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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1355093 
異議申立番号 異議2018-900153 
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-06-15 
確定日 2019-05-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第6029983号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6029983号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6029983号商標(以下「本件商標」という。)は,「THINKMART」の文字を横書きしてなり,平成29年6月21日に登録出願,第9類「コンピュータ周辺機器,コンピュータ用インターフェース,コンピュータ用マウス,電子式電気通信装置,電気通信用送信装置,電子信号送信機,ラジオ送受信機,音声・映像受信機,アンテナ,配電盤」を指定商品として,同30年2月26日に登録査定,同年3月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりである。
(1)登録第4908315号商標(以下「引用商標1」という。)は,「THINKSTORE」の文字を標準文字で表してなり,平成17年4月11日に登録出願,第35類「小売店における商品の販売に関する情報の提供,小売店における商品の展示会の企画・運営・開催,コンピュータハードウェア・コンピュータソフトウェア・コンピュータの附属品・コンピュータの周辺機器のオンラインによる販売に関する情報の提供,広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与」を指定役務として,同年11月11日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。
(2)「THINK」の欧文字からなる商標(以下「引用商標2」という。)
申立人ないし同人が属する「レノボグループ」の業務に係る商品(コンピュータ,コンピュータ周辺機器,携帯情報端末機など)を表示するものとして,需要者の間に広く認識されているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号,同項第10号及び同項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第40号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は,欧文字「THINKMART」を横書きに表してなるものであり,一見して「THINK」及び「MART」を組み合わせてなるものと容易に理解することができる。それらの語は,それぞれ「考える,思う,熟考する」(甲3),「販売場所,販売店」(甲4)の意を表す英単語であり,いずれも平易な英単語としてその意が我が国において広く浸透していると認めることができる。よって,本件商標は,その構成全体から「考える店」程度の観念が生ずる。
引用商標1は,欧文字「THINKSTORE」を横書きに表してなるものであり,「THINK」と「STORE」を組み合わせてなるものと容易に理解することができる。そのうち「STORE」は「店,小売店,商店」(甲5)の意を表す英単語であり,当該語も平易な英単語として我が国において広く浸透していると認めることができるから,引用商標1からも「考える店」程度の観念が生ずる。
したがって,本件商標と引用商標1とは,観念上類似する。
本件商標と引用商標1とは,少なくとも三要素のうち,観念において類似するものである。加えて,後述するとおり,「THINK」を接頭辞とする商標は,申立人ないし申立人が属するレノボグループ(以下「申立人等」という。)の製品を表すブランドとして世界的に広く知られている。
イ してみれば,「THINK」を接頭辞とする本件商標に接する取引者,需要者は,本件商標を申立人等に帰属する商標であると誤信し,それが使用される商品の出所について誤認するおそれがあるといっても過言ではない。
よって,本件商標と引用商標1とは,観念上類似する故に互いに相紛らわしい商標であると考えるのが相当である。
ウ 引用商標1に係る指定役務のうち「小売店における商品の販売に関する情報の提供,コンピュータハードウェア・コンピュータソフトウェア・コンピュータの附属品・コンピュータの周辺機器のオンラインによる販売に関する情報の提供」の利用者は,当該商品の小売店,製造者が該当する(甲8)。これらの小売店,製造者は,本件商標に係る指定商品の製造者,販売者(取引者)と一致する。
してみれば,申立人等の顧客(引用商標1に係る上記指定役務の利用者)が本件指定商品に接する可能性は比較的高いといえ,引用商標1と観念上類似する本件商標が付されることにより,当該商品の出所があたかも申立人等であると誤認するおそれは相当程度高いということができる。
