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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W06
審判 全部申立て  登録を維持 W06
審判 全部申立て  登録を維持 W06
審判 全部申立て  登録を維持 W06
管理番号 1347918 
異議申立番号 異議2018-900189 
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2019-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-07-19 
確定日 2019-01-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6044077号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6044077号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6044077号商標(以下、「本件商標」という。)は、「KIRIN-MAGPOWER」の記号及び文字を標準文字により表してなり、平成29年6月7日に登録出願、第6類「磁歪特性を有する鋼材,磁性を帯びた鋼材,その他の鉄及び鋼」を指定商品として、同30年5月1日に登録査定、同月18日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第453853号商標(以下「引用商標」という。)は、「KIRIN」の欧文字を横書きしてなり、昭和29年1月16日に登録出願、第15類の商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同年10月21日に設定登録、その後、平成17年10月5日に指定商品を第9類ないし第11類、第14類、第16類、第17類、第19類ないし第22類、第26類、第28類及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、また、5回にわたる商標権の存続期間の更新登録がされ、最新の存続期間の更新登録において、その指定商品については、第21類「琺瑯製管」を含む、第14類、第16類、及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品とされたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標は同法第43条の2第1号の規定により、取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標からは、その構成文字中の「KIRIN」の文字部分に相応して「キリン」の称呼及び「麒麟」の観念を生じ、引用商標からも、その構成文字に相応して「キリン」の称呼及び「麒麟」の観念を生じる。
したがって、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念において相紛らわしく、類似する。また、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似するので、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 引用商標は、東京都所在の「キリンホールディングス株式会社」、「キリン株式会社」、「麒麟麦酒株式会社」、「キリンビバレッジ株式会社」及びそのグループ会社(以下「キリングループ」という。)の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標であり、これと類似する本件商標は、その指定商品に使用された場合、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、「KIRIN-MAGPOWER」の記号及び文字を標準文字により表してなるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ、同じ間隔で、全体としてまとまりよく表されているものであって、構成文字全体から生じる「キリンマグパワー」の称呼も、格別冗長というべきものでもなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
加えて、本件商標の構成は、「KIRIN」及び「MAGPOWER」の文字を「-」(ハイフン)の記号で結合してなる構成であって、その指定商品との関係では、いずれかの文字部分が独立して、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいい難いものであることからすれば、本件商標は、一連一体の商標とみるべきものというのが相当である。
次に、本件商標の構成中前半の「KIRIN」の文字は、外国語の辞書には掲載されていないものの、当該文字より生じる「キリン」の読みから、キリン科の哺乳類の「麒麟」を想起するものの、構成中後半の「MAGPOWER」の文字は、特定の意味を有しない造語であり、これらの文字を「-」(ハイフン)の記号で結合した本件商標は、全体としは、特定の意味を有しない一種の造語とみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体をもって一体不可分の造語よりなるものと認識、理解されるとみるのが自然であって、その構成文字全体に相応する「キリンマグパワー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「KIRIN」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成文字は、外国語の辞書には掲載されていないものの、当該文字より生じる「キリン」の読みから、キリン科の哺乳類の「麒麟」を想起するものとみるのが相当である。
そうすると、引用商標からは、「キリン」の称呼を生じ、キリン科の哺乳類の「麒麟」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、外観においては、両商標は、上記(1)及び(2)のとおり、構成後半における「-MAGPOWER」の記号及び文字の有無という明らかな差異を有するものであるから、両者は、外観上、判然と区別し得るものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「キリンマグパワー」の称呼と引用商標から生じる「キリン」の称呼とは、「マグパワー」の音の有無の差異により、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標からは特定の観念を生じず、引用商標からはキリン科の哺乳類の「麒麟」の観念を生ずるものであるから、両者は、観念上、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはないものであるから、両商標は、商品の出所の誤認、混同を生ずるおそれのない、互いに非類似の商標というのが相当である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、たとえ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが同一又は類似するものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)「KIRIN」標章の周知・著名性について
