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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W30
審判 査定不服 観念類似 登録しない W30
審判 査定不服 外観類似 登録しない W30
管理番号 1347902 
審判番号 不服2017-650045 
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-13 
確定日 2018-11-27 
事件の表示 国際商標登録第1171424号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第5類,第16類,第21類,第25類,第28類,第29類,第30類,第31類,第32類,第35類,第41類及び第43類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として,2012年10月12日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいて,2016年(平成28年)1月20日に国際商標登録出願されたものである。
その後,指定商品及び指定役務については,原審における平成28年12月21日付けの手続補正書により,第30類「Biscuits and cookies;pastry;cakes;flour and preparations made from cereals.」と補正された。
第2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,拒絶の理由に引用した登録商標は,以下の4件であり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1114073号商標(以下,「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和47年4月26日に登録出願,第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同50年4月7日に設定登録され,その後,平成17年4月27日に,第30類「菓子及びパン」を指定商品とする書換登録がなされ,さらに,同27年4月14日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第1991922号商標(以下,「引用商標2」という。)は,「ST.MICHEL」の欧文字と「サンミッシェル」の片仮名を上下二段に書してなり,昭和59年5月24日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同62年10月27日に設定登録され,その後,平成21年3月11日に,第29類,第30類,第31類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ,さらに,同29年8月8日に,第30類「コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす」を指定商品として,商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第4935500号商標(以下,「引用商標3」という。)は,別掲3のとおりの構成よりなり,平成17年7月20日に登録出願,第30類「菓子及びパン」を指定商品として,同18年3月10日に設定登録され,その後,同28年3月15日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(4)登録第4935501号商標(以下,「引用商標4」という。)は,別掲4のとおりの構成よりなり,平成17年7月20日に登録出願,第30類「菓子及びパン」を指定商品として,同18年3月10日に設定登録され,その後,同28年3月15日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,赤色の横長長方形の上下辺を円弧状に若干膨らませた輪郭線の中に,「StMichel」の欧文字(以下「文字部分」という。)を横書きし,「c」の欧文字の上部に,鳥と思しき赤色の図形(以下,赤色の輪郭線と鳥と思しき図形を,「図形部分」という。)を配してなるものであるところ,本願商標は,その構成において,文字部分は図形部分と異なる黒色で,大きく目立つように表されていること,及び文字部分と図形部分とを常に一体のものとして捉えなければならない特段の事情も認められないことから,文字部分を,独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部として抽出することが許されるものである。
次に,本願商標の文字部分中の「St」の文字は,「聖人,聖者,聖徒」等の意味を有する英語及びフランス語の「Saint」の略語(グランドセンチュリー英和辞典 第2版 株式会社三省堂,アポロ仏和辞典 初版 株式会社角川書店)であり,「Michel」の文字は,「男の子の名前,天使長ミカエル」等を意味するフランス語(アポロ仏和辞典 初版 株式会社角川書店)である。
そして,「St」や「Saint」の語と「Michel」の語を結合した「Saint Michel」は,「大天使ミカエル」を意味する(アポロ仏和辞典 初版 株式会社角川書店)フランス語である。