エ 以上のとおり,本件商標は引用商標1と観念上類似し,本件指定商品と引用商標1に係る指定役務とも類似するということができるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 申立人は,香港に本店を置く,パーソナルコンピュータ,スマートフォン及びそれらの関連商品のメーカーであるレノボ・コーポレイション(以下「レノボ」という。甲9)を頂点とする世界的企業体「レノボグループ」に属するシンガポール法人であり,後述するレノボの世界的ブランドである「THINK」関連の商標を管理する法人である。
レノボは,1984年(昭和59年)に設立され,IBM社のPC部門や日本電気(NEC)のPC部門などを買収し,2013年(平成25年)からは世界シェア1位のPCベンダーとなった。2014年(平成26年),レノボは,Google社から,同社の携帯電話端末部門を買収,2018年(平成30年)6月のTOP500(コンピューター性能ランキング)でスーパーコンピュータのシェア世界1位のベンダーとなった(甲9)。
イ 我が国では,レノボは,2011年(平成23年)にNECのPC部門を買収し,「合弁会社NECレノボ・ジャパングループ」を設立し,2017年(平成29年)に富士通のPC部門を買収し,レノボグルーブは,国内で43.8%という圧倒的なシェアを得た(甲10)。
ウ 2004年(平成16年)のIBM社から買収したPC部門には,同社の世界的ブランドであったノートPC「ThinkPad」事業が含まれる(甲11)。「ThinkPad」ブランドは,IBM社内で全社的に使用された標語であった「THINK」に由来する。
IBM社による「THINK」の思想は,買収後,レノボによって連綿と受け継がれ,ビジネス向けPCブランドとして「THINK」が引き続き採用されている(消費者向けPCブランドとして「IDEA」が採用された。)。
レノボのビジネス向けPC関連製品には,IBMから引き継いだ「ThinkPad」,デスクトップPCの「ThinkCentre」及び「ThinkStation」等が含まれる(甲9,甲11?甲13)。これらのビジネス向けPC関連製品は,「THINKブランド」,「THINKシリーズ」及び「THINKファミリー」と総称される他,単に「THINK」とも称されている(甲12,甲14?甲16)。これらの総称は,レノボのみならず,第三者によっても使用されている(甲17?甲39)
なお,「・・・シリーズ」,「・・・ファミリー」及び「・・・製品」といった表現は,連続性・関連性を有する一連のものを総称する際に用いる表現であり,「・・・」の部分が主,「シリーズ」,「ファミリー」及び「製品」の部分が従として理解されるから,「THINKシリーズ」等の場合,当然「THINK」の部分が(商標的に見て)要部である。
このように,レノボが提供する「ThinkPad」,「Think Centre」及び「ThinkStation」等,「Think」を接頭辞とする製品は「THINK」(THINK製品,THINKファミリー及びTHINKブランド)と総称されており,かかる事実は,我が国はもちろん,世界的にも広く認識されている。そして,PC関連業界において,「THINK」(「THINK」を接頭辞とするブランド)といえばレノボ製品が容易に想起されるという図式は,本件商標が登録出願された以前から,我が国の需要者等に相当程度浸透していたということができ,現在に至るまでレノボは継続して営業を行っていることから,かかる図式は現在も変わることはない。
レノボは,上記図式に基づくブランド展開を世界各地において行っており,「THINK」ブランドが適切に保護されるよう世界各地において数々の「THINK」を接頭辞とする商標の登録を受けている(甲40)。
エ 本件商標は,レノボの「ThinkPad」,「ThinkCentre」及び「ThinkStation」等と同様,「THINK」の語を接頭辞とする商標である。
「THINK」を接頭辞とする商標が,「THINK」と総称されていることは上記のとおりであるから,レノボ製品が属する分野においては,「THINK」を接頭辞とする商標は,「THINK」の部分のみをもって取引に資されることが少なくないといえる。
してみれば,本件商標も「シンク」と略称され,「考える,思う」等の観念が生ずるとみるのが相当である。
よって,本件商標は,申立人等を象徴する商標「THINK」(引用商標2)と称呼及び観念において同一であるといえるから,引用商標2に類似する。
本件指定商品は,レノボの「THINK」ブランドの製品であるコンピュータやコンピュータ周辺機器,携帯情報端末等と,製造者,販売場所,需要者,用途等が一致するから,これらの商品は互いに類似する。
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
仮に,本件商標中「THINK」が単独で自他商品識別標識として機能しないとした場合でも,本件商標は,商品の出所について誤認を生ずるおそれがある商標といわざるを得ない。
上述のとおり「THINK」を接頭辞とする商標は,レノボ製品が属する分野,すなわちレノボ製品に類似する本件指定商品が属する分野において,レノボ製品を表象するブランドとして理解,認識され,「THINK」及び「THINKブランド」のように呼称されており,この事実は相当程度我が国においても浸透している。
