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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1352483 
異議申立番号 異議2018-900272 
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-21 
確定日 2019-06-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6057228号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6057228号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6057228号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、平成29年10月26日に登録出願、第25類「メリヤス下着,メリヤス靴下,ガードル,ベルト,サスペンダー,ポケットスクエア,ショール,ネクタイ,帽子,キャミソール,被服,靴」を指定商品として、同30年6月15日に登録査定、同年6月29日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第832340号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、2004年(平成16年)6月25日に国際商標登録出願、第25類「Clothing, footwear, headgear.」を含む、第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第24類及び第35類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2005年(平成17年)9月22日に日本国において設定登録されたものであり、現在、有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。なお、甲号証において、枝番号を有するもので、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略し、甲各号証の表記にあたっては、「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
(1)申立人の周知・著名性について
申立人は、ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)により1975年にイタリアのミラノに設立されたファッションハウス(最新の高級服のメーカー)であり、アルマーニブランドは、ファッション業界で最も権威のあるブランドと紹介され、メインブランド「ジョルジオ アルマーニ」の他、複数の姉妹ブランド、化粧品、リゾート、高級レストランなど多彩な事業を展開して「アルマーニ」と総称される(甲3、甲4)。
(2)申立人の創立者ジョルジオ・アルマーニについて
ジョルジオ・アルマーニは、「ミラノの3G」と呼ばれ、その一翼を担い、世界中で知られており、アメリカの「Time(タイム)」誌の表紙を、1940年代のクリスチャン・ディオール以来約40年ぶりにファッションデザイナーとして1982年に飾った。
また、数々の受賞歴があり、20世紀で最も成功したデザイナーで著名な番付「フォーブズ(Forbs)」の世界長者番付にもランクインされ、ファッション業界で知名度の高い雑誌「VOGUE」の記事においても同様に記載されている(甲5、甲6)。
(3)申立人の日本での事業について
申立人は、1987年に、Giorgio Armani Japan株式会社を設立したのが日本でのビジネスの始まりである。日本進出から30年を経過した現在でも、日本で認知される高級ブランドの1つとして、東京の銀座や青山のみならず日本各地で出店を続け、現在ではGiorgio Armani及びEmporio Armaniのブランドとして日本国内で64店舗を擁しており、申立人のブランドの日本国内での知名度が高いことがうかがえる。
(4)引用商標の周知・著名性について
申立人とそのブランドであるGiorgio Armaniは、40年以上も世界各国で広く事業活動を行っている。引用商標も1985年から前記のあらゆるArmaniブランドの展開に際して使用されている。したがって、その保有するブランド(商標)と引用商標は、日本国内のみならず、世界各国で周知・著名なものとして認知されている。
ア 売上高
2014年?2017年の申立人のアニュアルレポートによれば、2012年が29億2,840万ユーロ(1ユーロ130円で換算して3,806億9,200万円)、日本円で3,806億円以上を記録しており、2017年の販売額は39億2,660万ユーロ(1ユーロ130円で換算して5,104億5,800万円)、日本円で5,104億円以上を記録している(甲8)。この金額を見ても、申立人ブランドの世界での市場規模は大きく、ブランドの持つ価値が高く、申立人の商標ならびにブランドが需要者に周知されていることが分かる。
イ 日本での売上高
2012年?2016年の日本における引用商標を付した被服類、商品の売上高は、いずれの年も64億5千万円から81億円(1ユーロ126円で換算)以上の売上を達成している。
