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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y43 |
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管理番号 | 1348920 |
審判番号 | 取消2017-300638 |
総通号数 | 231 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-03-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2017-08-25 |
確定日 | 2019-02-06 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4634316号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4634316号商標(以下「本件商標」という。)は、「こころ屋」の文字を標準文字により表してなり、平成14年2月13日に商標登録出願、第43類「飲食物の提供」を指定役務として、同15年1月10日に設定登録されたものである。 なお、本件審判の請求の登録日は、平成29年9月11日である。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の趣旨 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 2 平成29年10月27日付け答弁書に対する弁駁 被請求人が使用していると主張する使用商標1は別掲のとおり態様からなり、使用商標2は「kocoro-ya」の文字を、使用商標3は「kocoroya」及び使用商標4は「ココロヤ」の文字を書してなるところ、いずれも商標法第50条第1項に規定される登録商標ではない。 商標法第50条第1項に規定される登録商標には、(1)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、(2)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、(3)外観において同視される図形からなる商標といった、所謂「社会通念上同一と認められる商標」が含まれていることは請求人も承知しているところである。 本件商標と使用商標1ないし使用商標4とはそれぞれ同一でなく、(1)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標及び(3)外観において同視される図形からなる商標でもないことは一見して明らかである。 以下、本件商標と使用商標1ないし使用商標4とがそれぞれ、(2)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標にも該当しないことについて更に説明を加える。 本件商標は、「こころ屋」と横書きされた標準文字からなるものであるところ、これを仮にローマ字に置き換える場合には「kocoroya」のみならず「kokoroya」、「cocoroya」といったパターンも無理なく導くことが可能である。この点、第一音の子音を「k」で表し、第二音の子音を敢えて「c」で表している使用商標1ないし使用商標3は、変更自体に最も創意工夫があるのであって、単に表現形式を変更したといえるものではない。 よって、本件商標と使用商標1ないし使用商標3のそれぞれとは、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものとはならない。 また、本件商標をカタカナに置き換えると「ココロヤ」となり得るが、これとは逆に、使用商標4として示された「ココロヤ」を平仮名に置き換えれば「こころや」であるし、仮に一部漢字を含めて置き換えるとしても「こころ屋」の他にも「こころ家」「こころ谷」「こころ矢」「こころ弥」「こころ野」・・・と様々な変更を無理なく行うことができる。 よって、本件商標と使用商標4においても、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものとはならない。 さらに、答弁書においては、本件商標は特定の意味合いを生じない造語であるとされている。 しかしながら、「こころ」は「知識・感情・意志の総体。気持ち。思いやり。(広辞苑第六版)」といった意味を想起する言葉であり、加えて、接尾語として「屋」が付されていれば「その職業の家またはその人を表す語。(広辞苑第六版)」として理解されるのが自然であるから、本件商標からは、少なくとも例えば「思いやりのある人ないしは思いやりのある人達の集まり」といった観念が生じる。 一方、使用商標1ないし使用商標4は、それぞれの構成文字の表記であるため、本件商標のような観念が直接的に生じることはない。