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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W4145
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W4145
管理番号 1351548 
審判番号 不服2018-3983 
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-22 
確定日 2019-05-27 
事件の表示 商願2015- 21957拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「小さな結婚式」の文字を標準文字で表してなり、第41類「写真の撮影」及び第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,婚礼(結婚披露を含む。)に関する情報の提供,婚礼(結婚披露を含む。)の企画・運営又は開催,衣服の貸与,装身具の貸与」を指定役務として、平成27年3月11日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『小さな結婚式』の文字を標準文字で表してなるところ、これよりは、全体として『規模の小さい結婚式』程度の意味合いを容易に認識させるものであるから、これをその指定役務中、例えば『規模の小さい結婚式に適した婚礼のための施設の提供,規模の小さい婚礼に関する情報の提供,規模の小さい婚礼の企画・運営又は開催』等に使用するときは、単に役務の質・内容を表示したものと理解するにとどまり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。また、提出された証拠をもってしては、 本願商標を使用した結果、特定の者の出所表示として、その役務の取引者・需要者の間で全国的に認識されるに至ったものと認めることもできないから、本願商標は、同法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成31年1月11日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 証拠調べ通知書に対する請求人の意見の要点
請求人は、上記3の証拠調べ通知に対して、以下のとおり意見を述べた。
(1)証拠調べ通知書で示されている「小さな結婚式」の使用例は、キャッチフレーズ文章中の使用であったり、ハウスマーク等の文字と結合した態様での使用であって、「小さな結婚式」が単独で使用されているものではない。
(2)証拠調べ通知書記載の使用例に係るサービスは、熊本市、松山市、山形県鶴岡市、富山市、岸和田市といった一地方都市で、かつ、1店舗あるいは、多くても数店舗という極めて限定された狭い範囲内において提供されているものであって、これに接する需要者の範囲も限定的であるといわざるを得ない。
(3)請求人は、本願商標を結婚式場の名称として、2000年(平成12年)3月より継続的に使用しており、積極的な営業活動と宣伝広告活動とが相まって、証拠調べ通知書の使用例の中で最も早期に使用が開始されたと思われる2007年(平成19年)当時において、既に、本願商標は請求人の業務を表示するものとして、取引者、需要者の間で広く認識されるに至っていたと考えられるものであるから、いずれも本願商標が周知性を獲得した後で開始された使用であって、請求人の本願商標の存在や、その知名度を認識した上で使用されていることがうかがわれる。
(4)日本国内における結婚式場の数が少なくとも全国に6,000前後はあることからすれば、証拠調べ通知書に記載された「小さな結婚式」の使用例は、極めて少数といわざるを得ない。
(5)これらの事情を総合的に考慮すれば、証拠調べ通知書記載の使用例は、いずれも本願商標の周知性を否定する根拠又は証左とはなり得ないというべきである。
(6)以上より、本願商標は、仮に商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、請求人の長年かつ盛大な使用により強い出所表示機能を持つに至った商標であって、高い周知性を獲得している商標であるため、商標法第3条第2項の規定に該当するものである。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「小さな結婚式」の文字からなるところ、その構成中の「小さな」の文字は、「規模などが大きくない」の意味を有する語である「小さい」の連体形と理解されるものであり、「結婚式」の文字は、「結婚の誓約をする儀式」の意味を有する語(いずれも株式会社岩波書店「広辞苑第7版」)として知られているものであるから、「小さな結婚式」の文字全体からは、「規模の大きくない結婚式」程の意味合いを認識させるものである。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「規模の大きくない結婚式」に関する役務を表示するものとして理解するにすぎず、自他役務の識別標識としては認識し得ないものである。
