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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W34
管理番号 1356271 
異議申立番号 異議2019-900011 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-11-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-01-15 
確定日 2019-10-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第6090336号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6090336号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6090336号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZIG-ZAG」の欧文字を標準文字で表してなり、平成30年1月26日に登録出願、第34類「葉巻たばこ,たばこ,紙巻きたばこ,かぎたばこ,かみたばこ,葉たばこ,刻みたばこ」を指定商品として、同年10月4日に登録査定され、同月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれも申立人の関連会社が商品「紙巻きたばこ用紙、たばこ紙巻き器、喫煙用たばこフィルター」などについて使用し、当該関連会社の商標として周知著名であるとするものである。
(1)「ZIG-ZAG」の欧文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)
(2)登録第5324526号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲のとおり
指定商品 第34類「紙巻きたばこ用紙,葉巻たばこ,たばこ,葉巻たばこ貯蔵箱,たばこ紙巻き器,紙巻たばこ用の筒,喫煙用たばこフィルター,金属製タバコケース,喫煙用具」(ただし、「葉巻たばこ,たばこ」についての登録は取り消されている。)

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。なお、甲各号証の表記にあたっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
本号に係る最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号)で判示された基準に沿って、本件商標が、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるか否かについて、検討する。
(2)引用商標の著名性
引用商標は、手巻きたばこを作るのに用いる巻き紙、フィルター、紙巻き器等について使用されている。
ア 手巻きたばこについて
手巻きたばこは、巻き紙の上にシャグ(手巻き専用の葉タバコ)を置き、器具を使って巻き込んだものであり、ヨーロッパやアメリカでは「Roll Your Own(RYO)」と呼ぶ。手巻きたばこは、ただ吸うだけでなく、そこに至る過程をも愉しむものである(甲3)。
そして、手巻きタバコの人気は、うなぎ登りであり(甲4)、流行の兆しを見せている(甲5)。現在、ヨーロッパでは、タバコ1箱が千円ほどと高いので、手巻きタバコが中心となっていることに徴すると、我が国でも紙巻きタバコから手巻きタバコに変える需要者が増えると予想される。
手巻きたばこの巻き方などを紹介するウェブページ(甲4)では、巻き紙に「ジグザグ ホワイトダブル(100枚入り)」、ローラーに「ジグザグ レギュラーサイズ ローラー」、ローリングマシーンに「ジグザグ・ローリングマシーン」と、いずれも引用商標を使用した商品を紹介しており、「ZIG-ZAGは世界シェアナンバー1のフランスのメーカー」と評している。
また、「手巻きタバコ STYLE BOOK」という一般的な解説書(甲3)でも、巻き紙、ローラー、ローリングマシーン、チュープビング・マシーンに、引用商標を使用した商品を紹介していることから、手巻きタバコの愛好者、すなわち、紙巻きたばこ用紙、たばこ紙巻き器、喫煙用たばこフィルター等の喫煙用具の需要者には、引用商標が広く知られているということができる。
イ 引用商標の歴史
引用商標の商標権者は申立人であるが、引用商標を使用した商品を製造・販売しているのは、その関連会社である「リパブリック・テクノロジーズ・フランス社」(以下「リパブリック社」という。)である。
リパブリック社は、冊子形態の巻き紙「ZIG-ZAG」の製造元である。ZIG-ZAGのブックレットを開きペーパーを引き出すと、すかさず次のペーパーがするりと顔を出す。これは、100年以上も前にZIG-ZAGが初めて発表した優れワザである(甲3)。
1884年にモーリスとジャック・ブラウンシュタイン兄弟が、紙を連続して挟みこむブックレット形態にすることを発明し、この商品を「ZIG-ZAG」と命名した。1900年のパリ万国博覧会に出展し、見事金メダルを獲得して、不動の地位を築いた。現在、ローリングペーパーでは世界で最も有名なブランドである(甲5)。
ZIG-ZAGやOCBなど複数ブランドのブックレットを製造するリパブリック社の市場占有率は、フランスやアメリカではトップを誇る(甲3)。
ウ 引用商標の使用態様
リパブリック社は、引用商標2の他、引用商標2の「ZIG-ZAG」の欧文字に対する、男の顔を表した図形の大きさ及び位置関係が異なる商標を商品に付して、我が国で販売している(甲3)。
引用商標を使用した喫煙用具の我が国における代理店の陳述書(甲6)には、小売店では、「ZIG-ZAGをお求めになるお客様が多いので、一番取りやすい位置に陳列している」「ZIG-ZAGのフィルターはトップブランドなので、一番見えやすい位置に置いている」「ZIG-ZAGは2003年頃から取り扱っており、他のブランドよりも長い歴史があるおかげか一番購入下さるお客様が多い」とあり、喫煙用具店のウェブページ(甲5)では、巻き紙の売れ筋ブランドとして、引用商標を挙げ、常に在庫しているとしている。
エ 小括
これらから明らかなように、需要者は、小売店及びオンラインショッピングサイトにおいては、「ZIG-ZAG」の欧文字のみ、又は「ジグザグ」の片仮名をもって、リパブリック社の業務に係る商品を認識しているものである。
以上のとおり、引用商標には、長年の歴史に基づく高品質、安心感等の信用が形成されており、本件商標の登録出願の時には既に、リパブリック社の業務に係る商品「紙巻きたばこ用紙、たばこ紙巻き器、喫煙用たばこフィルター」等の喫煙用具を表示するものとして、我が国においてはもちろんのこと、世界的に極めて高い信用が形成され著名に至っており、それは登録査定時においても継続していたといえる。
