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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W44
管理番号 1356056 
審判番号 取消2018-300089 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-02-15 
確定日 2019-09-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5702109号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5702109号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成26年4月18日に登録出願、第44類「在宅医療に関する情報の提供,通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供,高齢者または障害者へのリハビリテーションの指導及び助言,健康増進のための栄養の指導に関する情報の提供,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」を含む第44類、第9類及び第35類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月12日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成30年2月28日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品及び指定役務中、第44類「在宅医療に関する情報の提供,通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供,高齢者または障害者へのリハビリテーションの指導及び助言,健康増進のための栄養の指導に関する情報の提供,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書及び弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、指定商品及び指定役務中、第44類「在宅医療に関する情報の提供,通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供,高齢者または障害者へのリハビリテーションの指導及び助言,健康増進のための栄養の指導に関する情報の提供,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人が製造、販売、貸与する電子機器「SUKOYAKA」に関するカタログであるところ、これに記載されている電子機器「SUKOYAKA」は「生体情報のモニタリングに用いられるコンピュータソフトウェア及びコンピュータハードウェア」あるいは「医療用遠隔計測装置」であり、このカタログには、それを89,800円で販売すること、及び月額2,980円でレンタルすることが記載されている。
また、当該カタログには本件商標も記載されている。
よって、仮に、本件商標が前記電子機器「SUKOYAKA」の上位に位置するハウスブランドであるとしても、その対象は前記の「生体情報のモニタリングに用いられるコンピュータソフトウェア及びコンピュータハードウェア」あるいは「医療用遠隔計測装置」、「生体情報のモニタリングに用いられるコンピュータソフトウェア及びコンピュータハードウェアの貸与」あるいは「医療用遠隔計測装置の貸与」であり、「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」ではない。
なお、「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」とは、業として在宅者向けの医療情報を通信機器経由で提供することであり、役務の主体は医療情報を提供する者、客体は医療情報の提供を受ける者であり、その対価などに関し取引関係がなければならない。
乙第1号証からは、前記の主体が誰であるか、また予想される客体が誰であるか、また、対価などに関する取引関係を読み取ることができない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、被請求人が製造、販売、貸与するシステム「PrimePartner」に関する第三者の紹介記事及び被請求人のカタログであるところ、「PrimePartner」は、医師などの医療関係者が院内で測定した心電図や血液などの検査データをクラウド上のサーバに保存し、どこででも参照できることを支援するためのシステムである。
つまり、「PrimePartner」は、医師などの医療関係者が使用するためのシステムであり、そこに保存される心電図や血液などの検査データは、あくまでも医療関係者が採取して自身の医療行為のために使用するものであって、被請求人はそのためのシステムを提供するにとどまり、自身が心電図や血液などの検査データを業として提供するものではない。
よって、これをもって、第44類「在宅医療に関する情報の提供」、「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」とはいえない。