してみれば、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、請求人が2000年3月から長期にわたり独創的なブライダルサービスの名称として使用してきた結果、使用により識別性を獲得していることから、商標法第3条第2項の要件を満たしている旨主張し、証拠方法として、原審において甲第1号証ないし甲第20号証(枝番を含む:以下「原審甲○○」といい、枝番全てを表す場合には枝番を省略する。)及び当審において甲第1号証ないし甲第90号証(枝番を含む:以下「当審甲○○」といい、枝番全てを表す場合には枝番を省略する。)を提出しているので、以下検討する。
ア 請求人について
請求人は、1989年に設立された会社で、2000年に結婚式運営事業である「小さな結婚式」をスタートさせ、現在では、冠婚葬祭ビジネスを中核に挙式会場運営、ウエディングフォト、レンタル衣装等を行っている会社である(当審甲4、甲5の1、甲5の2)。
また、請求人は、結婚式場運営事業である「小さな結婚式」の名称を使用した店舗を、2000年から2017年までに、北海道から沖縄に至る日本全国に25店舗(神戸北野店、神戸西宮店、東京青山店、横浜店、仙台店、東京お台場店、神戸モザイク店、福岡店、浦和店、大阪堀江店、東京天王洲Bay店、札幌店、大阪ハービスENT店、沖縄店、京都店、沖縄サロン、川崎日航ホテル店、金沢サロン、神戸サロン、小樽店、千葉サロン、名古屋店、大宮店、新潟店、沖縄イル・ド・レ店)をオープンし、海外にも2店舗(グアム店、ハワイ店)を有している(当審甲5の2)。
イ 雑誌による広告宣伝
請求人は、2010年から2018年までの間に結婚情報誌を中心とした各種雑誌に本願商標と同一と認められる「小さな結婚式」の文字を使用して、継続的に広告を掲載している(「Lei wedding阪神版」(原審甲8の4?16、当審11:2012年2月?2013年2月)、「関西ゼクシィ」(原審甲8の17、18、当審8の2:2010年12月号?2013年3月号、2015年3月号及び4月号、2017年1月号、同年11月号?2018年1月号)、「ゼクシィ富山・石川・福井」(原審甲8の48?53、当審甲86の6:2016年9月号?2017年2月号、2018年1月号?2018年3月号)、「ゼクシィ首都圏」(原審甲8の54?57、当審8の1:2015年1月号?3月号、2017年2月号)、「ゼクシィ北海道」(原審甲8の58?94、当審8の3:2010年12月号?2013年12月号、2017年11月発売号?2018年3月発売号)、「ゼクシィ新潟」(原審甲8の95、当審8の5:2017年2月号、同年4月号?同年6月号、2018年4月号、同年5月号)、「ゼクシィ宮城・山形」(原審甲8の96?131、当審8の4:2010年12月号?2013年11月号)、「ゼクシィ宮崎・鹿児島」(原審甲8の132、142、147、152、157、当審甲第8の11:2010年12月号?2011年5月号)、「ゼクシィ熊本」(原審甲8の133、138、143、148、158、当審甲8の10:2010年12月号?2011年5月号)、「ゼクシィ大分」(原審甲8の134、139、144、149、154、159、当審8の8:2010年12月号、2011年1月号?同年5月号)、「ゼクシィ長崎」(原審甲8の135、140、145、150、155、160、当審甲8の9:2011年1月号?同年5月号)、「ゼクシィ福岡・佐賀」(原審甲8の136、141、146、151、156、161?194、当審8の7:2010年12月号?2013年12月号、2014年8月号、9月号)、「ゼクシィ国内リゾートウエディング」(原審甲8の195?207、当審甲8の13:2011年summer&autumn?2017年spring&summer)、「ゼクシィ岡山・広島・山口・鳥取・島根」(当審甲8の12:2017年6月号?2018年2月号)、「ゼクシィ東海」(当審甲8の14:2018年3月号?同年5月号)、「東京ウエディングコレクション」(原審甲8の209、当審甲13:2010july)、「ちゅら婚」(原審甲8の208、当審甲14:2016年3月発行)、「初めてのたまごクラブ」(原審甲8の210?227、当審9:2008年夏号?2014年冬号)、「ファーストプレモ」(原審甲8の228:2010年版)、「HOT PEPPER大阪キタ」(原審甲8の229?231、当審12:2016.August?October)、「週刊ザ テレビジョン関西版」(原審甲8の232:2011年No.28)、「月刊ザ テレビジョン関西版」(原審甲8の233:2012年10月号)、「東京ウォーカー」(原審甲8の234、当審10:2013年6月4日)、「おきなわ倶楽部」(原審甲8の235:2009年April))。
ウ インターネットによる広告宣伝
請求人は、「楽天ウェディング」(原審甲6の1、121?145、当審甲20)、「みんなのファミリーウェディング」(原審甲6の2、当審甲16)、「みんなのウェディング」(原審甲6の3、原審甲6の99?120、当審甲16)、「ふたりのウェディング」(原審甲6の4、71?86、当審23)、「Wedding Park」(原審甲6の5、6?31、当審甲21)、「ぐるなびWedding」(原審甲6の32?43、当審甲22)、「ゼクシィnet」(原審甲6の44?53、当審甲18)、「マイナビウェディング」(原審甲6の87?98、当審甲19)などのウェブサイトにおいて、本願商標と同一と認められる「小さな結婚式」の文字を使用して広告宣伝を行っている。
