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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X03
管理番号 1347881 
審判番号 取消2017-300768 
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-10-11 
確定日 2019-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5355950号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5355950号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5355950号商標(以下「本件商標」という。)は、「プラス」の文字と「PLUS」の文字とを上下二段に書した構成からなり、平成21年10月23日に登録出願、第3類「化粧品,香料類」を指定商品として、同22年9月24日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成29年10月26日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同26年10月26日ないし同29年10月25日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、要証期間に日本国内において、その指定商品のいずれにも使用されていないことが判明した。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標を使用している者について
ア 乙第1号証及び乙第2号証について
被請求人は、本件商標権について、「株式会社ナリス コスメティック フロンティア」(以下「ナリスコスメティック社」という場合がある。)に対し、非独占的な通常使用権を許諾していることを示す書証として乙第1号証を、また、ナリスコスメティック社が被請求人の子会社であることを示す書証として乙第2号証を、それぞれ提出している。
そして、被請求人は、ナリスコスメティック社との間における使用許諾契約の存在や契約書締結日における記載に相違ない旨を述べているところ、被請求人が指摘する事項に照らせば、これらの点についてはつじつまが合っているといえる。
しかしながら、ナリスコスメティック社が本件商標を使用しているとして提出された書証(乙3?乙14)から認識し得る表示が使用許諾(乙1)に基づいてなされた表示であるとする証拠は、一切提出されておらず、乙第3号証ないし乙第14号証に掲げられた商品から認識し得る表示が、当該使用許諾の下になされたものであるということについては疑問が残る。
イ ナリスコスメティック社の製造・販売に係る商品について
ナリスコスメティック社のウェブサイトには、「ナリス コスメティック フロンティアは、『ナリス化粧品グループ』の会社です。創業以来80余年に渡り『ナリス化粧品』が培った研究開発・製造における知識や技術、さまざまな処方で取得してきた特許の数々が、サイクルプラスにも活かされています。」という記述がある(甲1)。
また、ナリスコスメティック社のウェブサイトの事業内容の冒頭には、「ナリス コスメティック フロンティアの夢 CYCLE PLUS サイクルプラス」というタイトルの下、「お肌への『効果』と『安全性』の両立を目指したサイクルプラスは、ナリス コスメティック フロンティアのオリジナル商品です。」という記述があり、それとともに、「CYCLE PLUS サイクルプラス」の製品と思われる商品の写真も掲載されている(甲2)。
さらに、甲第2号証においては、ナリスコスメティック社の事業内容として、「化粧品製造・販売事業」が挙がっており、そこでは、「化粧品訪問販売において、実績と歴史を持つナリス化粧品。ナリス コスメティック フロンティアは、サイクルプラスの製造と販売を柱に、通信販売をはじめとする多角的な販売チャネルの開発をめざしています。」という説明があり、その次の「主な製造品」の項では、「CYCLE PLUS サイクルプラス」の製品と思われる商品の写真とともに、製造・販売に係る商品として、「サイクルプラス オイル クレンジング」、「サイクルプラス クリーミィ ウオッシュ」、「サイクルプラス エンリッチ ローション」、「サイクルプラス エンリッチ エッセンス」、「サイクルプラス エンリッチ クリーム」の製品名が記載されている。