よって、本件商標と使用商標1ないし使用商標4はそれぞれ、観念においても同一ではない。 上記より、本件商標と使用商標1ないし使用商標4とはそれぞれ、(2)平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標に該当しない。 その他、本件商標と使用商標1ないし使用商標4とが社会通念上同一であると判断すべき事情等も皆無である。 以上のとおり、使用商標1ないし使用商標4は、いずれも商標法第50条第1項に規定される登録商標ではない。 なお、被請求人が行ったとされる第三者への警告行為(乙17、乙18)は、商標法第2条第3項に規定される「使用」のいずれにも該当しない。 3 平成30年6月11日付け答弁に対する弁駁について 被請求人が提出した平成30年6月11日付け審判事件答弁書に対し、請求人からの弁駁はなかった。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を、審判事件答弁書及び審尋に対する回答書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第24号証(枝番を含む。)を提出した。 1 平成29年10月27日付け答弁書 (1)被請求人による使用の実態 被請求人は、本件審判の請求登録日前3年(以下「要証期間」という。)以前から現在に至るまで、日本国内において、継続して使用商標1ないし使用商標4を併用して、居酒屋を経営、すなわち「飲食物の提供」について使用している(乙1?乙18)。 使用商標1をメニュー(乙1?乙3)や店舗看板(乙4)に表示すると共に、ポスター(乙5)やパンフレット(乙6)にも表示して、継続して居酒屋経営を行ってきた。なお、当該居酒屋店舗は平成26年(2014年)当時には全国に7店舗存在していたが(乙10)、平成29年4月以降は東室蘭中島町店のみである(乙11)。 また、被請求人は、自身の会社案内(乙7)や封筒(乙8)、取引業者に配布する手帳(乙9)にも使用商標1を表示して宣伝広告を行ってきた他、インターネットサイトでは使用商標2ないし使用商標4も併記して宣伝広告を継続して行っている(乙10?乙15)。なお、乙第12号証から乙第15号証は平成29年10月26日現在の掲載内容であるが、需要者の写真・口コミの投稿日や訪問日(乙12の2、3、乙13の2、乙14の2、乙15の2、乙16)を見れば、被請求人が本件審判請求日前3年以内に継続して各使用商標を使用していたことは明らかである。 さらに、被請求人は、本件商標と明らかに類似する商標を使用している第三者に対して警告を行い(乙17、乙18)、本件商標へのフリーライドや本件商標のダイリューションを適切に防止してきた。 上記のとおり、被請求人が、本件審判の請求登録日前3年よりも前から現在に至るまで、日本国内において、継続して上記複数の使用商標を本件指定役務中の「飲食物の提供」について使用していることは明白である。 (2)使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標であることについて ア 本件商標は「こころ屋」の文字から成るところ、「こころ屋」の語は全体として特定の意味を有しない造語であって、「ココロヤ」の称呼を生ずるものである。 イ 使用商標1は、別掲のとおり、中央に大きく表示した「kocoroya」の文字部分が要部であって、当該部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものであり、それ以外の文字部分は単なる役務内容の説明的記載である。 この使用商標1の「kocoroya」の文字部分は、「kocoro」の文字と「ya」の文字を「花の図形」で区切る構成となっているが、需要者には両文字は一体不可分のものとして看取・理解されるものであり、当該文字部分は「ココロヤ」の称呼を生ずる。 この点は、飲食店業界において、商標をローマ字表記する際には、需要者による商標の看取・理解を助けるために、屋号を表す「屋」のローマ字「ya」と、その前の語とを「-」(ハイフン)等で区切ることが極一般的に行われていることからも明らかである(乙19)。 よって、使用商標1の要部たる「kocoroya」の文字部分は、「kocoroya」の文字と「ya」の文字とを「花の図形」で区切る構成であるとしても、本件商標を単にローマ字で表示した構成と同視し得るものであり、本件商標を損なう変更使用ということはできない。 したがって、本件商標と使用商標1とは、「ココロヤ」の称呼において共通すると共に観念においても共通するものであるから、使用商標1は、商標法第50条第1項括弧書きに規定する、社会通念上同一の商標に該当する。 ウ 使用商標2は、「kocoro」の文字と「ya」の文字とを「-」(ハイフン)で区切っているが、使用商標1と同様に、両文字は一体不可分のものとして需要者に看取・理解されるものであり、「ココロヤ」の称呼を生ずる。 よって、本件商標と使用商標2も、商標法第50条第1項括弧書きに規定する、社会通念上同一の商標に該当する。 