ところで,我が国においてフランス語の普及率はそれほど高いとはいえないものの,「StMichel」の文字は,これに準じた用法である「St.Michel」,「St-Michel」,「Saint-Michel」及び「Saint Michel」の文字とともに,「サンミッシェル」と称呼され,我が国においても日常的に接する機会が多いフランス語であることが以下のインターネット情報よりうかがい知ることができる。
ア 著名な観光地の名称
(ア)株式会社JTBのウェブサイト
パリの観光地として「サン・ミッシェル広場(Palace St-Michel)」が紹介され,「アクセス 地下鉄4号線サン・ミッシェル(St-Michel)駅からすぐ」との記載がある。
(https://www.jtb.co.jp/kaigai_guide/western_europe/french_republic/PAR/103821/)
(イ)フォートラベル株式会社のウェブサイト
フランス ボルドーの観光地として「サン ミッシェル大聖堂 Basilique Saint-Michel」が紹介されている。
(http://4travel.jp/overseas/area/europe/france-aquitaine/bordeaux/kankospot/10162208/)
イ 店舗及びホテルの名称
(ア)サン・ミッシェルのウェブサイト
店名として,「手づくりフランス菓子 St.Michel サン・ミッシェル」との記載がある。
(http://www.st-michel.jp/)
(イ)ジャック大濠店のウェブサイト
「ジャックのお菓子」の項に「ホールケーキ」の1つとして「St.Michel サンミッシェル」との記載がある。
(http://www.jacques-fukuoka.jp/cake/369/)
(ウ)ガトー・ド・ボワのウェブサイト
「コレクション」の項に「サンミッシェル?st.michel? 〔生菓子〕」との記載がある。
(http://www.gateau-des-bois.com/collection/gateau/stmichel.html)
(エ)食べログのウェブサイト
a「パティスリー サン・ミッシェル (Patisserie Saint Michel)」という店が紹介されている。
b「サン ミッシェル(St.Michel)」という店が紹介されている。
(https://tabelog.com/hyogo/A2805/A280501/28008446/)
(オ)エキテンのウェブサイト
「サンミッシェル(StMichel)」という店が紹介されている。
(https://www.ekiten.jp/shop_6853328/)
(カ)ホテリスタのウェブサイト
「ベスト ウェスタン プレミア ロイヤル サン ミッシェル (BEST WESTERN PREMIER Royal Saint Michel)」というホテルが紹介されている。
(https://hotelista.jp/hotel/04002541/)
(キ)エアトリのウェブサイト
「グランド ホテル サン ミッシェル (Grand Hotel Saint Michel)」というホテルが紹介されている。
(https://www.skygate.co.jp/hotel/HTLITM/27606/)
以上のインターネット情報によれば,本件商標の文字部分は,我が国においても,「サンミッシェル」と称呼されるものであって,比較的知られたフランス語といえるものである。
してみれば,本件商標は,その要部である文字部分から,「サンミッシェル」の称呼を生じ,「大天使ミカエル」の観念を生じるというべきである。
(2)引用商標について
ア 引用商標2
引用商標2は,「ST.MICHEL」の欧文字と「サンミッシェル」の片仮名を上下二段に書してなるところ,語頭部分における「ST.」の文字は,上述の「St」の文字と同様に「Saint」の略語であり,下段の「サンミッシェル」の文字部分は,上段の「ST.MICHEL」の文字部分の読みを表すものとして,無理なく理解できるものである。
したがって,引用商標2は,その構成文字に相応して,「サンミッシェル」の称呼を生じ,本件商標と同様に「大天使ミカエル」の観念を生じるものである。
イ 引用商標4
引用商標4は,別掲4のとおり「Saint Michel」の欧文字を筆記体風に書してなるものである。
したがって,引用商標4は,本件商標と同様に,その構成文字に相応して,「サンミッシェル」の称呼を生じ,「大天使ミカエル」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
ア 本願商標と引用商標2の類否について
本願商標と引用商標2とを対比すると,外観については,図形部分の有無,片仮名の有無などの差異から,全体としては相違するものの,本願商標の要部である文字部分と引用商標2の欧文字部分とは,引用商標2の3文字目の「.」(ピリオド)の有無以外のつづりを同一にすることから,両商標は外観において近似した印象を与える場合もある。
次に,称呼及び観念については,本願商標及び引用商標2は,「サンミッシェル」の称呼及び「大天使ミカエル」の観念を共通にするものである。
イ 本願商標と引用商標4の類否について
本願商標と引用商標4とを対比すると,外観については,図形部分の有無,つづりや書体の差異から,全体としては相違するものの,本願商標の要部である文字部分と引用商標4とは,両商標のつづりの差異があるものの,語頭における「St」と「Saint」の文字は,略語と成語の関係にあることが上記(1)のとおり知られていることからすると,この差異が両商標に及ぼす影響はさほど高くないものといえ,両商標は外観において近似した印象を与える場合もある。