ウ 世界での売上高
2012年?2016年の日本(原文ママ)における引用商標を付した被服類、商品の売上高は、いずれの年も391億円から444億円(1ユーロ126円で換算)以上の売上を達成している。
エ 広告宣伝費
申立人が日本を含む世界各国で費やしたGiorgio Armani(ジョルジオアルマーニ)ブランドの引用商標を付した被服及び靴に関する2012年?2017年の広告宣伝費は、いずれの年も、最低23億円以上、最高時は29億円以上の広告宣伝費をかけており、申立人がその所有するブランドの育成と価値の向上に力を入れている。
オ 商品の販売個数
申立人は引用商標が使用されるジョルジオ アルマーニというブランドの他にも“エンポリオアルマーニ(Emporio Armani)”、“アルマーニ コレッツィオーニ(Armani Collezioni)”、“アルマーニ ジーンズ(Armani Jeans”、“アルマーニ エクスチェンジ(Armani Exchange)”、“アルマーニ カーサ(Armani/Casa)”、“アルマーニ ドルチ(Armani/Dolei)”、などの個別ブランドを所有し、被服、鞄や小物などの革製品、宝飾品、靴など、アルマーニに関わるその全体で毎年6000万個程度の商品を販売している。
日本においては、2014年には11万999個、2015年には9万6524個、2016年には4万6178個、2017年には8万6567個の商品を販売している。
カ 引用商標を広告・宣伝を目的に使用された例
申立人の日本向けのインターネットホームページの写しによれば、引用商標が複数のページに表示され(甲9)、申立人のビジネスと引用商標とが密接に関わっており、引用商標が国内外の消費者の目に触れる機会が多いことが分かる。
キ インド・ブラジルでの雑誌等への掲載事例
申立人は、アメリカ国内(審決註:インド・ブラジルの誤りと認める。)で、雑誌等へ引用商標が付された商品の広告掲載を多数行っている(甲10)。
ク 世界各国での引用商標の商標登録例
申立人は、世界110ヶ国の国別の商標登録のほか、60ヶ国を超える指定国を指定した、マドリッド協定議定書に基づく国際登録商標を所有し、本引用商標の世界的な法的保護を確保の上、使用している(甲11?甲14)。
(5)商標法第4条第1項第11号の理由
ア 外観
本件商標は、これを看取した需要者をして容易に、その上部の図形は円状にアルファベット文字が組み合わさってなるモノグラムからなると認識され、下段の文字部分から類推して、語頭のJとPであろうと推察できる。
一方、引用商標も円状にアルファベット2文字GとAが組み合わさってなるモノグラムである。
本件商標のモノグラムによって構成された図形部分と、引用商標とはともに、円と、その内部を四分割するような縦線と横線よるなる点において共通している。特に、横線においては、左側半分の文字の円中央の横線が、円の中心よりやや下方に配され、右半分の文字の横線は円の中心よりやや上方に配されている。かかる横線の配置の位置は引用商標が2文字をバランス良く円に配置するための重要な特徴であり、これがそのまま本件商標に実現されている。
両商標の外観は極めて近似した外形からなり、極めて似通っているとする印象を生じさせるため、外観が類似している。
イ 称呼
両商標ともロゴデザインの部分だけを対比する場合、本件商標は「ジーエー」、「ジェイピー」又は「ジェイエイ」なる称呼を想起させる可能性がある。
本件商標は引用商標と外観が非常に近似した外観類似商標であるから、外観が称呼の特定に大きく寄与する傾向を考えると、ジーエーなる称呼がなされる可能性は極めて高い。
そうすると、本件商標と引用商標は称呼上「ジーエー」で同一であり、類似する。
ウ 観念
引用商標(原文ママ)は、ロゴの部分も文字の部分も特定の観念を生じさせない。一方、引用商標は周知・著名であり、ジョルジオアルマーニは略して「GA」と表記され多く使用されていたのであるから、単なるアルファベット2文字の組み合わせという意味合いだけでなく、ファッション業界の商品である被服、鞄、アクセサリー、靴などとの関係ではジョルジオアルマーニ氏なるデザイナー及び彼が関わる各ブランドを想起させる。
エ まとめ
本件商標は引用商標とは類似するというべきであり本件商標と引用商標とはその指定商品が同一又は類似する。
よって、本件商標は、先願の類似商標と同一又は類似する商標であって、同一又は類似する指定商品にかかる出願であり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録された商標である。
(6)商標法第4条第1項第15号の理由
本件商標と引用商標とが類似するとは言い得ないとした場合であっても、引用商標が申立人の商標として日本国内において周知・著名であることからすると、本件商標がその指定商品について使用されたときには、需要者・取引者をして、申立人の提供する商品であるかの如く、又は申立人と経済的・組織的に何らかの関連を有するものの提供に係る商品であるか如く、その出所について需要者をして誤認混同を招くことは明らかである。
