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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1354334 
異議申立番号 異議2018-900179 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-07-12 
確定日 2019-08-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第6041357号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6041357号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6041357号商標(以下「本件商標」という。)は、「しぶぬき名人」の文字を標準文字で表してなり、平成29年6月23日に登録出願、第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同30年4月19日に登録査定、同年5月11日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5811411号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:名人(標準文字)
登録出願日:平成27年7月14日
設定登録日:平成27年12月4日
指定商品 :第33類「日本酒,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒」
(2)登録第4558541号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:平成13年6月28日
設定登録日:平成14年4月5日
指定商品 :第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「しぶぬき」と「名人」の2語からなる結合商標と解され、既成語ではなく、必ず一体に見なければならない格別の事情も存しないところ、「しぶぬき」の文字は、「[渋抜き]アルコールや湯に浸して、柿の渋い味を除き去ること。」(甲4)の意味を表し、「しぶぬき(渋抜き)」のために、焼酎等のアルコールが用いられることは、周知の事実である。
そして、現に市場においても、申立人の100%出資に係る子会社である宝酒造株式会社(以下「宝酒造」という。)の商品「しぶぬき職人」を始めとして、「しぶぬき(渋抜き)」用の焼酎やスピリッツが販売され、これらの商品について「しぶぬき」「渋抜き」の文字が用途表示として使用されている事実がある(甲5?甲9)。
してみれば、本件商標中の「しぶぬき」の文字部分は、商品の用途、品質を表したものであって、自他商品の識別標識としての機能を有しないといえる。
これに対し、「名人」の文字は、「技芸にすぐれた人。その分野で、ひいでた人。」(甲4)の意味を有し、酒類の品質とは全く無関係の語であって、引用商標1の登録が存在するとおり、それ自体、強い識別力を有するものである。
そうとすると、本件商標は、商品の用途、品質表示であって自他商品識別力を有しない「しぶぬき」の文字と、強い識別力を有する「名人」の文字を結合してなるものであり、本件商標において自他商品識別標識としての機能を果たす部分は、強い識別力を有する「名人」の部分であるといえるから、本件商標は、構成全体より、「シブヌキメイジン」の称呼と「しぶぬきの上手な人」程度の観念を生じるとともに、その要部である「名人」の文字部分から、「メイジン」の称呼と「技芸にすぐれた人。その分野で、ひいでた人。」の観念も生じるといえる。
本件商標は、引用商標1と、「メイジン」の称呼と、「技芸にすぐれた人。その分野で、ひいでた人。」の観念を共通にし、「名人」の構成文字も共通にする、類似の商標である。
また、引用商標2は、全体として「しぶぬき職人」の文字を表したと把握されるところ、構成全体として「しぶぬきの専門家」、「しぶぬきの熟練した技術を持つ人」の程度の観念を生じ、本件商標と引用商標2とは、全体より生じる観念について似通った印象を与えるものであり、外観においても、構成する全6文字のうちの1文字の差にすぎないから、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に観察すると、相紛れる蓋然性は極めて高く、両者は類似の商標といえる。
そして、指定商品についても、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標2は、構成する全6文字のうち、1文字が相違するにとどまるものであって、その意味も外観も似通った印象を与えるものである。
そして、「名人」と「職人」の語は、「名人気質」と「職人気質」、「名人芸」と「職人芸」、「名人肌」と「職人肌」の様に、結合する文字を共通にする意味合いの近似した熟語があるとおり、特に結合語を構成する場合は、全体として極めて似通った意味合いが想起され、互いに相紛らわしいものといえる。
実際に、引用商標2の使用に係る商品は、宝酒造により、柿の渋抜き専用品として、2001年8月7日の発売以来継続して販売されており(甲5、甲6)、通常の焼酎に比べてアルコール度数が高く、手軽に早く渋を抜くことができるとして好評を得ているところ、消費者において、「しぶぬき職人」のことを指して、「しぶぬき名人」と誤ってインターネット等で紹介されることがしばしばある(甲10?甲14)。
本件商標は、その構成中に「しぶぬき」の文字を含んでなり、当然に「柿の渋抜き」用の商品について使用されるものと思料されるところ、上記の如く現に誤認、混同を生じているほど、「しぶぬき職人」と「しぶぬき名人」の名称は互いに近似した印象を与えるものであるから、本件商標が、同じ「柿の渋抜き」用の酒類の商品について使用された場合、当該商品が、先行して販売されている宝酒造の引用商標2の使用に係る商品と誤認、混同して取引される蓋然性は極めて高いといえる。
