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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W1825
管理番号 1351585 
審判番号 無効2017-890077 
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-11-27 
確定日 2019-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5942922号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5942922号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5942922号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成29年1月17日に登録出願,第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,靴類」を指定商品として,同年3月27日に登録査定,同年4月28日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べた。
(1)引用商標
本件商標は,請求人の所有する以下の登録商標(以下,引用商標1?8をまとめていうときは「引用商標」といい,引用商標1,2,5,6及び8をまとめていうときは「11号引用商標」という。)と全く類似であるから,商標法4条1項11号により,その登録を無効にすべきものである。
ア 登録第4384284号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
登録出願日 平成9年8月5日
設定登録日 平成12年5月19日
指定商品 第18類「皮革,学生かばん,その他のかばん類,財布(貴金属製のものを除く。),キーケース,その他の袋物,携帯用化粧道具入れ,乗馬用具,愛玩動物用被服類」
イ 登録第5281002号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 別掲3のとおり
登録出願日 平成20年2月15日
設定登録日 平成21年11月20日
指定商品 第18類「かばん類,袋物,傘」並びに第9類,第16類,第20類ないし第22類,第30類及び第34類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
ウ 登録第5547768号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 別掲4のとおり
登録出願日 平成24年5月17日
設定登録日 平成25年1月11日
指定商品 第16類,第18類及び第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
エ 登録第5472523号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 別掲5のとおり
登録出願日 平成23年8月23日
設定登録日 平成24年2月24日
指定商品 第18類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
オ 登録第4398507号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
登録出願日 平成9年8月5日
設定登録日 平成12年7月7日
指定商品 第25類「フラール,その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
カ 登録第4661137号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成 別掲6のとおり
登録出願日 平成13年8月30日
設定登録日 平成15年4月11日
指定商品 第25類「履物」
キ 登録第5171797号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成 別掲7のとおり
登録出願日 平成20年3月14日
設定登録日 平成20年10月10日
指定商品 第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
ク 登録第5171792号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成 別掲8のとおり
登録出願日 平成20年3月14日
設定登録日 平成20年10月10日
指定商品 第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
(2)本件商標の登録審査について
被請求人は,平成29年1月17日に本件商標(目と口)を出願すると同時に,件外商願2017-7360号(目と口と輪)を商標出願している。
件外商願2017-7360号(目と口と輪)の審査過程を検討すると,拒絶理由(商標法4条1項11号)として,(a)登録第5438318号商標,(b)登録第4427475号商標,(c)登録第2353908号が引用商標として通知され,被請求人はそれに反論せず拒絶査定となっている。
しかし,本件商標(目と口)については,請求人が所有する引用商標2,5及び6と全く類似するものである。
そのことについて登録審査過程では一切照合されることがなく,検討もされていない。そのため,審査は不完全であり,ずさんであるといわざるを得ない。
件外商願2017-7360(目と口と輪)の審査における引用商標(目と口と輪)と本件商標(目と口)の引用商標を比較すると輪の部分が有るか無いだけの違いにすぎない。
すなわち,これらは「輪」があるか無いかの違いで「目」と「口」はそれぞれ同一の図形である。そのため,本件商標も同様に類似の商標と判断されるべきである。