本件商標は国際分類第14類に属する商品(審決註:第25類の商品の誤りと認める。)を対象に商標登録されている。引用商標も本件商標の指定商品と同一又は類似の商品を指定商品としている。引用商標が国際分類第25類に属する被服の分野で特に周知・著名な商標であっても、それ以外のファッションに関連する商品である鞄や時計、サングラスなどの商品との関係でもその周知・著名性は発揮され、商品等の出所の混同のおそれが生じることとなる。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではないとした場合であっても、本願商標は商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであり、その登録は取り消されるべきものである。
(7)商標法第4条第1項第19号の理由
引用商標は、申立人の周知・著名な商標として世界各国で認識されることからすると、これと類似する本件商標を指定商品に使用する場合には、ファッション業界において周知・著名な引用商標に化体した知名度にフリーライドして、不正の利益を得る目的のもと使用することになり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の規定に違反して登録されたものである。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張(各項目毎に括弧内に摘示する。なお、枝番号のあるものは、特に断らない限り、枝番号を含む。)によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)により1975年にイタリアのミラノに設立されたファッションハウス(最新の高級服のメーカー)であり、アルマーニ ブランドは、ファッション業界で最も権威のあるブランドと紹介され、メインブランド「ジョルジオ アルマーニ」の他、複数の姉妹ブランド、化粧品、リゾート、高級レストランなど多彩な事業を展開して「アルマーニ」と総称される(甲3、甲4)。
(イ)申立人は、1987年に、Giorgio Armani Japan株式会社を設立し、日本進出から30年を経過した現在でも、日本で認知される高級ブランドの1つとして、東京の銀座や青山のみならず日本各地で出店を続け、現在ではGiorgio Armani及びEmporio Armaniのブランドとして日本国内で64店舗を有している(申立人の主張)。
(ウ)2014年?2017年の申立人のアニュアルレポートによれば、全世界での「アルマーニ(Armani)ブランドの商品の販売額は(単位はユーロ、また()内は日本円に換算した金額。)、2012年が29億2,840万(3,806億円)であり、2017年が39億2,660万(5,104億円)を記録している(甲8)。
(エ)2012年?2016年の日本及び世界における引用商標を付した被服類、商品の売上高の一覧表によれば、2012年?2016年の日本における引用商標を付した被服類、商品の売上高の総計だけでいずれの年も64億5千万円から81億円以上の売上を達成している。また、2012年?2016年の世界における引用商標を付した被服類、商品の売上高の総計だけでいずれの年も391億円から444億円以上の売上を達成している(申立人の主張)。
(オ)申立人が日本を含む世界各国で費やしたGiorgioArmani(ジョルジオアルマーニ)ブランドの引用商標を付した被服及び靴に関する2012年?2017年の広告宣伝費は、いずれの年も、最低23億円以上、最高時は29億円以上をかけており、また、申立人は、被服、鞄や小物などの革製品、宝飾品、靴などの商品に係る、アルマーニブランド全体で毎年6000万個程度の商品を販売しており、日本においては、2014年が11万999個、2015年が9万6524個、2016年が4万6178個、2017年が8万6567個の商品を販売している(申立人の主張)。
(カ)引用商標を付した、カフリンクス、キーホルダー、ベルト、財布、グローブ、ストール、ブランケット、バックが、広告・宣伝を目的に申立人の日本向けホームページに掲載されている(甲9)。
(キ)申立人はインド・ブラジル国内で、雑誌等へ引用商標が付された商品の広告掲載を行っている。また、申立人は世界110か国の国別の商標登録のほか、60か国を超える指定国においてマドリッド協定議定書に基づく国際登録商標を所有している(甲11)。
イ 上記アによれば、ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)は、本件出願時において、世界的に著名なデザイナーとして評価され、事業家としても、世界的な名声を博し、「GIORGIO ARMANI」、「ジョルジオ アルマーニ」の名前あるいは姉妹ブランドやその略称である「ARMANI」、「アルマーニ」の標章(以下、これらを総称して「ARMANI標章」という。)は、本件商標の登録査定時はもとより、本件出願時においても、申立人の業務にかかる商品(被服、下着、靴、鞄、ベルト、革製小物など)の出所表示として、我が国または外国の一般の取引者、需要者の間に、ある程度認識されていたものと認められる。
しかしながら、本件において問題とされているのは、引用商標の周知著名性であり、引用商標とは同一でないARMANI標章が周知著名であることが、直ちに引用商標が周知著名であることに結びつくものではなく、申立人及びジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)の業務に係る商品を表示するものとして周知であった旨主張するARMANI標章の著名性を論じることは、当を得ないものである。