上記からも明らかなように、ナリスコスメティック社の製造・販売に係る製品は、いずれも「サイクルプラス」という名称のものであり、本件商標のように、「プラス」や「PLUS」それ自体の名称の製品は、同社の事業内容から認識できない。
ウ ナリス化粧品グループの通信販売専用ブランドについて
甲第1号証の左上及び左下には、別掲に示すとおりの構成態様からなる標章(「CP」の欧文字をモチーフとするロゴと、その下方に「CYCLE」及び「PLUS」の各欧文字を二段に表してなるものを配してなる標章。以下「使用標章」という。)の表示があるが、この表示について、ナリスコスメティック社のウェブサイトでは、「高保湿化粧水 サイクルプラスは、ナリス化粧品グループの通信販売専用ブランドです。」と記述されており(甲3)、同様の記述は、被請求人が提出した乙第4号証の左上にもある。すなわち、使用標章の表示は、ナリスコスメティック社の製造・販売に係る製品(サイクルプラス)に付されており、少なくとも被請求人の提出に係る各書証及びナリスコスメティック社のウェブサイトを見る限り、使用標章以外の標章がナリスコスメティック社の製品(乙第3号証ないし乙第14号証で指摘されている製品)に使用されている事実は見当たらない。
また、乙第4号証について、被請求人は、「『肌サイクルをプラスに!』を推し進めたモニターキャンペーンである」旨述べているが、このキャンペーンは、ナリスコスメティック社が製造・販売する「サイクルプラス エンリッチ ローション」のハーフサイズを新たに発売するに当たってのキャンペーンであり(甲4?甲6)、このキャンペーンの記述中に、「本製品は、2009年のシリーズ発売以来、多くの方に愛用されている『サイクルプラス エンリッチ ローション』を、半分のサイズにしたものです。」という記述やその趣旨の記述がある。
ここで着目すべきは、「2009年のシリーズ発売以来」という点であり、乙第1号証によれば、通常使用許諾契約が締結されたのが2010年(平成22年)12月1日であり、2009年の発売開始の時点よりかなり遅れた段階での使用許諾ということになる。
他方、被請求人は、本件商標権の他に、甲第2号証に表示されている「CYCLE PLUS」の表示と同じであり、使用標章の構成中、「CYCLE」及び「PLUS」の各欧文字を二段に表してなるものにも相応する「CYCLE PLUS」の欧文字から構成される登録第5246956号商標に係る商標権(甲7)、使用標章の構成中、「CP」の欧文字をモチーフとするロゴと同じ態様の登録第5286711号商標に係る商標権(甲8)を所有している。
なお、上記各登録商標のうち、甲第7号証に係るものは平成21年(2009年)7月10日に、甲第8号証に係るものは同年12月11日に、それぞれ登録されており、これらは、上述した2009年の発売開始の時点とも符合することから、使用標章は、本件商標の登録(存在)の有無にかかわらず、当該各登録商標の存在をもって成り立つということである。
エ 小括
上記アにおいて、乙第1号証の使用許諾をもって、乙第3号証ないし乙第14号証に掲げられた商品に本件商標が使用されたとすることについて疑問が残る旨述べたのは、乙第3号証ないし乙第14号証に掲げられた商品から認識し得る表示が、ナリス化粧品グループの通信販売専用ブランドである「サイクルプラス」に係る使用標章の表示であり、この表示は、甲第7号証及び甲第8号証に係る登録商標の存在から成り立つものであるという観点からである。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第3号証について
乙第3号証の広告チラシでは、「肌サイクルをプラスに」という宣伝文句とともに、ナリスコスメティック社が販売する化粧品の「サイクルプラス シリーズ」が紹介されているところ、これについて、被請求人は、「プラス」の表示を周囲の文字に比べて大きく表示して、本件商標に係る「プラス」の表示を強くアピールしている旨主張する。
しかしながら、上記チラシにおける「肌サイクルをプラスに」の表示は、答弁書において被請求人が述べているとおり、その表示全体として、「肌状態が向上する、プラスになる」というイメージを表した宣伝文句にすぎず、また、その表示において、「プラス」の文字が商標的態様で使用されている事情も特段見受けられないことから、これをもって、本件商標を本件審判の請求に係る指定商品について使用していることが裏付けられるものではない。
