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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2017890005 審決 商標
異議2018900243 審決 商標
異議2020900117 審決 商標
異議2020900142 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3043
審判 全部申立て  登録を維持 W3043
審判 全部申立て  登録を維持 W3043
審判 全部申立て  登録を維持 W3043
審判 全部申立て  登録を維持 W3043
管理番号 1349858 
異議申立番号 異議2018-900217 
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-06 
確定日 2019-03-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第6041083号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6041083号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6041083号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成29年8月2日に登録出願、同30年3月27日に登録査定がされ、第30類「穀物の加工品」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同年5月11日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の登録商標(以下、これらの商標をまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4717826号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「ほぼ日」
登録出願日:平成15年3月12日
設定登録日:平成15年10月10日
指定商品:第30類「アイスクリーム用凝固剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ピザ,イーストパウダー,即席菓子のもと,酒かす,食用粉類,食用グルテン」
(2)登録第6047777号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2
登録出願日:平成29年7月12日
設定登録日:平成30年6月1日
指定商品及び指定役務:第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供,ケータリング,テイクアウト可能な飲食店における飲食物の提供,飲食物の提供に関する情報提供」を含む、第9類、第16類、第25類、第35類、第41類,第42類及び第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号並びに同法第8条第1項に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項について
ア 本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「ほぼにち日」の文字は、「ほぼ」と「日」を黒色で、「にち」を赤色で表してなるとともに、各文字は異なる大きさで表されていることからすると、その構成上、「ほぼ」、「にち」及び「日」の各文字に分離して認識される。
そうすると、各構成文字が異なる色彩及び大きさで表されていることに加え、後半部の「にち」と「日」は発音が同一であって、あたかも語尾の「日」の読み仮名として「にち」が配されていると把握される可能性が少なからずあることをも鑑みると、簡易迅速を旨とする実際の商取引において、本件商標に接する需要者、取引者は、その全体より生ずる「ホボニチニチ」の称呼のみならず、「ホボニチ」の称呼をも認識し得る。
他方、引用商標1及び2は、「ほぼ日」の文字を表してなり、各文字に相応した「ホボニチ」の称呼が生じる。
したがって、本件商標と引用商標は、「ホボニチ」の称呼を共通にし、称呼において相紛らわしく、互いに類似する商標である。
イ 本件商標と引用商標の指定商品又は指定役務は、同一又は類似のものである。
ウ 本件商標は、引用商標1との関係では商標法第4条第1項第11号に該当し、また、引用商標2との関係では商標法第8条第1項の規定に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア(ア)申立人は、著名なコピーライターであって、エッセイスト、タレント、作詞家としても活躍しているI氏によって1979年12月に設立された有限会社を前身とし、2002年10月の組織変更を経て、2016年12月に現在の株式会社ほぼ日に社名変更された(甲4)。
申立人の主な業務は、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の運営、コンテンツ製作・商品の販売、店舗・ギャラリー・イベントスペース「TOBICHI」の企画・運営、及び犬や猫の写真を投稿するSNSアプリ「ドコノコ」の運営等であって(甲4)、申立人ウェブサイトの訪問者数は3,300万人(2017年9月?2018年8月)に達しており、年間PV数も約2億1千万回である。
(イ)申立人の業務の中核をなす「ほぼ日刊イトイ新聞」は1998年6月6日に創刊されたものであって、申立人は「ほぼ日」の語をその略称のみならず、申立人自身の略称としても長期にわたって広く継続的に使用している(甲5)。
