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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W21
管理番号 1353284 
審判番号 不服2018-6597 
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-14 
確定日 2019-06-24 
事件の表示 商願2017-92568拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「石英バイアル」の文字を標準文字で表してなり,第21類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし,平成29年7月10日に登録出願され,その後,指定商品については,原審における同年9月20日受付の手続補正書をもって,第21類「石英を用いたガラス製薬品用容器」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は,「本願商標は,『石英バイアル』の文字を標準文字により普通に用いられる方法で表示してなるところ,その構成文字に相応して『石英からなるガラス製の小瓶(バイアル)』という程度の意味合いの語として理解,認識されるものである。一方,インターネット情報によれば,本願指定商品『ガラス製薬品用容器』に関連する業界において,ガラス瓶の一種として『バイアル』が存在すること,石英からなるガラスとして『石英ガラス』が実際に存在していることからすると,これに接する取引者・需要者は,『石英ガラス製のバイアル型薬剤用容器』であることを認識するにとどまるものというべきものである。したがって,本願商標は,単に商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当であるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べを実施した結果,別掲に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対し,意見を申し立てる機会を与えるべく,相当の期間を指定して,平成30年11月2日付けで証拠調べの結果を通知したところ,請求人からは,何ら応答がなかった。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
ア 本願商標は,上記1のとおり,「石英バイアル」の文字を標準文字で表してなるものであるところ,その構成中「石英」の文字は,「ケイ酸から成る鉱物の一種。ガラス・陶磁器の材料。」(広辞苑第六版)の意味を有する語であり,また,「バイアル」の文字は,別掲1のとおり,「ガラスの小瓶。特に,薬剤を入れゴム栓と金属キャップで密封したガラス瓶。」の意味を有する語であるから,両語を一連に書した全体からは,「石英(鉱物の一種)のバイアル(ガラスの小瓶)」程の意味合いを生じるものである。
イ 「石英バイアル」の文字は,別掲2のとおり,本件審判請求人によって医薬品の長期保存を目的としたガラス製の商品「石英素材のバイアル」に使用されている。
また,本願指定商品に関連する理化学分野においては,別掲3のとおり,「石英」の文字に商品名を組み合わせた「石英試験管」「石英ビーカー」,「石英フラスコ」及び「石英ボート」「石英時計皿」等の文字が,それぞれ石英ガラス製の容器又は管類について,商品の品質等を表すものとして使用されている実情が認められる。
ウ 本願商標の補正後の指定商品は,「石英を用いたガラス製薬品用容器」であるところ,該商品は,石英ガラス製の商品で,かつ,薬品を入れるために使用される容器であることは明らかである。
エ 上記アないしウによれば,本願商標は,これをその指定商品に使用するときは,取引者,需要者をして,当該商品が「石英ガラス製の薬品用の容器」であること,すなわち当該商品の品質を表示したものと容易に認識,理解させるというのが相当である。
そして,本願商標は,「石英バイアル」の文字を標準文字で表してなるものであるから,普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものである。
オ したがって,本願商標は,商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 「バイアル」の文字が「薬剤を入れるガラス瓶」を意味するものとして,その取引者,需要者に認識されている事実
(1)「大辞泉 第2版」((株)小学館 2012月11月7日発行)の「バイアル【vial】」の見出しのもと,「ガラスの小瓶。特に,薬剤を入れゴム栓と金属キャップで密封したガラス瓶。ゴム部に注射針を刺して中身を吸い出す。」との記載がある。
(2)「現代用語の基礎知識2018」(自由国民社 2018月1月1日発行)の「バイアル【vial】」の見出しのもと,「水薬瓶。」との記載がある。
(3)「看護師のための看護・医学 略語・用語辞典」((株)秀和システム 2009月3月25日発行)の「バイアル」の見出しのもと,「薬液などを入れる容器のこと。容器はゴム製の蓋で密封されている。」との記載がある。
(4)「デジタル大辞泉」の「バイアル(vial)」の見出しのもと,「ガラス製の小瓶。特に,薬剤を入れゴム栓と金属キャップで密閉したガラス瓶。ゴム部に注射針を刺して中身を吸い出す。」との記載がある。
https://kotobank.jp/word/バイアル

2 本件審判請求人が「石英バイアル」の文字を,医薬品の長期保存等を目的としたガラス製の商品「石英素材のバイアル」に使用している事実。
ネクサス株式会社(本件審判請求人)のウェブサイトにおいて,「石英バイアル・石英試験管」の見出しの下,「世界で初めて石英素材のバイアルの量産化・商品化に成功し・・・ました。従来のホウケイ酸・ソーダライムガラスはアルカリ成分やアルミ成分が含まれているため,医薬品の種類によっては反応する場合が有りましたが,石英バイアルはSiO2以外の成分が含まれておらず,その心配が全く無くなりました。従来のバイアルに比べて,格段に長期保存に向くガラス製品と言うことが出来ます。」との記載,及び「石英バイアル」の項に「SiO2 99.99%の電気溶融石英製」の記載とともに商品の写真が掲載されている。
https://www.kyoto-nexus.com/sekiei/

