• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W4143
管理番号 1356229 
審判番号 不服2018-13459 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-09 
確定日 2019-11-05 
事件の表示 商願2017-68580拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「DEJIMA」の文字を標準文字で表してなり,第41類「セミナー・シンポジウム・会議・講演会・研修会・研究会・討論会・グループ討論会・会合・集会・ワークショップの企画・手配・運営・開催及びこれらに関する情報の提供,セミナー・シンポジウム・講演会・研修会・研究会・討論会・グループ討論会・ワークショップのための施設の提供及びこれらに関する情報の提供,科学技術に関する研修施設の提供及びこれらに関する情報の提供」及び第43類「会議室の貸与,展示施設の貸与,会議・テレビ会議・集会・展示・ミーティングのための施設の提供及び多目的ホールの提供,会議室・講演会場等の多目的ホールの提供,会議施設の貸与,会議室・研修室・多目的ホールの貸与,会議用テーブルの貸与,行事・会議・集会・展示会・セミナー及びミーティングを開催するための部屋の貸与,多目的ホールの提供,式典のための施設の提供,見本市及び展示会のための施設の提供,宿泊施設・会議室・教育研修室を完備した多目的ホールの提供,イベント会場の貸与,社交行事を開催するための部屋の貸与,多目的イベントホールの貸与,談話室の提供」を指定役務として,平成29年5月19日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標の『DEJIMA』の文字は,『長崎市南部の町名。1636年(寛永13)ポルトガル商人を置くために造成した約4000坪の扇形埋立地。ポルトガル船渡航禁止後,41年平戸にいたオランダ人を移転させた。鎖国中の日本唯一の貿易地。』(株式会社岩波書店『広辞苑第六版』)の意味を有する『出島』の文字を欧文字で表したものと認められる。また,出島は,鎖国時代,世界に開かれた唯一の窓口であり,国指定の史跡が存在すること,19世紀,島内には住居や料理部屋,蔵,番所など49棟もの建物があり,現在そのうちの25棟を復元させるための事業が進んでいること,2016年10月20日建物6棟が復元され,一般公開がはじまったこと,長崎市は,今から約60年も前に出島の復元に着手し,出島周辺の観光を地域興しの施策の一つとして考えている実情が認められる。そうすると,本願商標を一私人である出願人が自己の商標として登録することは,観光振興や地域興しなどの施策の遂行を阻害するおそれがあることから,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するものと認められるため,本願商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標について
本願商標は,「DEJIMA」の文字からなるところ,当該文字は,鎖国中の日本で唯一の貿易地である長崎の「出島」を欧文字で表したものと理解されるものである。
そして,別掲(1)によると,長崎県長崎市出島町には,国指定史跡である「出島和蘭(オランダ)商館跡」が存在し,その周辺では,鎖国当時の住居や蔵が復元され一般公開されている。
2 商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には,(1)その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合,(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも,指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反する場合,(3)他の法律によって,当該商標の使用等が禁止されている場合,(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合,(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合,などが含まれるというべきであると判示されている(知財高裁平成17年(行ケ)第10349号判決同18年9月20日判決参照)。
ところで,国指定史跡などの文化財・文化的所産等(以下「文化財等」という。)は,その価値が認められ, 国民や地域住民に親しまれており,その周知・著名性ゆえに強い顧客吸引力を発揮する場合が多いと考えられる。
そうすると,文化財等の名称等からなる商標は,(ア)文化財等の知名度,(イ)文化財等に対する国民又は地域住民の認識,(ウ)文化財等の利用状況,(エ)文化財等の利用状況と指定商品又は指定役務との関係,(オ)出願の経緯・目的・理由等を総合的に勘案して,当該商標を特定の者の商標としてその登録を認めることが,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するものと認められる場合には,商標法第4条第1項第7号に該当するというべきであるから,以下,本願商標について,上記(ア)ないし(オ)について検討する。
3 商標法第4条第1項第7号該当性
(1)事実認定
「出島」について,職権調査(別掲)によれば,次のことを認めることができる。
ア 「出島」の周知・著名性
「出島」は,別掲(1)のとおり,辞書等で,長崎市南部の町名で,鎖国中の日本で唯一の貿易地として紹介され,また,文化財等(国指定史跡である「出島和蘭(オランダ)商館跡」)が存在することから,全国に広く一般に知られている。
イ 「出島」に対する国民又は地域住民の認識