エ 使用商標3は本件商標を単にローマ字で表示したものであり、使用商標4は本件商標を単に片仮名で表示したものであり、いずれの使用商標も本件商標とは称呼においても観念においても共通する。 よって当然に、使用商標3及び使用商標4も、商標法第50条第1項括弧書きに規定する、社会通念上同一の商標に該当する。 2 平成30年6月11日付け答弁書 (1)使用商標5について 使用商標5は「こころや」からなる商標である。 乙第20号証にて示す写真は、Google LL.C(本社:アメリカ合衆国 以下「Google社」という。)が平成27年(2015年)4月に「東京都世田谷区北沢2-19-2」を撮影したものであり、無料地図検索サービス「Googleマップ」の街並みの写真を表示するサービス「Googleストリートビュー」にて提供されているタイムマシンという機能を使用して誰もが検索できるものである。 当時、この場所に被請求人が経営する居酒屋「kocoro-ya 下北沢南口駅前店」が存在しており、平成28年(2016年)7月31日に閉店するまで営業を続けていた(乙21、乙22)。 乙第21号証は、アメリカ合衆国の非営利団体「The Internet Archive」が提供しているWWW・マルチメディア資料のアーカイブ無料閲覧サービス「Wayback Machine」(以下「ウェイバックマシン」という。)で検索した被請求人のサイト内のページである。 乙第21号証の1は、平成27年(2015年)4月2日の被請求人サイト内における居酒屋「kocoro-ya」の店舗一覧のページであり、当時、「kocoro-ya 下北沢南口駅前店」が存在していたことが確認できる。 また、乙第21号証の2及び3は、それぞれ平成25年(2013年)6月13日、平成27年(2015年)年5月19日の「kocoro-ya 下北沢南口駅前店」の紹介ページであり、乙第22号証の1「営業許可証」及び乙第22号証の2「廃業届」と共に確認すれば、被請求人が少なくとも平成27年4月に「東京都世田谷区北沢2-19-2」において「kocoro-ya 下北沢南口駅前店」を営業していたことが確認できる。 乙第20号証ないし乙第22号証から明らかなとおり、被請求人は日本国内の店舗において、ウィンドーディスプレイや出入口の看板に使用商標5を商標として使用していたものであり、この使用事実は、少なくとも平成27年4月、すなわち、本件審判の請求登録日前3年以内の事実である。 (2)その他の答弁 ア 使用商標4は、使用商標2及び使用商標3についての読み仮名の表示との見解について 「読み仮名」は「漢字の読み方を示す仮名」(広辞苑 第六版)であり、使用商標2や使用商標3のようなローマ字の読み方を示す必要はないし、仮にローマ字に「読み仮名」を表示することがあるとしても、乙第13号証及び乙第16号証に示すように、読み方を示す対象となる語より先に表示される筈はない。 したがって、使用商標4は使用商標2及び使用商標3についての読み仮名の表示などではなく、使用商標2及び使用商標3と並行して使用するものであり、商標として使用するものである。 イ 使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標ではない旨の主張及び見解について (ア)被請求人の、本件商標は全体として特定の意味を有しない造語であって、「ココロヤ」の称呼を生ずるとの主張に対して、請求人は、本件商標を構成する「こころ」及び「屋」の有する意味から、本件商標からは、「思いやりのある人ないしは思いやりの人たちの集まり」といった観念が生じると主張する。 しかしながら、「こころ」の語は、請求人が挙げた意味の他にも種々の意味を有しており(乙23)、「屋」の語も、接尾語として用いる場合だとしても請求人が示した意味以外の種々の意味を有している(乙24)。 このように「こころ」の語と「屋」の語がそれぞれ色々な意味を有していることに鑑み、被請求人は本件商標が「全体として特定の意味を有しない造語」であると主張しているものであり、殊更に思い込みで本件商標から生ずる観念を断定する、請求人の上記主張は的外れなものである。 (イ)使用商標1ないし使用商標3の称呼及び観念について 使用商標1及び使用商標2は「kocoro」の文字と「ya」の文字を「花の図形」や「-」で区切ったとしても、これらは一体不可分のものとして看取・理解されるものであり、また、使用商標3は「kocoroya」であることから、当該文字部分は「ココロヤ」の称呼を生ずる。 この点は、飲食店業界において、極一般的である(乙19)。 使用商標1ないし使用商標3の「kocoro」の文字は、日本語としても、英語等の外国語としても、「こころ」の語が有する意味とは別の観念を一般的に生じさせるものではなく、「ya」の文字についても、人名や地名でない限り、日本語としても、外国語としても、「屋」の語が有する意味とは別の観念を一般的に生じさせるものではない。 よって、使用商標1ないし使用商標3は、いずれも本件商標と称呼及び観念においては全く同じものである。 (ウ)使用商標4及び使用商標5の称呼及び観念について 使用商標4は本件商標を単に片仮名で表示したものであり、使用商標5は本件商標を単に平仮名で表示したものであり、いずれの使用商標も称呼において本件商標と全く同じであることは明白である。 また、使用商標4の「ココロ」の文字及び使用商標5の「こころ」の文字は、「こころ」の語が有する意味とは別の観念を一般的に生じさせるものではない。 また、使用商標4の「ヤ」の文字及び使用商標5の「や」の文字も、特に飲食店としては「屋」の語が有する意味とは別の概念を一般的に生じさせるものではなく、「家」を想起するものとしても、生ずる観念は「屋」と同じである(乙23)。 よって、使用商標4及び使用商標5は、いずれも本件商標と称呼及び観念においては全く同じものである。 以上のとおり、称呼及び観念において、使用商標1ないし使用商標5は、いずれも本件商標と全く同じであり、両者は外観において異なるのみである。 (エ)使用商標1ないし使用商標5は、いずれも、本件商標と外観上に差異があるとしても、その差異は「飲食物の提供」サービスにおける業界において商標の識別性に影響を与えることはない(パリ条約第5条C(2))。 また、このように呼称と観念が全く同じで、文字種により外観が異なるだけの商標を社会通念上同一と判断せねば、過剰な防衛出願を制御するという商標法第50条第1項括弧書きの本来の趣旨が没却されてしまうこととなる。 したがって、被請求人が使用する使用商標1ないし使用商標5は、いずれも本件商標と社会通念上同一の商標である。 3 結論 以上より、日本国内において本件審判請求の登録日前3年以内に、商標権者人が本件商標を、その指定役務「飲食物の提供」について使用していたものというべきである。 第4 当審の判断 1 証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第7号証について 乙第7号証は、被請求人の会社案内(2014年8月版)とのことであり、1葉目には「CORPORATE PROFILE MONTEROZA CO.LTD. 【株式会社モンテローザ 会社案内】」の記載がある。当該書証2葉目の上段には、使用商標1とともに「カジュアルダイニング kocoro-ya お洒落でくつろげる未来のリビング」のタイトルの下、「『kocoro-ya』は、・・ダイニングバーです。創作性に富んだお料理と、ワイン・カクテル・梅酒など、バラエティ豊かに取り揃えています。」との店舗の紹介の記載がある。当該書証3葉目の右下には「2014.8」の記載がある。 (2)乙第20号証について 乙第20号証の1及び2は、Google社の無料地図検索サービス「Googleマップ」の「Googleストリートビュー」が提供する、過去の町並みを表示するタイムマシン機能による、平成27年(2015年)4月当時に「東京都世田谷区北沢2-19-2」を撮影したものであり、当該書証上段の写真の中央には店舗の入り口らしき画像が写っており、扉の上と、扉に接した壁面の中央に、使用商標5「こころや」が確認できる。また、該壁面上部には「!ご予約はお早めに! 予約承り中!!」の表示が、当該写真の左下に「現在表示中の画像撮影日:4月2015」の表示が、下段の地図上の地点を示すポインマークの右側には「〒155-0031 東京都世田谷区北沢 2・・・」の表示がある。 (3)乙第21号証について ア 乙第21号証の1ないし3は、「ウェイバックマシン」のよる被請求人ウェブサイトの過去の情報とのことであるが、乙第21号証の1のヘッダ部分には「APR 02 2015」の表示があり、左上には「株式会社モンテローザ」の記載が、上段の写真上には「お洒落でくつろげる未来のリビング 『kocoro-ya』は、・・ダイニングバーです。・・・」と、乙第7号証に記載の店舗の紹介と同様の記載がある。また、当該書証の中央には「店舗一覧」の下に「東京都 下北沢南口駅前店」の表示がある。 イ 乙第21号証の2のヘッダ部分には「JUN 13 2013」の表示があり、左上には「株式会社モンテローザ」の記載が、中央には使用商標1及び「下北沢南口駅前店」の記載があり、その下方に住所として「東京都世田谷区北沢2-19-2 月村光ビル・地下1階」の記載がある。 (4)乙第22号証について 乙第22号証の1は、「25世保生食ほ第2125号」として、平成26年2月18日付けで許可された、世田谷区世田谷保険所長から被請求人に対する営業許可書の写しとのことであるが、当該書証には「1.営業所の所在地:東京都世田谷区北沢二丁目19番2号 月村光ビル地下1階」、「2.営業の種類:飲食店営業」、「3.営業所の名称、屋号又は商号:kocoroya」「許可条件:本許可の効力は平成26年3月1日から平成33年2月28日までとする。」の記載がある。 乙第22号証の2は被請求人から世田谷保険所長あてに、平成28年8月8日付けで提出された廃業届の写しとのことであるが、当該書証には「営業所の所在地:東京都世田谷区北沢二丁目19番2号 」、「営業所の名称等:kocoroya」「廃業年月日:平成28年7月31日」、「営業の種類:飲食店営業」、「営業許可の番号及び年月日:第2125号平成26年3月1日」の記載がある。 