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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W30
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W30
管理番号 1353324 
審判番号 不服2017-11434 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-01 
確定日 2019-07-04 
事件の表示 商願2016-41404拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「あおり炒めの焼豚炒飯」の文字を標準文字で表してなり、第30類「焼豚入りの調理済み冷凍炒飯」を指定商品として、平成28年4月11日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性
本願商標は、「あおり炒めの焼豚炒飯」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「焼豚炒飯」の文字部分は、「焼豚入りの炒飯」程の意味合いを容易に認識させるものであり、近年、食品を取り扱う分野において、「あおり炒め」と称する「ご飯を舞いあがらせるように炒める製法でつくられた炒飯」が製造・販売されている実情がある。また、「あおり炒めの炒飯」の作り方も紹介されている。
そうすると、本願商標をその指定商品「焼豚入りの調理済み冷凍炒飯」に使用しても、これに接する需要者等は、該商品について「ご飯を舞いあがらせるように炒める製法により調理された焼豚入りの調理済み冷凍炒飯」程の意味合いを認識するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識しないとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 本願商標の商標法第3条第2項の該当性
本願商標は、使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至ったものとは認められず、商標法第3条第2項には該当しない。

第3 当審における審尋及び請求人の回答
本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成30年8月28日付け審尋で証拠調べの結果を通知し意見を求めるとともに、本願商標に係る商標法第3条第2項の主張を裏付ける証拠として提出された甲1?50に関し、それぞれ、本願商標と同一の構成態様と認められる使用商標がどこに使用されているのか、また、その使用商標が需要者に特に着目されているといえる理由について、さらに、請求人の商品に係るカタログ(甲3及び38)及び販売促進店頭広告プリント(甲4)に関し、発行部数及び頒布先等が不明であるため、明らかにするよう釈明を求めた。
上記審尋(証拠調べ結果を含む。)に対し、請求人からは、何ら回答(意見)がなかった。

第4 当審の判断
1 本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は、上記第1のとおり、「あおり炒めの焼豚炒飯」の文字を標準文字で表してなり、その指定商品を第30類「焼豚入りの調理済み冷凍炒飯」とするものである。
イ 本願商標の構成中「あおり炒め」の文字は、全体として辞書などに載録のある成語とはいえないが、前半の「あおり」の文字は、「風や火の勢いで物を動かす。また、揺り動かす。」などの意味を有する語である「煽る」に通じる語であり、後半の「炒め」の文字は、「食品を少量の油を使って加熱・調理する」を意味する「炒める」の語(いずれも広辞苑第6版)に通じるものであることから、「あおり炒め」の文字は、調理の関係でみれば、「煽って炒めること」程の意味合いを容易に認識させるものである。
そして、「あおり炒め」の文字に関し、食品を取り扱う分野においては、例えば、「冠生園 直火炒め炒飯」の見出しの下、「本格直火あおり炒め 店内で直火調理しています。強火で一気に炒めているので、仕上がりもパラパラになります。」(別掲1(1)ア)、「煽り炒め中華炒飯」の見出しの下、「あおり炒め製法によりパラッとふっくらに仕上がった一品です。」(別掲1(2)ア、「独自の『あおり炒め製法』にてパラッとふっくら仕上げました。大きな鉄鍋で高温短時間に仕上げた本格中華炒飯です。」(別掲1(2)イ)、及び「あおり炒め香ばし炒飯 230g」の見出しの下、「ご飯を舞いあがらせるように炒める製法で、パラッと香ばしく仕上げました。」(別掲2(1))の記載のとおり、「あおり炒め」と称する調理法でつくられた炒飯が製造・販売されている実情がある。