「出島」は,上記アのとおり,全国に広く知られているほか,別掲(2)のとおり,長崎市等のウェブサイト情報や新聞記事において,出島和蘭(オランダ)商館跡(長崎市の国指定史跡)や出島表門橋等の観光スポットが紹介されており,また,出島周辺では,例えば,市民団体により出島表門橋を大掃除するイベントや地元のテレビ局が主催する食に関するイベント等が開催されていることから,「出島」は地域住民や観光客などに親しまれている。
そうすると,「出島」は,従来から継続して長崎県の地域住民はもとより,我が国の国民に広く親しまれているといえる。
ウ 「出島」の名称の利用状況
「出島」は,上記イのとおり,地域住民や観光客などに親しまれていることから,別掲(3)のとおり,長崎県で販売される土産物や特産物等に「出島」の名称が利用されていることが認められる。
エ 「出島」の名称の利用状況と本願商標の指定役務との関係
「出島」の名称は,上記ウのとおり,地域の土産物や特産物等に利用されていることが認められるが,本願商標の指定役務は,上記第1のとおり,第41類「セミナー・シンポジウム・講演会・研修会・研究会・討論会・グループ討論会・ワークショップのための施設の提供及びこれらに関する情報の提供」等及び第43類「会議室の貸与,展示施設の貸与」等であり,当該役務は,主に,教育研修のための施設の提供及び集会や会議のための施設の提供等であるため,地域や観光の振興において利用される蓋然性の高い,地域の土産物や特産物等の商品と密接な関連性を有するものではない。
オ 出願の経緯・目的・理由等
本願商標の出願の経緯,目的及び理由についての具体的な事情は確認できず,また,請求人と「出島」との関連性は,何ら見いだすことはできない。
(2)判断
上記(1)ア及びイのとおり,「出島」は,辞書,新聞記事等での掲載,周知,著名な文化財等(国指定史跡)の存在,新聞記事等による観光スポットの紹介及び市民団体のイベント等から,地域住民のみならず我が国の国民に広く親しまれているものと認められる。
そして,「出島」の名称は,上記(1)ウのとおり,地域の土産物や特産物等に利用されていることが認められる。
しかしながら,本願商標の指定役務は,上記(1)エのとおり,地域や観光の振興に利用される蓋然性の高い,地域の土産物や特産物等の商品と密接な関連性を有するものとはいえず,当審において職権をもって調査するも,本願商標に係る指定役務を取り扱う分野において,「出島」及び欧文字の「DEJIMA」の名称が地域の振興等を図るために利用されている事実を見いだすことができない。
以上の事情を考慮すれば,本願商標がその指定役務に使用された場合,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するとはいえないというのが相当である。
そして,本願商標は,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく,かつ,他の法律によって,その商標の使用等が禁止されているものではない。
また,本願商標は,特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は国際信義に反するものでもなく,さらに, 請求人が,上記オのとおり,「出島」とは何ら関連性がない企業であるとしても,本願商標の登録出願の経緯に,社会的相当性を欠くというべき事情も見いだせない。
したがって,本願商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきものではない。
4 むすび
以上のとおり,本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものではないから,これを理由として本願を拒絶した原査定は,取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(「出島」に関する職権による調査)
(1)「出島」の周知・著名性
ア 「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店)の「でじま【出島】」の項に,「長崎市南部の町名。1636年(寛永13)ポルトガル商人を置くために造成した約4000坪の扇形埋立地。ポルトガル船渡航禁止後,41年平戸にいたオランダ人を移転させた。鎖国中の日本唯一の貿易地。」の記載がある。
イ 文化庁のウェブサイト「国指定文化財等データベース」において,「史跡名勝天然記念物」の「長崎県」の項に「名称:出島和蘭商館跡」が「種別:史跡」,「所在地 (市区町村):長崎市出島町」として掲載されている。
(https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index_pc.html)
ウ 西部読売新聞(2018年3月3日付け)において,「出島和蘭商館跡 入場500万人突破 改装オープン以降」の見出しの下,「長崎市の国指定史跡『出島和蘭(オランダ)商館跡』で2日,2006年の改装オープンからの入場者数が500万人を突破した。同史跡は,16年に輸出入品の保管蔵や商館員の住まいなど6棟が復元され,17年11月には『出島表門橋』が完成。市によると,入場者数は16年度には熊本地震の影響で減少したものの,全体的には右肩上がりで,17年度は初めて50万人を超える見込みだという。」の記載がある。
(2)「出島」に関する観光スポットやイベント等の開催情報
ア 「長崎市公式観光サイト『あっ!とながさき』」のウェブサイトにおいて,「出島(デジマ)/鎖国時代,世界に開かれた唯一の窓口」の見出しの下,「国指定史跡(出島和蘭商館跡)。鎖国時代の約200年間,日本で唯一西洋に開かれていた貿易の窓口でした。19世紀,島内には住居や料理部屋,蔵,番所など49棟もの建物があり,現在そのうちの25棟を復元させるための事業が進んでいます。明治期にその役割を終え,陸地の中に埋もれ,人々の記憶からも消えかけていましたが,今から約60年前に長崎市が出島の復元に着手しました。現在の出島は,大きく4つの時代の遺構や建物等をご覧頂けます。