してみれば,「THINK」を接頭辞とする本件商標をその指定商品に使用した場合,本件商標があたかもレノボの「THINK」ブランドの一つであるかのごとく誤信されるおそれがある。
以上を考慮すれば,たとえ,本件商標が引用商標2に類似しないと仮定したとしても,商標権者による本件商標の使用により,申立人等の業務を表象する「THINK」ブランドが真っ先に想起される可能性が高いことは明らかであり,その場合には,あたかも商標権者が申立人等と何らかの関連を有する者であるかのごとく誤認混同されるおそれを否定することは決してできない。
よって,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標1との類否について
(ア)本件商標
本件商標は,上記1のとおり,「THINKMART」の文字からなるところ,その構成中の「THINK」及び「MART」の文字が,それぞれ「考える,思う,熟考する」及び「販売場所,販売店」の意味を有する我が国において親しまれた語であるとしても,「THINK」又は「MART」の一方の文字が,取引者,需要者に対し,その指定商品との関係で出所識別標識として強く支配的な印象を与える,または,一方から出所識別標識としての称呼,観念が生じないとは認められないことから,本件商標は,構成全体をもって一体不可分の造語として理解,認識されるものというのが相当である。
また,各文字部分は,同じ書体,同じ大きさをもって等間隔に表され,全体としてまとまりよく表されているものであり,外観上,「THINK」の文字部分又は「MART」の文字部分が,他の部分から独立して強調されているものとはいえないことに加え,本件商標の構成文字全体から生じる「シンクマート」の称呼は,長音を含め6音で構成され,格別冗長というべきものではなく,無理なく一連に称呼し得るものである。
したがって,本件商標は,「シンクマート」の称呼のみを生じるというのが相当であり,また,特定の観念を生じるものではない。
(イ)引用商標1
引用商標1は,上記2(1)のとおり,「THINKSTORE」の文字からなるところ,その構成中の「THINK」及び「STORE」の文字が,それぞれ「考える,思う,熟考する」及び「店,小売店,商店」の意味を有する我が国において親しまれた語であるとしても,「THINK」又は「STORE」の一方の文字が,取引者,需要者に対し,その指定役務との関係において出所識別標識として強く支配的な印象を与える,または,一方から出所識別標識としての称呼,観念が生じないとは認められないことから,引用商標1は,構成全体をもって一体不可分の造語として理解,認識されるものというのが相当である。
また,各文字部分は,同じ書体,同じ大きさをもって等間隔に表され,全体としてまとまりよく表されているものであり,外観上,「THINK」の文字部分又は「STORE」の文字部分が,他の部分から独立して強調されているものとはいえないことに加え,引用商標1の構成文字全体から生じる「シンクストア」の称呼は,6音で構成され,格別冗長というべきものではなく,無理なく一連に称呼し得るものである。
したがって,引用商標1は,「シンクストア」の称呼のみを生じるというのが相当であり,また,特定の観念を生じるものではない。
(ウ)本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1との類否を検討すると,両者は,外観において,構成文字の後半部における「MART」と「STORE」の文字の差異を有し,この差異が9文字又は10文字からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく,外観上,相紛れるおそれはないものである。
そして,称呼においては,本件商標から生じる「シンクマート」と引用商標1から生じる「シンクストア」の称呼とは,前半における「シンク」の音を同じくするとしても,後半において「マート」と「ストア」の音の相違により,称呼上,明瞭に聴別できるものである。
また,観念においては,本件商標と引用商標1は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,比較することができない。
そうすると,本件商標と引用商標1とは,観念において比較できないものであるとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから,両商標が取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合的に考慮してみれば,両商標は,非類似の商標というのが相当である。
イ 本件商標の指定商品と引用商標1の指定役務との類否について
本件商標の指定商品は,上記1のとおり第9類に属する商品であり,そのうち「コンピュータ周辺機器,コンピュータ用インターフェース,コンピュータ用マウス」は,「コンピュータの入力装置など,コンピュータと組み合わせて利用される各種の機器」である。
引用商標1の指定役務は,上記2(1)のとおり第35類に属する役務であり,そのうち「コンピュータハードウェア・コンピュータソフトウェア・コンピュータの附属品・コンピュータの周辺機器のオンラインによる販売に関する情報の提供」は,コンピュータハードウェア等の商品を取扱う企業に対し,その商品の販売実績に関する情報,商品販売に係る統計分析に関する情報などをオンラインにて提供する役務である。
