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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1353381 
異議申立番号 異議2018-900041 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-15 
確定日 2019-07-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5999351号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5999351号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5999351号商標(以下「本件商標」という。)は、「TAYA BEAUTY」の欧文字を標準文字により表してなり、平成29年4月18日に登録出願、第3類「ヘアケア用化粧品,スキンケア用化粧品,シャンプー」を指定商品として、同年10月20日に登録査定、同年11月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5357849号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成21年5月25日に登録出願、第3類「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,せっけん類,化粧品,香料類」を指定商品として、同22年10月1日に設定登録されたものであり、現在、有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第8号及び同項第15号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第416号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標は「TAYA BEAUTY」と標準文字で記載した商標であるが、「TAYA」と「BEAUTY」との間に1文字分の間隔があり、視覚上、前半部の「TAYA」と、後半部の「BEAUTY」とに分離して看取される。
また、本件商標全体から生じる称呼は「タヤビューティー」であって長音を含めて8音もの冗長な称呼となっており、「美しさ、美」等の意味の英単語として我が国の取引者、需要者に馴染みが深くカタカナ語にもなっている「BEAUTY」(甲3、甲4)の称呼「ビューティー」と、英和辞典には掲載がない言葉で英単語ではなく、仏和辞典・独和辞典等の辞書にも掲載がない言葉であり、申立人の「名称の略称(日本語)」と判断されるか、又は、特段の意味を有せず造語と判断されるか、いずれかである「TAYA」の称呼「タヤ」とに分離されて称呼されるのが自然である。
さらに、本件商標から自然に生じる観念については、本件商標の全体からは、「申立人の美容院」の意味をほのめかしていると把握され理解される可能性があるが、これを除けば、全体からは特段の意味合いが生じるものではなく、前半部は「申立人の『名称の略称』」又は「特段の意味を有しない造語」であり、後半部は、我が国の取引者、需要者にとって馴染みが深い英単語としての「美しさ、美」等の意味であり、1文字分の間隔によって分断された前半部と後半部とでは何らの観念上の繋がりもなく、本件商標は、前半部と後半部とに分離されて把握され理解されるものである。
以上のとおり、外観、称呼、観念のいずれからしても、本件商標は、全体として一体不可分のものと把握すべき理由は存在しない。
(2)本件商標の後半部の「BEAUTY」は、「美しさ、美」等の意味の英単語として我が国の取引者、需要者に馴染みが深い語であり、本件商標の指定商品である「ヘアケア用化粧品、スキンケア用化粧品、シャンプー」との関係では、例えば、「髪を美しくするための(シャンプー)」とか「肌が美しくなる(化粧品)」等のように、商品の「用途」や「効能」を表しているにすぎず、後半部「BEAUTY」には自他商品識別標識としての機能はないか又は極めて弱いものであって、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として圧倒的に強く支配的な印象を与えるのは、「申立人の『名称の略称』」又は「特段の意味を有しない造語」と把握され理解される前半部の「TAYA」の部分である。
そして、本件商標の要部である前半部の「TAYA」と引用商標とを比較すると、本件商標の前半部からも引用商標からも自然に「タヤ」との称呼が生じ、称呼上同一である。
さらに、本件商標の前半部も引用商標も「TAYA」と欧文字の大文字で4文字にて横一連に一行で記載されており、引用商標がやや斜めに傾いた文字にて記載されている点を十分に考慮に入れたとしても、外観上酷似している。
加えて、欧文字で記載された「TAYA」は、英和辞典、仏和辞典、独和辞典などの辞書には掲載がない言葉なので造語であると判断されるのであれば、観念の比較はできないが、申立人の「名称の略称」と判断するのであれば、観念上同一である。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼、観念を検討すれば、同一又は酷似の商標であると断言できるものである。
なお、特許庁の審決の先例として、無効2000-35713の審決が存在している。該審決において、「SPORT」と「Sports Beauty」との商標の類否につき、類似する、との判断を示している(甲5)。
本件登録異議申立につき、上記の審決と異なって解釈される理由は存在しない。
2 商標法第4条第1項第8号について
(1)申立人の名称は「株式会社田谷」で、英語では「TAYA&CO.」であり、名称の略称は「TAYA」となっている(甲6)。
申立人は、引用商標を用いて、「リンス等のヘアケア用化粧品」や「シャンプー等のせっけん類」の製造を行い、また、これらの商品の販売を行っている。
申立人は、名称の略称である「TAYA」を第42類においても商標登録をして(甲7)、「TAYA」を用いて、高級美容院チェーンを経営している。