かつて海に面していた水門,西側ゲートから入場すると19世紀初頭の江戸時代から幕末開国後,明治へと時代をたどることができ,東側ゲートから入場すると,明治から幕末,江戸へと時代を遡ることができます。
2016年10月20日
建物6棟が復元され,一般公開がはじまりました。
2017年11月25日
出島表門橋 一般公開」の記載がある。
(https://www.at-nagasaki.jp/spot/63/)
イ 出島総合案内所のウェブサイト(出島公式ホームページ)において,「出島 Dejima ?つながる出島?」の見出しの下,「出島和蘭(オランダ)商館跡」の基本情報,イベント情報,出島の歴史等が紹介されている。
(http://nagasakidejima.jp)
ウ 「じゃらんnet」のウェブサイトにおいて,「出島周辺の観光スポットランキング」の見出しのもと,「出島からの目安距離 50m(徒歩約1分) 出島和蘭商館跡 長崎市出島町/文化史跡・遺跡」の記載がある。
(https://www.jalan.net/kankou/spt_42201cc3290031945/spot/)
エ 西部読売新聞(2019年5月3日付け)において,「長崎に全国ご当地グルメ 6日まで DEJIMA博開幕」の見出しの下,「全国各地のご当地グルメやスイーツを集めた『食』と『遊』のイベント『DEJIMA博』(NIB長崎国際テレビ主催)が2日,長崎市の長崎水辺の森公園などで始まった。・・・NIBが2014年から毎年開催しており,今回で6回目。会場には長崎初出店の約30店舗を含む90店舗以上の飲食店が並んだ。」の記載がある。
オ 西部読売新聞(2018年3月12日付け)において,「出島表門橋『拭き開き』 架橋から1年に合わせ」の見出しの下,「長崎市の国指定史跡・出島和蘭(オランダ)商館跡と対岸の同市江戸町を結ぶ出島表門橋で10日,橋を大掃除するイベント『拭き開き』が行われた。架橋から約1年の節目に合わせ,出島のPRに取り組む市民団体『DEJIMA BASE』が初めて企画。・・・橋の設計に携わった東京都渋谷区の橋梁(きょうりょう)デザイナー渡辺竜一さん(41)は『長崎の人に愛される橋になってほしい』と話した。」の記載がある。
カ 西部読売新聞(2017年12月17日付け)において,「お菓子の出島 完成 長崎で催し 児童ら60人再現」の見出しの下,「お菓子を使って江戸時代の出島の街並みを再現する催しが16日,長崎市の国指定史跡・出島和蘭(オランダ)商館跡で行われ,家族連れなど約60人が参加した。歴史や文化を学び,街への愛着や誇りを持ってもらおうと,県建築士会長崎支部女性部会が2015年から毎年実施。」の記載がある。
キ 西部読売新聞(2017年2月28日付け)において「出島架橋 喜びの声『当時の人と同じ目線』」の見出しの下,「長崎市の国指定史跡『出島和蘭(オランダ)商館跡』と同市江戸町の間に『出島表門橋』が架けられた27日,関係者からは『当時の人と同じ目線で,出島への出入りが体験できるようになる』と喜びの声が上がった。・・・ 出島は開国後に周囲が埋め立てられ,観光客からは『教科書に載っているような扇形の島ではないのか』と落胆されることも多いという。市は2050年を目標に出島を完全に復元する計画を掲げている。」の記載がある。
ク 朝日新聞(2018年5月31日付け)において,「空から出島,VR体験 長崎市がアプリ」の見出しの下,「陸地に囲まれて分かりにくくなった長崎市の出島の扇形の様子を,上空150メートルからみた3D映像で体感してもらおうと,市がこのほど,VR(バーチャルリアリティー)のコンテンツを作った。スマートフォンのアプリを使って見ることができる。 このコンテンツは『DEJIMA JUMP(デジマ・ジャンプ)』。4月から映像視聴アプリ『ハコスコ』内で公開されている。」の記載がある。
(3)「出島」の名称を利用した各種商品
ア 長崎市のウェブサイト中,「事業者・産業振興」の「商業・貿易・販路拡大の支援」の「特産品開発・販路開拓・拡大への支援」の項において,「新長崎みやげ?出島?」の見出しの下,「鎖国時代,ヨーロッパとの唯一の窓口であった出島。出島から日本全国へ広まったモノや文化が多くあります。そんな出島をイメージした長崎の新しいお土産を紹介いたします!」の記載とともに,「長崎出島鯨▲カリー▼(株式会社日野商店)」,「出島ミルキーチーズケーキ(ハピネスプリンセス)」及び「出島雅マグネット(アズ・オリジン)」等の商品が紹介されている。
(http://www.city.nagasaki.lg.jp/jigyo/350000/356000/p030731.html)
イ 西部読売新聞(2012年10月6日付け)において,「ノンアルコール地ビールを発売 出島のレストランなど提供」の見出しの下,「土産物を扱う雲仙市の田浦物産などが開発したノンアルコールの地ビール『出島』が4日,試験的に発売された。同社が,長崎の文化発信地の出島をテーマにした商品として企画し,長崎市や同市のNPO法人『長崎の食を推進する会』などとともに約1年かけて開発。・・・出島にある内外倶楽部レストランで300円で販売し,・・・」の記載がある。

審決日 2019-10-21 
出願番号 商願2017-68580(T2017-68580) 
審決分類 T 1 8・ 22- WY (W4143)
最終処分 成立 
前審関与審査官 旦 克昌藤平 良二 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 浜岸 愛
平澤 芳行
商標の称呼 デジマ 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