また、乙第2号証の第12頁目下段には、第44類「高齢者または障害者へのリハビリテーションの指導及び助言」が使用されていることが開示されていると主張するが、これは前記「SUKOYAKA」に関するものである。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、WELLCAREと称する被請求人のFacebook上のホームページであるところ、被請求人は「例えば、乙第3号証の第5頁目には、『医療情報の提供』、『通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供』の使用を開示している。」旨主張するが、そこには上記役務の具体的な記載が何らなされていない。
(4)以上のとおり、本件商標が第44類「在宅医療に関する情報の提供,通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供,高齢者または障害者へのリハビリテーションの指導及び助言,健康増進のための栄養の指導に関する情報の提供,医業,医療情報の提供,健康診断,歯科医業,調剤」に使用されていないことは明らかであり、本件商標権は取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書、回答書及び上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1号証ないし乙7号証を提出した。
なお、以下、乙1号証ないし乙7号証を、乙第1号証ないし乙第7号証と読み替える。
1 答弁の理由
被請求人は、本件商標を、遅くとも平成26年11月30日より継続して現在に至るまで日本国内で使用している。
(1)平成28年2月19日(金)に開催された「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」で発表された資料(乙1)の第1頁目下段に本件商標と同じ態様で、「Wellcare」が使用されており、例えば「室内活動度のモニタリングによる体調変化の予兆検知」に関しては、第44類「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」の使用に該当する。
なお、当該「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」の議事録は確認可能であり、被請求人の発表があったことも開示されている(乙1:18頁)。
(2)2017年10月11日から10月13日に開催された「デジタルヘルス2017」で発表された資料において、第44類「在宅医療に関する情報の提供」、「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」について使用されている(乙2:11頁上段)。
また、第44類「高齢者または障害者へのリハビリテーションの指導及び助言」についても使用されている(乙2:12頁下段)。
(3)Facebookの日本光電WELLCAREのHPにおいて、所有者情報には、被請求人が所有者であることが開示されており、リリース日である2017年9月12日より使用が開始されていることが明らかであって、本件商標と同一の商標が使用されている(乙3)。
例えば、「医療情報の提供」、「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」の使用を開示しており(乙3:5頁)、その他、本件商標の指定役務が使用されていることが散見される。
(4)本件商標の使用の態様
被請求人によって、本件商標と同一の態様の商標が、日本国内において、指定役務について使用されていることは明らかである(乙1?乙3)。
2 審尋に対する回答(平成30年8月30日付け)
(1)「乙第1号証中のどの記載内容をもって、『通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供』についての使用であると主張するのか。これが、在宅者に対していかなる内容の情報を提供するものなのか、また、該情報が医療情報の概念に含まれるものであるのか。」について
乙第1号証第9頁下段には、X軸を歩数で、Y軸:左側:予防に関する情報:右側:中強度活動時間(分)が表示されている。この図は、PCやスマホなどの通信機器から、みまもりテレケアシステム「SUKOYAKA」(以下「システムSUKOYAKA」という。)にアクセスすることで確認が可能であり、 在宅者がこの図を見ると、「肥満の予防」、「メタボリックシンドロームの予防」となる活動をしているか「活動度の目標ライン」があることから一目で明らかであり、「肥満」、「メタボリックシンドローム」にならないかという医療情報の提供をしていることが分かる。
以上から、「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」の使用について明らかである。
(2)「乙第2号証の第11頁目上段の記載内容に関し、当該役務がどのような役務であるか。また、そこで提供されている情報が、在宅医療に関する情報なのか、在宅者向けの医療情報なのか。」について
乙第2号証の第11頁目上段には、血圧、体温、SpO2、血糖値といった医療情報が、PCやスマホなどの通信機器により医療介護ネットワークシステム「LAVITA」(以下「LAVITA」という。)にアクセスして看護師やヘルパーに情報共有(医療情報の提供)をしていることを示している。
次に、乙第2号証の第12頁目上段では、「LAVITA」を介して患者の自宅で訪問診療をした医師向けに、在宅者の医療情報を画面上から提供されていることが分かる。
