• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 取り消して登録 W39
管理番号 1354151 
審判番号 不服2018-15993 
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-03 
確定日 2019-07-30 
事件の表示 商願2017-99741拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第39類及び第45類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として,平成29年7月27日に登録出願されたものである。
その後,指定役務については,当審における平成30年12月3日受付の手続補正書により,第39類「車両による荷物の宅配,車両による輸送,自動車の運転の代行,荷物の梱包,荷物の宅配の媒介,配達物の一時預かり」と補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は,「本願商標は,『コメットさん』(その構成中の「ッ」と「ん」の文字に星型の記号が付されてなる)の文字を横書きしてなるところ,これは,東京都世田谷区在の国際放映株式会社が,本願商標の登録出願前より役務『テレビ放送番組の制作』等に使用して著名な,別掲2のとおりの構成からなる引用商標と類似する商標であり,これをその指定役務に使用するときは,あたかもその役務が前記会社又は同会社と組織的,経済的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)国際放映社の使用に係る引用商標について
当審において職権調査をしたところ,新聞記事(平成20年2月24日付け「日刊スポーツ新聞」ほか)によれば,引用商標及び「コメットさん」の文字は,原作を故横山光輝氏の漫画とする国際放映株式会社(以下「国際放映社」という。)の使用に係るテレビドラマの題名であり,当該テレビドラマは,九重佑三子氏主演で1967年(昭和42年)から1968年(昭和43年)末まで放送されたこと,大場久美子氏主演で1978年(昭和53年)6月から1979年(昭和54年)9月まで放送されたこと,テレビアニメとしても,2001年(平成13年)から2002年(平成14年)まで放送されたこと,テレビドラマについては,「人気番組」と記載されている例もあることなどが認められる。
しかしながら,当該テレビドラマが放送当時「人気番組」であったとしても,当該テレビドラマが放送されたのは,本願商標の登録出願時から約40から50年前のことであり,テレビアニメが放送されたのは約17年前である。そして,国際放映社の使用に係る引用商標及び「コメットさん」の文字が,同社の業務に係る役務ないし当該テレビドラマの題名を表示するものとして,本願商標の登録出願時及び審決時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されている事実を発見することはできなかった。
そうすると,国際放映社の使用に係る引用商標は,本願商標の登録出願時及び審決時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されているものということはできない。
(2)本願商標と引用商標の類似性の程度について
本願商標及び引用商標は,別掲1及び別掲2のとおり,いずれも「コメットさん」の文字(いずれも「ッ」の文字が星形の図形とともに表されている。)を横書きしてなるところ,その構成中,「コメット」の文字は,「すい星」の意味を有する外来語であり(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店発行),「さん」の文字は,人名などの下に添える敬称として使用される接尾語であって,前にある語と一体となって造語を形成し,事物を擬人化して愛称的にいう場合にも使用されることの多い語といえるものであるから,本願商標及び引用商標は,全体として,「すい星」の意味を有する「コメット」の語を擬人化した一種の愛称を表したものとして理解されるとみるのが相当である。
そうすると,本願商標及び引用商標は,いずれも,その構成文字に相応して「コメットサン」の称呼を生じ,「コメットさんという愛称」程の意味合いを想起させるものといえる。
そこで,本願商標と引用商標とを比較すると,外観については,本願商標と引用商標とは,いずれも「コメットさん」の文字からなるものであるから,外観上,両者は近似するものである。また,両商標は,称呼及び観念については,いずれも,上記のとおりであるから,称呼上,同一であり,共通の意味合いを想起させるものといえる。
そうすると,本願商標と引用商標とは,外観において近似し,称呼を同一にするものであり,また,共通の意味合いを想起させるものであることから,これらを総合すれば,両商標の類似性の程度は高いものといえる。
(3)引用商標の独創性について
引用商標を構成する「コメットさん」の文字については,上記(2)のとおり,「すい星」の意味を有する外来語と,事物を擬人化して愛称的にいう場合にも使用されることの多い接尾語の「さん」とを結合してなるものというのが相当であるから,「コメットさん」の文字は,造語としての独創性が高いものということはできない。
また,引用商標は,「ッ」の文字に星形の図形を用いたデザインが施されているところ,標章の文字部分に星形の図形を用いることは普通に行われているものであって,「コメットさん」の文字を表したものと直ちに理解できるものであるから,かかるデザインが施されていることをもって,引用商標の独創性が高いものということはできない。
(4)本願の指定役務と引用商標の使用に係る役務の関連性の程度について
本願の指定役務は,上記1のとおり,「車両による荷物の宅配,車両による輸送,自動車の運転の代行,荷物の梱包,荷物の宅配の媒介,配達物の一時預かり」であって,その事業は,荷物を輸送する運送業,それに付随する荷物の梱包や保管を行うサービス,及び自動車の運転代行業といえる。一方,国際放映社の使用に係る引用商標は,上記(1)のとおり,テレビドラマの題名として使用されたものである。
そうすると,本願の指定役務とテレビドラマの題名である引用商標とは,関連性があるものとは認められない。
(5)本願商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)ないし(4)のとおり,本願商標と引用商標とは類似性の程度は高いものといえるものの,引用商標は本願商標の登録出願時及び審決時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されているものとはいえないこと,引用商標は造語としての独創性が高いものとはいえないこと,本願の指定役務とテレビドラマの題名である引用商標に関連性があるものとは認められないことから,これらを総合的に判断すれば,請求人が本願商標をその指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者が,本願商標を国際放映社の業務と関連づけて認識するおそれは低く,役務の出所について混同を生ずるおそれがあるということはできない。
したがって,本願商標が,商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標


別掲2 引用商標


審決日 2019-07-16 
出願番号 商願2017-99741(T2017-99741) 
審決分類 T 1 8・ 271- WY (W39)
最終処分 成立  
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 渡邉 あおい
平澤 芳行
商標の称呼 コメットサン、コメット 
代理人 特許業務法人北青山インターナショナル 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