(3)引用商標と本件商標の類否
本件商標と引用商標1は、「ZIG-ZAG」の欧文字を共通とする同一の商標であることは明らかである。
また、引用商標2は、「ZIG-ZAG」の文字部分(以下「要部」という場合がある。)が、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、該文字に相応して、「ジグザグ」の称呼、「ぎざぎざに屈曲した線、Z字形」の観念を生ずるものである。
そこで、本件商標と引用商標2の要部とを比較すると、両者は、同一の文字よりなるから、同一の称呼及び観念を生ずるものである。外観については、引用商標2の要部が白抜きの文字であるという差異を有するのみである。
よって、全体的に考察すれば、本件商標は、引用商標2と類似する商標である。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品の関連性の程度
本件商標の指定商品である「たばこ」には、手巻き専用の葉たばこが含まれる。これを買い求める者は、手巻きたばこを作るのが目的であるから、そのための道具、すなわち「紙巻きたばこ用紙、たばこ紙巻き器、喫煙用たばこフィルター」等の喫煙用具の需要者でもある。
したがって、少なくとも、手巻き専用の葉たばこの需要者は、上記の喫煙用具のブランドについては熟知しているというのが相当である。
また、手巻き専用の葉たばこを原料として、上記の喫煙用具を用いて、手巻きたばこを作るのであるから、手巻き専用の葉たばこと上記の喫煙用具は、用途、目的において密接な関連がある。
そして、上記の喫煙用具は、実店舗でもオンラインでも、同じ場所で、手巻き専用の葉たばこのみならず、紙巻きたばこ(シガレット)とともに、販売されている(甲6、甲8?甲10)。
このように、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品とは、深い関連性を有するということができる。
(5)混同を生ずるおそれ
以上を総合勘案すると、本件商標を指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、引用商標を使用している者を連想、想起し、該商品が同人又はこれと経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知・著名性について
申立人は、引用商標の商標権者は申立人であるが、引用商標を使用した商品を製造・販売しているのは、申立人の関連会社「リパブリック・テクノロジーズ・フランス社」(リパブリック社)であり、引用商標はリパブリック社の商標として周知著名である旨主張しているので、以下、引用商標の周知・著名性について検討する。
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、商標登録原簿など)によれば、引用商標2の商標権者は申立人であることが認められ(甲2、職権調査)、引用商標を使用した手巻きたばこ用巻き紙、フィルター及び紙巻き器などが、我が国において2003年頃から現在まで継続して販売されていることがうかがえる(甲3?甲6、甲8、甲9、職権調査)。
しかしながら、それら商品がリパブリック社(及び申立人)の製造・販売したものであると認めるに足る証左は見いだせないし、それら商品の我が国における販売数、売上高など販売実績に係る主張はなく、それを示す証左も見いだせないから、それら商品はもとより、それら商品に使用されている引用商標は、いずれもリパブリック社(及び申立人)の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ なお、申立人は、引用商標2の構成中の男性の顔の図形の大きさや位置が異なる商標を使用した商品も販売している旨主張しているが、当該商標が付された商品が我が国において販売されていることは認められるものの(甲8、職権調査)、上記と同様の理由により、それら商標は、リパブリック社(及び申立人)の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標の類否
本件商標は、上記1のとおり「ZIG-ZAG」の文字からなるものである。
引用商標1は、上記2(1)のとおり「ZIG-ZAG」の文字からなるものである。
引用商標2は、別掲のとおり男性の顔の図形と「ZIG-ZAG」の文字からなるものであり、その構成態様から「ZIG-ZAG」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものと判断するのが相当である。
そうすると、本件商標の構成文字「ZIG-ZAG」と引用商標を構成する「ZIG-ZAG」の文字は共通するものであるから、両商標は同一又は類似の商標といえる。
(3)引用商標を構成する文字「ZIG-ZAG」の独創性の程度
「ZIG-ZAG」の文字は、「ぎざぎざに屈曲した線、Z字形」などの意味を有する英語として知られている「ZIGZAG」の中央に「-(ハイフン)」を加えたものと容易に認識されるものであるから、独創性の程度が高いものといえない。
(4)出所混同のおそれ
上記(2)のとおり本件商標と引用商標が同一又は類似の商標であり、本件商標の指定商品と引用商標を使用した商品(手巻きたばこ用巻き紙など)とが関連性を有する商品であるとしても、上記(3)のとおり引用商標を構成する文字「ZIG-ZAG」は独創性の程度が高いといえないものであり、なにより上記(1)のとおり引用商標は、リパブリック社(及び申立人)の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(リパブリック社若しくは申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲(引用商標2)


異議決定日 2019-10-02 
出願番号 商願2018-10539(T2018-10539) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W34)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 敦子 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 小出 浩子
山田 啓之
登録日 2018-10-19 
登録番号 商標登録第6090336号(T6090336) 
権利者 ノース アトランティック オペレーティング カンパニー インコーポレイテッド
商標の称呼 ジグザグ 
代理人 坂上 正明 
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 
代理人 曾我 道治 
代理人 鈴木 昇 
代理人 岡田 稔 

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