さらに、上記チラシにおける製品容器に表示された「CYCLE PLUS」の文字は、当該チラシの紹介文において、化粧品の製品名が「サイクルプラス」と紹介されていることもあいまって、当該製品名を表したものとして、その表示全体が一体として認識されるものであることから、その表示中の「PLUS」の文字のみをもって、本件審判の請求に係る指定商品について本件商標を使用しているとはいえないものである。
なお、被請求人は、上記チラシが2016年3月に作成された旨を主張するが、当該チラシには日付の記載がないため、その主張は根拠を欠くものである。
イ 乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証は、ナリスコスメティック社の製品「サイクルプラス シリーズ」に係るキャンペーンのウェブサイト画面を、乙第5号証は、同キャンペーンを紹介した化粧品の口コミサイト「アットコスメ」のブログ記事を、それぞれプリントアウトしたものであるところ、被請求人は、これらにおける製品容器に表示されている「PLUS」の文字のみをもって、本件商標を表示したものである旨主張する。
しかしながら、上記製品容器には、使用標章が表示されており、さらに、上記ウェブサイト画面やブログ記事においては、乙第3号証と同様に、その掲載に係る製品名が「サイクルプラス」と紹介されているため、当該製品容器の表示は、当該製品名の「サイクルプラス」を表したものとして、その表示全体が一体のものとして認識されるものであるから、その表示中の「PLUS」の文字のみをもって、本件商標を使用しているといえないことは明らかである。
したがって、乙第4号証及び乙第5号証は、本件商標を本件審判の請求に係る指定商品について使用していることを裏付けるものではない。
ウ 乙第6号証ないし乙第14号証について
乙第6号証ないし乙第14号証は、要証期間に発行された各種雑誌において、ナリスコスメティック社の名称とともに、同社製品の化粧品「サイクルプラス シリーズ」が掲載されたことを示しているところ、これらについて、被請求人は、当該製品の容器に表示された「PLUS」の文字のみをもって、本件商標を記載したものである旨主張する。
しかしながら、上記各雑誌に掲載されている記事中の製品容器には、いずれも、使用標章が表示されているところ、当該表示は、当該記事のキャプションにおいて、製品名として「サイクルプラス」と記載されていることとあいまって、製品名を表したものとして認識されるものであるから、その表示中の「PLUS」の文字のみをもって、本件商標を本件審判の請求に係る指定商品に使用しているとはいえないことは明らかである。
なお、乙第6号証ないし乙第14号証は、雑誌に記事として紹介されたことを示すにすぎず、ナリスコスメティック社が自ら使用行為(商標法第2条第3項各号)を行ったことを示すものではないことから、そもそも、これらが使用の証拠として成り立つ余地すらない。
エ 小括
被請求人は、乙第3号証ないし乙第14号証を提出し、それらに係る製品容器に表された「CYCLE PLUS」の表示中の「PLUS」の文字をもって、本件商標の表示である旨を主張するが、提出された各証拠において、製品の名称が「サイクルプラス」と紹介されている状況からすれば、その製品容器に記載された「CYCLE PLUS」の表示も、製品名を表したものとして、その全体が一体のものとして認識されるものであり、たとえ、当該表示が二段書きで表されていたとしても、「CYCLE」の文字を捨象して、「PLUS」の文字のみをもって認識される状況にはないものである。特に、使用標章が、全体として「ナリス化粧品グループの通信販売専用ブランド」を構成しているという点をも考慮するとなお更である。
したがって、乙第3号証ないし乙第14号証は、本件審判の請求に係る指定商品についての本件商標の使用を裏付けるものには当たらず、被請求人の主張は、失当である。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、商標権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていたことを証明していない。

第3 被請求人の主張
1 答弁の趣旨
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、審判事件答弁書及び平成30年4月26日受付の審尋に対する回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
