• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1356252 
異議申立番号 異議2018-900281 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-11-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-25 
確定日 2019-07-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第6057983号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6057983号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6057983号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成29年9月18日に登録出願,第9類「望遠鏡,双眼鏡,拡大鏡(光学用のもの),眼鏡,コンタクトレンズ,3D眼鏡,眼鏡用レンズ,サングラス,眼鏡用枠,鼻眼鏡」を指定商品として,同30年6月8日に登録査定され,同月29日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下,これらをまとめて「引用商標」という場合がある。),いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)国際登録第1213815号商標(以下「引用商標1」という。)
・商標の態様:「COSTA」の文字を横書きしてなる
・国際登録出願日:2014年(平成26年)4月28日(優先権主張:2013年11月8日)
・設定登録日:平成27年11月27日
・指定商品:第9類「Spectacles (optics); sunglasses; goggles for sports; spectacle frames; ophthalmic lenses; spectacle lenses, including organic (plastic) lenses, mineral lenses, corrective lenses, progressive lenses, lenses for sunglasses, polarized lenses, filtering lenses for glasses, tinted lenses, colored lenses, light-sensitive lenses, photochromic lenses, treated lenses, coated lenses, anti-reflective lenses, semi-finished lenses; contact lenses; cases for spectacle lenses; cases for ophthalmic lenses; spectacle cases; cords and chains for spectacles.」(仮訳:眼鏡(光学用のもの),サングラス,運動用ゴーグル,眼鏡用枠,眼科用レンズ,有機プラスチックレンズ,ミネラルレンズ,補正レンズ(光学用のもの),二重焦点レンズ,サングラス用レンズ,偏光レンズ,眼鏡用フィルタリングレンズ,薄い色付きレンズ,色付きレンズ,感光性レンズ,調光レンズ,処理(加工)済みレンズ,コーティングされたレンズ,反射防止用レンズ,半加工済みレンズを含む眼鏡レンズ,コンタクトレンズ,眼鏡用レンズ用容器,眼科用レンズ用容器,眼鏡用容器,眼鏡用コード及び鎖)
(2)登録第5574061号商標(以下「引用商標2」という。)
・商標の態様:別掲2のとおり
・登録出願日:平成24年4月26日
・設定登録日:平成25年4月12日
・指定商品:第9類「サングラス,サングラス用レンズ,サングラスフレーム,サングラス用ひも,普通眼鏡,普通眼鏡用レンズ,普通眼鏡のフレーム,普通眼鏡用ひも,その他の眼鏡」

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し,その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「Costin」の欧文字をややデザイン化して表すとともに,「C」の内部に描いた図形と「ostin」に隣接した図形より鳥と思しき図形を連想させるものの,その文字部分より「コスティン」又は「コスチン」の称呼を生じる。他方,引用商標は,「COSTA」の文字よりなるから「コスタ」の称呼を生じる。両者の称呼を比較すると,第1音「コ」と第2音「ス」を共通にし,後半の「ティン」(又は「チン」)と「夕」の音で相違する。しかしながら,聴者の記憶に残りやすい冒頭部分における共通性は,それ以下の部分における相違を凌駕しているだけでなく,相違音にしても同じ夕行音で母音が異なるに過ぎず,しかも,語尾の「ン」は聞き取りにくい音である。このような近似する音の商標が,眼鏡という一般消費者を需要者とする商品について使用された場合には,彼此相紛れるおそれが多分にあるものというべきである。また,本件商標の指定商品中,「眼鏡,コンタクトレンズ,3D眼鏡,眼鏡用レンズ,サングラス,眼鏡用枠,鼻眼鏡」は引用商標の指定商品と同一又は類似である。
したがって,本件商標は引用商標と類似し,かつ,本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似するので,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 「COSTA」の商標に係る商品は,そのデザイン性の高さから芸能人やスポーツ選手が愛用することで人気を博し,米国をはじめとする欧米諸国で,とりわけサングラスの分野で広く知られている。我が国でもサングラスを中心に輸入品が取引されており,多くの通信販売サイトで扱われている(甲3?甲5)。