その他にも、食品の調理に関する記載として、「IHクッキングヒーターの場合・・・中華料理でおなじみのフライパンを振りながら炒める『あおり炒め』ができない機種もあります。」(別掲1(1)イ)、「■本調理法 炒める 豚肉と野菜の炒め合わせ(炒合菜(ちゃおほつぁい))・・・火加減 強火で一気にあおり炒めます。」(別掲1(1)ウ)、及び料理のタイトルとして、「お店の味!本格的あおり炒めチャーハン」の記載(別掲2(2))のとおり、炒め方に関する調理法の一として、「あおり炒め」の語が用いられている実情がある。
してみれば、本願商標の指定商品との関係において、「あおり炒め」の語は、その商品の調理法すなわち「風や火の勢いとともに食材を動かして炒める。」程度の意味合いを容易に認識し得るものといえる。
ウ 本願商標の構成中「焼豚炒飯」の文字は、指定商品との関係から「焼豚入り炒飯」程の意味合いを容易に認識させるものである。
エ そうすると、本願商標「あおり炒めの焼豚炒飯」は、「あおり炒め」と「焼豚炒飯」の文字とを状態を表す格助詞「の」を介して一連に表してなるものと認識できるものであるから、全体として、「煽り炒めされた、焼豚入り炒飯」程度の意味合いを容易に認識し得るものである。
オ 以上からすると、本願商標をその指定商品「焼豚入りの調理済み冷凍炒飯」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が「煽り炒めされた、焼豚入り炒飯」程の意味合いを認識するにとどまるから、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認めるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 本願商標の商標法第3条第2項該当性について
請求人は、「本願商標は全国的に使用をされた結果、需要者・取引者が審判請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものであるから、商標登録を受けることができるものであると思料する。」旨主張し、証拠方法として、甲1?50を提出しているので、本願商標が、商標法第3条第2項に該当するに至ったものであるかについて、請求人の提出した証拠及び主張を検討する。
(1)商標法第3条第2項の趣旨
商標法第3条第2項の規定によれば、商標法第3条第1項第3項に該当する商標であっても、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができるところ、ある標章が同項の規定に該当するかは、出願に係る商標と外観において同一とみられる標章が指定商品又は指定役務とされる商品又は役務に使用されたことを前提として、その使用開始時期、使用期間、使用地域、使用態様、当該商品の販売数量又は売上高等、当該商品又はこれに類似した商品又は役務に関する当該標章に類似した他の標章の存否などの事情を総合考慮して判断されるべきである(平成25年1月24日 平成24年(行ケ)第10285号 知的財産高等裁判所第4部判決参照)。
(2)本願商標と使用商標との同一性について
ア 請求人から提出された本願商標の使用の証拠をみるに、甲1、2、36及び37で表示された使用商標のうち、平成19年?同21年までの商品の外装袋の表面及び裏面の画像の表示、及び同22年以降の表面の画像の表示については、本願商標と同一のものとは認められない。よって、当該証拠のうち、本願商標と同一と認められるものは、同22年以降の商品の外装袋の裏面に記載された「あおり炒めの焼豚炒飯」の文字である。
また、甲3、4、8?11、14、16、18、21、25、26、38及び45で表示された使用商標についても、「あおり炒めの焼豚炒飯」の文字であるから、本願商標と同一のものと認められる。
他方、甲5及び39で表示された使用商標は、上記アにおいて、本願商標と同一とは認められないとした商品の外装袋の表面の画像の表示であるから、本願商標と同一のものとは認められない。
さらに、甲12、13、15、17、19、20、22、23、27?29、41、43及び44で表示された使用商標は、例えば「あけぼの 新中華街 あおり炒めの焼豚炒飯 450G」(甲12、13)や、「『マルハニチロ』」及び「あおり炒めの焼豚炒飯」の文字を二段に書したもの(甲27)など、本願商標と他の文字とが一体に表されたものであり、本願商標とはその構成態様が明らかに異なるため、これらは、本願商標と同一のものとは認められない。
イ そうすると、甲1?50で表示された使用商標に関し、本願商標と同一のものと認められる使用商標は、(ア)甲1、2、36及び37のうち、平成22年以降の商品の外装袋の裏面に記載されたもの、及び(イ)甲3、4、8?11、14、16、18、21、25、26、38及び45で表示されたものである。
(3)本願商標の使用実績について
証拠及び請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 請求人は、平成19年に、請求人の業務に係る商品「焼豚入りの調理済み冷凍炒飯」(以下「請求人商品」という。)を発売しており、請求人商品は、「『あおり炒め製法』を用いた本格炒飯」である(甲3)。