(1)本件商標の使用者について
被請求人である本件商標の権利者は、ナリスコスメティック社に対し、本件商標の使用の許諾をしており、同社が本件商標を使用している。
ア 乙第1号証は、被請求人とナリスコスメティック社の間で交わされた本件商標の「通常使用権許諾契約書」であり、これによれば、被請求人が有する本件商標の使用をナリスコスメティック社に許諾しており、当該契約は、その締結日を平成22年12月1日とし、その有効期間を商標権の存続期間中とするものであることから、現在も有効である。
イ 乙第2号証は、平成29年6月29日に近畿財務局へ提出した被請求人の有価証券報告書の抜粋写しである。当該報告書には、「3【事業の内容】」及び「4【関係会社の状況】」の項目において、被請求人及び子会社についての記載があり、ナリスコスメティック社が被請求人の100%子会社であることが記載されている。
また、上記報告書の「5【役員の状況】」の項目には、被請求人とナリスコスメティック社の代表取締役が同一人であることが明記されている。同人は、平成7年4月に被請求人の代表取締役社長に、同17年8月にナリスコスメティック社の代表取締役社長に就任しており、それぞれ現任であることから、乙第1号証の契約書締結日における記載に相違はない。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第3号証は、ナリスコスメティック社から頒布された広告であって、2016年3月に作成され、現在も使われ続けているものであり、「肌サイクルをプラスに」と題した製品の拡販を推し進めるための広告である。当該広告には、その紙面全体に、ナリスコスメティック社が販売している化粧品の「サイクルプラス シリーズ」に関する紹介記事があり、その製品の写真が掲載されている。また、「肌サイクルをプラスに」と幾度も記載することで、肌状態が向上する、プラスになるというイメージをふんだんにアピールしたものである。
そして、上記広告の左上部において、「プラス」の表示が周囲の文字に比べ大きく表示されているところ、これは、本件商標に係る「プラス」の表示を強くアピールするためのものである。
イ 乙第4号証は、ナリスコスメティック社のウェブサイト上の広告であって、「サイクルプラス シリーズ」の拡販を目的としたものであり、当該広告の5ページの下部には、ナリスコスメティック社のロゴマーク及び社名が表示されている。
そして、上記広告の内容は、乙第3号証の広告にも記載されている「肌サイクルをプラスに」を推し進めたモニターキャンペーンであり、その2ページには、「応募期間『2016年8月24日(水)?9月25日(日)』」と記載されていることから、当該キャンペーンが要証期間に開催されたことは間違いない。
また、上記広告には、その2ページ以降に、「サイクルプラス シリーズ」の製品の写真が掲載されているところ、当該製品の写真には、「ロゴマーク」「CYCLE」の文字及び「PLUS」の文字が、それぞれ、大きく表示されて目立つ表示となっており、その「PLUS」の表示が、本件商標を記載したものである。
ウ 乙第5号証は、株式会社アイスタイルが運営する化粧品などの口コミサイト「アットコスメ」内のサイクルプラスオフィシャルブログに記載されたブログ記事であり、当該記事においても、乙第3号証及び乙第4号証に係る広告と同様に、「肌サイクルをプラスに」を推し進めるモニターキャンペーンを紹介している。そして、当該ブログ記事の右上部には、掲載日時である「2016/9/2」の記載があることから、当該ブログ記事が要証期間に掲載されたことは間違いない。
また、上記ブログ記事には、製品の写真ととともに、その上部に「肌サイクルをプラスに」の文字が大きく目立つ形で表示されている。
上述したように、乙第3号証、乙第4号証及び乙第5号証において、一貫して記載されている「肌サイクルをプラスに」との文言は、本件商標を使用する権利があればこそ、何度も繰り返しアピールし、お客様にインパクトを与え続けていくことができたものである。
エ 乙第6号証ないし乙第14号証は、2015年(平成27年)2月23日ないし2017年(平成29年)10月1日の期間に発行、発売された雑誌「ar」(乙6)、「Como」(乙7)、「mini」(乙8)、「レタスクラブ」(乙9)、「VERY」(乙10)、「mina」(乙11)、「GINGER」(乙12)、「日経ウーマン」(乙13)及び「Ray」(乙14)の表表紙、商品が記載されている記事及び裏表紙であるところ、これらの雑誌に掲載されている記事が要証期間のものであることは間違いない。
