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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W0826
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W0826
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W0826
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W0826
管理番号 1348960 
異議申立番号 異議2016-900161 
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-06-20 
確定日 2019-02-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5834857号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5834857号商標の指定商品中、第8類「全指定商品」及び第26類「髪染め用キャップ,ヘアカーラー(手持器具を除く。)」についての商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5834857号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成27年11月5日に登録出願、第8類「あごひげ用はさみ,毛抜き,ペディキュア用セット,かみそり用容器,かみそりの刃,ひげそり用具入れ,つめやすり,電動式又は非電動式かみそり,つめの甘皮用ニッパー,マニキュアセット」及び第26類「ヘアグリップ,髪飾り,頭髪用カールピン,髪止め,ヘアネット,玉房の髪飾り,頭飾用蝶形リボン,髪染め用キャップ,ヘアカーラー(手持器具を除く。),ヘアバンド(頭飾品)」を指定商品として、同28年2月26日に登録査定、同年3月18日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下の4件であり(これらをまとめていうときは、以下「引用商標」という。)、その商標権は下記1を除きいずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第749184号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和41年7月18日に登録出願、第13類「手動利器、手動工具、金具(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同42年7月27日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
なお、その商標権については、平成29年7月27日の存続期間満了を原因として同30年4月18日に商標権の抹消の登録がされているが、本件商標の登録査定時(平成28年2月26日)には有効に存続していたものである。
2 登録第4635704号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおり、はさみの図形中に「rubis」の文字を含む構成からなり、平成13年9月21日に登録出願、第8類「はさみ類」を指定商品として、同15年1月10日に立体商標として設定登録され、その後、同24年7月24日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
3 登録第5191688号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成19年9月20日に登録出願、第8類「ピンセット,はさみ,芯切り用はさみ,つめ切り,つめやすり,その他の手動利器,罫書き針,やっとこ,真空吸着ピンセット,時計製造用手動工具,その他の手動工具,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」を指定商品として、同20年12月26日に設定登録され、その後、同30年7月10日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
4 国際登録第775403号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、2001年(平成13年)7月3日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2002年1月3日に国際商標登録出願、第8類「Hand tools and implements,cutlery;tweezers,tongs,scissors,files;combination tools and their parts;manicure or pedicure sets,electric or non-electric;cases made of leather or imitation leather used for the aforesaid goods.」を指定商品として、平成15年2月28日に設定登録され、その後、2012年1月3日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

