• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W28
管理番号 1355065 
審判番号 不服2018-8149 
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-13 
確定日 2019-09-05 
事件の表示 商願2017-11327拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「縁起だるま」を標準文字で表してなり、第28類の願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成29年2月3日に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定商品については、原審における平成29年10月6日付けの手続補正書により、第28類「だるま」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「縁起だるま」の文字を標準文字で表示してなり、指定商品は、第28類「だるま」である。そして、「だるま」は、縁起物とされているところ、「縁起だるま」の文字(語)は、「だるま」を指称するものとして広く一般に使用されていることが認められる。そうすると、本願商標は、これを指定商品「だるま」について使用するときは、これに接する取引者、需要者が、「縁起だるま」の文字を自他商品の識別標識と認識するよりも、「縁起物のだるま」であることを表示したものと看取、認識するにとどまるものであるから、本願商標は、自他商品の識別標識として認識することができないものである。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
また、請求人は、「黄檗宗少林山達磨寺」及び「縁起だるま発祥の寺」等と称している寺であることは認められるとしても、その範囲は高崎市を中心とした関東地方とみるのが相当であって、北海道等全国的に認識することができるものと認めることはできないから、本願商標が「だるま」に使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものと認めることはできない。

第3 当審における証拠調べ通知
本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、意見を申し立てる機会を与えるべく、相当の期間を指定して、平成31年3月29日付けで証拠調べの結果を通知したところ、請求人からは、何ら応答がなかった。

第4 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第6号該当性
(1)本願商標について
本願商標は、「縁起だるま」の文字を標準文字で表示してなり、指定商品は、第28類「だるま」である。
「だるま」の語は、「達磨大師の坐禅した姿に模した張子の玩具。開運の縁起物とし、願いごとがかなった時に目玉を描き入れるならわしがある。」(広辞苑第6版 岩波書店)の意味を有し、「縁起だるま」の語は、別掲1のとおり、「縁起物として社寺の縁日などで売るだるま」(日本国語大辞典第2版 小学館)を意味する語との記載がある。
(2)取引の実情について
「縁起だるま」の語については、指定商品「だるま」を扱う分野における、別掲2に記載の取引の実情によれば、「縁起物としてのだるま」程の意味合いを表す語として、広く一般に使用されている実情がうかがえる。
(3)請求人による本願商標の使用について
ア 当審において請求人から提出された証拠及び請求人の主張によれば、以下の請求人による本願商標に関連する事実が認められる。
(ア)請求人は、1697年、祈願寺として「観音菩薩」「達磨大師」とともに「北辰鎮宅霊符尊」を本尊として開創された。請求人は、「黄檗宗 少林山達磨寺」、「縁起だるま発祥の寺」及び「SHORINZAN DARUMAJI」と称している(資料3?6、18、58)。
(イ)請求人は、「縁起だるまの由来」として、天明の大飢饉(1782?1788年)の後、少林山第9代目の東獄和尚が、農民たちを救済する復興活動として、「一筆達磨札」をもとに木型を彫り、農家の副業になるよう張り子のだるまの作り方を伝授したのが始まりである旨紹介した(資料7)。
(ウ)請求人は、自身を「縁起だるま発祥の寺」と称する新聞広告(新潟日報2回、日刊スポーツ1回)、高崎市JR列車時刻表における広告を行った(資料39、56、58、77、88)。