また、申立人の販売する手帳を含む各種商品や、申立人によって企画・運営される様々なイベントでも、「ほぼ日」の略称は申立人を指称するものとして使用されている(甲6)。そして、申立人の企画力や着目性は非常に高く評価され、申立人自身が製造販売する利便性やアイデアに優れた各種商品のみならず、多種多様な事業者とのコラボも積極的に行われており、このような申立人が手がける商品や役務はコラボも含めると、手帳、カレンダー、アースボール、万年筆、カレー、ジャム、テープ、タオル、くびまき、ハラマキの商品等、並びにコンテンツ作成及びその教授、古典に関する知識の教授、書籍の発行の役務等の多岐にわたっており、これらの商品や役務の名称として「ほぼ日手帳」、「ほぼ日ブックス」、「ほぼ日の学校」、「ほぼ日の塾」のようにその大半に「ほぼ日」の文字が含まれている(甲5?甲7)。
(ウ)申立人及びその取り扱い製品や活動は、代表取締役であるI氏の認知度と相まって、多くのマスメディアから注目を集めており、2000年代後半以降でも、新聞雑誌等から取材を受け、多くのメディアに取り上げられ(甲8、甲9)、さらには、TVのニュース番組や情報番組、ラジオ放送でも、申立人に関する情報が放送されており、様々な媒体を介して申立人及びその取り扱い製品や活動が広く需要者に知られるに至っている。
(エ)以上のとおり、申立人の使用に係る「ほぼ日」は、申立人のウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の略称としてのみならず、申立人を指称する略称として多くの需要者に愛着をもって受け入れられている。
イ 以上を踏まえて、本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について検討すると、申立人の使用に係る「ほぼ日」は、申立人のウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」の略称としてのみならず、申立人を指称する略称として広く親しまれている。
加えて、申立人は、自身やコラボ事業にて販売する商品を提供する役務の名称に「ほぼ日手帳」「ほぼ日ブックス」「ほぼ日の学校」「ほぼ日の塾」等の「ほぼ日」を含んだものを使用し、商品や役務の出所を明確にするとともに、「ほぼ日」の認知度を高めるべく最大限の努力を行っており(甲5?甲7)、その結果、申立人及びその業務に係る商品や役務を指称する際には「ほぼ日」の文字が各種メディアによって多用されていることに鑑みると(甲8、甲9)、「ほぼ日」は、申立人及びそのウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を称するものとして十分に認知されているばかりか、当該語を含む商標が付された商品及び役務は、申立人の業務に係るものであると需要者に広く認識されている。
そして、申立人は飲食料品に関連する業務として、フードトラックでのカレーの提供、イートインブースでのオリジナル定食の提供、弁当の販売、ジャム・シロップ・パンの販売、寄席でのポップコーン等の飲食物の販売、10年以上前から自社サイトでのジャム・カレースパイス・日本茶・中国茶・海苔・ポップコーン等さまざまな食品の販売を行っており、これらはいずれも本件商標に係る指定商品及び指定役務と重複、あるいは密接に関連性を有する。また、上述のとおり、申立人は自己の業務に係る商品及び役務についてできる限り「ほぼ日」の文字を含ませるようにして商品等の出所につき混同が生じないよう長年にわたって努力を続けていることを勘案すると、本件商標がその指定商品又は指定役務について使用された場合、需要者がその商品又は役務が申立人の業務に係るものである、又は、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、出所について混同するおそれがある。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、左側には、円及び輪を組みあわせた図形(黄色)(以下「図形部分」という。)を、その右側には、上段に、小さく「ほぼ」の文字(黒色)を、比較的大きく「にち」の文字(赤色)及び「日」の文字(黒色)を、それぞれ筆書き風の書体で横書きし、その下段には、前後に横長線を配した「HOBO NITINITI」の欧文字(黒色)を、上段とは横幅及び中心を揃えて表してなる(以下「文字部分」という。)ところ、その図形部分と文字部分とは、色彩の相違や配置もあいまって、視覚上、分離して看取、把握されるものである。
そして、本件商標の構成中、右側の「ほぼ」、「にち」及び「日」の文字と「HOBO NITINITI」の欧文字は、文字の種類や大きさ、色彩などが異なるものの、上下段が近接して横幅及び中心を揃えてまとまりよく表してなるため、上段の文字の読み仮名を下段で欧文字(ローマ字)表記したものと看取できることから、それぞれの構成文字を一連に発音した「ホボニチニチ」の称呼を生じるものの、特定の観念は生じない。
また、本件商標の構成中、左側の図形部分は、何らかの客体を表したものとは直ちに認識、理解できないため、特定の称呼及び観念は生じない。
そうすると、本件商標は、その文字部分に相応して、「ホボニチニチ」の称呼が生じるが、特定の観念は生じない。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1は、「ほぼ日」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字に相応して「ホボニチ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(イ)引用商標2は、別掲2のとおり、「ほぼ日」の文字(青色)を右側を手前として左側に奥行きを出すように斜めにした書体で表してなるところ、その構成文字に相応して「ホボニチ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