エ テレビCMによる広告宣伝
請求人は、小さな結婚式金沢サロンについてのテレビCMを、北陸朝日放送において2015年8月16日から30日まで、石川テレビ放送において、同年8月2日から28日まで及び31日に放送している(原審甲11の3、4)。
また、小さな結婚式小樽店及び札幌店についてのテレビCMを、北海道テレビ放送において2015年8月1日から26日まで放送している(原審甲11の2)。
さらに、小さな結婚式名古屋店についてのテレビCMを、テレビ愛知において2015年8月1日から24日まで放送している(原審甲11の1)。
オ 屋外における広告宣伝
横浜高速鉄道 みなとみらい線 元町・中華街駅、東京モノレール 天王洲アイル駅、北海道札幌市 サッポロファクトリー アトリウム、大阪市北区ハービスENT前地下通路、JR小樽駅・海浜幕張駅、京浜急行線川崎駅、JR千葉県東部エリア車内広告(原審甲16の1?4、当審甲25?甲32)において、屋外広告を行っている。
カ 判断
上記アないしオによれば、請求人は、2000年頃から、継続して本願商標と同一と認められる「小さな結婚式」の文字を使用し結婚式運営事業を行い、日本全国に「小さな結婚式」の名称を使用した店舗を有しており、さらに、結婚情報誌「ゼクシィ」の日本全国の地方版や妊婦向けの雑誌である「初めてのたまごクラブ」等の雑誌に2010年頃から継続して広告を掲載し、そのほかにもインターネットのウェブサイト、テレビCM、屋外広告など、大々的な広告宣伝がなされてきたといえるものである。
また、職権調査によれば、請求人以外の者が「小さな結婚式」の文字を結婚式場などの施設名に使用している事実は発見できなかった。
してみれば、本願商標は、その指定役務について、請求人によって長年にわたり継続的に使用をされた結果、需要者が、請求人の業務に係る役務であることを認識するに至ったものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項の規定により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(証拠調べ通知書で通知した事実)
「小さな結婚式」の文字が、「規模の大きくない結婚式」程の意味合いを表す語として使用されている例(下線は審判長が付加。)

1 「ハートフル」のウェブサイトにおいて、「小さな結婚式」の見出しの下、「家族だけとの結婚式・会食をしたい/少人数でのパーティをしたい/そんなご希望にこたえた『挙式+会食&披露宴』をご用意しました。」の記載がある。
(http://wedding-heartful.com/wedding/)
2 「ブランシェデュオ」のウェブサイトにおいて、「小さな結婚式って?」の見出しの下、「披露宴ほどきちんとした形にするのはちょっと気が引けるけど、家族や親しい人舘に今までの感謝の気持ちを込めた食事会を開くなら、この小さな結婚式を!」の記載がある。
(http://www.branche-duo.com/about/index.html)
3 「グランド エル・サン」のウェブサイトにおいて、「小さな結婚式プラン」の見出しの下、「シンプルにウェディングを叶える挙式と写真だけの結婚式」の記載がある。
(https://www.el-sun.com/wedding_plan/plan_small/)
4 「家族結婚式 結び」のウェブサイトにおいて、「ありがとうがあふれるウェディング/少人数・小さな結婚式 ¥75,000?」の記載がある。
(https://www.kazoku-kon.com/)
5 「パレブラン高志会館」のウェブサイトにおいて、「少人数の小さな結婚式や、授かり婚で挙式をお急ぎの方へ」の記載がある。
(http://www.koshikaikan.com/bridal/pickup/)
6 「ジュエリーショップGarden本店」のウェブサイトにおいて、「gardenの小さな結婚式」の見出しの下、「『gardenの小さな結婚式』は、当店garden本店の店舗内で少人数で人前式を行うプランです。」の記載がある。
(https://www.garden-j.com/spcont/special_21793.html)

(上記ウェブページの最終閲覧日はすべて平成31年1月8日)


審決日 2019-05-10 
出願番号 商願2015-21957(T2015-21957) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (W4145)
T 1 8・ 17- WY (W4145)
最終処分 成立  
前審関与審査官 豊瀬 京太郎旦 克昌 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 小俣 克巳
木住野 勝也
商標の称呼 チーサナケッコンシキ、チーサナ 
代理人 藤本 欣伸 
代理人 齊藤 良平 
代理人 山田 慎吾 
代理人 大向 尚子 
代理人 岩瀬 ひとみ 
代理人 塩谷 信 

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