また、申立人は引用商標の周知著名性の証拠として、引用商標を付した商品の日本及び世界の売上高の一覧表を作成し、上記(ウ)のとおりであると主張しているが、上記主張に基づく一覧表は、作成日付及び作成経緯も明らかではなく、また、引用商標の具体的な使用態様を示す証拠もないから、当該一覧表によっては、引用商標が申立人の商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至ったことを裏付けることはできない。
そして、申立人は広告宣伝費の一覧表を作成し、販売数量が、上記(エ)のとおりあると主張しているが、広告宣伝費の一覧表については、売上高の一覧票と同様に、作成に際し依拠した原資料も明らかではなく、記載内容を裏付けるに足りる資料も提出されていないから、その信用性は低いといわざるを得ず、販売数量については、ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)ブランドに関するものであって、引用商標を付した商品の我が国及び外国における販売数量などの取引の具体的な実績を把握し得る証拠は提出されていない。
その他、引用商標が表示されたウェブページ(甲9)から、カフリンクス、キーホルダー、ベルト、財布、グローブ、ストール、ブランケット、バックの広告・販売が行われていることは推認できるものの、本件商標の登録出願の日前(出願後も)における、わが国及び外国での引用商標を使用した商品の市場シェアなどの販売実績、新聞・雑誌などの掲載事実や申立人ウェブサイトへのアクセス状況などの広告宣伝の実績に係る証左はいずれも見いだせない。
さらに、甲10に示された画像が外国(インド・ブラジル)における雑誌に掲載された広告の例であると推認できるとしても、この画像が掲載された雑誌等の発行部数や普及度(具体的にどの程度の規模、期間、範囲において頒布されたものか)は一切不明であるし、そもそもこの雑誌等が我が国において入手できるものかも明らかでない。かつ、この掲載をもって積極的に宣伝広告された事実も見当たらない。
そして、引用商標と類似する図形が世界各国で登録されていること(甲11)は認められるが、各国で商標登録されていることをもって直ちにその商標が需要者間に広く認識されているものとはいえないことはいうまでもない。
以上のとおり、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び外国において、取引者、需要者に広く認識されているものとは認めることができない。
その他、引用商標が、我が国及び外国において、取引者、需要者間に広く認識されていると認めるに足る証拠はない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、円の上下と左上及び右下の弧の先端を一部切り取り、中央に二本の縦直線を配し、左の縦直線は、左下の円弧に接続し、該円弧の先端は、中央に向かって縦直線にわずかな隙間を空けて横直線が配され、右の縦直線は、右上の円弧に接続し、該円弧の先端は縦直線に接続して、横直線が配されているものであり、その図形部分(以下、「本件図形」という。)の直下に大きく「JPADVAN」の欧文字を横書きしてなるものである。
そして、本件図形と文字部分とは、上下に間隔を空けて配置されているため、視覚上、一見して分離して看取されるばかりでなく、当該図形部分については、特定の文字を認識させるとはいい難いことから、特定の称呼及び観念を生じるとはいい難く、また、「JPADVAN」の文字部分との間に称呼及び観念上のつながりがあるとはいえないことから、両部分は、それぞれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではない。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、本件図形と文字部分のそれぞれを出所識別標識としての機能を有する要部として認識、理解するというのが相当であるから、本件図形を要部として抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することは許されるというべきである。
そこで、本件図形についてみてみると、上記のとおり、円の上下と左上及び右下の弧の先端を一部切り取り、中央に二本の縦直線を配し、左の縦直線は、左下の円弧に接続し、該円弧の先端は、中央に向かって縦直線にわずかな隙間を空けて横直線が配されている。また、右の縦直線は、右上の円弧に接続し、該円弧の先端は縦直線に接続して、横直線が配されているものであり、一見すると左右が点対称のように視認される。
そうすると、本件図形は、上記の特徴的な構成による組み合わせがバランス良く結合しており、その構成全体がまとまりのある一体のものとして、需要者に強く印象づけられるものであって、円図形をモチーフとした特異性のある図形として認識されるとみるのが相当であり、これより特定の称呼及び観念は生じないものと認められる。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、円の上部左側及び下部右側の弧を一部切り取り、左の円弧の下部先端に接続し、中央に向かって縦直線を配し、その先端に接続し、左に向かって先端部分が斜めに切り取られた横直線を配されている。また、左の円弧の上部先端に接続し、中央に向かって縦直線を配し、該円弧の中央部分から、先端部分が斜めに切り取られた横直線を配し、縦直線と横直線が中央付近で交差しているものである。