イ 請求人商品の製造、販売等について
(ア)請求人の作成した、請求人商品の出荷数量及び出荷金額の表によれば、平成19年?同29年(同29年は1月?5月)の間、請求人商品の年間の出荷数量は約240万パックから1、095万パックの間を推移、出荷金額は約690百万円から3、085百万円の間を推移し、出荷数量及び出荷金額ともにおおよそ毎年増加している。また、同28年2月、同29年1月及び同2月における日毎の累積の出荷数量については、同29年の2月の数量は前年2月の数量より増加している(甲30、42及び46)。
(イ)請求人の作成した、請求人商品の総生産重量の表によれば、請求人商品の総生産重量は、平成27年は約4522.6トン(甲33)、同28年は約4930.8トン(甲49)であり、一般社団法人日本冷凍食品協会が作成した「平成28年(1?12月)日本の冷凍食品生産・消費に関する統計」における「品目別国内生産」のデータによれば、(冷凍)「炒飯」についての総生産重量は、同27年は61、541トンであり、同28年は76、509トンであるところ(甲50)、(冷凍)「炒飯」のカテゴリーにおいて、請求人商品は、生産重量ベースで同27年は約7.3%、同28年は約6.4%のシェアである。
(ウ)「2015年 食品マーケティング便覧No.3」(株式会社富士経済)における「冷凍米飯類(バラタイプ)」の品目の「ブランドシェア」の表によれば、平成25年は、69、250百万円の市場規模において、「あおり炒めの焼豚炒飯」の個別商品における請求人商品の売上高は、第4位の2、400百万円で、3.5%のシェアであり、「2016年 食品マーケティング便覧No.3」(株式会社富士経済)における同「ブランドシェア」の表によれば、同26年は、66、650百万円の市場規模において、「あおり炒めの焼豚炒飯」の個別商品における請求人商品の売上高は、第4位の2、450百万円で、3.7%のシェアである(別掲1(3))。
(エ)株式会社インテージが、量販店1、850店舗を対象として、平成27年9月7日から同29年7月2日までに実施した、小売店で販売された商品の販売実績調査に基づく食品SRI(全国食品小売店パネル調査)、POS(販売時点情報管理)データを基にしたものによれば、請求人商品の、1店舗当たりの週毎の売上金額及び週毎の販売店率(配下率)は、いずれも、冷凍チャーハンのカテゴリーにおいて第3位(同27年9月7日?同28年9月4日)(甲31及び32)又は第4位である(同28年9月5日?同29年7月2日)(甲47及び48)。
(オ)株式会社インテージが平成23年1月から同28年9月まで実施したSCI(全国消費世帯パネル調査)において、全国15歳から69歳の男女5万人の消費者を対象に、継続的に収集している買物データを分析したものによれば、請求人商品は、商品「冷凍チャーハン」のカテゴリーにおいて、過去5年9か月の間、シェア約10?15%の範囲で推移している(甲35)。
(4)請求人による使用の実情について
ア 商品の外装袋
請求人は、平成22年以降の請求人商品の外装袋の裏面において、使用商標を使用している(甲1、2、36及び37)。
イ 商品カタログ
請求人は、請求人商品及び使用商標が掲載された商品カタログを、平成19年?同29年まで発行している(甲3及び38)。
なお、当該カタログの発行部数及び頒布先は不明である。
ウ インターネットにおける商品情報の掲載
請求人は、請求人のホームページ上で、請求人商品の商品情報として、「あおり炒めの焼豚炒飯」の文字を使用している(甲24)。
エ 店頭広告
請求人は、少なくとも、平成19年?同28年の間、使用商標を用いて、抽選により請求人商品を含めた請求人が販売する冷凍食品の詰め合わせが当たるキャンペーンのチラシ、及び、請求人商品の店頭販売に用いる掲示物等の販促物などを作成、掲示した(甲4)。ただし、当該使用については、そのいずれも、その使用時期(ただし、16?19、22?26、30?32、34?35、39?45頁を除く。)、使用方法、発行部数及び頒布先が不明である。
オ 雑誌広告
請求人は、使用商標を用いた請求人商品の広告を、「月刊 低温流通」(株式会社オンリーワンジャーナル社発行の食品業界の業界紙。発行部数は毎月1万部。)において、平成25年?同28年の間、合計21回(甲8)、「酒類食品統計月報」(株式会社日刊経済通信社発行の食品業界の業界紙。発行部数は毎月1万9千部。)において、同26年?同28年の間、合計3回(甲9)、「Ace」(株式会社日本リサーチセンター発行の季刊誌。発行部数は毎号10万部。)において、同25年?同28年の間、合計14回(甲10)、「ダイヤモンド・チェーンストア」(株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア発行。発行部数は毎号1万5千部。)において、同28年に1回(甲11)、それぞれ掲載した。
(5)請求人以外の者による紹介記事等について
ア 新聞、雑誌、インターネットにおける記載