(エ)請求人は、自身の境内において、祈祷法要をした名入れ達磨及び福入り達磨の注文を電話等で受け付けている。請求人は、自身の寺の境内において、「名入れだるまの予約を承ります」と記載した紙を掲示の上、だるまを販売した。請求人は、「名入れ達磨」、「名入れだるま」、「開眼後のだるま」及び「福入り」等と称しただるまを販売しているが、「縁起だるま」と称しただるまは販売していない(資料9の1、61の1?3)。
請求人が販売する「名入れだるま」の注文者名簿における注文者の住所表示によれば、群馬県を中心とした関東地方からの注文が大半の割合を占めている(資料59、60)。
(オ)「岡田(だるま店)」、「国鋒べっこう屋商店」及び「小池だるま店」は、請求人に「名入れ達磨」及び「招き猫」を販売した(資料10ないし13)。
「吉田だるま店」は、「縁起だるま0.3号」又は「縁起だるま」と称しただるまを請求人に販売した(資料14の1?7、9?12)。
(カ)上毛かるたには、「え」の札に「縁起(えんぎ)だるまの少林山(しょうりんざん)」と紹介された。(資料15?17)。
(キ)「縁起だるま発祥の寺 少林山 七草大祭 だるま市」(「少林山達磨寺」が主催するもの(資料19の1)と「少林山達磨寺内少林山七草大祭運営委員会」が主催するもの(資料19の2)がある。)は、平成28年?同30年の1月6日?7日に開催された。当該催しに関するチラシが作成され、朝日新聞(群馬版)等の新聞における広告記事が掲載された。また、当該催しは、「市めくり」(株式会社京阪神エルマガジン社)などの雑誌等において紹介された(資料19、37、38、50、65?74、77、80?87、89)。
(ク)請求人は、「縁起だるま発祥の寺」としての誕生を祝う意味もあわせて「達磨まつり」を毎年10月5日に開催している。(資料8、18)。
(ケ)請求人は、「少林山達磨寺」、「縁起だるまの少林山」及び「縁起だるま発祥寺少林山達磨寺」と「縁起だるま発祥の寺」として、高崎市のホームページ、公報高崎、観光たかさき、及び高崎市市勢要覧に紹介された(資料20?23)。
(コ)請求人は、「『縁起だるま』発祥の寺として知られる少林山達磨寺」「縁起だるまの少林山」「『縁起だるま』発祥の寺」等として新聞において紹介された(ぐんま経済新聞1回、群馬建設新聞1回、観光経済新聞1回、産経新聞11回、信濃毎日新聞1回、中日新聞1回、日本経済新聞2回、東都新聞1回、上毛新聞13回、中外日報1回、朝日新聞2回、東京新聞6回、読売新聞1回、日刊スポーツ1回、毎日新聞2回及びたかさき毎日1回)(資料24?36、76、78、79)。
(サ)請求人は、「『縁起だるま』発祥の寺として知られる少林山達磨寺」、「縁起だるまの少林山」、「『縁起だるま』発祥の寺」、「縁起達磨をまつる歴史深い寺院」、「縁起だるまがいっぱい!」等として、「JOMO高崎の生活情報誌 Takataiタカタイ」、「JOMO TAKASAKI」、「群馬よみうり プラス」、「お寺と神社の地図帳 ハンディ版」、「市めくり」、「Komachi」「Shin 2015 VOL.84」(群馬信用組合発行)、「関東東北 じゃらん」、「おでかけ群馬 2016-17」、「読売新聞ご購読者様限定販売」のチラシ(松戸市(株)アイパル)、「仏教ライフ」(一般社団法人 仏教情報センター 東京都文京区)、「OZmagazine」、「BikeJIN」、高崎市国際交流協会パンフレットなどで紹介された(資料40?45、47?49、51?55、57、75、89、90、92、93?106)。
(シ)請求人は、「縁起だるまの発祥の地」、「高崎縁起だるま発祥のお寺」、「縁起だるま発祥の寺」及び「縁起だるまの少林寺」等として、ウェブサイト上で紹介された(資料109?111、114?116)。
イ 上記アの認定事実によれば、請求人は、「黄檗宗 少林山 達磨寺」及び「縁起だるま発祥の寺」等と称している寺であり、縁起だるま発祥の寺として、新聞雑誌等を通じて紹介されているものと認められる。
しかしながら、請求人に関する紹介記事が掲載された新聞や雑誌の多くは、群馬県を中心とした関東地方や一部の地域において配布されているものであるから、その認識は、関東の一地方の需要者の間に限り、ある程度知られていたものといえ、需要者の間に広く認識されていたとまではいい得ないものである。
また、請求人が、指定商品「だるま」について、「縁起だるま」の文字を使用して販売した事実(販売先、販売数量の推移等の販売実績)や商品の宣伝広告に用いたといった客観的な証拠(宣伝広告の方法、期間、地域及び規模等を示すもの)は無い。