以上の理由から,本件商標は,商標法4条1項11号に該当する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は,請求人の負担とする,との審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べた。
1 本件商標の商標法4条1項11号該当性について
(1)本件商標と引用商標
ア 本件商標
被請求人は,スワロフスキー・エレメントやクリスタルストーンと呼ばれる小粒の輝く石を整列させる「デコアート」の施されたいわゆる「キラキラグッズ」と呼ばれる製品の製造及び販売する株式会社である。
被請求人は,ニコちゃんマークと呼ばれるモチーフに小粒の輝く石を施して製品の製造販売を行っているところ,本件商標は,小粒の輝く石にてニコちゃんマークを記している状態を点々で表現した点にまず,大きな特徴がある。
また,デザインに当たっては,コンピューターで正確に作図されたグラフィックスであり,目は,縦長の楕円形であり,点々の集合で記され,口は,完全な左右対称になっている。
イ 引用商標
引用商標は,顔の輪郭はなく人の笑顔を表現したものであるが,全て1本の連続した線で記載され,目は,楕円形であるものの,真っ黒に塗りつぶされており,口は,左右非対称である。
(2)本件商標と引用商標の類否
ア 外観
本件商標は,ニコちゃんマークに小粒の輝く石を施して製品化する点に特徴があり,これを点々で表現しており,小粒の輝く石の利用により「キラキラ」を表現するため,より多くの小粒の輝く石を付すことができるよう,口は2本のラインで表現している。また,目を表現した楕円形も単なる楕円形ではなく,点々の集合体によって楕円形を構成している。また,目は大きめでかつ中心にほど近く配置し,目と口は中心に寄せて配置し,口の角度は半円を描くような緩いカーブで正円を描くよう表現し,やや口角がついているもののその印象は大きくない。
これに比べ,引用商標は,全て1本の連続した線で記載されており,目を表現した楕円又は正円は黒色に塗りつぶされた状態で記載されている点で,まず本件商標と大きな違いを有する。
引用商標3及び4については,目は正円に近く,口に口角もついていない点で,外観が全く異なるといえる。
引用商標7及び8については,目が非常に縦長であり,口を表現した線に比して大きく記載されているため,目の与える印象が非常に強い点で,外観が全く異なるといえる。
引用商標6は,目が口に比して小さく,目と口が離れた状態で記載されており,口のカーブはやや鋭角である点で,外観が全く異なるといえる。
引用商標1,2及び5については,口が左右対称ではなく,手書き風なニコちゃんマークである点に特徴があり,完全なる左右対称でありコンピューターで正確に作図されたグラフィックスである本件商標とは全く外観を異にする。
したがって,本件商標と引用商標は,外観が明らかに相違するものであり,明確に区別できるものである。
イ 称呼
称呼については,本願商標と引用商標のいずれも生じない。
ウ 観念
観念については,ニコちゃんマークは,人の笑顔を表現するものであり,本願商標と引用商標のいずれも,「人の笑顔」,「幸せ」といった観念が生じる。
エ 出所混同のおそれがないこと
(ア)引用商標は識別力を有しない
ニコちゃんマークが付された製品を購入する消費者は,外観の相違に敏感な女性であり,このような需要者層がニコちゃんマークの付されたバッグやポーチ等の製品を購入する場合,ニコちゃんマークが付されていることによりバッグやポーチの品質や性能が担保されていると考えて製品を購入する者はおらず,単にニコちゃんマークそのもののかわいさ,おしゃれさから製品を購入する。
引用商標は,目を表現した楕円形ないし正円が2つ,口を表現した曲線という構造の「人の笑顔」を単に簡略化して図式化したものにすぎず,ありふれた外観であり,識別力を有するものではない。
これに対し,本件商標は,コンピューターで正確に作図されたグラフィックスであり,ニコちゃんマークに小粒の輝く石を施して製品化する点に特徴があり,これを点々で表現しており,小粒の輝く石の利用により「キラキラ」を表現するため,より多くの小粒の輝く石を付すことができるよう,口は2本のラインで表現している。また,目を表現した楕円形も単なる楕円形ではなく,点々の集合体によって楕円形を構成している。また,目は大きめでかつ中心にほど近く配置し,目と口は中心に寄せて配置し,口の角度は半円を描くような緩いカーブで表現している点に特徴を有するものであり,ニコちゃんマークの顔の可愛さが顕著であって,特徴的な外観を有しているといえ,識別力を有する。
(イ)商標の使用目的及び使用態様の差異
請求人は,何ら製品の製造及び販売は行っておらず,「社会貢献事業」や「ボランティア活動」のため,引用商標がファッションメーカーによって使用されている。一方で,被請求人は,営利目的で本件商標を使用し,自ら製品を製造及び販売している点で,「社会貢献事業」や「ボランティア活動」のため使用されている引用商標との混同は生じ得ない。
したがって,上記のような取引の実情に照らすと,本件商標と引用商標に混同のおそれはない。
(3)小括
そうすると,本件商標と引用商標とを対比すると,観念において一部共通する部分があるものの,少なくとも外観が顕著に異なるところ,需要者層は外観に敏感な女性であること,請求人と被請求人との商標の使用目的や使用方法が全く異なることから,全体的に観察して,需要者において商品の出所を誤認混同するおそれがあるとは認められず,非類似の商標というべきである。
3 権利の濫用
スマイルマークが財団の活動を表示するシンボルとして,広く知られているとはいえない。
請求人は,引用商標を含む,スマイルマークに関する商標は,目を表現した楕円形ないし正円が2つ,口を表現した曲線という構造の「人の笑顔」を単に簡略化して図式化したものにすぎず,ありふれた外観であり,識別力を有するものではないことを熟知した上で,自らスマイルマークに関する製品の製造及び販売を行っていないにもかかわらず,商標登録がなされていないことを奇貨として,日本国内において,商標登録を行ったものと推認できる。
商標法の目的に鑑み,業務上の信用の維持のため必要とする商標権維持のため行われるものではない本件審判の請求は,権利の濫用として認められるべきではない。