そうすると,本件商標の指定商品中,「コンピュータ周辺機器,コンピュータ用インターフェース,コンピュータ用マウス」と,引用商標1の指定役務中,「コンピュータハードウェア・コンピュータソフトウェア・コンピュータの附属品・コンピュータの周辺機器のオンラインによる販売に関する情報の提供」とは,その需要者が一致する場合が全くないとはいえないが,概して,その商品の製造販売業者と役務の提供業者,用途,販売場所と提供場所等からみて,別異のものである。
また,本件商標の指定商品及び引用商標1の指定役務中,前記以外の指定商品と指定役務の一般的,恒常的な取引の実情において,商品の製造販売業者と役務の提供業者,用途,販売場所と提供場所,及び需要者の範囲を共通にするというべき事情はいずれも見いだせない。
そうすると,両者は,それらに同一又は類似の商標を使用したとしても,それらの商品又は役務が同一営業主の製造,販売又は提供に係る商品又は役務と誤認混同するおそれのない非類似のものといわざるを得ない。
ウ 小括
上記アのとおり,本件商標と引用商標1とは相紛れるおそれのない非類似の商標であり,上記イのとおり,本件商標の指定商品と引用商標1の指定役務とは非類似のものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について
ア 引用商標2の周知性について
(ア)申立人提出の甲各号証,同人の主張及び職権調査(インターネット情報など)によれば,次の事実を認めることができる。
a 申立人は,香港に本店を置くパーソナルコンピュータ,スマートフォン等のメーカーであるレノボ・コーポレイション(レノボ)のグループ(レノボグループ)に属する法人であることがうかがえる。
b レノボは,1984年(昭和59年)に設立され,IBMのPC部門や日本電気のPC部門などを買収し,2013年(平成25年)からは世界シェア1位のPCベンダーとなった(甲9)。
c 我が国において,レノボは2011年(平成23年)に「合弁会社NECレノボ・ジャパングループ」を設立し,2017年(平成29年)の国内パソコン出荷台数では,レノボグルーブのシェアは43.8%で1位であった(甲10)。
d レノボグループは,2005年(平成17年)頃以降,現在までパーソナルコンピュータ「ThinkPad」,「ThinkStation」及び「ThinkCentre」の製造販売を行っている(甲11,甲18,職権調査)。
e レノボグループ及び他者のウェブページにおいて,レノボグループのパーソナルコンピュータ「ThinkPad」,「ThinkStation」及び「ThinkCentre」などを総称して,「Thinkブランド」,「Thinkシリーズ」,「Thinkファミリー」,「Think製品」及び「Think」などと表記しているものが相当数ある(甲12?甲37)。
また,書籍において「Thinkブランド」,「Thinkファミリー」及び「Think製品」と表記しているものが1件ある(甲38)。
なお,「THINKブランド」及び「THINKシリーズ」のように,「THINK」の大文字を用いて表しているものは見あたらない。
f 「ThinkPad」,「ThinkStation」及び「ThinkCentre」などの商品の我が国における販売台数,売上額,出荷台数,シェアなど取引実績に係る主張はなく,それを示す証左は見いだせない。
また,「Think」の文字が単独でレノボグループの商品又はその包装に付されていることを示す証左も,商品名に「Think」の文字が冠された商品全体の取引実績を示す証左も見いだせない。
(イ)上記(ア)の事実からすれば,レノボグループは2005年(平成17年)頃から現在までパーソナルコンピュータ「ThinkPad」,「ThinkStation」及び「ThinkCentre」などの商品の製造販売を行っており,それら商品を総称して「Thinkブランド」及び「Thinkシリーズ」などと表記しているものが相当数あることから,「Think」を冠したシリーズ商標として使用されていることが認められる。
しかしながら,パーソナルコンピュータ「ThinkPad」,「ThinkStation」及び「ThinkCentre」の取引実績及び商品名に「Think」の文字が冠された商品全体の取引実績を示す証左はいずれも見いだせないから,「Think」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また,他に「THINK」の文字が他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると,「THINK」の文字からなる引用商標2は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標2との類否
本件商標は,上記1のとおり,「THINKMART」の欧文字からなり,「シンクマート」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
引用商標2は,上記2(2)のとおり,「THINK」の文字からなるものであるから,当該文字に相応し「シンク」の称呼を生じ,当該文字は「考える,思う」等の意味を有する語であるから,当該文字よりは,「考える,思う」の観念を生じるものである。