申立人の業務の年間売上高は、直近の期においては約11,401百万円であるところ、「美容」が主力業務であるにしても、「『リンス等のヘアケア用化粧品』や『シャンプー等のせっけん類』の販売」も約12%で年間売上高は約1,299百万円となっていて(甲8)、申立人の名称の略称「TAYA」は、「リンス等のヘアケア用化粧品」や「シャンプー等のせっけん類」といった商品の販売業者として著名となっている。
また、申立人の名称の略称「TAYA」は、美容業界において特に著名となっており、「美容」と「化粧品(特にリンス等のヘアケア用化粧品)」や「シャンプー」とは極めて密接な関連性があり、申立人の美容業界における名称の略称「TAYA」の著名性は、「化粧品(特にリンス等のヘアケア用化粧品)」や「シャンプー」に対しても及ぶ。
本件商標は「TAYA BEAUTY」と記載したものであり、明らかに申立人の著名な略称である「TAYA」を含むものであるところ、申立人は、本件商標の商標権者に対し、これまで本件商標を登録することについての承諾を与えたことはなく、かつ、将来にわたっても承諾を与えることはありえない。
(2)申立人の名称の略称「TAYA」の著名性について
ア 申立人の名称の略称「TAYA」を用いた商品・役務の宣伝・広告や商品・役務の紹介記事は、これまでマスコミを通じて需要者に提示され続けていて、申立人の名称の略称「TAYA」は、「リンス等のヘアケア用化粧品」や「シャンプー等のせっけん類」の製造元や販売元として、また、美容業者として、我が国の需要者に知れわたっている(甲9?甲13,甲16?甲19,甲25,甲40,甲50,甲57,甲60,甲72,甲89,甲92,甲94,甲97,甲114,甲119,甲124,甲125,甲129,甲130,甲132?甲135,甲137,甲140,甲142,甲145,甲147?甲151,甲155,甲第156,甲160?甲164,甲181,甲184,甲187,甲190,甲191,甲196,甲200,甲202,甲203,甲212,甲217,甲220,甲225,甲245,甲262,甲267,甲269?甲271,甲274,甲275,甲293,甲296,甲322,甲339,甲362,甲369,甲373,甲400?甲402,甲404,甲411,甲413?甲415)。
イ 申立人の美容院のチェーン店は、フランス国の被服、香水等のブランド会社であるクレージュと共同する「クレージュ・サロン・ボーテ」等の店名のものも存在するが、基本的には店名は「TAYA」か「TAYA&CO.GINZA」を用いている。
「TAYA」以外の店名の美容院であっても、需要者は、申立人が経営する「『TAYA』グループの美容院」との認識を有している。
本件商標の出願日の直前である2017年3月末日の時点で、店名「TAYA」の美容院は84店舗存在しており、店名「TAYA&CO.GINZA」の美容院は3店舗存在していて、「『TAYA』グループの美容院」全体としては、我が国全域に計136店舗存在しており(甲416)、いずれの店舗においても、申立人の引用商標を用いた「リンス等のヘアケア用化粧品」や「シャンプー」の販売を行っている。
よって、申立人の名称の略称「TAYA」は、高級美容業者として、また、「リンス等のヘアケア用化粧品」や「シャンプー」の販売者として、需要者に知れわたっている。
ウ 申立人の美容師チームである「TAYAアーティスティックチーム」は、1990年、1999年と2度にわたりニューヨーク・インターナショナル・ビューティーショーに日本代表として招へいされており、また、1988年から2004年の間に7回ロンドン・ワールド・ヘアドレッシング・コングレスから日本代表として招へいされていて、我が国のみならず国際的にも広く知られており、その結果として、申立人の名称の略称「TAYA」は、我が国のみならず国際的にも著名性を有している(甲6)。
エ 申立人の株式は、1997年に店頭公開され、1999年に東京証券取引所の二部に上場しており、2001年には同証券取引所の一部に鞍替えしており、株式投資を通じ我が国の人々に対して、申立人の事業内容や名称の略称「TAYA」は知れわたっている。特に、株主優待として、申立人のPB商品「シャンプー」や「リンス」をもらえることから、これを目当てに株主となる一般消費者も多い(甲6、甲8、甲165、甲197、甲326)。
3 商標法第4条第1項第15号について
仮に、本件商標が商標法第4条第1項第11号には該当しない、との反実仮想に立った場合であっても、以下に述べるとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(1)英語では「美容院」のことを「Beauty salon」とか「Beauty parlor」等と称しており(甲3)、我が国においても「ビューティーサロン」とか「ビューティーパーラー」とのカタカナ語として一般に定着している(甲4)。
(2)申立人の美容院チェーンの店舗では、申立人の美容院チェーン店にて美容に用いているものと同じ「リンス(ヘアケア用化粧品)」や「シャンプー」を商品として販売しており、該商品には引用商標が付されていて申立人のPB商品であることを示している。該PB商品は、美容院店舗以外でも、例えばコンビニエンスストア「ローソン」の店舗等で消費者に向けて市販されている。また、春夏秋冬の各季節においては、季節限定品のPB商品「リンス(ヘアケア用化粧品)」や「シャンプー」を、消費者に向けて市販している。前述のとおり、「『リンス等のヘアケア用化粧品』や『シャンプー等のせっけん類』の販売」にかかる直近の年間売上高は、約1,299百万円にも上っている。
(3)上記2で述べたとおり、申立人の略称としての「TAYA」は、「ヘアケア用化粧品」や「ジャンプー」の需要者である一般消費者にとって著名になっており、かつ、「美容」の需要者である一般消費者にとっても著名になっている。
(4)本件商標は、上記(1)ないし(3)を考え併せれば、取引者、需要者に対して、あたかも、「申立人」の「美容院(ビューティーサロン又はビューティーパーラー)」で販売に供されている申立人のPB商品等と同じものが一般市場で販売されているかのごとき印象を与え、申立人の販売業務に係るPB商品の「リンス(ヘアケア用化粧品)」や「シャンプー」と混同を生じるおそれが多大に存在する商標に該当することとなる。
