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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W29
審判 一部申立て  登録を維持 W29
審判 一部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1353363 
異議申立番号 異議2018-900285 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-28 
確定日 2019-06-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6059991号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6059991号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6059991号商標(以下「本件商標」という。)は、「だし自慢」の文字を標準文字で表してなり、平成29年9月26日に登録出願、第29類「炊き込みごはんのもと,カレー・シチュー又はスープのもと,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,お茶漬けのり,ふりかけ,豆,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」を指定商品として、同30年6月13日に登録査定、同年7月6日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、その指定商品中、第29類「肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,納豆」(以下「申立てに係る商品」という。)について、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第41号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標は、「自慢できる良いだしを使用した商品」又は「自慢できる良いだしとなる商品」の意味合いを認識させる「だし自慢」の文字よりなるものであるから、本件指定商品中、申立てに係る商品のうち、「だしを使用した商品」又は「だしとして使用される商品」との関係においては、商品の品質ないし特徴を表示するにすぎないため、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第1項第6号について
本件商標は、需要者において、上記(1)のとおりの意味合いを誇称した宣伝文句等と認識されるにすぎず、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないため、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、その指定商品中、申立てに係る商品のうち、「だしを使用した商品」又は「だしとして使用される商品」以外の商品に使用された場合には、品質を誤認させるおそれがあるため、商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、上記1のとおり「だし自慢」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「だし」の文字は、「『出し汁』の略」であって、「鰹節・昆布・椎茸などを煮出した汁」(広辞苑第六版)の意味を有し、「自慢」の文字は、「自分や、自分に関係の深いものを、自分でほめ人に誇ること。」(広辞苑第六版)の意味を有するものとして、一般に親しまれた語であることから、これら二語を結合したものと容易に看取される本件商標全体からは「だしが自慢」程の意味合いを認識させる。
イ 「だし自慢」の文字の使用について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる(なお、提出された証拠において、掲載日又は出力日が明らかでないもの、本件商標の登録査定日以降に掲載されたものについては除く。)。
(ア)2006年8月7日付け「AERA」86頁において、「(Go!Go!Junkie:第128回)おでん冷えてます 吉岡秀子」の見出しのもと、「アキバ名物『おでん缶』に、夏バージョンがキターッ!(略)魚介だし自慢の商品特長がアピールできると考えて、・・」との記載がある(甲24)。
(イ)2008年2月13日付け朝日新聞東京朝刊において「(けいざい一話 ひと・組織・思想)におわぬ納豆、関西狙う 滋賀出身ミツカン研究員」の見出しのもと、「『とろ?りたまご入り醤油(しょうゆ)たれ』『関西風だし自慢』と、その後も『におわなっとう』を基礎にした新商品を相次ぎ開発した。」との記載がある(甲6)。また、この記事掲載の商品「関西風だし自慢」についてインターネット上の記事がある(甲7)。
(ウ)2009年8月31日付け朝日新聞大阪夕刊において、「NEW!出たトコ【大阪】」の見出しのもと、「○カツオと昆布、だし自慢」の項に、「大塚食品は、(略)レトルト食品『六三郎のカレーうどん』を発売した。(略)だしは、枕崎産のカツオと羅臼(ラウス)産昆布でとった本格派の味と香り。」との記載がある(甲22)。
(エ)2012年1月19日付け新潟日報社の「情報ボックス」の項において、「だし自慢おにぎりのもと」の見出しのもと、「ミツカンは、ご飯に混ぜ込んで使うだしの効いたおにぎりのもと『だしむすび』を発売した。」との記載がある(甲20)。
(オ)2014年6月18日付け京都新聞において「◎命のだし 和洋中 挑戦 京で第1回全日本・食サミット シェフ、料理発展願い」の見出しのもと、「(略)中国料理の脇屋友詞さんが『だし自慢』と銘打って競演、調理実技が注目を集めた。」との記載がある(甲16)。また、この記事と同じ内容の記事が1件ある(甲17)。