そうすると、引用商標は、上記の特徴的な構成による組み合わせがバランス良く結合しており、その構成全体がまとまりのある一体のものとして、需要者に強く印象づけられるものであって、円図形をモチーフとした特異性のある図形として認識されるとみるのが相当であり、これより特定の称呼及び観念は生じないものと認められる。
ウ 本件図形と引用商標との類似性
本件図形と引用商標とを比較するに、本件図形は、前記アのとおり、円図形をモチーフとして、左右の図形が組み合わさり、かつ、点対称を思わせる構成として看取されるのに対し、引用商標は、円図形をモチーフとして、上下の図形が組み合わさった一体的な構成として看取されるものであるから、両者は、商標全体としての構成態様において明らかに相違するものであり、かつ、構成全体としてそれぞれから受ける印象が大きく異なり、両商標を対比観察した場合はもとより、時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上、十分に区別し得るものであり、互いに紛れるおそれはないというべきである。
したがって、本件図形と引用商標とは、外観上類似する商標とはいえない。
また、両者の称呼及び観念については、前記のとおり構成全体をもって、それぞれ特徴を備えた図形を表したものと認識されるものであるとしても、それが具体的な事物を表したものではないから、特定の称呼及び観念は生じない。
したがって、本件図形と引用商標とは、称呼及び観念において比較することはできないものである。
以上によれば、本件図形と引用商標は、外観において相違し、かつ、称呼及び観念においても類似するものではないから、両商標を全体的に考察すれば、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
そのほか、本件商標と引用商標とが類似するというべき事情も見出せない。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
上記(1)イのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日において、我が国一般の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないことに加え、上記(2)ウのとおり、本件商標と引用商標とは外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標であり、全体として異なる視覚的印象や記憶を与え、看者に全く別異のものとして認識されるものといえるものであって、類似性の程度は高いとはいえないものである。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合に、これに接する取引者、需要者は申立人を連想、想起するようなことはないというべきであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、その取引者、需要者をして、該商品が申立人又は同人と業務上何らかの関係を有する者の取扱業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認めることはできない。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そうすると、上記(1)イのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間で、申立人の業務を表すものとして、広く認識されていたとは認められないものであり、かつ、上記(2)ウのとおり、本件商標とは非類似の商標であって、類似するとはいえないものであるから、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
そして、請求人の提出に係る証拠によれば、本件商標権者による本件商標の使用が引用商標に蓄積された名声や信用にフリーライドし、それらを毀損させるものというべき事実は見出し難いばかりでなく、他に、本件商標は不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的をもって使用をするものであることを具体的に示す証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)申立人の主張について
申立人は、本件図形が「J」と「P」のモノグラムであり、引用商標が「G」と「A」のモノグラムであるとして、「J」と「G」が構成を共通にし、「P」が「A」に近似している印象を受けると主張する。
しかしながら、上記(2)ウのとおり、両者は、円図形をモチーフとした特異性のある図形として認識されるものであって、特定の欧文字のモノグラムを認識するとはいえないものであり、両商標が使用される指定商品における需要者の通常有する注意力を基準として考慮すれば、本件商標の図形部分と引用商標とは異なるものとして認識され、誤認、混同することは考え難いというべきである。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものとはいえず、他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)

別掲2(引用商標)

引用商標の指定商品及び指定役務