乙第4号証の上段の「訪問メモ発行」をクリックすると、下段の訪問看護記録書が表示され、医師や看護師が、在宅での医療情報を確認(提供された)できるので、「在宅医療に関する情報の提供」の使用について明らかである。
(3)「乙第2号証の第12頁目下段におけるどの記載内容をもって『高齢者または障害者へのリハビリテーションの指導及び助言』についての使用に該当するのか」について
乙第2号証の第12頁目下段ではなく、上段の間違いであり、「LAVITA」を介して患者の自宅で訪問診療をした医師向けに、在宅者の医療情報が画面上から提供されている。
また、乙第2号証の第11頁目上段からPCやスマホなどの通信機器により「LAVITA」にアクセスして看護師やヘルパーに情報共有(医療情報の提供)をしていることが分かる。
「LAVITA」の画面の下段に「看護・リハビリテーションの内容」という欄があり、ここにリハビリテーション担当者がリハビリテーションの指導及び助言に関する事項を記載するため、「高齢者または障害者へのリハビリテーションの指導及び助言」を使用していることは明らかである(乙4)。
(4)「乙第3号証の第5頁について、どの記載内容をもって『医療情報の提供』及び『通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供』についての使用に該当するのか。また、その他、いずれの記載内容をもって本件商標の使用に該当すると主張するのか。」について
上述のとおり、「在宅医療に関する情報の提供」の使用は明らかである(乙4)。
「SUKOYAKA」みまもりテレケアシステムのサービス開始について記載している(乙3:11頁)。
乙第5号証は、「システムSUKOYAKA」の画面であり、第1頁目上段画面をスクロールしていくと、下段の画面が表示され、そこで、赤枠で示した「糖尿病」をクリックすると、第2頁目上段画面に糖尿病の説明と共に右上に「健康レシピはこちら」というアイコンが表示される。このアイコンをクリックすると第2頁目下段画面が表示され、「糖尿病」に合ったメニューやカロリーが表示されるので、「健康増進のための栄養に関する情報の提供」の使用は明らかである。
3 上申書における主張(平成31年2月22日付け)
(1)「システムSUKOYAKA」の概要
被請求人は、エンドユーザ(高齢者の患者、その家族)と契約している。個人情報の取り扱いの規約について同意を得(乙6)、患者の生体情報は、被請求人がエンドユーザに対し、「システムSUKOYAKA」のサービス提供、管理等に利用する。
エンドユーザは、被請求人から、センサ付きのホームステーションや活動量計等(「システムSUKOYAKA」の専用品)を購入し、見守り対象者の家に置く。
被請求人は、主体的に「システムSUKOYAKA」の運営、管理をしており、システム会社は、被請求人の依頼により、保守作業等を行っているにすぎない。
被請求人は、見守り対象者の家にホームステーションや活動量計等を設置すると共に、エンドユーザ用の専用アカウントを開設する。
エンドユーザは、専用アカウントを用いて、「システムSUKOYAKA」用プラットフォームにログインし、閲覧端末を介して、見守り対象者に関する各種情報を確認できる。
被請求人は、「システムSUKOYAKA」のサービス利用料をエンドユーザから徴収しており、「システムSUKOYAKA」の月額使用料を顧客に案内するとともに、当該サービスの上位に位置するハウスブランドとして、本件商標を使用している(乙1、13頁)。
(2)「在宅医療に関する情報の提供」について
第44類には、患者に対して医療や衛生に関する専門的なケアを行う類の役務が該当する。
在宅医療は、病院外で行われる医療行為及びこれに準ずる行為(血圧測定等)を含む概念と解される。
つまり、「在宅医療に関する情報の提供」には、医療に関する専門的な知識を有する者が、病院外で行われる医療行為及びこれに準ずる行為に関する専門的な情報を、患者に対して個別に提供する役務が該当する。
例えば、見守り対象者が「システムSUKOYAKA」の活動量計を装着している場合、計測された見守り対象者の活動量情報は、「システムSUKOYAKA」のサーバへ送信され、見守り対象者の情報が蓄積される。さらに、サーバは、蓄積された情報に基づいて、生活リズムリポート用のデータを生成し、閲覧端末の画面に当該データに基づく生活リズムリポートが表示される(乙7:7頁)。
この生活リズムリポートにより、見守り対象者の規則性の乱れを早期に発見することで、認知症の予兆等に気付きやすくなる。
このように、被請求人が「システムSUKOYAKA」を介して、エンドユーザに生活リズムリポートを提供する行為は、患者に対して在宅医療に関する専門的な情報を個別に提供する行為であり、「在宅医療に関する情報の提供」に該当する。
(3)「医療情報の提供」「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」について
「医療情報の提供」には、医療に関する専門的な知識を有する者が患者に対し、個別に医療情報を提供する役務が該当する。
被請求人は、患者に対し、「システムSUKOYAKA」を介して、生活リズムリポートという形式で医療情報を提供している。また、「システムSUKOYAKA」のサーバには、見守り対象者に関する各種情報が送信される。このため、当該サーバは、例えば、見守り対象者の運動に関する情報に基づいて、健康づくりサポート用のデータを生成し、健康づくりリポートという形式で閲覧端末に当該情報を表示できる(乙7:6頁)。