(4)請求人以外の者による「縁起だるま」の語の使用状況
別掲2(1)、(2)、(4)、及び上記(3)ア(オ)によれば、請求人以外の者が、「縁起だるま」と称した「だるま」を製造又は販売した事実が認められる。
(5)小括
以上を踏まえると、請求人が、一地方の需要者の間に限り、縁起だるま発祥の寺としてある程度知られているとしても、指定商品「だるま」について、本願商標を使用して販売した事実や本願商標を使用して商品の宣伝広告を行ったといった客観的な証拠は無く、他方、上記(4)によれば、請求人以外の者が、「縁起だるま」と称した「だるま」を販売している事実が認められる。
そうすると、本願商標を指定商品「だるま」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、上記意味合い、すなわち「縁起物としてのだるま」であることを理解するにとどまるものであって、本願商標は、指定商品の特性を説明する語によって構成された商標であると解されるから、自他商品の識別標識として認識することができないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張
請求人は、請求人の取扱いに係るだるま本体には、「縁起だるま」の表示は認められないものの、請求人は「縁起だるま」発祥の寺として、日本全国で認知されているところ、同だるまの購入者が、請求人から購入するだるまが「縁起だるま」であることを認知していないとは到底考えられず、同だるまの購入者は、「縁起だるま」であることを認識し、それ故に購入しており、このことは、拒絶査定においても、「縁起だるま」と称した「だるま」が出願人に納品されていることが認められているとおり、取引者業者においても、請求人の取扱に係るだるまは「縁起だるま」であると認識していることは明らかであることなどから、本願商標は請求人のだるまを示す商標として全国的に認識され、自他商品識別力を獲得している旨主張する。
しかしながら、上記1(5)のとおり、「縁起だるま」の語は、縁起物としてのだるま程の意味合いを表す語として広く一般に称されているものである。
そして、請求人は、「縁起だるま」と称した「だるま」を販売している事実がない上に、請求人以外の複数の者が、「縁起だるま」と称した「だるま」を販売している事実が認められる。
なお、請求人が他者より「縁起だるま」と称した「だるま」を購入した事実は、請求人が本願商標を「だるま」に使用した事実を示すものとは認められず、むしろ「縁起だるま」が商品の出所表示としてではなく、商品「だるま」の特性を表したものとして取引に資されているといえる。
そうすると、本願商標を指定商品「だるま」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「縁起物としてのだるま」であることを理解するにとどまるものであって、本願商標は指定商品の特性を説明する語によって構成された商標と解されるものである。
したがって、本願商標が「だるま」に使用された結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものとは認められない。
よって、請求人の上記主張は採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 平成31年3月29日付け証拠調べ通知により開示した事実
1 「縁起だるま」の語の辞書における記載
日本国語大辞典第2版 小学館
「縁起だるま 縁起物として社寺の縁日などで売るだるま」
2 商品「だるま」を取り扱う分野における「縁起だるま」の語の使用例
(1)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「福入り張子だるま3号赤 開運達磨 縁起だるま」の見出しの下、商品「だるま」の画像とともに、「人形のモリシゲ」及び「伝統的な福入りだるま 縁起だるまとして広く親しまれています。おなかに大きな『福』の文字が入ってとても縁起の良い達磨です。」との記載がある。
https://www.amazon.co.jp/dp/B00NYOR3AO/ref=psdc_2221762051_t3_B00NYOR4LC
(2)「大徳寺」のウェブサイトにおいて、「福だるま(開運祈願・縁起だるま)」の見出しの下、商品「だるま」の画像とともに、「大徳寺では、皆様のご多幸の助けとすべく、毎年1月?2月の間、『福だるま』『合格だるま』をご用意致しております。」及び「サイズ及び金額は、以下の3種類です。金額はご志納ですが、一応の目安として設定させていただいております。これは祈祷料を含めた金額です。」との記載がある。
