認定は、使用標章1及び使用標章2についても該当するとみるのが相当である。
なお、申立人は、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとしても、国内外の取引者、需要者の間に広く認識されていた旨主張するとともに、申立人及び同人の製造、販売に係る商品についての証拠として、甲第117号証ないし甲第195号証及び甲第214号証ないし甲第225号証を提出しているが、その提出に係る甲各号証において、EDEN社が申立人の一員であることや、EDEN社の製品について言及するなどした記載は一切見当たらない上、申立人提出の他の甲各号証を総合してみても、EDEN社を紹介する際に、申立人の一員となった旨の記載があるにすぎないことからすれば、申立人による上記主張を認めることはできない。
(2)上記(1)を総合してみれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又はEDEN社の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものというべきであり、使用標章1及び使用標章2についても同様に、広く認識されていたとはいえないというべきである。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「Ever Eden」の欧文字を標準文字で表してなるところ、当該欧文字は、「Ever」と「Eden」との間に1文字分の間隙が存するものの、同じ書体及び大きさをもって、視覚上、まとまりよく一体的に表されているものである。
また、本件商標の構成中、「Ever」は、「エバー」の読み及び「かつて、これまでに、いずれ」等の様々な意味を有する英単語として、「Eden」は、「エデン」の読み及び「旧約聖書でアダムとイブが住んでいたという楽園」といった意味を有する外国語として、それぞれ、我が国で知られているものであるから、両語の間に軽重の差があるとはいい難く、両語の組合せ全体から生じる「エバーエデン」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、その構成全体をもって、一連一体のものとしてのみ看取、把握されるとみるのが相当であり、一連の「エバーエデン」の称呼が生じるとはいえるものの、特定の観念を生じるとまではいえないものである。
(2)引用商標
引用商標1は、前記第2の1のとおり、「EDEN」の欧文字からなるところ、当該欧文字は、上記(1)で述べたとおり、「エデン」の読み及び「旧約聖書でアダムとイブが住んでいたという楽園」といった意味を有する外国語として、我が国で知られているものであるから、引用商標1は、「エデン」の称呼及び「旧約聖書でアダムとイブが住んでいたという楽園」の観念を生じるものである。
また、引用商標2は、別掲1のとおり、切欠きのある円内に「E」の欧文字を配してなる標章(以下「Eロゴ」という。)であって、赤で彩色してなるものの下方に、黄色で表された「EDEN」の欧文字(語頭の「E」の欧文字は、他の欧文字に比してやや大きく表されている。)を配してなるものであるところ、その構成中、Eロゴからは、特定の称呼及び観念を生じるとはいい難いのに対し、「EDEN」の欧文字からは、既述のとおり、「エデン」の称呼及び「旧約聖書でアダムとイブが住んでいたという楽園」の観念を生じるといえることに加え、両者の構成態様及び配置を鑑みれば、「EDEN」の欧文字部分は、分離、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るとみるのが相当であるから、引用商標2は、当該欧文字部分に相応して、「エデン」の称呼及び「旧約聖書でアダムとイブが住んでいたという楽園」の観念を生じるものである。
さらに、引用商標3は、別掲2のとおり、Eロゴであって、赤で彩色してなるものの右方に、赤色で表された「EDEN」の欧文字(語頭の「E」の欧文字は、他の欧文字に比してやや大きく表されている。)と「Bass Amplification」の欧文字とを二段に表してなるものを配してなるところ、その構成中、「Bass Amplification」の欧文字部分は、引用商標3の使用に係るEDEN社の製品であるベースアンプとの関係においては、商品の品質を表したものといえるものであるし、また、Eロゴと「EDEN」の欧文字とは、それぞれの配置は異なるものの、両者の関係は引用商標2における場合と同様といえることからすれば、引用商標3は、その構成中の「EDEN」の欧文字部分に相応して、「エデン」の称呼及び「旧約聖書でアダムとイブが住んでいたという楽園」の観念を生じるものである。
なお、EDEN社の製品には、既述のとおり、別掲3に示すとおりの使用標章1及び使用標章2も使用されているところ、使用標章1は、その構成態様に照らせば、実質的に引用商標2に枠囲いを付加したものといえるものであるが、その付加により、新たな称呼や観念が生じるとはいい難いことからすれば、引用商標2と同様、「エデン」の称呼及び「旧約聖書でアダムとイブが住んでいたという楽園」の観念を生じるものであるといえ、また、使用標章2は、Eロゴの外周を細い線で囲ったものであるから、特定の称呼及び観念を生じるとはいい難いものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標は、上記(1)のとおり、「Ever Eden」の欧文字の構成全体が一連一体のものであって、「エバーエデン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標1ないし引用商標3は、上記(2)のとおり、「EDEN」の欧文字からなるもの又はEロゴと「EDEN」の欧文字等との組合せからなるものであって、「エデン」の称呼及び「旧約聖書でアダムとイブが住んでいたという楽園」の観念を生じるものであるから、本件商標と引用商標1ないし引用商標3とは、いずれの対比においても、外観、称呼及び観念のそれぞれについて明確な差異があり、互いに紛れるおそれはないというべきである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標である。