イ 引用商標1は,多くの国で商標登録されており,米国(甲6),オーストラリア(甲7),カナダ(甲8)のほか,モーリシャス,プエルトリコ,ベネズエラ,欧州連合,ニュージーランド,インドでも登録されている。
ウ 引用商標2は,多くの国(カナダ,欧州連合,インド,メキシコ,ペルー,ロシア,南アフリカ,カナダ)で商標登録されている。
エ 申立人は,その会社名の要部である「COSTA DEL MAR」の文字についても商標登録を有しており,日本では「Cをモチーフにした図形」との組合せで,第4709487号として平成15年に設定登録されている(甲10)。当該商標もまた,多くの国(オーストラリア,ブラジル,カナダ,香港,メキシコ,シンガポール,台湾,ベネズエラ,欧州連合)で商標登録されている。
このように,「COSTA」の文字及びこれを含む商標が多くの国で商標登録されているのは,「COSTA」の文字を付した眼鏡,とりわけサングラスが世界中で販売され,人気を博しているからにほかならない。
そうすると,本件商標がその指定商品中の「サングラス」,その他の「眼鏡」に使用された場合,その商品の需要者が,申立人の業務に係る商品であると誤認し,その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,筆記体風に書した「Costin」の文字と複数の図形とを組み合わせてなるところ,当該図形の配置及び形状から,全体として,鳥と思しき図を表したものと看取し得るものである。しかしながら,その構成中の「Costin」の文字自体は,文字として認識できない程にデザインが施されているものではないから,本件商標からは,「Costin」の文字を無理なく認識できるものである。
また,当該「Costin」の文字は,辞書類に載録された既成語とは認められないものであるから,特定の意味を有しない一種の造語として理解され特定の観念を生じないものである。
さらに,本件商標は,全体として,鳥と思しき図を表したものと看取し得るものの,抽象的な図形であることから,特定の観念を生じない。
そうすると,本件商標は,その構成中の「Costin」の文字に相応して「コスティン」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は,上記2(1)のとおり,「COSTA」の文字を横書きしてなるところ,当該文字は,「肋骨,海岸地帯」等の意味を有する英語として辞書類に載録が認められるものの,我が国においてその意味が広く親しまれている語とは認められないことから,一種の造語として理解され特定の観念を生じないものである。
そうすると,引用商標1は,その構成文字に相応して「コスタ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標2は,別掲2のとおり,右下に切り込みを有する黒色の横長楕円図形の右横に,「COSTA」の文字を横書きしてなるところ,図形部分と「COSTA」の文字部分とは,間隔を設けて配置されていることから,両者は視覚上,明確に分離して看取されるものである。
そして,引用商標2の図形部分は,何らかの意味合いを直ちに想起させるものではないから,特定の称呼及び観念は生じないものである。
また,引用商標2の構成中の「COSTA」の文字は,上記(ア)と同様の理由により,一種の造語として理解されるものであるから,「コスタ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
そうすると,引用商標2は,その構成中の図形部分と文字部分とは,それぞれが視覚上,明確に分離して看取されるものであって,かつ,観念上のつながりもないことから,両部分は,それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。
したがって,引用商標2は,その構成中の図形部分及び文字部分が,それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るというべきであるから,当該文字部分に相応して「コスタ」の称呼を生じるものであり,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)本件商標と引用商標との類否について検討するに,外観において,本件商標と引用商標1とは,図形の有無等の差異を有すること,本件商標と引用商標2とは,図形及び文字の配置並びに図形の形状の差異を有することから,本件商標と引用商標とは,それぞれの対比において,全体の構成を異にするものである。また,本件商標の構成中「Costin」の文字部分と引用商標の構成中の「COSTA」の文字部分とは,全体の文字数が6文字と5文字とで異なり,そのつづりにおいて「C」,「o(O)」,「s(S)」,「t(T)」を共通にするものの,5文字目が,「i」と「A」とで異なることに加えて,語尾において「n」の文字の有無の差異を有することから,これらの差異により,本件商標の文字部分と引用商標の文字部分を比較しても,外観上,判然と区別し得るものである。
(イ)称呼においては,本件商標から生じる「コスティン」の称呼と,引用商標から生じる「コスタ」の称呼とは,全体の音の数が4音と3音とで異なり,第3音において「ティ」と「タ」の差異を有することに加えて,第4音において「ン」の音の有無の差異を有することから,これらが,わずか4音と3音からなる称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず,両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合,語調,語感を異にし,称呼上,互いに聴別し得るものである。
