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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W182528
管理番号 1353328 
審判番号 取消2017-300561 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-07-31 
確定日 2019-07-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第5679730号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5679730号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5679730号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成25年12月25日に登録出願,第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」,第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「運動用具,スキーワックス,おもちゃ,人形,釣り具,昆虫採集用具」を指定商品として,同26年6月20日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年8月21日にされたものである(以下,当該登録前3年以内を「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を次のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。
本件商標は,その全ての指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれの者によっても使用した事実が存在しないから,その商標登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,審判事件答弁書及び平成30年8月13日付け回答書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用の事実
(1)商標の使用者
本件商標権者は,乙第1号証に示すように,ゼビオ株式会社(本社所在地:福島県郡山市。以下「ゼビオ社」という。)の100%出資の完全子会社であり,ゼビオグループ企業の商標権の管理等のライセンス管理を業務としている企業である。したがって,本件商標権者は,ゼビオグループ企業に本件商標の使用を黙示で許諾し,使用を継続しているものであって,ゼビオグループ企業は,本件商標の通常使用権者である。
(2)使用に係る商標及び商品
ア 乙第2号証ないし乙第4号証
販売商品の一例である商品「ポロシャツ」の写真(乙2)(商品名:カノコビッグエルクポロ,品番:863EK4MR2097)には,本件商標と同一形のシカ科に属する獣類を想起させるような図形を図柄としてシャツの右胸に縫い付け表示し,その図形の胴体部にelkexを筆記体で横書きした一体化した図形からなるものである。文字列が付記されているとはいえ,当該図形のみでも独立して識別標識としての機能を発揮しているため,本件商標とは社会通念上同一と認められる商標の範ちゅうであることは明らかである。
販売商品の一例である商品「ポロシャツ」の写真(乙3)(商品名:ヘンリーL/STEE,品番:863EK4MR5096)には,乙第2号証の図形と同様の図形の輪郭を刺繍して示しているが,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の範ちゅうに入るものである。
販売商品の一例である商品「ポロシャツ」(乙4)(商品名:ヒートボールジャケット,又はファイバーダウンジャケット,品番:860EK4TF5194)には,乙第3号証と同様の刺繍の回りに「AMERICAN NORTHWEST WILDERNESS ・OREGON・」の文字列を円環状に配置して構成した円形ワッペンを袖の右上腕部に貼付したものであり,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用であるとことは明らかである。
イ 乙第5号証ないし乙第8号証
乙第5号証ないし乙第8号証は,商品「ジャケット」(乙4)の納品検査等に関する書類である。