なお、使用標章1及び使用標章2については、それぞれの外観、称呼及び観念が上記(2)のとおりであって、使用標章1と本件商標とは、外観、称呼及び観念のそれぞれについて明確な差異があり、互いに紛れるおそれはないというべきであり、また、使用標章2と本件商標とは、観念においては比較することができないものの、外観及び称呼において明確な差異があるものであって、互いに紛れるおそれはないというべきものであるから、本件商標と使用標章1及び使用標章2とは、非類似のものである。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であり、また、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又はEDEN社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものである。
したがって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
なお、EDEN社の業務に係る商品には、使用標章1又は使用標章2も使用されていたといえるところ、これらの標章についても、本件商標とは非類似のものであるし、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又はEDEN社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものであるから、本件商標は、これらの標章との関係においても、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又はEDEN社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものである。
また、本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、外観、称呼及び観念のそれぞれについて明確な差異がある非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、引用商標を連想、想起して、その商品が申立人若しくはEDEN社又はこれらと経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように認識することはなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
なお、EDEN社の業務に係る商品には、使用標章1又は使用標章2も使用されていたといえるところ、これらの標章についても、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又はEDEN社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものであるし、また、これらの標章と本件商標とは、上記2のとおり、非類似のものであって、別異のものというべきものであるから、本件商標は、これらの標章との関係においても、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又はEDEN社の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものである。
そして、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、本件商標権者が、引用商標の名声と信用にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
したがって、本件商標は、引用商標との関係において、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
なお、EDEN社の業務に係る商品には、使用標章1又は使用標章2も使用されていたといえるところ、これらの標章についても、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又はEDEN社の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内及び外国の需要者の間に広く認識されていたとはいえないものであるし、また、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、引用商標についてと同様、本件商標権者が、使用標章1又は使用標章2の名声と信用にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすことができないから、本件商標は、これらの標章との関係においても、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、申立てに係る商品について、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 引用商標2(色彩は原本参照)


2 引用商標3(色彩は原本参照)


3 使用標章
(1)使用標章1(色彩は原本参照)


(2)使用標章2(色彩は原本参照)



異議決定日 2019-01-18 
出願番号 商願2016-8791(T2016-8791) 
審決分類 T 1 652・ 25- Y (W09)
T 1 652・ 271- Y (W09)
T 1 652・ 222- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大橋 良成 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 中束 としえ
小松 里美
登録日 2017-02-17 
登録番号 商標登録第5923200号(T5923200) 
権利者 ホンコン バイルン テクノロジー リミテッド
商標の称呼 エバーエデン、エバー、エデン 
代理人 西村 啓一 

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