(ウ)観念においては,本件商標と引用商標とは,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することはできない。
(エ)そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないものであるとしても,外観において判然と区別し得るものであり,称呼においても互いに聴別し得るものであるから,これらを総合して全体的に観察すれば,商品の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
エ 小括
本件商標は,その指定商品中に引用商標の指定商品と同一又は類似の商品が含まれているとしても,上記ウのとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから,商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
(ア)事実認定
申立人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査によれば,次の事実を認めることができる。
(a)「Yahoo!ショッピング」のウェブサイトにおいて,多数の商品「サングラス」の画像の下に,「ブラックフライ Black Flys FLYS COSTA サングラス」,「コスタデルマール メンズサングラス Costa Del M」,「“限定モデル”残り僅か ESS 5B セラコート COSTA」等の文字及び価格,出品者等の記載があり(甲3),また,「吉野商店SHOP」のウェブサイトにおいて,「コスタ Costa レディース 女性用 メガネ 眼鏡 サングラス Inlet 580 Plastic-Gray 580P」の文字の下に,価格等の記載及び「こちらの商品はコスタ Costa レディース 女性用 メガネ 眼鏡 サングラス Inlet 580 Plastic-Gray 580Pです。商品は弊社アメリカ支社からの取り寄せとなります。・・・」の記載があり(甲4),さらに,「SmartBuyGlassesジャパン!」のウェブサイトにおいて,「COSTA DEL MAR コスタ デルマール サングラス」の頁には,多数の商品「サングラス」の画像の下に,「コスタ デルマール/Brine Polarized」,「コスタ デルマール/South Point Polarized」等の文字及び価格の記載及び「コスタ デルマール サングラス」の見出しの下,「コスタ・デル・マーCosta Del Marサングラスは冒険好きなあなたにぴったりです。1980年代から,コスタ・デル・マーCosta Del Marサングラスは映画スターやレーサーなどのホンモノを理解出来る人だけに受け入れられてきました。・・・」の記載がある(甲5)。
しかしながら,これらの証拠(甲3?甲5)において,上記商品「サングラス」の販売に関する情報がそれぞれのウェブサイトに掲載された日付等の記載はない。
(b)上記のほかに,引用商標を使用した申立人に係る商品「サングラス」等(以下「申立人商品」という。)の我が国における販売期間や販売実績(売上高,販売数,市場シェア等)を示す証拠は見いだせない。
(イ)判断
上記(ア)によれば,申立人は,我が国の通信販売用ウェブサイトにおいて,引用商標を構成する「COSTA」の文字を用いて,「サングラス」を販売していることは認め得るとしても,我が国における申立人商品の販売期間や販売実績を示す証拠は何ら見当たらないことから,申立人商品は,我が国の需要者の間で広く認識されているものと認めることはできない。
したがって,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記アのとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,上記(1)のとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標であって別異の商標である。
そうすると,本件商標の指定商品と申立人商品が,同一又は類似の商品であるとしても,本件商標は,これに接する取引者,需要者が,引用商標を連想又は想起するものということはできない。
してみれば,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
ウ 申立人の主張について
申立人は,「COSTA」及びこれを含む商標について諸外国において商標登録が認められているのは,申立人商品が世界中で販売され,人気を博しているからにほかならず,そのため,本件商標がその指定商品中の「サングラス」,その他の「眼鏡」に使用された場合,その商品の需要者が,申立人の業務に係る商品であると誤認し,その商品の出所について混同を生ずるおそれがある旨主張する。
しかしながら,諸外国における商標登録の事実は,我が国の市場における上記商品の販売実績等を裏付けるものではなく,我が国における需要者の認識に直接反映されるものとは認め難いことから,かかる申立人の主張は,上記イの判断を覆すことはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 引用商標2

異議決定日 2019-07-16 
出願番号 商願2017-124810(T2017-124810) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齋藤 健太浦崎 直之 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 渡邉 あおい
平澤 芳行
登録日 2018-06-29 
登録番号 商標登録第6057983号(T6057983) 
権利者 狩獵者光学科技(北京)有限公司
商標の称呼 コスティン 
代理人 一色国際特許業務法人 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