3 「石英」の文字に「商品名」を組み合わせた文字が,石英ガラス製の商品について,商品の品質等を表すものとして使用されている事実
(1)「AS ONE(アズワン)」のウェブサイトにおいて,「アズワン 石英試験管」の見出しの下,「共通仕様」として「・商品区分:試験管・チューブ/・材質:石英ガラス」との記載とともに商品「試験管」の写真が掲載されている。
https://axel.as-1.co.jp/asone/g/NC3-6715-01/
(2)「石英加工.com」のウェブサイトにおいて,「石英加工製品-理化学分野」の見出し及び「石英加工.comは,理化学分野の石英容器や石英管類,石英冷却器・ヒーター類,石英板,石英板,石英ランプ等の石英加工及び製作を受けたまります。」との説明の下,「石英ビーカー」の項に商品「ビーカー」の写真及び当該商品の容量を表した図表,「石英フラスコ」の項に商品「フラスコ」の容量を表した図表,「石英ボート」の項に商品「ボート」(細長い楕円形状の底の浅い皿)の写真及び当該商品の容量を表した図表,「石英時計皿」の項に商品「時計皿」の写真及びサイズを表した図表,「石英試験管」の項に商品「試験管」のサイズを表した図表,並びに,「石英ルツボ」の項に商品「ルツボ」の写真及び容量を表した図表が掲載されている。
http://sekiei-kakou.com/product/rika_you_beaker.html (各商品は,当該ページに示されているリンク先を参照)
(3)「通販のテックジャム」のウェブサイトにおいて,「石英試験管販売価格一覧」の見出しの下,「石英試験管とは? 石英試験管では,試験管の中から石英ガラス製の商品を紹介しております。」との記載とともに,商品「試験管」一覧が写真とともに掲載されている。
https://www.tech-jam.com/container/3145/index.phtml
(4)「富士理化学工業株式会社」のウェブサイトにおいて,「取り扱い商品一覧」の見出しの下,「石英ビーカー(透明石英)」の項に,「石英はガラスより耐熱性(約1100℃)があり,科学的安定性および光透過性物性に優れており半導体や光学材料として多く使われています。」との記載とともに商品「石英ビーカー(透明石英)」の容量,外形×高さ及び単価の一覧表が記載されている。
http://www.fujirika.co.jp/fujist_gbika.html
(5)「関谷理化株式会社」のウェブサイトにおいて,「商品コード:F12-004-040 12000-04 石英ビーカー 300ML」及び「関連カテゴリ:ガラス>器具>石英ビーカー」の見出しの下,「石英ガラス製なので化学的な安定度が高く,耐熱温度も1200℃と非常に高いビーカーです。」及び「詳細」の項の一覧表に「材質:石英」との記載とともに,商品「ビーカー」の写真が掲載されている。
http://www.sekiyarika.com/bis/products/detail2455.html
(6)「関谷理化株式会社」のウェブサイトにおいて,「商品コード:F12-007-060 12180-06 石英三角フラスコ 1000ML」及び「関連カテゴリ:ガラス>器具>三角フラスコ」の見出しの下,「化学的な安定度が高く,耐熱温度も1200℃と非常に高い三角フラスコです。」及び「詳細」の項の一覧表に「材質:石英」との記載とともに,商品「三角フラスコ」の写真が掲載されている。
http://www.sekiyarika.com/bis/products/detail2488.html
(7)「関谷理化株式会社」のウェブサイトにおいて,「商品コード:F12-022-060 12300-06 石英丸フラスコ 1000ML」及び「関連カテゴリ:ガラス>器具>丸底フラスコ」の見出しの下,「石英ガラス製の丸底フラスコです。形状に加えて材質も加熱に強いので長時間の高温にも耐えられます。」との記載及び「詳細」の項の一覧表に「材質:石英」との記載とともに,商品「丸底フラスコ」の写真が掲載されている。
http://www.sekiyarika.com/bis/products/detail2722.html
(8)「関谷理化株式会社」のウェブサイトにおいて,「商品コード:F12-152-040 15000-04 石英蒸発皿 200Φ」及び「関連カテゴリ:ガラス>器具>ディッシュ」の見出しの下,「透明石英製の蒸発皿です。ガラス製よりも更に高温での使用が可能です」との記載及び詳細の項の一覧表に「材質:石英」との記載とともに,商品「蒸発皿」の写真が掲載されている。
http://www.sekiyarika.com/bis/products/detail3918.html

審理終結日 2019-04-19 
結審通知日 2019-04-26 
審決日 2019-05-09 
出願番号 商願2017-92568(T2017-92568) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W21)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 早川 文宏
平澤 芳行
商標の称呼 セキエーバイアル、バイアル 
代理人 本田 史樹 

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