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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1354344 
異議申立番号 異議2018-900141 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-06-04 
確定日 2019-08-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第6033025号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6033025号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件商標は、「純粋焼酎」の文字を標準文字で表してなり、平成28年7月28日に登録出願され、第33類「焼酎」を指定商品として、同30年3月14日に登録査定され、同年4月6日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標はその指定商品第33類「焼酎」(以下「申立てに係る商品」という。)について、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
(1)本件商標は、「純粋焼酎」の文字よりなるところ、「純粋」は「まじりけのないこと。」の意味を有し、実際に、「純粋」及び「純粋な焼酎」の文字は、商品「焼酎」(焼酎甲類)の特長・品質を表す語として、普通に使用されているから、自他商品識別力を有しない。
(2)商標第3条第1項第3号について
本件商標は、その指定商品「焼酎」について使用しても、「純粋な品質の焼酎」「まじりけのない焼酎」(焼酎甲類)の品質を表したものと理解させるにとどまり、自他商品識別力を有しないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)商標第3条第1項第6号について
本件商標は、その指定商品「焼酎」について使用しても、当該商品が「純粋な品質の焼酎」「まじりけのない焼酎」であることを理解させるにとどまり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないから、商標法第3条第1項第6号に該当する。

3 当審の判断
(1)申立人の提出する証拠及び主張によれば、以下のとおりである。
ア 広辞苑第7版(岩波書店)及び大辞林第3版(三省堂)には、「純粋」の文字は、「まじりけのない」の意味を有する語であることが記載されている(甲2、甲3)。
イ 株式会社講談社発行(昭和60年(1985年)7月6日)の「日本の名酒事典」には、「ホワイト・リカー(焼酎甲類)/利酒の方法」の見出しの下、「焼酎甲類は純粋なアルコールと水以外の成分が含まれないのが特徴であるから、他の酒類に比べて風味の利き分けがむずかしい。」の記載がある(甲5)。
ウ 宝酒造株式会社発行(昭和60年(1985年)9月15日)の「宝酒造60周年記念誌」には、「甲類焼酎の品質も無臭でアルコールだけの味という極めて純粋なものに変わっていきました。」の記載がある(甲6)。
エ 株式会社日本食糧新聞社発行(昭和62年(1987年)11月28日)の「食品知識ミニブックスシリーズ/酒類入門」には、「焼酎甲類」の見出しの下、「フーゼル油分、その他の成分が除かれ、純粋のアルコールになる」の記載がある(甲4)。
オ 2007年(平成19年)2月21日付け日本食糧新聞には、「『三楽焼酎 TAKUMA?匠磨? 25度』発売(メルシャン)」の見出しの下、「雑味のない酒質のきれいさ、純粋さ、自然観をクリアなボトルを通して表現した。」の記載がある(甲8)。
カ サッポロビール株式会社のウェブサイトにおいて、「サッポロ焼酎『北斗星』発売のお知らせ(2009年8月12日)」の見出しの下、「サッポロ焼酎『北極星』は、『純粋な飲み心地』、『割り材の味を活かす・邪魔しない』という焼酎甲類の特性は持ちながら、ロックで飲んでも美味しい商品です。」の記載がある(甲21)。
キ 2011年(平成23年)10月31日付け「醸界タイムスWEB版」には、「蒸留酒組合東京支部 甲類の純粋性をPR」の見出しの下、「同イベントは『焼酎甲類』の特長である純粋性、多様性、健康性を訴えるために開催されたもの」の記載がある(甲9)。
ク 2013年(平成25年)5月27日付け日本食糧新聞には、「甲類焼酎特集:苦戦続く、マイナス基調から抜け出せず 酒類多様化の中に埋没」の見出しの下、「『連続式蒸留でつくられるので、純粋で雑味のない味。・・・』とのメッセージで甲類焼酎の魅力を発信する。」の記載がある(甲10)。
ケ 2014年(平成26年)5月26日付け日本食糧新聞には、「甲類焼酎特集:消費増税響き乱高下 通年ベースで苦戦か」の見出しの下、「甲類焼酎がもつ純粋さが逆に個性のなさと認識され・・・」の記載がある(甲11)。
コ 2017年(平成29年)6月5日付け日本食糧新聞には、「日本蒸留酒酒造組合、焼酎甲類の訴求強化 若年・女性取り込む」の見出しの下、「焼酎甲類の純粋性、多様性、健康性を広く訴求。」の記載がある(甲12)。
サ 日本蒸留酒酒造組合のウェブサイトの「焼酎甲類体験フェス2017in六本木」(2017年10月13日(金)、14日(土)開催)のページには、「焼酎甲類3つの魅力」として「焼酎甲類の最大の特長は、クセがない純粋な味わい」の記載がある(甲7)。
シ その他、焼酎製造メーカーの各社ウェブサイトには、例えば「甲類焼酎は、連続式蒸溜機により製造されているため、純粋で洗練された酒質が特徴です。」の記載(甲13)、「焼酎甲類」について、「純粋で洗練された酒質が特徴。」の記載(甲14)、「より純粋な焼酎にするために濾過という工程が行われ」の記載(甲15)等があるが、いずれも掲載日が本件登録査定後の日付のものか、若しくは、掲載日は確認できず、出力日が本件登録査定後のものである(甲13?甲20、甲22、甲23)。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「純粋焼酎」の文字を標準文字で表してなるところ、上記(1)によれば、その構成中の「純粋」の文字は「まじりけのない」の意味を表す語であって、甲類焼酎の分野においては、当該意味をもって使用されることが散見されることから、本件商標全体から「まじりけのない焼酎」ほどの意味合いを、需要者等に暗示させる場合があるとしても、本件商標が申立てに係る商品の品質を直接的かつ具体的に表示したものと認識させるとはいい難い。
また、当審において職権をもって調査したが、本件商標の登録査定時に、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、「純粋焼酎」の文字が、商品の具体的な品質等を表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本件商標に接する取引者、需要者が、当該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も見当たらない。
そうすると、本件商標は、その指定商品との関係において、商品の品質等を表示するものとはいえず、その構成全体として特定の意味合いを有しない一種の造語として認識、理解されるとみるのが相当であるから、本件商標を申立てに係る商品について使用しても、本件商標の登録査定時において、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(3)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は、上記(2)のとおり、本件商標の登録査定時において、申立てに係る商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標ということはできず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであり、また、申立てに係る商品について、当審において職権をもって調査したが、商品の宣伝広告や企業理念等を表示する標章として使用されているという事実は発見できない。
そうすると、本件商標は、その登録査定時において、自他商品の識別標識としての機能を有するものであり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないと判断するのが相当である。
その他に、本件商標が、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とすべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-07-23 
出願番号 商願2016-80745(T2016-80745) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W33)
T 1 651・ 16- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 金子 尚人
小松 里美
登録日 2018-04-06 
登録番号 商標登録第6033025号(T6033025) 
権利者 ヤヱガキ酒造株式会社
商標の称呼 ジュンスイショーチュー、ジュンスイ 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 

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