2 認定事実 上記1からすれば、商標権者である被請求人は、複数の飲食店を経営する法人であり(乙7)、少なくとも2013年(平成25年)6月には「kocoro-ya」なる名称の「ダイニングバー」(以下「使用役務」という。)を経営していた(乙7、乙21の2)。 被請求人は、「東京都世田谷区北沢2-19-2」の住所において、「kocoro-ya」なる「ダイニングバー」の「下北沢南口駅前店」の店舗を、少なくとも平成25年6月から、同28年7月31日の間まで継続して経営していた(乙21、乙22)と推認できる。 そして、被請求人による「kocoro-ya」の「下北沢南口駅前店」の店舗は、2015年(平成27年)4月の時点で、店舗の扉及び該扉に接した壁面に「こころや」の文字からなる使用商標5を表示して営業していたと認められる(乙20)。 3 本件商標の使用について (1)使用商標5について ア 本件商標は「こころ屋」の文字を横書きしてなるところ、その構成文字から「こころ」の文字部分は、一般的には「心」の平仮名表記と認められ(乙23)、末尾の「屋」の文字は、本件商標の指定役務「飲食物の提供」との関係においては、飲食物を提供する店舗の屋号をあらわす表示と認められる(乙24)ことから、これらを結合した本件商標は、「こころ(心)屋なる屋号」程の観念が生じるものといえる。 そうすると、本件商標は、その構成文字から「ココロヤ」の称呼を生じ、「こころ(心)屋なる屋号」程の観念を生じるものと認められる。 イ 一方、使用商標5は、「こころや」の文字を横書きしてなるものである(乙20)ところ、その構成において、末尾に「や」の文字が位置することによって、後述する使用役務「ダイニングバー」との関係では、当該部分が屋号を表す「屋」の平仮名表記と認識されるものと認められることから、使用商標5は、「こころ(心)や(屋)なる屋号」程の観念を生じるものといえる。 ウ 本件商標と引用商標5とを比較してみると、共に「ココロヤ」の称呼を生じ、「こころ(心)や(屋)なる屋号」程の観念を生じるものといえる。 両商標の差異は末尾における「屋」と「や」の文字にあるものであるが、その指定役務との関係においては実質的に同一のものといえる。 これより、使用商標5は、本件商標と称呼、観念を同一にし、外観における差異も実質的に同一といえることから、両商標は社会通念上同一の商標といって差し支えない。 (2)使用役務について 使用役務は「ダイニングバー」であるところ、当該語は、「食事ができる(dininng)酒場(bar)」の和製語として一般に知られた語であること、及び「『kocoro-ya』は、・・ダイニングバーです。創作性に富んだお料理と、ワイン・カクテル・梅酒など、バラエティ豊かに取り揃えています。」との店舗の紹介の記載(乙7、乙21の1)からすれば、使用役務は、本件審判の請求に係る指定役務である「飲食物の提供」の範ちゅうの役務であることは明かである。 (3)使用者について 「kocoro-ya」の「下北沢南口駅前店」の店舗を営業していたのは、商標権者本人である被請求人である(乙22)。 (4)使用の時期及び使用の行為について 「kocoro-ya」の「下北沢南口駅前店」の店舗において、通りに面した扉及び扉に接した壁面に使用商標5を表示する行為は、「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」と認められるから、商標法第2条第3項第8号に定める商標の「使用」に該当する。 また、上記、使用行為は2015年(平成27年)4月(乙20)に行われたといえ、要証期間内に該当する。 4 むすび 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定役務に含まれる役務について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 使用商標1 (色彩は、乙第1号証参照のこと。) |
審理終結日 | 2018-12-06 |
結審通知日 | 2018-12-10 |
審決日 | 2018-12-21 |
出願番号 | 商願2002-10225(T2002-10225) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Y43)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大渕 敏雄 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
田中 幸一 榎本 政実 |
登録日 | 2003-01-10 |
登録番号 | 商標登録第4634316号(T4634316) |
商標の称呼 | ココロヤ、ココロ |
代理人 | 岩崎 博孝 |
代理人 | 三田 大智 |