以上のとおり、本件商標は、引用商標2と極めて紛らわしい出所の混同を生じるおそれがある商標といわざるを得ない。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「しぶぬき名人」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同書、同大、等間隔でまとまりよく表されており、その構成文字全体から生じる「シブヌキメイジン」の称呼も格別冗長というべきものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成文字に相応して「渋を抜く名人」程の観念を容易に認識するものというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成全体をもって把握、認識されるというべきであるから、これより「シブヌキメイジン」の称呼及び「渋を抜く名人」程の観念を生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標1は、前記2(1)のとおり、「名人」の文字を標準文字で表してなり、該文字に相応して、「メイジン」の称呼及び「名人」の観念を生じるものである。
また、引用商標2は、別掲のとおり、縦書きの「しぶぬき」(「き」の文字は他の文字より右側に表示されている。)の「ぬ」の文字の下にゴシック体で「職人」の文字を縦書きしてなるところ、これらの文字は、一体的なものとしてまとまりよく表されており、その構成文字全体から生じる「シブヌキショクニン」の称呼も格別冗長というべきものではなく、無理なく一連に称呼し得るものであり、その構成文字に相応して、「渋を抜く職人」程の観念を生じるものである。
そうすると、引用商標2は、その構成全体をもって把握、認識されるというべきであるから、これより「シブヌキショクニン」の称呼及び「渋を抜く職人」程の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の構成は、上記ア及びイのとおりであって、本件商標と引用商標1とは「しぶぬき」の文字の有無において相違し、また、本件商標と引用商標2とは「名」の文字と「職」の文字が相違することに加え、書体において明らかな差異を有するものであることから、本件商標と引用商標とは、外観上、相紛れるおそれはない。
つぎに、本件商標から生じる「シブヌキメイジン」の称呼と引用商標1から生じる「メイジン」の称呼とは「シブヌキ」の音の有無において相違し、また、本件商標から生じる「シブヌキメイジン」の称呼と引用商標2から生じる「シブヌキショクニン」の称呼とは中間における「メイ」と「ショク」の音における差異を有するものであって、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が相違し、互いに聴き誤るおそれはないというべきであるから、本件商標と引用商標とは、称呼上、相紛れるおそれはない。
さらに、本件商標からは「渋を抜く名人」程の観念を生じ、引用商標1からは「名人」の観念を生じ、引用商標2からは「渋を抜く職人」程の観念を生じることから、本件商標と引用商標とは、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。
オ 小括
以上のとおり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品であるとしても、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標2の周知著名性について
申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば、宝酒造は、柿の渋抜き用のアルコール「しぶぬき職人」について、2001年(平成13年)8月7日に発売し(甲6)、その商品に引用商標2を付して販売している(甲5)ことはうかがえるとしても、このことのみをもって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人(又は宝酒造)の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたとはいえない。
イ 本件商標と引用商標2との類似性の程度について
上記(1)のとおり、本件商標と引用商標2とは、それぞれ構成全体をもって一連一体のものと看取されるのが相当であり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない、非類似の商標であって、その類似性の程度は低いものである。
ウ 出所混同のおそれについて
上記ア及びイによれば、引用商標2は、申立人(又は宝酒造)の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたとはいえず、また、本件商標と引用商標2とは、その類似性の程度は低いものである。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が、引用商標2を想起、連想して、当該商品を申立人の業務に係る商品、あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
なお、申立人は、ブログ(甲10?甲14)において、宝酒造の「しぶぬき職人」が「しぶぬき名人」と誤まって紹介され、「しぶぬき職人」と「しぶぬき名人」の名称は互いに近似した印象を与えるから、出所の誤認混同を生じる旨主張する。
しかしながら、本件商標が引用商標2と商品の出所について混同を生じるおそれがないことは上記のとおりであるから、たとえ、宝酒造の取扱いに係る「しぶぬき職人」が「しぶぬき名人」と誤まって紹介されたブログがあったとしても、そのことのみをもって、本件商標が引用商標2との関係で出所の混同を生じるおそれがあるとはいえないし、かつ、上記判断に影響するものともいえない。
したがって、申立人のかかる主張は理由がない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標2)





異議決定日 2019-07-23 
出願番号 商願2017-84802(T2017-84802) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W33)
T 1 651・ 262- Y (W33)
T 1 651・ 271- Y (W33)
T 1 651・ 261- Y (W33)
最終処分 維持  
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 小松 里美
金子 尚人
登録日 2018-05-11 
登録番号 商標登録第6041357号(T6041357) 
権利者 株式会社サン.フーズ
商標の称呼 シブヌキメージン、シブヌキ、メージン 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 

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