(ア)本件商標と引用商標1の比較
本件商標の文字部分と引用商標1の外観を比較すると、構成文字全体としては異なる語を表してなるものと容易に認識できるため、書体や色彩の相違も相まって、外観上、明瞭に区別し得るものである。また、称呼においては、全6音中、語頭4音を共通にするとしても語尾の「ニチ」の2音の有無に差異があるため、称呼全体としては、語調、語感が相違するもので、容易に聴別できる。さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないため、比較できない。
また、本件商標の図形部分と引用商標1の外観は明らかに異なり、称呼及び観念は比較できない。
したがって、本件商標と引用商標1は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれがなく、誤認混同するおそれのない非類似の商標というべきである。
(イ)本件商標と引用商標2の比較
本件商標の文字部分と引用商標2の外観を比較すると、構成文字全体としては異なる語を表してなるものと容易に認識できるため、書体や色彩の相違も相まって、外観上、明瞭に区別し得るものである。また、称呼においては、全6音中、語頭4音を共通にするとしても語尾の「ニチ」の2音の有無に差異があるため、称呼全体としては、語調、語感が相違するもので、容易に聴別できる。さらに、観念においては、いずれも特定の観念は生じないため、比較できない。
また、本件商標の図形部分と引用商標2の外観は明らかに異なり、称呼及び観念は比較できない。
したがって、本件商標と引用商標2は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれがなく、誤認混同するおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは類似する商標ではないから、その指定商品及び指定役務の同一又は類似について論ずるまでもなく、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 「ほぼ日」(以下「申立人商標」という。)の著名性
(ア)申立人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
a 申立人は、1979年12月に設立した会社で、2016年12月には「株式会社東京糸井重里事務所」から現在の社名である「株式会社ほぼ日」に社名変更したもので、その事業内容には、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」(以下「申立人ウェブサイト」という。)の運営及びコンテンツ製作が含まれる(甲4、甲5)。
b 申立人ウェブサイトは、1998年6月に開設され、糸井重里の日記、対談、マンガ、映画紹介、商品の告知などの幅広いコンテンツを掲載しているところ、掲載方法や更新頻度にはユーザーが毎日訪れる工夫がされている(甲8の1、4)。同ウェブサイトは、年間のページビュー数が約2億1,000万回とされ、その人気は主に常連客により支えられている(請求人の主張、甲8の2)。
c 申立人商標は、申立人ウェブサイトの略称として、申立人のプレスリリースや新聞、雑誌等において記述的に用いられている(甲5、甲6、甲8の1?6)。
d 申立人商標は、2017年3月1日付け以降から本件商標の出願日までの間に、申立人ウェブサイト又は申立人に係る商品のプレスリリース(2017年3月1日付け、同月16日付け、及び8月1日付け)の左上に引用商標2の態様で顕著に表示されていることが確認できる(甲5、甲6)が、数回の掲載にすぎず、また、そのほかに申立人ウェブサイトにおける申立人商標単独での表示の有無、及びその表示態様は明らかではない。
e 申立人は、申立人ウェブサイトと関連する商品又は役務も取り扱っており、例えば「ほぼ日グッズ」と称して、「ほぼ日手帳」、「ほぼ日ハラマキ」、「ほぼ日のふくろもの」、「ほぼ日のにほん茶」、「ほぼ日のジャム」などの商品を取り扱っているが、これら商品における申立人商標単独での使用態様は明らかではない(甲7)。また、これら商品のうち、「ほぼ日手帳」は、2001年から販売され、初年度は約1万2千部、2012年版は46万部、2017年版は66万部を販売している(甲9の22、29)。申立人の売上高の37億6,700万円のうち、「ほぼ日手帳」関連の売上げは約7割を占めている(甲8の40)。
(イ)a 上記(ア)の認定事実及び申立人の主張によれば、申立人ウェブサイトは、約20年の運営実績があり、日常的にまとまった数のアクセスもあることから、申立人の提供する役務「ウェブサイトの運営及びコンテンツ製作」(以下「申立人役務」という。)と関連してある程度の認知度を獲得していたことがうかがえる。
しかしながら、申立人ウェブサイトは、日常的に訪問する常連客からのアクセスを前提とした工夫がされているものの、幅広い一般の需要者を誘引し、自ら購読者層を広げるような積極的な広告宣伝活動は把握できないため、必然的にその購読者層は、日常的に同ウェブサイトにアクセスするような特定の需要者が中心となると理解できる。そのため、申立人ウェブサイトは、広く一般の需要者層における認知度を獲得しているというよりは、当該ウェブサイトに高い関心を有する特定の需要者層を中心として認知度を獲得しているものと理解できる。
b 申立人商標は、申立人ウェブサイトを記述する際に略称として用いられているものの、このような略称としての使用はあくまで申立人ウェブサイトを前提とした記述的な使用であって、申立人商標の出所識別標識としての使用態様とは直ちに理解し難いものである。また、申立人ウェブサイトにおいて、申立人商標が単独で顕著に使用されている事実は、本件商標の出願日までの間の数回が確認できるだけで、その回数も多いものとはいえず、そのほかに申立人商標が単独で顕著に表示されている使用実績は把握できない。