このように、被請求人は、患者に対し、「システムSUKOYAKA」を介して、生活リズムリポートや健康づくりリポートという形式で医療情報を提供している。
また、被請求人は、ホームステーションや活動量計等を用いた「システムSUKOYAKA」を介して、在宅医療を受けている患者等の在宅者向けの医療情報を提供している。
したがって、被請求人は、「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」も行っている。
(4)「健康増進のための栄養の指導に関する情報の提供」について
当該役務は、医療に関する専門的な知識を有する者が、患者に対し、個別に、患者の健康を増進させるための栄養指導に関する情報を提供する役務が該当する。
「システムSUKOYAKA」のサーバは、見守り対象者の運動に関する情報に基づいて、見守り対象者が罹患するおそれのある疾病を予防するために必要な栄養情報に関するデータを生成し、当該データに基づく健康レシピを閲覧端末に表示する(乙5:2頁)。
つまり、被請求人は、患者ごとに「システムSUKOYAKA」を介して、健康レシピという形で、患者の健康を増進させるための栄養指導に関する情報を提供している。
したがって、被請求人は、「健康増進のための栄養の指導に関する情報の提供」を行っている。
(5)これらの行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する商標の使用である(特に、乙1:1頁及び13頁)。
(6)請求人の主張について
被請求人は、エンドユーザにホームステーションや活動量計等を販売しているが、これらは「システムSUKOYAKA」のサービスを受けるために用いるものであり、被請求人は、「システムSUKOYAKA」に関するサービスをエンドユーザに提供しており、対価も受けている(乙1:13頁)。
被請求人は、「システムSUKOYAKA」を介して、生活リズムリポートや健康づくりリポート等の形式で医療情報をエンドユーザに提供しているから、「医療情報の提供」及び「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」を行っている。

第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証は、平成28年2月19日に開催された「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」で発表された資料であり、当該資料には、本件商標と同じ態様の「Wellcare」の文字が付され、第2頁には、「会社概要」として、「会社名」及び「本社」の項目には、被請求人の名称及び住所が記載されている。
そして、第4頁から第12頁には「システムSUKOYAKA」についての説明が記載され、第13頁の上段には、「SUKOYAKA 価格設定」のタイトルの下、「初期費用」として「トータル導入費用 89,800円(税別)」の表示、「月額使用料」として、「標準月額使用料 2,980円(税別)」の表示があり、その下には「※SUKOYAKAシステムの利用料、ホームゲートウェイとシステムとの通信料を含みます。」との記載があり、下段には、「2015年、12月サービス開始/みまもりテレケアシステム SUKOYAKA」「SUKOYAKA サービス提供者:日本光電工業株式会社」の記載がある。
また、第14頁から第19頁は、「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」のウェブサイトの出力物であり、「『ヘルスケア・イノベーション・フォーラム』第24回事例研究部会議事要旨」が掲載されているところ、1.開催日時・場所の項目には「【日時】平成28年2月19日(金)13:00?17:00」の記載があり(14頁)、7.「ひとり暮らし高齢者向けみまもりテレケアシステム『SUKOYAKA』」の項目には、「日本光電工業株式会社より、ひとり暮らし高齢者向けみまもりテレケアシステム『SUKOYAKA』についての発表があった。」旨の記載がある(18頁)。
(2)乙第5号証は、被請求人が、「システムSUKOYAKA」の画面と主張するものであり、1葉目の上段には、オレンジ色の背景に「SUKOYAKA」の文字のタイトルバーが表示され、その下には、「室内活動度」という項目の下、グラフが表示されている。また、下段には、「身体活動の目標達成度」の項目の下、表が表示されており、縦軸には、「身体活動により予防できる病気」として、「肥満」「高血圧」「糖尿病」等の病名が表示され、横軸には、各病気に対応した「病気予防の目標値」として、「歩数」「中強度活動」「スコア」「評価」「あなたの病気の可能性」として、「目標達成率」「判定」の項目ごとにそれぞれの数値等が記載されている。
また、2葉目の上段には、「疾病・病態の解説」の項目の下、「代謝・内分泌の病気/糖尿病」として、「糖尿病」に関する解説文が表示され、下段には、「白身魚とアスパラの炒め物」「ささ身とわかめの梅あえ」等のメニューとそれぞれのカロリーが表示されている。
(3)乙第7号証は、被請求人が、平成28年11月作成とする「システムSUKOYAKA」のカタログであり、表紙には、「健康増進・未病管理のための/みまもりテレケアシステム」「SUKOYAKA」の記載があり、左上部には「NIHON KOHDEN」の記載がある。
また、裏表紙の下部には、「販売名:みまもりテレケアシステム SUKOYAKA」「日本光電」「日本光電工業株式会社」「’16.11」等の記載がある。