また、「美容」と「化粧品(特にリンス等のヘアケア用化粧品)」や「シャンプー」とは極めて密接な関連性がある事実並びに上記(1)ないし(3)を考え併せれば、取引者、需要者に対して、あたかも、申立人の「美容院(ビューティーサロン又はビューティーパーラー)」事業と何らかの関わりがある商品であると判断されてしまい、混同を生じるおそれが強度に存在する商標に該当することとなる。

第3 当審の判断
1 引用商標又は「TAYA」の文字の周知性について
(1)申立人は、美容室を1975年に設立し、1997年には株式を店頭公開(甲6、甲8)した2017年3月時点において全国に美容室のチェーン店を136店舗(甲416)有する株式会社である。
そして、申立人は、申立人のチェーン店136店舗のいずれにおいても引用商標を用いた「リンス等のヘアケア用化粧品」や「シャンプー」を販売していることから、申立人の名称の略称「TAYA」は「リンス等のヘアケア用化粧品」や「シャンプー」の販売者として知られており、また、申立人の名称の略称「TAYA」を用いた商品、役務の宣伝、広告やその紹介記事をマスコミを通じて需要者に継続して提示していることから、引用商標又は申立人の名称の略称「TAYA」は、「リンス等のヘアケア用化粧品」や「シャンプー等のせっけん類」(以下「申立人商品」という。)の製造元、販売元、さらに美容業者として、我が国の需要者に知られている旨主張する。
しかしながら、申立人がその主張に係る証拠として提出した甲第9号証ないし甲第415号証は、1997年3月から2018年2月発行の雑誌や新聞に掲載された申立人の業務に係る役務(「美容室」)の紹介及び広告並びに申立人商品の紹介(以下、これらをまとめていうときは「広告等」という。)であるところ、広告等の多くは、美容室の店名としての「TAYA」を紹介しているものである。
また、広告等において、申立人商品を紹介しているものの中で、商品の出所を表すために引用商標又は「TAYA」の文字を用いているのは、主に女性向けの雑誌であり、その掲載回数は、1997年には8回(甲9?甲13、甲16?甲18)、1998年には2回(甲19、甲25)、1999年には2回(甲40、甲50)、2000年には2回(甲57、甲60)、2001年には1回(甲72)、2002年には4回(甲89、甲92、甲94、甲97)、2003年には1回(甲114)、2004年には1回(甲124)、2005年には0回、2006年には7回(甲129、甲130、甲132?甲135、甲137)、2007年には6回(甲140、甲142、甲145、甲147?甲149)、2008年には6回(甲150、甲151、甲155、甲156、甲160、甲161)、2009年には2回(甲184、甲187)、2010年には7回(甲190、甲191、甲196、甲200、甲202、甲203、甲212)、2011年には6回(甲217、甲220、甲222、甲225、甲232、甲245)、2012年には2回(甲262、甲267)、2013年には5回(甲269?甲271、甲274、甲275)、2014年には2回(甲293、甲296)、2015年には2回(甲322、甲339)、2016年には3回(甲362、甲369、甲373)、2017年には5回(甲400?甲402、甲404、甲411)、2018年には3回(甲413?甲415)であることが認められる。
しかしながら、上記期間における申立人商品の掲載回数は、多くても年に8回にとどまるものであり、さらに、その中でも引用商標を付した申立人の業務に係る商品であることを確認できるものは、わずか10回程度であり、いずれの回数も決して多いものとはいえないばかりか、そのほとんどが、他社の複数の商品とともに掲載されているものであって、他社の商品と比較して申立人商品を印象付ける方法により、掲載されているというものでもないから、これらの雑誌の掲載によって、申立人商品のみが強く印象付けられるとは認められないし、その他、宣伝広告についての詳細を具体的及び量的に把握し得る証拠は何ら提出されていない。
また、「会社四季報 2018年1集」(甲8)には、申立人に関し「単独事業」の項に「商品12」の記載はあるものの、その商品の具体的な詳細は明らかではなく、さらに、申立人は、申立人商品が美容院以外のコンビニエンスストア等で市販されている旨主張するが、その詳細は明らかではなく、申立人からは、我が国における引用商標又は「TAYA」の文字の使用開始時期、申立人の業務に係る商品の販売数量及び市場におけるシェアなどの取引実績を把握し得る証拠の提出もない。
その他、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標又は「TAYA」の文字が、申立人の経営する「美容室」を表示するものとして、ある程度知られていることはうかがえるものの、これが、需要者の間に広く認識されるに至っていると認めるに足る事実は見いだせず、また、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標又は「TAYA」の文字が、申立人商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されるに至っていると認めるに足る事実も見いだせない。
(2)申立人は、「申立人の美容師チームである『TAYAアーティスィックチーム』は、1990年、1999年と2度にわたりニューヨーク・インターナショナル・ビューティーショーに日本代表として招へいされており、また、1988年、1992年、1994年、1996年、2000年、2003年、2004年と7度にわたりロンドン・ワールド・ヘアドレッシング・コングレスから日本代表として招へいされた」と主張する。
しかしながら、「ニューヨーク・インターナショナル・ビューティーショー」及び「ロンドン・ワールド・ヘアドレッシング・コングレス」とは、いかなるショーや大会なのかその内容が明らかではなく、それらに招へいされたことをもって、引用商標又は「TAYA」の文字の周知性を推し量ることはできない。
(3)そうすると、申立人が提出した証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標又は「TAYA」の文字が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたということはできない。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、「TAYA」の文字が、申立人の著名な略称として、需要者の間に広く認識されていたということもできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり「TAYA BEAUTY」の文字からなるところ、その構成文字は、同じ大きさ、同じ書体でまとまりよく一体的に表されており、「TAYA」と「BEAUTY」の間に1文字程度のスペースがあるとしても、いずれか一方を強調するような構成態様ではなく、外観上「TAYA」の文字部分のみが独立して着目されるものではない。