そして、上記雑誌には、ナリスコスメティック社が販売している化粧水「サイクルプラス エンリッチ ローション」又はジェルクリーム「サイクルプラス エンリッチ ジェルクリーム」の紹介記事とともに、製品の写真が掲載されているところ、当該製品の写真には、「ロゴマーク」「CYCLE」の文字及び「PLUS」の文字が、それぞれ、大きく表示されて目立つ表示となっており、その「PLUS」の表示が、本件商標を記載したものである。
(3)小括
以上のように、本件商標は、実際に使用されており、また、本件商標の表示を冠した「サイクルプラス」は、非常に多くの誌面にて紹介され、日本全国で多大な人気を集めている製品であって、特に、近年においては、数年間にわたり、雑誌等における掲載を精力的に行なっており、今後の成長が見込まれる当社の期待を背負ったブランドであり、長く継続して販売する製品である。
2 回答書
(1)本件商標の契約書に基づいてされた表示であることに疑問を呈するとのことについて
乙第15号証は、2010年3月29日付け朝日新聞に掲載された、サイクルプラスの発売当初の広告であるところ、当該広告におけるサイクルプラスの表示及び製品容器に付している表示は、「CYCLEPLUS」と「サイクルプラス」のいずれも、全て改行をせずに一連一体での表示としており、登録第5246956号商標(甲7)の商標権に基づく表示をしていたことが分かる。
そして、本件商標の使用許諾は、サイクルプラスのデザインをリニューアルするに際し、「CYCLE」と「PLUS」とを改行表記する計画であったことに起因するものであり、「PLUS」を改行表記することが本件商標の使用に該当し得るために締結した契約である。「CYCLE」と「PLUS」とを改行表記することが当該使用許諾(乙1)に基づいたものであることは、その使用許諾に係る契約が本件商標の登録日(平成22年9月24日)以降に締結されたこと、そのような改行表記された表示のある乙第5号証ないし乙第14号証の全てが当該使用許諾に係る契約締結日以降のものであることからも分かる。
上記のとおり、製品の発売当初の時点では、「サイクルプラス」と「CYCLEPLUS」が一行で表示されていたのに対し、2010年12月1日に締結された使用許諾契約(乙1)以降のサイクルプラス製品に関する広告においては、「CYCLE」と「PLUS」との改行表記が行なわれていることからすれば、「CYCLE」と「PLUS」との改行表記の表示は、甲第7号証又は甲第8号証の登録商標の有無にかかわらず、本件商標「PLUS」の存在をもって成り立つものである。
(2)雑誌記事における商品の表示について
雑誌に商品を掲載する行為自体は、請求人の主張するように、ナリスコスメティック社の使用行為に該当しないかもしれないが、雑誌の記事は、その発売当時の表示実態を示すものであり、当該表示が乙第1号証の使用許諾に基づいたものであることが明らかとなる証拠となるものである。
(3)使用標章が本件商標と社会通念上同一であることについて
「PLUS」は、上述のとおり、乙第1号証の使用許諾に基づき、単独で表示されている。
そして、「PLUS」と本件商標とを対比すれば、本件商標は、「プラス」の文字と「PLUS」の文字との二段表記であり、書体は変われども、欧文字表記の「PLUS」と同一の「向上」ほどの観念を生じ、かつ、「プラス」の称呼を有するものである。
そうすると、「PLUS」と本件商標とは、社会通念上、同一であるといえる。
してみれば、本件商標は、確かに商品に付されている標章であることから、ナリスコスメティック社の行為は、商標法第2条第3項第1号及び同項第2号に該当する。
(4)本件商標の商標的使用について
化粧品の名称としては、乙第16号証ないし乙第20号証に例示するように、いわゆるブランドとは別に、やや冗長な表現に「セット」の文字を有する「?セット」と称して、自他の商品と出所区別する名称として使用している実態があり、化粧品分野における需要者は、これら「?セット」の文字を見て商品を選んでいることから、セット品の識別名称として用いられ、いずれも出所表示機能を有するものである。