請求人商品について、平成25年8月15日付け日経産業新聞において、「テレビCMの効果で『横浜あんかけラーメン』『あおり炒めの焼豚炒飯』も売上げを伸ばした」(甲14)との記載が、同28年7月15日付け日経MJにおいて、「マルハニチロは07年に発売した『あおり炒めの焼豚炒飯(450グラム入り)が主力。』との記載が(甲16)、同年8月26日付け日経産業新聞において、「『横浜あんかけラーメン』や『あおり炒めの焼豚炒飯』といった主食用が好調だった。」(甲18)との記載がある。
雑誌においては、「ダイヤモンド・チェーンストア」(2016年7月1日号(株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア発行)において、「マルハニチロ」の見出しの下、「『あおり炒めの焼豚炒飯』が好調」、「(甲21)などの記載がある。
インターネットにおいては、請求人商品を紹介する記事が1件あり、請求人商品について、「あおり炒めの焼豚炒飯(やきぶたチャーハン)」との記載がある(甲23)。
イ テレビ番組における紹介
請求人商品は、テレビ番組において、平成24年、同28年及び時期不明の計3回紹介されている(甲25、26及び45)。当該テレビ番組のホームページにおける放送概要の記載には、請求人商品について、「『マルハニチロ』の人気メニューベスト10」の項の「5位 あおり炒めの焼豚炒飯」の文字の記載(甲25)、「☆奥様方に大人気!マルハニチロ食品の冷凍食品ベスト3☆」の項の「第2位 『あおり炒めの焼豚炒飯』」の文字の記載(甲26)、及び「『あおり炒めの焼豚炒飯』は赤坂離宮のオーナーシェフが作るチャーハンの調理手順を完全に表現している。」の記載(甲45)がある。
(6)判断
ア 上記(3)ア及びイの認定事実によれば、請求人は、請求人商品を平成19年から現在まで製造及び販売し、同28年の出荷数量は約1095万パック、出荷金額は約3、085百万円であり、出荷数量及び出荷金額ともに、発売から現在まで、おおよそ毎年増加していること、冷凍炒飯のカテゴリーにおいて、請求人商品は、生産重量ベースで6%?7%程度のシェア(同27年、同28年)であること、「冷凍米飯類(バラタイプ)」の品目において、請求人商品の売上高は、同25年は第4位の2、400百万円程度で3%台のシェア(同25年、同26年)であることが認められ、請求人商品は一定程度の販売量が認められる。
なお、小売店で販売された商品の販売実績調査に基づく全国食品小売店パネル調査、及び販売時点情報管理データは、冷凍炒飯を取り扱う業界における市場調査の結果とはいい得ないものであるから、請求人主張の売上数量や売上金額に対応する具体的なシェアの変動等を示したものとは直ちに認められない。
イ 請求人による本願商標の使用について
上記(4)の認定事実によれば、請求人は、請求人商品の外装袋の裏面における本願商標の使用を平成22年に開始したことが認められ、また、請求人商品の商品カタログ、及び抽選により請求人商品を含めた請求人が販売する冷凍食品の詰め合わせが当たるキャンペーンのチラシ、及び店頭販売に用いる掲示物等の販促物における本願商標の使用を、少なくとも、同19年から現在まで継続して行っていることは認められる。
なお、上記商品カタログ、チラシ及び販促物の発行部数(製作数)及び頒布先(掲示先)は不明である。さらに、上記販促物については、どのように用いたのか、その使用方法は不明であり、また、上記チラシ及び販促物については、使用時期が一部不明である。
また、請求人による雑誌広告の件数は4年間に39件であり、多いとはいえない。
以上からすると、請求人による本願商標の使用については、どの程度の範囲の需要者の目に触れたのか不明である。
ウ 請求人以外の者による紹介記事等について
請求人以外の者による紹介記事等についても、新聞3件、雑誌1件、インターネット記事1件及びテレビ3件と少ないものであり、どの程度の範囲の需要者の目に触れたのか不明である。
さらに、上記の請求人以外の者による紹介記事等は、新聞社、出版社等の第三者によって執筆・編集されたものであり、これらをもって、請求人が当該文字列を使用してきたと直ちにいい得るものでもない。
エ 小括
以上からすると、請求人商品の製造及び販売は、一定程度認められるものの、請求人の提出する証拠によっては、本願商標が、我が国の需要者の間で、請求人の出所表示として広く認識されているとまでは認めることはできない。
よって、本願商標は、請求人商品である「焼豚入りの調理済み冷凍炒飯」に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同条第2項の要件を具備するものではないから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 証拠調べ結果
(1)「あおり炒め」製法に関する情報
