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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W37
管理番号 1356262 
異議申立番号 異議2018-900065 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-11-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-14 
確定日 2019-09-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第6008625号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6008625号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第6008625号商標(以下「本件商標」という。)は、「アンドロイドホスピタル」の片仮名を標準文字で表してなり、平成29年5月10日に登録出願、第37類「スマートフォンの修理又は保守」を指定役務として、同年11月21日に登録査定、同30年1月5日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当するとして引用する商標は、以下のとおりであって、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5554053号商標
商標の構成:「ANDROID」(標準文字)
登録出願日:平成23年11月4日
優先権主張日:2011年(平成23年)5月9日 アルゼンチン共和国
設定登録日:平成25年2月1日
指定商品及び指定役務:第11類、第16類、第28類、第35類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
2 登録第5544724号商標
商標の構成:「アンドロイド」(標準文字)
登録出願日:平成24年7月10日
設定登録日:平成24年12月21日
指定役務:第35類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
3 登録第5527600号商標
商標の構成:別掲のとおりの構成
登録出願日:平成23年11月8日
優先権主張日:2011年(平成23年)5月9日 アルゼンチン共和国
設定登録日:平成24年10月12日
指定商品及び指定役務:第9類、第11類、第16類、第28類、第35類、第38類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
4 登録第5132404号商標
商標の構成:「ANDROID」(標準文字)
登録出願日:平成19年11月9日
優先権主張日:2007年(平成19年)10月31日 アメリカ合衆国
設定登録日:平成20年4月25日
更新登録日:平成29年11月28日
指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」
5 登録第5132405号商標
商標の構成:「アンドロイド」(標準文字)
登録出願日:平成19年11月9日
設定登録日:平成20年4月25日
更新登録日:平成29年11月28日
指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具」
6 登録第5853597号商標
商標の構成:「ANDROID」(標準文字)
登録出願日:平成27年7月17日
優先権主張日:2015年(平成27年)2月23日 トンガ王国
設定登録日:平成28年5月27日
指定商品及び指定役務:第9類及び第36類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
以下、これらをまとめて「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、申立人が携帯電話用ソフトウェアプラットフォーム(携帯電話用プログラム)に使用し、広く一般に知られている引用商標と類似し、又は、引用商標を構成する「アンドロイド」の文字を構成中に含むので、申立人の著名商標を想起若しくは連想させるものである。
また、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品又は役務とは、互いに同一又は類似であるか、または、非常に高い関連性を有しているので、本件商標がその指定役務に使用された場合、恰も申立人若しくは申立人と何等かの関係がある者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
2 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人が携帯電話用ソフトウェアプラットフォーム(携帯電話用プログラム)に使用し、広く一般に知られている引用商標と類似し、著名商標にフリーライドするものであって、著名商標の出所表示機能を希釈化させ、かつ、著名商標の名声を毀損するおそれがあるので、不正の目的をもって使用するものである。

第4 取消理由の通知
当審において、本件商標権者に対し、「本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の取消理由を平成30年11月13日付けで通知し、相当の期間を指定して意見を提出する機会を与えた。