次に,称呼及び観念については,本願商標及び引用商標4は,「サンミッシェル」の称呼及び「大天使ミカエル」の観念を共通にするものである。
ウ 小括
以上のことから,本願商標と引用商標2及び引用商標4とは,外観において,近似した印象を与える場合があり,称呼及びの観念を共通にするものであから,これらを総合勘案すれば,両者は,相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
(4)本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
本願商標の指定商品は上記第1のとおりであるところ,引用商標2の指定商品中「穀物の加工品,サンドイッチ,ホットドッグ,ミートパイ」及び引用商標4の指定商品と,同一又は類似の商品を含むものである。
(5)まとめ
本願商標は,引用商標2及び引用商標4と類似する商標であり,かつ,本願商標の指定商品と引用商標2及び引用商標4の指定商品とは同一又は類似の商品について使用をするものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,本願商標から生ずる称呼について,「少なくとも,我が国では一般には,フランス語読みに親しみがないことから,特定の読みが生じるとはいい難い本願商標の構成において『サンミッシェル』の称呼は,本願商標から自然に生じる称呼とはいえない。」旨主張するが,原審で示した事実のほか,上記第3(1)の使用例のように,本願指定商品を取り扱う業界を含め,幅広い業界において,「StMichel」,「St.Michel」,「St-Michel」及び「Saint-Michel」の文字を「サンミッシェル」と読むことは普通に行われていることである。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。
(2)請求人は,「(1)我が国は『国民の大多数がキリスト教徒』というようなキリスト教国ではないという事情,及び(2)我が国において『St』は特に『Street』の略として認識され得るといえるものの,特定の意味合いについて用いられているとはいえないという事情に鑑みれば,『StMichel』は特定の意味合いを有しない造語として認識・把握される」((1)及び(2)は,丸付き数字である。)旨主張しているが,上記1(1)で述べたように,「St」と「Michel」の文字を結合した場合には「大天使ミカエル」を表すものであること,該文字及びこれに準じた「St.Michel」,「St-Michel」,「Saint-Michel」及び「Saint Michel」の当該文字を用いる観光地,店舗名及びホテル名が多数あることから,我が国においてもある程度親しまれている語であるといえ,「StMichel」の文字に接する需要者,取引者が該文字より「大天使ミカエル」程の観念をも認識する場合も少なくないというのが相当である。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。
(3)請求人は,過去の登録例を挙げて,本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張する。しかしながら,これらの審決例や登録例は,本願商標とは,図形要素の有無や構成文字の違いなど,その構成及び態様等が異なり,事案を異にするものであり,かつ,具体的事案の判断においては,過去の登録例に拘束されることなく判断されるべきである。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。
(4)請求人は,本願商標及び本願商標の文字部分のみに相当する商標が,欧州やフランス,さらに米国をはじめ,世界各国において登録されていることや(甲26),我が国において,本願商標が付された請求人製品が購入可能であること(甲27,甲28)の他,請求人製品を紹介するオンライン記事が複数存在すること(甲29,甲30)を挙げ,本願商標は我が国において周知となっているものであるから,登録されるべきである旨主張している。
しかしながら,商標法第4条第1項第11号による商標の類否の判断は,出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比においてのみ決定されるべきものであるから,引用商標が登録されているものである以上,引用商標との類否によって判断されるべきものである。
したがって,請求人の上記の主張は採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 【別記】




審理終結日 2018-07-02 
結審通知日 2018-07-05 
審決日 2018-07-18 
国際登録番号 1171424 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W30)
T 1 8・ 262- Z (W30)
T 1 8・ 263- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 黒磯 裕子 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 須田 亮一
榎本 政実
商標の称呼 サンミッシェル、セントミッシェル、ミッシェル、ミシェル、マイケル 
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 

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