ア 「アイワイフーズ株式会社」のウェブサイトにおいて、「冠生園 直火炒め炒飯」の見出しの下、「本格直火あおり炒め 店内で直火調理しています。強火で一気に炒めているので、仕上がりもパラパラになります。」との記載とともに、フライパンを振ってフライパン内の炒飯を空中に飛ばしながら強火で調理する写真が掲載されている。
(http://www.iyfoods.co.jp/dept_1_production_chahan.html)
イ 「Gaspoガスポ 岡山のグルメ&暮らしの情報サイト」のウェブサイトにおいて、「【IHとガスコンロを比較】第2回:加熱の違いが料理にどう影響する?」の項に、「加熱の違いで調理への影響はどうなる?」の見出しの下、「炒める IHクッキングヒーターの場合・・・中華料理でおなじみのフライパンを振りながら炒める『あおり炒め』ができない機種もあります。」との記載がある。
(https://www.gaspo.ne.jp/life/life_detail/index/657.html)
ウ 「熊本県畜産広場」のウェブサイトの「食肉の知識」のページにおいて、「食肉の上手な調理法/肉の調理上の基礎知識」の項に、「■本調理法 炒める 豚肉と野菜の炒め合わせ(炒合菜(ちゃおほつぁい)) 薄切り肉と野菜のソテー」の見出しの下、「2.炒めものの種類とポイント・・・●火加減 強火で一気にあおり炒めます。」との記載がある。
(http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/choriho/kisochisiki/hon_itame.html)

(2)「あおり炒め」製法を用いた冷凍炒飯に関する第三者の製造、販売について
ア 「丸山海産有限会社」のウェブサイトにおいて「冷凍食品」の項に、「煽りいため中華炒飯」の見出しの下、「鮮やかな彩りに、香りと味の良さ、あおり炒め製法によりパラッとふっくらに仕上がった一品です。」との記載がある。
(http://www.maruyamakaisan.jp/publics/index/39)
イ 「ジェフダ【JFDA】ブランドの業務用食品紹介サイト」のウェブサイトにおいて、「JFDAオリジナル商品」の項に、「本格中華炒飯」の見出しの下、「独自の『あおり炒め製法』にてパラッとふっくら仕上げました。大きな鉄鍋で高温短時間に仕上げた本格中華炒飯です。鶏がらスープをベースに香ばしさ漂う炒飯です。 ≪保存(温度帯)≫冷凍」との記載がある。
(http://www.jfda.bz/product/detail.php?uid=591)

(3)請求人の冷凍炒飯「あおり炒めの焼豚炒飯」(以下「請求人商品」という。)の売上高
ア 「2015年 食品マーケティング便覧No.3」(株式会社富士経済、129頁、138頁)において、冷凍米飯類(バラタイプ)の品目におけるブランドシェアについて、2013年は、69、250百万円の市場規模において請求人商品の売上高は第4位の2、400百万円で、3.5%のシェアであり、2014年(見込み)は、67、350百万円の市場規模において請求人商品の売上高は第4位の2、300百万円で、3.4%のシェアである旨記載されている。
イ 「2016年 食品マーケティング便覧No.3」(株式会社富士経済、148頁)において、冷凍米飯類(バラタイプ)の品目におけるブランドシェアについて、2014年は、66、650百万円の市場規模において請求人商品の売上高は第4位の2、450百万円で、3.7%のシェアであり、2015年(見込み)は、68、550百万円の市場規模において請求人商品の売上高は第4位の2、500百万円で、3.6%のシェアである旨記載されている。

別掲2 拒絶理由通知で示した参考情報
(1)「COOP」のウェブサイトにおいて「あおり炒め香ばし炒飯 230g」の見出しのもと「ご飯を舞いあがらせるように炒める製法で、パラッと香ばしく仕上げました。」との掲載。
(http://goods.jccu.coop/lineup/4902220820894.html)
(2)「クックパッド」のウェブサイトにおいて「お店の味!本格的あおり炒めチャーハン」の見出しのもと「お店の味の研究を日々重ねてきて本格炒飯にほぼたどり着きました。」との掲載。
(http://cookpad.com/recipe/1486668)

審理終結日 2019-04-25 
結審通知日 2019-05-07 
審決日 2019-05-21 
出願番号 商願2016-41404(T2016-41404) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (W30)
T 1 8・ 13- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 豊田 純一
庄司 美和
商標の称呼 アオリイタメノヤキブタチャーハン、アオリイタメノチャーシューチャーハン、アオリイタメノ、アオリイタメ 
代理人 山田 武史 
代理人 山内 博明 

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