第3 登録異議の申立ての理由の要点
申立人は、本件商標はその指定商品中、第8類「全指定商品」及び第26類「髪染め用キャップ,ヘアカーラー(手持器具を除く。)」(以下「登録異議の申立てに係る指定商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標との対比
本件商標は、「ルビース」の片仮名を書してなるものであるから、これにより「ルビース」の称呼を生ずる。
他方、申立人が引用する引用商標は、欧文字「RUBIS」「rubis」から「ルビス」の称呼が生じる。
本件商標「ルビース」と引用商標から生ずる「ルビス」とは、「ル」「ビ」「ス」の3音を共通にし、聴取し難い中間で、「ビ」が長音を伴うか否かの微差を有するにすぎず、それぞれ一連に称呼するときは、全体の音感音調が近似し彼此相紛らわしい。したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上類似する。
外観は本件商標が片仮名文字、引用商標1、3及び4は欧文字、引用商標2がはさみの図形からなり類似せず、本件商標は該文字が特定の観念を生じえない造語であると認められるから、引用商標と比較することはできないが、上記のとおり称呼において類似する商標である。
(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との対比
本件商標の指定商品中、第8類「あごひげ用はさみ,かみそりの刃,つめやすり,電動式又は非電動式かみそり,つめの甘皮用ニッパー」と引用商標1の指定商品「手動利器」及び引用商標2の指定商品「はさみ類」は類似するものである。
本件商標の指定商品中、第8類「あごひげ用はさみ,毛抜き,ペディキュア用セット,かみそり用容器,かみそりの刃,ひげそり用具入れ,つめやすり,電動式又は非電動式かみそり,つめの甘皮用ニッパー,マニキュアセット」及び第26類「髪染め用キャップ,ヘアカーラー(手持器具を除く。)」と引用商標3の指定商品「はさみ,芯切り用はさみ,つめ切り,つめやすり,その他の手動利器,罫書き針,ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」及び引用商標4の指定商品「cutlery;scissors,files;manicure or pedicure sets,electric or non-electric;cases made of leather or imitation leather used for the aforesaid goods」は類似するものである。
以上のとおり、本件商標の登録異議の申立てに係る指定商品は引用商標の指定商品と同一又は類似する。
(3)むすび
本件商標は、引用商標と類似するものであり、本件商標の登録異議の申立てに係る指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似のものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知著名性について
申立人は、スイスにおいて、60年以上もわたり、医療用、時計部品の製造のために利用される精密なピンセットを製造することで世界的に有名になった会社である。バテックフィリップ、カルティエ、ローレックスなどの時計メイカーの時計を組み立てるために使用される精密なピンセットを製造してきた。かかる精密なピンセットは、モトローラ、ノキア、GE、シーメンズ、東芝、ヒューレットパッカード、チューリッヒ大学などでも長年にわたり使用されている。25年ほど前からは、かかる精密なピンセットの製造に加え、エステサロンや化粧の際に使用されるはさみ、毛抜き、まつ毛カーラーを製造するようになった。
日本において、1999年にマニキュアセット及び拡大鏡がついたピンセットについてGOOD DESIGN賞を受賞している(甲8?甲10)。
日本において、ピンセット、はさみというニッチな産業において、少なくとも2007年には1億円近い売り上げがあり、2015年度は約5,000万円、2016年度には約3,700万円の売り上げがある。2011年度の販売個数は約50,000個であり、2016年の販売個数は約32,000個である(甲11)。
日本においては、「ルビス」のピンセット、はさみは、つとに有名で、2010年9月26日YAHOO知恵袋、2011年8月2日のブログで、「ルビス」の毛抜き用ピンセットが素晴らしい製品であることを述べる記事がある(甲12)。
また、2013年3月19日付のインターネットの記事にも、10年以上も「ルビス」のコスメピンセットを愛用している旨の記事がある(甲13)。
以上から、本件商標の出願日及び登録査定時に、引用商標が日本において周知であったことは明らかである。
なお、申立人は、引用商標と同一又は類似する商標をスイスの他、デンマーク、欧州、インド、インドネシア、シンガポール、台湾、タイ、英国、米国で登録をしている。米国での出願日は1989年12月5日であり、少なくとも申立人は1989年には「RUBIS」商標を使用していたことが分かる(甲14)。
(2)出所の混同を生ずるおそれについて
本件商標と引用商標は、その差異はわずかに中間音の「ビ」が長音を伴うか否かの微差を有するにすぎない。
商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には、当該商品又は役務が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標が含まれる。そして、上記の「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創既の程度や当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性、その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである(甲15)。
本件においても、本件商標の指定商品は、申立人が長年にわたり販売し、著名性を獲得している商品「ピンセット」、また、近年特に力を入れている化粧用の「はさみ,ピンセット,毛抜き用ピンセット,マニキュアセット」と需要者、取引者が類似するものである。
そうとすれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が、周知著名な商標である引用商標を連想、想起して、これらの商品が申立人、あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認するおそれがある。
(3)むすび
前記したとおり、本件商標は、引用商標と混同を生ずるおそれのある商標であり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第19号について
上述のとおり、引用商標は60年にわたりその指定商品に使用されている周知著名な商標である。
引用商標と中間音の長音の有無という称呼が類似する本件商標が、申立人とは何らの関係のない第三者によって使用された場合、申立人の商標の出所表示機能が希釈化され、またそれに化体した信用、名声が毀損されるおそれがある。また、引用商標と中間音の有無しか相違しない標章を採択したことは、本件商標権者の名声及び信用にただ乗りしようという意図があったからと推認される。
中国においても本件商標の出願前から申立人の商品が販売されていたことがインターネットの記事から判明している(甲16)。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 取消理由通知