そして、本件商標の構成文字全体から生じる「タヤビューティー」の称呼は、格別冗長なものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標の構成中、「BEAUTY」の文字は、「美、美しさ、美人」等の意味を有する親しまれた英語であるとしても、かかる構成においては商品の品質、用途等を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものともいい難いところであるから、むしろ構成全体をもって一体不可分のものとみるのが自然であり、その構成全体としては、特定の意味合いを理解させる語ということはできないものである。
してみると、本件商標は、「タヤビューティー」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、やや斜めに傾いた「TAYA」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成は、同じ書体、同じ大きさで外観上まとまりよく表されているものであり、一般的な英語等の辞書には載録がないものである。
してみると、引用商標は、「タヤ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標の外観の構成は、上記(1)及び(2)のとおり、明らかに相違するものであるから、両者は、外観上相紛れるおそれはないものである。
次に、本件商標から生じる「タヤビューティー」の称呼と、引用商標から生じる「タヤ」の称呼とを比較すると、両者は、「ビューティー」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから、称呼上相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念においては、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、比較できないものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、これらが需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、両商標は、非類似の商標というのが相当である。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品第3類「ヘアケア用化粧品,スキンケア用化粧品,シャンプー」と引用商標の指定商品中の第3類「せっけん類,化粧品」とは、同一又は類似の商品である。
(5)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似のものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は、上記第1のとおり「TAYA BEAUTY」の文字からなり、その構成中に「TAYA」の文字を有するとしても、上記1のとおり、「TAYA」の文字が、申立人の著名な略称として、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
してみれば、本件商標は、その構成中に他人の著名な略称を含む商標ということはできないから、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり、引用商標又は「TAYA」の文字は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたということはできないものであり、さらに、上記2のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であり、また、引用商標とその構成文字を同じくする「TAYA」の文字とも非類似の商標といえ、いずれもその類似性は低いものである。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、需要者において、申立人や引用商標又は「TAYA」の文字を連想、想起するということはできず、よって、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標とはいえない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第8号及び同第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標)



異議決定日 2019-06-28 
出願番号 商願2017-53481(T2017-53481) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
T 1 651・ 23- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
T 1 651・ 271- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小田 昌子 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 小松 里美
中束 としえ
登録日 2017-11-24 
登録番号 商標登録第5999351号(T5999351) 
権利者 ダイ エンタープライゼズ エルエルシー
商標の称呼 タヤビューティー、タヤ 
代理人 吉村 仁 
代理人 門田 尚也 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 中山 健一 
代理人 杉村 憲司 
代理人 西尾 隆弘 

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