c 申立人の名称は、本件商標の出願日(2017年8月2日)のわずか約8か月前(2016年12月)に「株式会社ほぼ日」に変更される以前は、「ほぼ日」の語は含まれてすらいないため、名称変更後における新聞や雑誌記事による会社紹介などを考慮しても、本件商標の登録出願時点において、我が国の需要者及び取引者の間において、申立人商標が申立人の略称として、広く一般需要者の間において周知、著名となるに至っていたものとは考えにくい。
d 申立人による「ほぼ日○○」又は「ほぼ日の○○」(○○には商品名が入る。以下同じ。)などと称する商品又は役務についても、その名称中に申立人商標が含まれていることが把握できるにとどまり、申立人商標が単独で出所識別標識として顕著に使用されているものではない。
また、申立人の商品又は役務の事業規模も、「ほぼ日手帳」については約16年にわたる販売実績があり、長期にわたるまとまった販売規模を有しているとしても、その他の商品又は役務の事業規模は必ずしも明らかではなく、申立人の売上高に占める割合から類推しても、事業実績としては大きいものとは理解し難いものである。
さらに、申立人の「ほぼ日グッズ」を含む関連商品及び役務には、「ほぼ日」の語を含まない商品も多数あるから(甲7)、申立人商標が統一的に一貫性をもって用いられているものでもない。
したがって、「ほぼ日手帳」がある程度の事業規模を有しているとしても、その名称中に含まれるにすぎない申立人商標が単独で、需要者の間において周知、著名となるに至ったものとは到底いえない。
e 以上のとおり、申立人ウェブサイトは申立人役務との関係において、特定の需要者層を中心とした認知度を獲得しているところ、申立人商標単独では出所識別標識としての顕著な使用実績はなく、申立人又は申立人ウェブサイトの略称として記述的に使用されているにとどまるから、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又はその業務に係る役務との関係において、我が国の需要者の間において申立人ウェブサイトの略称としてある程度知られていたとしても、一般の需要者の間に広く認識されるに至っていたものとは認めることはできない。
イ 本件商標と申立人商標の比較
本件商標と申立人商標「ほぼ日」は、上記(1)ウにおいて本件商標と「ほぼ日」の文字からなる引用商標1の外観、称呼及び観念について比較したのと同様に、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれがない。
したがって、本件商標と申立人商標は、類似性の程度は極めて低いというべきである。
ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る役務の比較
本件商標の指定商品及び指定役務は、第30類「穀物の加工品」及び第43類「飲食物の提供」であり、これらは主に加工食品製造事業者により製造・販売され、飲食店などの飲食サービス業者により提供されるものである。
他方、申立人の業務に係る「ウェブサイトの運営及びコンテンツ製作」の役務は、主にウェブエンジニア、ウェブデザイナーなどにより提供されるものである。
そうすると、本件商標の指定商品及び指定役務と、申立人の業務に係る役務は、一般的には同一の事業者によって行われているものではなく、その商品及び役務の目的、需要者の範囲、業種なども、重複又は密接に関連しているものではなく、相互に密接に関連した商品又は役務ではない。
オ 出所の誤認混同について
以上のとおり、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間において周知、著名な商標でもなく、本件商標は、申立人商標とは類似性の程度は低く、その指定商品及び指定役務も申立人の業務に係る役務とは密接な関連性はないのだから、本件商標は、これをその指定商品及び指定役務について使用しても、その需要者をして、当該商品及び役務が申立人の業務に係るものであると誤信させるおそれがある商標でもなく、当該商品及び役務が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信させるおそれがあるものとはいえず、申立人の業務に係る役務と混同を生じるおそれがある商標ではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号並びに同法第8条第1項のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 (本件商標。色彩は原本を参照。)




別掲2 (引用商標2。色彩は原本を参照。)




異議決定日 2019-03-13 
出願番号 商願2017-101935(T2017-101935) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W3043)
T 1 651・ 4- Y (W3043)
T 1 651・ 263- Y (W3043)
T 1 651・ 271- Y (W3043)
T 1 651・ 262- Y (W3043)
最終処分 維持  
前審関与審査官 駒井 芳子太野垣 卓 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 阿曾 裕樹
中束 としえ
登録日 2018-05-11 
登録番号 商標登録第6041083号(T6041083) 
権利者 株式会社フラット・フィールド・オペレーションズ
商標の称呼 ホボニチニチ、ホボ、ニチニチ 
代理人 田中 尚文 

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