そこで,本件商標と引用商標2との類否を検討すると,両者は,外観において,後半部の「MART」の文字の有無という顕著な差異を有するから,外観上,判然と区別することができるものである。
次に,本件商標から生じる「シンクマート」の称呼と引用商標2から生じる「シンク」の称呼を比較すると,両者は後半部において「マート」の音の有無という差異を有するものであるから,それぞれを称呼するときは,称呼上,明瞭に聴別し得るものである。
さらに,観念においては,本件商標は特定の観念を生じず,引用商標2は「考える,思う」の観念を生じるから,両商標は,観念上,相紛れるおそれはない。
そうすると,本件商標と引用商標2とは,その外観,称呼及び観念のいずれの点についても,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
ウ 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性
上記アのとおり,引用商標2は申立人等の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり,上記イのとおり,本件商標と引用商標2とは相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標である。
そうすると,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして引用商標2を連想又は想起させることはなく,その商品が他人(申立人等)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
エ 申立人の主張について
(ア)申立人は,レノボグループは2013年(平成25年)からは世界シェア1位のPCベンダーとなった,2017年(平成29年)の国内パソコン出荷台数ではシェア43.8%で1位であった,「ThinkPad」及び「ThinkStation」などの商品は総称して「Thinkブランド」及び「Thinkシリーズ」などと称されているなどして,引用商標2が周知である旨主張している。
しかしながら,「ThinkPad」及び「ThinkStation」などの商品を総称して「Thinkブランド」などと称しているものがあることを考慮しても,上記世界シェアや国内出荷台数は,いずれも「Think」の文字が冠された商品以外の商品を含むものとみるのが自然であり,「Think」の文字が冠された商品の取引実績は確認できないから,申立人のかかる主張は採用できない。
(イ)申立人は,「THINK」の文字を接頭辞とする本件商標は「シンク」と略称され,「考える,思う」の観念を生ずるから,同一の称呼,観念を生ずる引用商標2と類似する旨主張している。
しかしながら,本件商標の構成文字「THINKMART」は,同書同大同間隔で一体に表され,それから生じる「シンクマート」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであり,また,上記アのとおり,「THINK」の文字からなる引用商標2は,他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。
さらに,他に,本件商標は,その構成中「THINK」の文字部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるもの,又は,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないものと認めるに足る事情は見いだせないから,当該文字部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することは許されないものである。
したがって,本件商標からは「シンク」の称呼を生ずるものとはいえず,「考える,思う」の観念を生ずるものともいえないから,申立人のかかる主張は採用できない。
オ 小括
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当するものといえない。
(3)むすび
以上のとおりであるから,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-05-15 
出願番号 商願2017-83358(T2017-83358) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W09)
T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 25- Y (W09)
最終処分 維持 
前審関与審査官 今田 尊恵 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 平澤 芳行
浜岸 愛
登録日 2018-03-23 
登録番号 商標登録第6029983号(T6029983) 
権利者 深セン市迅曼科技有限公司
商標の称呼 シンクマート、シンク、マート 
代理人 横川 聡子 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 城山 康文 
代理人 北口 貴大 
代理人 永岡 愛 
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