乙第5号証は,「XEBIO納品前品質確認SHEET」であり,商品「ジャケット」(乙4)(品番:860EK4TF5194)の品質確認と検品検針を帝人フロンティア(株)(以下「帝人フロンティア社」という。)に依頼した確認書面である。この書面に表示されている確認実施日が2014年(平成26年)9月26日であり,当該商品は色数9色のパターンで製造されている(乙6)。
乙第7号証は,帝人フロンティア社がゼビオ社へ2014年(平成26年)9月25日付けて発行した商品「ジャケット」(乙4)の「品質検査報告書」である。検査機関は,表示のとおり,一般財団法人カケンテストセンターである。
乙第8号証は,帝人商事(株)がゼビオ社へ2014年(平成26年)9月21日付けて発行した「検品検針報告書」である。
かかる乙第5号証ないし乙第8号証に表示させている日付は,要証期間内のものであるため,商品「ジャケット」(乙4)は,要証期間内に製造されたものであると把握できる。
ウ 乙第9号証ないし乙第10号証
乙第9号証ないし乙第10号証は,商品「ジャケット」(乙4)が本件要証期間内に発行された雑誌に掲載された事実を示したものである。
雑誌「Safari 11 2014 NOVENBER」(乙9)には,商品「ジャケット」(乙4,色違いのものを含む。以下同じ。)をモデルが着用した写真が掲載されている。
当該雑誌の発行日は,2014年(平成26年)9月24日であることから本件商標の使用時期が要証期間内であることが理解できる。
雑誌「Athlet Safari/アスリートサファリ2014.11月増刊号」(乙10)には,商品「ジャケット」(乙4)が掲載されている。
当該雑誌の発行日が,2014年(平成26年)10月6日であることから,本件商標の使用時期が要証期間内であることが理解できる。
エ 乙第11号証ないし乙第13号証
乙第11号証ないし乙第13号証は,本件商標を使用した被服類がウェブサイトのAmazon.co.jpで販売されていることの数例を示したものである。画面の右下に当該商品の取扱開始日が表示されている。商品「エルケクス(エルケクス)半袖ボーダーTシャツ863EK5UK4470NVY」(乙11)の取扱開始日は2014年(平成26年)12月17日であり,商品「エルケクス オパール ジップ パーカー 860EK4AK5091DGRN」(乙12)の取扱開始日は2016年(平成28年)5月9日であり,商品「エルケクス 半袖 ボーダーTシャツ 863EK5UK4470MGRY」(乙13)の取扱開始日は同年7月19日であり,いずれも要証期間内である。
オ 乙第14号証ないし乙第15号証
乙第14号証ないし乙第15号証は,本件商標を使用した被服類が現在もウェブサイトで販売されていることを示したものである。乙第14号証は,「XEBIO Online Store」のウェブサイトにおける商品「ポロシャツ 863EK5CD4458ローズ」の写しであり,乙第15号証は,「楽天市場」のウェブサイトにおける商品「エルケクス(ELKEX) ボーダーポロシャツ 863EK5UK4460MGRY(Men’s)」の写しである。
カ 乙第16号証ないし乙第17号証
商品「ポロシャツ」(乙2)の製造元は株式会社マイノリティーで(乙16),同社は,本件商標権者と業務委託契約(乙17)を締結しており,本件商標の通常使用権者である。
2 むすび
以上のとおり,本件商標は,要証期間内に日本国内において,本件商標の通常使用権者により本件審判の請求に係る指定商品中「被服」について使用していることは明らかであるから,商標法第50条第1項の規定に基づいて,その登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審における審尋
1 審尋の要旨
審判長は,被請求人に対し,平成30年7月11日付けで,合議体の暫定的見解を示し,被請求人が提出した証拠によっては,本件審判の請求の登録前3年以内に,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについて登録商標を使用していることを被請求人が証明しているものとはいえない旨の審尋を通知し,期間を指定して,これに対する意見を求めた。
2 被請求人の回答
上記1の審尋に対して,被請求人は,平成30年8月13日付け回答書により,乙第16号証及び乙第17号証を提出するとともに,本件商標の要証期間内における使用時期については,早急に証拠を補充する旨回答があった。
3 上記2の回答に対し,審判長は,被請求人に平成31年2月4日付けで相当の期間を指定して,証拠の補充を促したが,被請求人からは,何ら応答がなかった。