第4 当審の判断
1 本件審判の請求について
請求人は,審判請求書においては,本件商標の登録無効の事由について根拠条文を明示していないが,本件商標は「請求人の所有する登録商標と全く類似であり,無効にすべきものである。」と主張し,引用商標を提出していることからすると,本件商標が商標法4条1項11号に該当することを理由にして,同法46条1項1号に基づき商標登録の無効を主張しているものと解することができ,この点につき,被請求人も,審判事件答弁書において,請求人は本件商標が商標法4条1項11号に該当すると主張しているものと善解し,実質的に答弁を行っている。
また,当審の「根拠条文を明確にするよう求めた」審尋に対し,請求人は,本件商標が商標法4条1項11号に該当すると回答しているから,本件審判の請求の理由につき要旨を変更するものとも解されない。
これらの事情を考慮すれば,本件審判の請求の理由については,上記のとおりのものとして,以下検討する。
2 商標法4条1項11号該当性について
(1)本件商標
本願商標は,別掲1のとおり,目と思しき小さい縦長楕円形をドット(点)で描いたものを2つ並べ,その下に口と思しき両端上がりの弧線をドット(点)で描いた図形からなるものであり,そのような外観的特徴から,簡潔,かつ,象徴的に人の笑顔を描いたものであることを印象付けるものである。
(2)11号引用商標
11号引用商標は,別掲2,3,6及び8のとおり,その描き方に多少の相違は見られるものの,いずれも,目と思しき小さい黒塗り縦長楕円形を2つ並べ,その下に口と思しき両端上がりの弧線を描いてなるものであり,そのような外観的特徴から,簡潔,かつ,象徴的に人の笑顔を描いたものであることを印象付けるものである。
(3)本件商標と11号引用商標との類否
本件商標と11号引用商標とを比較すると,これらは,いずれも,上部に配された2つの小さい縦長楕円形,その下方に配した両端上がりの弧線を基本的な構成要素とし,これらによって,目と口を有する人の笑顔を,簡潔,かつ,象徴的に描写したものと看取される点において外観的な印象を共通にする。両商標を子細にみれば,縦長楕円形や弧線をドット(点)で表していること,目に当たる部分の配置や大きさ,口に当たる部分の線の太さや弧を描く角度などの細部において微妙に差異を有するものの,上記のとおり,それぞれの基本的な構成要素を共通にするものであるため,外観において,両商標は似通った印象を与えるものである。
そして,本件商標の指定商品に係る需要者は,広く一般消費者であって,その取引に当たって,微細,かつ,厳密な注意力をもって商品に付された商標を観察することは期待できないことからすれば,時と場所を異にした離隔的観察においては,両商標を区別することは困難であるというべきである。
したがって,本願商標と引用商標とは,類似するものと認められる。
(4)本件商標と11号引用商標との指定商品の類否
ア 本件商標の指定商品である第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」と引用商標1の指定商品である第18類「学生かばん,その他のかばん類,財布(貴金属製のものを除く。),キーケース,その他の袋物,携帯用化粧道具入れ」とは,同一又は類似の商品である。
イ 本件商標の指定商品である第18類「かばん類,袋物」と引用商標2の指定商品である第18類「かばん類,袋物」とは,同一の商品である。
ウ 本件商標の指定商品である第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類」と引用商標5の指定商品である第25類「フラール,その他の被服」とは,同一又は類似の商品である。
エ 本件商標の指定商品である第25類「靴類」と引用商標6の指定商品である第25類「履物」とは,同一又は類似の商品である。
オ 本件商標の指定商品である第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,靴類」と引用商標8の指定商品である第25類「被服,履物」とは,同一又は類似の商品である。
したがって,本件商標の指定商品は,11号引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であると認められる。
(5)小括
以上のとおり,本件商標と11号引用商標とは,外観において類似する商標であって,その指定商品も同一又は類似するものであるから,本件商標とその余の引用商標との類否について判断するまでもなく,本件商標は,商標法4条1項11号に該当する。
3 被請求人の主張に対して
(1)被請求人は,本件商標はコンピューターで正確に作図されたグラフィックスであるから,11号引用商標とは外観を異にするし,取引の実情に照らすと混同のおそれはない旨主張している。
しかしながら,本件商標と11号引用商標とが外観において類似する商標であることは,上記2(3)のとおりである。
(2)被請求人は,請求人が,11号引用商標はありふれた外観であり,識別力を有するものでないことを熟知した上で,請求人自らが11号引用商標に関する製品の製造及び販売を行っていないにもかかわらず,商標登録がなされていないことを奇貨として,日本国内において,商標登録を行ったものと推認できるから,本件審判の請求は,権利の濫用として認められるべきではない旨主張する。
しかしながら,そのような事情が存在したかどうかはともかく,商標法が先願主義をとる以上,先に出願・登録された引用商標と類似する本件商標は,商標法4条1項11号に該当するものといわざるを得ない。
4 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法4条1項11号に違反してされたものであるから,同法46条1項の規定により,その登録を無効にすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標1及び5)


別掲3(引用商標2)


別掲4(引用商標3)


別掲5(引用商標4)


別掲6(引用商標6)


別掲7(引用商標7)


別掲8(引用商標8)





審理終結日 2019-03-11 
結審通知日 2019-03-13 
審決日 2019-03-26 
出願番号 商願2017-7361(T2017-7361) 
審決分類 T 1 11・ 261- Z (W1825)
最終処分 成立 
前審関与審査官 山田 啓之 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
平澤 芳行
登録日 2017-04-28 
登録番号 商標登録第5942922号(T5942922) 
復代理人 光野 真純 
代理人 高橋 淳 
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