審判長は、商標権者に対して、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について商標法第4条第1項第11号に該当し、同条第1項の規定に違反してされたものと認められる旨の取消理由を平成29年10月31日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 商標権者の意見
上記第4の取消理由に対し、本件商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第6 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「ルビース」の片仮名を横書きしてなるものであるから、これよりは「ルビース」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を生じさせない造語として看取されるものである。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2ないし別掲4のとおり、「RUBIS」若しくは「rubis」の欧文字を横書きしてなるもの、又は「rubis」の欧文字を含むものであり、これらの文字が「ルビー,紅玉」の意味を有し「リュビ」と発音される仏単語であるとしても、我が国においてさほどなじみのあるものともいえず、需要者には特定の意味を有することのない造語として認識されるものであることから、該文字からは、我が国において外国語としてなじみの深い英語の読みに倣って「ルビス」の称呼を生じるものであり、また、特定の観念を生じないというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標(引用商標2については文字部分)とは、上記のとおり、前者は片仮名、後者は欧文字からなるものであり、文字の種類が相違することから、外観において相違するものである。もっとも、我が国において、欧文字表記と片仮名表記とが併用されることが多く見られること、欧文字を片仮名で表記することが一般に行われていることなどを考慮すると、本件指定商品及び引用商標の指定商品の需要者にとって、文字種が異なることは、本件商標と引用商標が別異のものであることを認識させるほど、外観上、強い印象を与えるものではないといえる。
次に、本件商標から生ずる「ルビース」の称呼と引用商標から生ずる「ルビス」の称呼とを比較するに、両称呼は、「ル」、「ビ」、「ス」の各音を共通にし、異なるところは、聴取し難い中間の「ビ」において長音の有無の差異を有するにすぎないものであるから、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は大きいとはいえず、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語感、語調が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるといわなければならない。
加えて、両商標は、共に特定の観念をもって把握し理解されることのない造語として看取されるというのが相当であるから、明らかな観念上の相違によって構成音の違いを明確に認識し区別し得るものということもできない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観において相違し、観念において比較することができないとしても、称呼において相紛らわしいものであり、そして、外観の相違が称呼における類似性を凌駕するともいえないから、両者は類似する商標であるといえる。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本件商標の指定商品中、第8類「あごひげ用はさみ,かみそりの刃,つめやすり,非電動式かみそり,つめの甘皮用ニッパー」は、引用商標1の指定商品中の「手動利器」、引用商標2の指定商品「はさみ類」、引用商標3の指定商品中の「はさみ,芯切り用はさみ,つめ切り,つめやすり,その他の手動利器,罫書き針」及び引用商標4の指定商品中の「cutlery,scissors,files.」(参考和訳:手動利器,はさみ,やすり)と、同じく、第8類「毛抜き,ペディキュア用セット,かみそり用容器,ひげそり用具入れ,マニキュアセット」及び第26類「髪染め用キャップ,非電気式ヘアカーラー(手持器具を除く。)」は、引用商標3の指定商品中の「ペディキュアセット,まつ毛カール器,マニキュアセット」及び引用商標4の指定商品中の「manicure or pedicure sets,non-electric;cases made of leather or imitation leather used for the aforesaid goods.」(参考和訳:非電動式のマニキュア或いはペディキュアセット,皮膚及び爪の手入れ用の道具又は器具用の革製又は擬革製のケース)と、同じく、第8類「電動式かみそり」及び第26類「電気式ヘアカーラー(手持器具を除く。)」は、引用商標4の指定商品中の「manicure or pedicure sets,electric;cases made of leather or imitation leather used for the aforesaid goods.」(参考和訳:電動式のマニキュア或いはペディキュアセット,皮膚及び爪の手入れ用の道具又は器具用の革製又は擬革製のケース)と同一又は類似する商品と認められるものである。
(5)まとめ
以上によれば、本件商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品中、登録異議の申立てに係る指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品との関係において商標法第4条第1項第11号に該当し、同条第1項の規定に違反してされたものであるから、他の申立ての理由について判断するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、その指定商品中、第8類「全指定商品」及び第26類「髪染め用キャップ,ヘアカーラー(手持器具を除く。)」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。



別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標1及び引用商標3)



別掲3(引用商標2)



別掲4(引用商標4)


別掲
異議決定日 2018-09-27 
出願番号 商願2015-107714(T2015-107714) 
審決分類 T 1 652・ 262- Z (W0826)
T 1 652・ 261- Z (W0826)
T 1 652・ 264- Z (W0826)
T 1 652・ 263- Z (W0826)
最終処分 取消  
前審関与審査官 太野垣 卓箕輪 秀人 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 薩摩 純一
大森 友子
登録日 2016-03-18 
登録番号 商標登録第5834857号(T5834857) 
権利者 深▲セン▼市慕容化妝品有限公司
商標の称呼 ルビース 
代理人 橋本 千賀子 
代理人 塚田 美佳子 
代理人 大貫 絵里加 

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