• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X16
管理番号 1356123 
審判番号 取消2018-300977 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-12-25 
確定日 2019-09-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第5275059号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5275059号商標(以下「本件商標」という。)は、「MUSUBI」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年1月29日に登録出願、第16類「印刷物」及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同年10月23日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成31年1月17日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成28年1月17日から同31年1月16日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第16類「印刷物」についての登録を取り決す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べている。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第16類「印刷物」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁書に対する弁駁
被請求人は、被請求人と販売代理店との間においては、贈答商品掲載カタログ(以下「ギフトカタログ」という。)単体は、販売代理店を需要者とする商取引の対象物として売買されたものであるから、本件商標は「ギフトカタログ」単体の識別標識として機能するものである旨主張する。
この点、被請求人が販売する「ギフトカタログ」は、商品が掲載された「MUSUBI」と題する冊子及び前払式支払手段である「お申込みはがき」と題するはがきで構成されており、はがきを伴わない冊子単体の売買において、本件商標を使用した旨の主張であると解する限りにおいて、請求人は、争わない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証(別紙を含む。)を提出している。以下、乙各号証については、「乙1」のように表示する。
1 被請求人は、主として、カタログやインターネットWebサイトを通じて通信販売事業を行っており、衣料品をはじめインテリア・雑貨・コスメ(生活用品)や飲食料品まで多岐に亘るジャンルの商品を販売している。
本件商標は、2009年(平成21年)4月に開始したカタログオーダーギフト及びこれに使用する「ギフトカタログ」の名称として、現在に至るまで継続して使用する商標である(乙1及び乙2)。
2 「カタログオーダーギフト」についての使用
カタログオーダーギフトとは、「チョイスカタログ」や「カタログギフト」とも呼ばれるもので、贈答商品の「贈り主」が、ギフトカタログを被請求人から購入して「受取手」へ送付し、ギフトカタログを受け取った「受取手」がその中から好みの商品を選んで被請求人へ注文して、商品を受け取るという贈答の一形態で、出産内祝い等の贈答商品として、また、最近では、企業の株主優待品等として広く利用されている(乙3)。
3 商品「印刷物」についての使用
被請求人のカタログオーダーギフト業に使用するギフトカタログは、被請求人のWebサイトで購入する以外にも、提携する百貨店や贈答品を専門に取り扱う、いわゆるギフトショップ等の販売代理店を通じても購入することができる。これらの販売代理店においては、被請求人のギフトカタログ以外にも、販売代理店独自のギフトカタログをはじめ、カタログオーダーギフト業を行う複数の企業のギフトカタログを取り揃えて、来店する贈答商品の「贈り主」に紹介している(乙6及び乙7)。
乙9、乙10及び乙11は、全国のハリカギフトショップチェーンを統括する、販売代理店の株式会社ハリカ(乙8)の証明書であるが、これらは同社の注文により、被請求人が、2017年(平成29年)9月22日付けで「ハリカ高知須崎店」に、2018年(平成30年)10月3日付けで「ハリカ須坂店」に、2018年(平成30年)10月6日付けで「ハリカ北見店」に、それぞれ商標「MUSUBI」を付したギフトカタログ単体を納品したことを示すものである。
ここで、「ギフトカタログ」に付した商標「MUSUBI」は、取引対象の商品である「ギフトカタログ」単体の商標として、自他商品の識別標識としての機能を発揮するものであり、この「ギフトカタログ」単体は指定商品「印刷物」に属する。
したがって、被請求人は、販売代理店に対しては、本件商標を、その指定商品及び指定役務中「印刷物」について、要証期間内に、日本国内において使用している。
4 被請求人のカタログオーダーギフト業の全体としてみると、被請求人は、ギフトカタログを受け取った需要者である「受取手」に対して、商品の選択の便宜のために販売する商品が掲載されたギフトカタログの提供を行っており、これは、商品の小売又は卸売の業務において小売業者が顧客に対して行う便益の提供に該当するものではあるが、一方で、被請求人と販売代理店との間においては、「ギフトカタログ」単体は、販売代理店を需要者とする商取引の対象物として売買されたものであるから、本件商標は「ギフトカタログ」単体の識別標識として機能するものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標に係る商標権者(以下、単に「商標権者」という。)は、株式会社ハリカに対して、2017年(平成29年)9月22日に12種類、2018年(平成30年)10月3日に12種類及び同月6日に10種類の「ギフト用カタログ」(以下「使用商品」という。)をそれぞれ納品した(乙9、乙10及び乙11)。
(2)使用商品は、いずれの種類のものについても、その表紙の中央には、別掲のとおり、やや特殊な書体で表された「MUSUBI」の文字(以下「使用商標」という。)が表示されており、その裏表紙には、「発行元」として商標権者の名称と住所が記載されている(乙9の別紙1ないし別紙12、乙10の別紙1ないし別紙12及び乙11の別紙1ないし別紙10)。
(3)使用商品は、「ギフト用カタログ」単体であり、商品の申込はがきを付属していない(乙9、乙10及び乙11)。
2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「MUSUBI」の文字を標準文字で表してなるものであり、使用商標は、別掲のとおり、「MUSUBI」の文字をやや特殊な書体で表してなるものであるから、両商標は、書体は相違するものの、いずれも「MUSUBI」の文字を表してなるものである。
そうすると、使用商標は、本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一と認められる。
(2)使用商品について
使用商品は、前記1(3)のとおり、商品の申込はがきを付属していない単体の「ギフト用カタログ」であり、本件審判の請求に係る指定商品「印刷物」の範ちゅうに属する商品である。
また、前記1(2)のとおり、使用商品の表紙には、使用商標が表示されているものであるから、使用商品には使用商標が付されていたといえる。
(3)使用時期について
前記1(1)のとおり、商標権者が株式会社ハリカに対して使用商品を納品、すなわち譲渡したのは、2017年(平成29年)9月22日、2018年(平成30年)10月3日及び同月6日であり、いずれの日も要証期間内である。
(4)使用者について
前記1(1)のとおり、商標権者が株式会社ハリカに対して2017年(平成29年)9月22日、2018年(平成30年)10月3日及び同月6日に使用商品を納品、すなわち譲渡したものであり、また、前記1(2)のとおり、使用商品の表紙には、本件商標が表示されており、その裏表紙には、「発行元」として商標権者の名称と住所が記載されていたものであるから、本件商標の使用者は、商標権者である。
(5)前記(1)ないし(4)によれば、商標権者が、要証期間内である平成29年9月22日、平成30年10月3日及び同月6日に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を、本件審判の請求に係る指定商品「印刷物」の範ちゅうに属する商品「ギフト用カタログ」に付したものを株式会社ハリカに対して譲渡したと認めることができる。
この行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品・・・に標章を付したものを譲渡・・・する行為」に該当する。
3 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品「印刷物」の範ちゅうに属する商品「ギフト用カタログ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(使用商標)




審理終結日 2019-07-24 
結審通知日 2019-07-29 
審決日 2019-08-13 
出願番号 商願2009-5761(T2009-5761) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X16)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 山田 啓之
小出 浩子
登録日 2009-10-23 
登録番号 商標登録第5275059号(T5275059) 
商標の称呼 ムスビ 
代理人 大谷 寛 
代理人 鎌田 直也 
代理人 鎌田 文二 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