ア キリンホールディングス株式会社の平成29年1月1日から同年12月31日までの有価証券報告書(抜粋)によれば、キリングループは、キリンホールディングス株式会社及び連結子会社170社、持分法適用関連会社22社によって構成される多角経営企業であり、その主な事業は、ビール、清涼飲料等を含む総合飲料、乳製品、医療医薬品の製造、販売である(甲3)。
イ 申立人のウェブサイト(会社概要)によれば、申立人は、キリンビール株式会社、メルシャン株式会社、キリンビバレッジ株式会社の親会社として、国内綜合飲料事業の事業管理及び専門サービスを提供する株式会社であり、キリンホールディングス株式会社の子会社である(甲4)。
ウ 商標調査会発行の「日本商標名鑑(抜粋)」に、「麟麟」の図形商標、「麒麟」の文字商標、「キリン」の文字商標、「KIRIN」の文字商標(以下「使用商標」という。)が掲載され、ビール、清涼飲料水のラベル及びビン箱などの容器に使用されると記載されている(甲5)。社団法人国際工業所有権保護協会日本部会作成の「FAMOUS TRADEMARKS IN JAPAN 日本有名商標集」に、使用商標と同一綴りの商標が掲載されており、その「Goods/Services」の欄には「Beer,Whisky,Wine,Soft drink」等の商品が記載されている(甲6)。
エ 過去の審判決において、使用商標は、麒麟麦酒株式会社(キリンホールディングス株式会社の旧商号)の業務に係る「ビール」等を表示する標章として、又は、使用商標が、キリングループの商品又は役務を示すものとして取引者及び需要者の間で周知著名になっていると認められる旨の判断がされている(甲9、甲10)。
オ 以上によれば、使用商標は、キリンホールディングス株式会社の業務に係る商品である「ビール」等を表示する標章として、我が国の取引者及び需要者の間で広く認識されていたものと認められる。
(2)出所混同の可能性について
ア 商標法第4条第1項第15号における「混同を生ずるおそれ」の有無は、ア)当該商標と他人の表示との類似性の程度、イ)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、ウ)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、エ)並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、オ)当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである(最高裁判決 平成10年(行ヒ)第85号)。
(ア)本件商標と使用商標の類似性の程度
本件商標は、「KIRIN-MAGPOWER」の記号及び文字からなり、使用商標は「KIRIN」の欧文字からなるものである。
そこで、両商標を比較すると、上記1のとおり、使用商標と、その構成文字を同じくする引用商標からすれば、両商標は類似するとまではいえないながら、本件商標は、その構成中の第1文字から第5文字までを、著名な使用商標の構成文字「KIRIN」と同一とするものであるから、その類似性の程度は低いとはいえない。
(イ)使用商標の周知著名性及び独創性の程度
使用商標の周知著名性は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時ないし査定時において、キリンホールディングス株式会社の業務に係る商品である「ビール」等を表示する標章として、我が国の取引者及び需要者の間で広く認識されていたものと認められる。
しかしながら、キリンホールディングス株式会社の業務に係る商品、ビール、清涼飲料等を含む総合飲料、乳製品、医療医薬品以外の商品についてまでは我が国の取引者及び需要者の間で広く認識されていとはいえない。
また、使用商標は、一般に親しまれたキリン科の哺乳類の「麒麟」のローマ字表記であるところ、その独創性の程度は高いとまではいえない。
(ウ)本件商標の指定商品と使用商品の使用に係る商品の関連性の程度
本件商標の指定商品は、「磁歪特性を有する鋼材,磁性を帯びた鋼材,その他の鉄及び鋼」であり、使用商品の使用に係る商品(キリンホールディングス株式会社の業務に係る商品)は、「ビール、清涼飲料等を含む総合飲料、乳製品、医療医薬品」であるところ、その関連性の程度は極めて低いものである。
(エ)取引者、需要者の共通性等
上記(ウ)のとおり、本件商標の指定商品と使用商品の使用に係る商品の関連性の程度は極めて低いものであるから、その取引者、需要者においても共通性は少ないものといえる。
イ 出所の混同のおそれ
上記(1)のとおり使用商標が、キリンホールディングス株式会社の業務に係る商品である「ビール」等を表示する標章として、我が国の取引者及び需要者の間で広く認識されていたものと認められるとしても、本件商標の指定商品の分野までは著名性を認めることはできない。
そして、両商標の類似性の程度については低いとはいえないものの、使用商標の独創性、商品の関連性、取引者・需要者の共通性の程度はいずれも低いことに照らし、本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば、本件商標は、その登録出願の時及び査定時において、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する需要者が使用商標を想起、連想し、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-12-26 
出願番号 商願2017-75951(T2017-75951) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W06)
T 1 651・ 262- Y (W06)
T 1 651・ 261- Y (W06)
T 1 651・ 263- Y (W06)
最終処分 維持  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
田中 幸一
登録日 2018-05-18 
登録番号 商標登録第6044077号(T6044077) 
権利者 東北特殊鋼株式会社
商標の称呼 キリンマグパワー、キリン、マグパワー 
代理人 藤森 裕司 
代理人 飯島 紳行 

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