第5 本件商標権者の意見
上記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号の該当性について
(1)「アンドロイド(Android)」の文字の周知性について
申立人の主張及びその提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる(なお、枝番号を含む甲号証の全てを引用するときは、枝番号を省略する。)。
ア 「アンドロイド」及び「Android」の文字(以下、これらを「引用標章」という。)は、申立人が提供する「携帯情報端末向けのオープンソースライセンスによるソフトウェアプラットフォーム(以下『スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)』という。)」の名称であり、2007年(平成19年)11月5日に米国において、申立人が中心となって設立した業界団体であるOHA(Open Handset Alliance)を通じて、無償で提供されることが発表され、その報道は、世界のモバイル業界で話題となり、引用標章が使用される「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」について、IT関連分野の雑誌、経済誌、インターネット、一般紙を含めた様々なメディアを介して繰り返し報道され、特集記事が掲載された(甲4?甲7、甲8の1?4)。
イ 引用標章が主に使用される商品は、「スマートフォン」であり、2009年(平成21年)11月頃には、国内の携帯電話のメーカーが、申立人が提供する「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」を採用したスマートフォンを発表し、市場に浸透し、数多くの新聞、雑誌などで取り上げられた(甲9の1及び2、甲10)。
ウ 2011年(平成23年)頃には、「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」の代表格となった(甲11の2及び5、甲12の1及び2)。
エ 以上からすれば、引用標章は、本件商標の登録出願時(平成29年5月10日)には既に、我が国において、申立人の業務に係る「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識され、その状態は本件商標の登録査定時(平成29年11月21日)においても継続していたものと認められる。
(2)本件商標と引用標章との類似性の程度について
本件商標は、上記第1のとおり、「アンドロイドホスピタル」の文字からなるところ、該文字は、構成全体として、特段の意味合いを想起しないものであるとしても、その構成中の「アンドロイド」の文字は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」を表示する標章として、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている引用標章中「アンドロイド」と、同じであることからすれば、本件商標に接する需要者は、その構成中の「アンドロイド」の文字部分に着目して商標を記憶する場合も少なからずあるものといえる。
そうすると、本件商標は、引用標章と同じ「アンドロイド」の文字をその語頭に有するものであるから、本件商標と引用標章とは、一定の類似性を有するものとみるのが相当である。
(3)引用標章の独創性について
引用標章は、「SFに登場する、人間そっくりのロボット」(広辞苑第6版 株式会社岩波書店)の意味を有する既成語であるとしても、引用標章に係る商品「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」との関係で何ら直接的に商品の品質等の内容を表すものではないことからすれば、独創性は高いとみるのが相当である。
(4)本件商標の指定役務と引用標章に係る商品「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」との関連性について
引用標章に係る商品「スマートフォン用のプラットフォーム(プログラム)」と本件商標の指定役務「スマートフォンの修理又は保守」は、ともに、スマートフォンに関連する商品又は役務といえるものであり、また、本件商標の指定役務は「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」である「アンドロイド」を搭載した「スマートフォンの修理又は保守」を含むものである(甲16)から、両者は、相当程度密接な関連性を有するものということができる。
(5)本件商標と引用標章の需要者の共通性について
本件商標と引用標章の需要者は、携帯電話やスマートフォンを利用する一般需要者であることから、両者の需要者の共通性は高いというべきである。(6)出所の混同のおそれについて
以上のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時には既に、我が国において、申立人の業務に係る「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」を表示する標章として、取引者、需要者の間に広く認識され、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められ、その使用される商品「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」との関係からすれば、独創性が高いものである。
そして、本件商標と引用標章とは、一定の類似性を有し、本件商標の指定役務と、引用標章が使用される「スマートフォン用プラットフォーム(プログラム)」とは、相当程度密接な関連性を有するものであり、その需要者の共通性も高いといえる。
そうすると、本件商標は、これを本件商標権者が、第37類「スマートフォンの修理・保守」について使用したときは、これに接する取引者、需要者が、申立人が使用する引用標章を想起又は連想し、該役務が申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように誤認し、役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものというべきである。
(7)まとめ
以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標というべきであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものであるから、その他の申立ての理由を検討するまでもなく、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 登録第5527600号商標

異議決定日 2019-08-13 
出願番号 商願2017-63701(T2017-63701) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W37)
最終処分 取消  
前審関与審査官 佐藤 松江 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 小俣 克巳
木住野 勝也
登録日 2018-01-05 
登録番号 商標登録第6008625号(T6008625) 
権利者 株式会社スマホスピタル
商標の称呼 アンドロイドホスピタル、アンドロイド、ホスピタル 
代理人 右馬埜 大地 
代理人 森本 直之 
代理人 石田 昌彦 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 

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