(カ)2017年10月8日付け愛媛新聞朝刊において「ちゃんこ接待 長蛇の列」及び「(略)だし自慢 婦人会提供」の見出しのもと、「昆布やいりこ、かつお節や鶏がらなどを数時間煮込んだだしが自慢で、野菜がふんだんに入った健康にもいい一品だ。」との記載がある(甲12)。また、この記事と同様にだしを使用したうどんやちゃんぽんなどに関する記事及び飲食店に関する記事が8件ある(甲14、甲15、甲18、甲19、甲21、甲23、甲25、甲26)。
ウ 上記イによれば、「だし自慢」の文字は、本件商標の登録査定日前において、たれのついた納豆、だしを使用したおでん、うどんやちゃんぽん等及びだしに関するセミナーなどにおいて、「だしが自慢」又は「自慢できる良いだしを使用した商品」程の意味合いでもって使用されていることは確認できる。
しかしながら、上記イのとおり、本件商標の登録査定日前の証拠は決して多いとはいえず、また、当審において職権をもって調査したが、申立てに係る商品を取り扱う業界において、「だし自慢」の文字が、広く一般に使用されている事実は発見できず、さらに、当該文字が、申立てに係る商品について、特定の意味合いをもち、商品の具体的な品質等を表示するものとして使用されて、需要者に商品の品質表示として認識されていると認めるに足る事実も見いだせない。
なお、申立人の提出に係る「納豆」に関する証拠(甲6、甲7)によれば、「納豆」に包装されている「たれ」には、「だし」が使用されている商品もあって、それに「だし自慢」の文字が使用されていることは認められるとしても、提出されたわずか1種類の商品の使用をもって、「だし自慢」の文字が、商品「納豆」の品質等を表示する語として取引上一般的に使用されていると認めることはできない。
エ 以上のことからすれば、本件商標は、その登録査定時において、申立てに係る商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないと判断するのが相当である。
その他、本件商標が、商品の品質等を表示するとすべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は、上記(1)ウのとおり、本件商標の登録査定時において、「だし自慢」の文字が、広く一般に使用されていたとはいえず、また、申立てに係る商品について、当審において職権をもって調査したが、商品の宣伝広告や企業理念・経営方針等を表示する標章として使用されているという事実も発見できない。
以上のことからすれば、本件商標は、その登録査定時において、自他商品を識別する機能を有するものであり、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないと判断するのが相当である。
その他に、本件商標が、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とすべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記(1)エのとおり、申立てに係る商品の品質等として需要者に認識されないものであるから、本件商標を、異議の申立てに係る商品に使用しても商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないと判断するのが相当である。
その他に、本件商標が、商品の品質について誤認を生じるおそれがあるとすべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、申立てに係る商品に使用しても、商品の品質の誤認を生じるおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は、本件商標と同様の「だし自慢」の文字からなる商標について、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとして、商標法第3条第1項第3号により拒絶された商標登録出願例(甲36、甲37)や他の登録例(甲38?甲41)を根拠に挙げて、本件商標についても、これらの審査例と異なる取扱いをすべき特段の事情はない旨主張している。
しかしながら、商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断は、商標の構成態様や指定商品との関係に基づいて、判断時(査定時又は審決時)の取引の実情などを考察しつつ、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本件商標と上記審査例は指定商品や判断時期も異なることから、請求人が挙げた過去の審査例によって、本認定は左右されないというべきであるから、申立人の主張は採用できない。
(5)結語
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、申立てに係る商品について、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2019-06-21 
出願番号 商願2017-128310(T2017-128310) 
審決分類 T 1 652・ 16- Y (W29)
T 1 652・ 272- Y (W29)
T 1 652・ 13- Y (W29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 椎名 実 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 岩崎 安子
小松 里美
登録日 2018-07-06 
登録番号 商標登録第6059991号(T6059991) 
権利者 イチビキ株式会社
商標の称呼 ダシジマン、ジマン 
代理人 高橋 伸也 

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