そして、同カタログにおいて、「システムSUKOYAKA」の説明がなされているところ、第6頁の下部には、「疾病・病態の解説」の項目の下、「それぞれの疾病・病態について、原因、症状、診断、治療、日常生活の注意など、わかりやすい説明をご覧になれます。」及び「健康レシピ」の項目の下、「さらに、疾病予防に役立つ健康レシピをご紹介。主菜、副菜、スープ等の料理別、また野菜や肉類といった食材別に、500種類以上の豊富なレシピから検索できます。」との記載がある。
(4)乙第1号証の「システムSUKOYAKA」の発表用資料(1頁?13頁)と乙第7号証の「システムSUKOYAKA」のカタログにおける「システムSUKOYAKA」のサービス内容に関する説明は一致している。
また、被請求人が、「システムSUKOYAKA」の画面と主張する乙第5号証の1葉目の上段の図と同様に、オレンジ色の背景に「SUKOYAKA」の文字からなるタイトルバーを有する図が、「システムSUKOYAKA」の発表用資料(乙1:11頁)及び「システムSUKOYAKA」のカタログ(乙7:7頁)にも表示されている。
2 判断
(1)使用商標について
本件商標は、別掲のとおり、「Wellcare」の文字を緩やかな円弧状に表してなるところ、平成28年2月19日に開催された「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」における「システムSUKOYAKA」についての発表用資料(乙1)に表された「Wellcare」の文字は、本件商標と同一の態様の商標と認められる。
そうすると、「システムSUKOYAKA」は、「Wellcare」関連役務の一種であって、被請求人は、「システムSUKOYAKA」の広告に、本件商標と同一の態様からなる「Wellcare」の商標を「SUKOYAKA」の上位に位置するハウスブランドとして、使用していたものとみることができる。
(2)使用役務について
被請求人の提出した証拠及び主張を勘案すれば、被請求人は、「システムSUKOYAKA」を介して、「疾病・病態の解説」として、それぞれの疾病・病態の原因、症状、診断、治療、日常生活の注意などについての情報を提供し、「健康レシピ」として、疾病予防に役立つ健康レシピに関する情報を提供しているといえるものである(乙5、乙7)。
そうすると、被請求人は、「システムSUKOYAKA」を介して、「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」、「医療情報の提供」及び「健康増進のための栄養の指導に関する情報の提供」を行っているということができる。
(3)使用者及び使用時期について
乙第1号証における「2015年、12月サービス開始/みまもりテレケアシステム SUKOYAKA」の記載及び乙第7号証の裏表紙における「’16.11」の表示を併せてみれば、本件商標権者である被請求人が「システムSUKOYAKA」を要証期間内に提供していたことを疑うべき合理的な理由は見いだせないものであり、また、本件商標権者である被請求人が、本件商標と同一の態様からなる「Wellcare」の文字が付された発表用資料を用いて、「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」において「システムSUKOYAKA」についての発表を行った平成28年2月19日は、本件審判の請求の登録(登録日 平成30年2月28日)前3年以内である。
(4)小括
上記(1)ないし(3)からすれば、本件商標権者である被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において本件審判の請求に係る指定役務中に含まれる「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」、「医療情報の提供」及び「健康増進のための栄養の指導に関する情報の提供」の広告を内容とする情報に、本件商標と同一の商標を付して頒布又は電磁的方法により提供したものと認められ、これは、商標法第2条第3項第8号に該当する商標の使用である。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる「通信機器を用いた在宅者向けの医療情報の提供」、「医療情報の提供」及び「健康増進のための栄養の指導に関する情報の提供」について、本件商標と同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。

【別掲】
本件商標

審理終結日 2019-07-11 
結審通知日 2019-07-16 
審決日 2019-07-31 
出願番号 商願2014-30498(T2014-30498) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W44)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉本 克治 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 冨澤 美加
鈴木 雅也
登録日 2014-09-12 
登録番号 商標登録第5702109号(T5702109) 
商標の称呼 ウエルケア 
代理人 神保 欣正 
代理人 井草 啓雄 

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