第3類:Bleaching preparations and other substances for laundry use; cleaning, polishing, scouring and abrasive preparations; soaps; perfumery, essential oils, cosmetics, hair lotions; dentifrices.
第9類:Nautical, surveying, photographic, cinematographic, optical, weighing, measuring, life-saving and teaching apparatus and instruments; luminous or mechanical signals; electric monitoring apparatus; apparatus and instruments for conducting, distributing, converting, storing, regulating or controlling electricity; apparatus for recording, transmitting and reproducing sound or images; magnetic recording media, sound recording disks; automatic vending machines and mechanisms for coin-operated apparatus; cash registers, calculating machines, data processing and computer equipment; fire extinguishers.
第14類:Precious metals and their alloys and goods made of or coated with these materials not included in other classes; jewellery, bijouterie, precious stones; horological and chronometric instruments.
第16類:Paper; boxes of paper; table cloths of paper; table napkins of paper; cardboard and cardboard articles; printed matter; bookbinding material; photographs; stationery; adhesives for stationery or household purposes; artists' supplies; paintbrushes; typewriters and office requisites (except furniture); instructional or teaching material (except apparatus); plastic packaging materials (not included in other classes); printers' type; printing blocks.
第18類:Leather and imitation leather, goods made of these materials not included in other classes; animal skins, hides; trunks and suitcases; umbrellas, parasols and walking sticks; whips and saddlery.
第24類:Fabrics; face towels of textile, sheets [textile], table napkins of textile, table linen [textile] and tapestry [wall hangings]; bed and table covers.
第25類:Clothing, footwear, headgear.
第35類:Advertising; business management; commercial administration; office functions; administrative management of retail stores.

異議決定日 2019-05-28 
出願番号 商願2017-141632(T2017-141632) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 261- Y (W25)
T 1 651・ 222- Y (W25)
最終処分 維持 
前審関与審査官 豊田 純一 
特許庁審判長 小出 浩子
特許庁審判官 木村 一弘
瀬戸 俊晶
登録日 2018-06-29 
登録番号 商標登録第6057228号(T6057228) 
権利者 ドングァン ジュンウェイ レザー カンパニー リミテッド
商標の称呼 ジェイピイアドバン、ジェイパドバン、パドバン、アドバン、ジェイピイ、ジェイパッドバン、パッドバン、バン、ブイエイエヌ 
代理人 新保 斉 
代理人 特許業務法人筒井国際特許事務所 
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