http://www.daitoku-ji.sakura.ne.jp/chofukudaruma.html
(3)「大崎八幡宮」のウェブサイトにおいて、「鳩子の部屋」の項の「月次祭並びに 松川だるま奉納奉告祭(10月15日)」の見出しの下、商品「だるま」の画像とともに、「去る10月15日、午前10時より毎月の恒例の月次祭と共に『松川だるま奉納奉告祭』を執り行いました。古くから仙台庶民の信仰の中にあり、親しまれてきた大崎八幡宮の縁起だるまは、『松川だるま』と呼ばれ、伊達藩の藩士『松川豊之進』により創り始まられたといわれ、宮城の誇るべき伝統工芸の歴史を持っています。」及び「松川だるま3号(9cm) 初穂料1、500円」との記載がある。
http://www.oosaki-hachiman.or.jp/thisweek/index_2015.html
(4)2018年12月23日 北日本新聞
「新年用『縁起だるま』お清め 氷見・上日寺」の見出しの下、「国天然記念物の大イチョウで知られる氷見市朝日本町の上日寺は、初詣の参拝客に向け『縁起だるま』を用意している。」、「縁起だるまは、1970年ごろから寺の縁起物の中心として親しまれ、地元の学校の運動部なども必勝を祈願して求めている。毎年、産地の群馬県高崎市から取り寄せ、今年は高さ10?60センチの2千個を準備。」及び「だるまは千円?4万8千円。」との記載がある。
https://www.hokurikushinkansen-navi.jp/pc/news/article.php?id=NEWS0000017587
(5)2013年12月30日 朝日新聞 朝刊 25頁
「縁起だるま、幸せ祈り名入れ 桜川の雨引観音、初詣の準備/茨城県」の見出しの下、「安産と子育ての寺として有名な桜川市本木の雨引観音で、縁起だるまへの寺の『名入れ』が続いている。初詣の縁起物として、毎年大小約3千個のだるまを群馬県高崎市の業者から仕入れている。真っ赤なだるまの背面に、筆で『雨引観音』と白字で入れる。」との記載がある。
(6)2013年1月21日 下野新聞 27頁
「好天大寒、各地で催し/縁起だるまも好調/小山の初市にぎわう」の見出しの下、「新春恒例『小山の初市・だるま市』が20日、JR小山駅西口の祇園城通り歩道と足利銀行小山支店駐車場を会場に開かれた。当初予定された14日が悪天候だったため延期されての開催。穏やかな好天に恵まれて多くの市民らが訪れ、縁起物のだるまなどを買い求めた。」との記載がある。
(7)2013年1月10日 東京新聞朝刊 20頁
「ほっとなび 情報の道しるべ 祭り」の見出しの下、「★いせさき初市(群馬) 11日。明治20年から続くだるま市。本町通りなどで縁起だるまなどを売る露店が立つ。伊勢崎市の同通り。」との記載がある。
(8)2010年12月5日 毎日新聞 地方版 25頁
「相州だるま展:500点ズラリ--平塚市博物館/神奈川」の見出しの下、「平塚市浅間町の市博物館で4日、張り子の縁起だるまで知られる相州だるま約500点を集めた『開運!招運!相州だるま展』が始まった。相州だるまは明治時代に多摩地方から平塚市などに製法が伝わったもので、100年以上の歴史を持つ。最盛期には10軒ほどのだるまの店があったが、現在は同市内の『荒井だるま屋』『長嶋福ダルマ物産』『本家長嶋達磨店』の3軒だけになっている。」との記載がある。
(9)2012年12月13日 東京新聞朝刊 24頁
「ほっとなび 情報の道しるべ 祭り」の見出しの下、「★飯泉観音だるま市(神奈川) 17、18日。境内や参道に約200の相州だるまや大小多数の縁起だるまを売る店と露店が出る。小田原市飯泉の飯泉山勝福寺。」との記載がある。

審理終結日 2019-06-19 
結審通知日 2019-06-25 
審決日 2019-07-25 
出願番号 商願2017-11327(T2017-11327) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W28)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 山田 啓之豊田 純一 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 庄司 美和
木村 一弘
商標の称呼 エンギダルマ、エンギ 
代理人 山尾 憲人 
代理人 田中 陽介 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