第5 当審の判断
1 被請求人提出の証拠の内容
(1)要証期間後に撮影(平成29年10月13日撮影)された写真(乙2)によれば,商品「ポロシャツ」(以下「使用商品」という。)の左胸部には,別掲2のとおりの商標(以下「使用商標1」という。)が付されている。
(2)要証期間後に撮影(平成29年10月13日撮影)された写真(乙3)によれば,商品「ポロシャツ」の左胸部には,別掲3のとおりの商標(以下「使用商標2」という。)が付されている。
(3)要証期間後に撮影(平成29年10月13日撮影)された写真(乙4)によれば,商品「ジャケット」の左上腕部には,別掲4のとおりの商標(以下「使用商標3」という。)が付されている。
なお,使用商標3は,雑誌(乙9,乙10)に掲載された,商品「ジャケット」にも付されている。
(4)「楽天市場」のウェブサイト(乙15)において,「エルケクス(ELKEX) ボーダーポロシャツ 863EK5UK4460MGRY(Men’s)」の見出しの下,商品「ポロシャツ」の画像が掲載されており,当該商品の左上腕部には,別掲5のとおりの商標(以下「使用商標4」という。)が付されている。
2 判断
(1)本件商標と使用に係る商標との社会通念上の同一性について
ア 本件商標は,別掲1のとおり,大きな角を有する四つ足動物をシルエットで表してなるものである。
イ 使用商標1は,別掲2のとおり,大きな角を有する四つ足動物をシルエットで表した図形と,その図形中に商品の地色(朱色)と同じ色彩による「Elkex」の文字の筆記体を配した構成よりなるものであり,当該図形と文字とは視覚的に明確に分離して看取し得るものである。
そして,使用商標1は,その構成中「Elkex」の文字は,辞書等に掲載が見受けられず,特定の意味を有しない造語と認識されるものであるから,図形と観念的に密接な関連性を有しているとは考え難いし,図形と文字の結合から一連一体となった何かしらの称呼が生じるものともいえない。
そうすると,使用商標1の図形と文字を常に一体不可分なものと認識しなければならないような称呼上及び意味合い上の関連性は見いだせないから,使用商標1の図形が独立して出所識別標識として認識されるものである。
そこで,本件商標と使用商標1の図形を比較すると,両者は同じく大きな角を有する四つ足動物をシルエットで表したものであって,両者は外観において同視される図形からなる商標といえるから,使用商標1は,本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
ウ 使用商標2は,別掲3のとおり,大きな角を有する四つ足動物を白い線で表し,その動物の胴体を横断するように,首の部分の横線,左前足を表す線及び胴体を装飾する線等を有するものである。
そして,使用商標2の構成中,動物を表した図形の胴体部分を装飾する線が「Elkex」の文字が表されたものとして看取される場合があるとしても,それは,首,左前足及び胴体を構成する線と入り組んで描かれているため,動物図形の装飾の一部として看取されるとみるのが相当であるから,使用商標2は一体的に表されているものといえる。
そこで,本件商標と使用商標2を比較すると,本件商標がシルエットで表したものであるのに対し,使用商標2は,白い線図形で表され,上記のとおりその胴体部分に様々な線を配してなるものであるから,本件商標と外観において同視される図形からなる商標とはいえない。
エ 使用商標3は,別掲4のとおり,円形ワッペン状の図形の内側に帯状の円を配し,その中に「AMERICAN NORTHWEST WILDERNESS ・OREGON・」の文字を配するとともに,その中央に使用商標2と同一の図形を配し,当該図形の背景に長短の白の横線及び不規則な細い赤の曲線を配したものであるところ,その構成中の中央に使用商標2と同一の図形が顕著に表されているから,当該図形が強く支配的な印象を与え,独立して出所識別標識として認識されるものである。
しかしながら,使用商標3の構成中,使用商標2と同一の図形は,使用商標2と同じ理由で,本件商標と社会通念上同一の商標といえない。
オ 使用商標4は,別掲5のとおり,使用商標2と同一の図形を黒色の線で表したものであるから,使用商標2と同じ理由で,本件商標と社会通念上同一の商標といえない。
カ なお,被請求人は,使用商標1?3以外の態様の商標を付した商品「シャツ」又は「パーカー」が掲載されたウェブサイト(乙11?14)を提出しているが,これら掲載商品の左胸部分に付されている商標は,画像が不鮮明であることから,本件商標との同一性の判断をすることができない。
(2)使用商品の使用時期について
使用商標1が付された商品「ポロシャツ」(使用商品)の写真は,上記1(1)のとおり,要証期間後の平成29年10月13日に撮影されたものであるから,当該写真をもって,使用商品が要証期間内に存在していたと認めることはできない。
なお,上記第4のとおり,審判長は,審尋により相当の期間を指定して,証拠の補充を促したが,被請求人からは,何ら応答がなかった。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて,本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件審判の取消請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 使用商標1(色彩については原本参照)


3 使用商標2(色彩については原本参照)


4 使用商標3(色彩については原本参照)


5 使用商標4(色彩については原本参照)


審理終結日 2019-05-09 
結審通知日 2019-05-13 
審決日 2019-05-24 
出願番号 商願2013-101187(T2013-101187) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (W182528)
最終処分 成立  
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 早川 文宏
平澤 芳行
登録日 2014-06-20 
登録番号 商標登録第5679730号(T5679730) 
代理人 特許業務法人筒井国際特許事務所 
代理人 水野 博文 

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