ここで、サイクルプラスについて検証すると、乙第3号証の広告チラシでは、「肌サイクルをプラスに」という宣伝文句とともに、当該チラシの右半分に4つある枠内のそれぞれにおいて、見出しに「肌サイクルをプラスにセット」という名称のセット品を紹介しており、それらの枠内では、「肌サイクルをプラスにセット」シリーズのAないしDが対象セット品であることが明示されているところ、これらの名称は、乙第16号証ないし乙第20号証で例示したものと同様、セット品の名称として出所表示機能を十分に有するものである。
また、請求人は、乙第3号証の広告チラシが2016年3月に作成された根拠を欠く旨主張するが、乙第4号証及び乙第5号証のキャンペーンで紹介している「特別のお試しセット」が乙第3号証の広告チラシで紹介している6品であり、それら6品を宣伝する目的の広告である以上、当該キャンペーンの期間である2016年の8月24日ないし9月25日頃の日付で配布されたものである蓋然性が高いものである。
してみれば、「肌サイクルをプラスにセット」というセットの名称を広告内で表示している点から、本件商標に係るナリスコスメティック社の行為は、商標法第2条第3項第8号(特に、商品に関する広告に標章を付して頒布する行為)に該当するものであり、商標的使用がなされていることは明白である。
(5)商標法第50条所定の使用に係る本件商標の使用について
そもそも、商標法第50条の主な趣旨は、登録された商標には、その使用の有無にかかわらず、排他独占的な権利が発生することから、長期間にわたり全く使用されていない登録商標を存続させることは、当該商標に係る権利者以外の者の商標選択の余地を狭め、国民一般の利益を不当に侵害するという弊害を招くおそれがあるので、一定期間使用されていない登録商標の商標登録を取り消すことについて審判を請求することができるというものであるから、その趣旨に鑑みれば、同条所定の「使用」は、当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないというべきである。
そして、商標法第50条に係る審決取消請求事件(平成28年(行ケ)第10086号)で、「商標法50条所定の使用は、当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用(商標法2条3項各号)されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないというべき」と判示されているように、商標が自他識別目的でなくとも使用を認められ、権利の存続を認められた例がある。
そうすると、乙第3号証における「肌サイクルをプラスにセット」のように、「プラス」の標章を付す際に、その前後の文字より拡大して目立つ状態で広告における商品の名称として使用している行為は、本件商標についての商標法第2条第3項第8号にいう使用に該当するものである。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、乙第1号証の使用許諾契約書に基づく通常使用権者(ナリスコスメティック社)が、要証期間に日本国内において、その指定商品である第3類「化粧品」に使用したものであり、商標法第50条所定の要件を満たしている。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人提出の乙各号証によれば、本件商標の使用については、以下のとおりである。
(1)被請求人は、平成22年12月1日に、自己の連結子会社とするナリスコスメティック社との間で、本件商標に係る商標権について、被請求人がナリスコスメティック社に対し、非独占的な通常使用権を許諾する旨の契約を締結した。当該契約においては、その有効期間について、平成22年12月1日から本件商標に係る商標権の存続期間中とする旨定められている(乙1、乙2)。
そして、本件商標に係る商標権は、前記第1のとおり、現に有効に存続しているものであるから、要証期間においても、有効に存続していたものと認められる。
してみれば、ナリスコスメティック社は、要証期間に、本件商標に係る商標権についての通常使用権者であったといえる。
(2)ナリスコスメティック社は、自己のウェブサイトに、2016年(平成28年)8月24日から同年9月25日までを応募期間とする「肌サイクルをプラスに!」と称するモニターキャンペーンの広告を掲載したところ、その1葉目の左上方には、使用標章の表示とともに、「サイクルプラスは、ナリス化粧品グループの通信販売専用ブランドです。」の記載があり、また、「アフターサマーケアが重要な今こそ、肌が求めるものを届ける『サイクルプラス』を試してみませんか?」との説明とともに、その2葉目以降に、当該キャンペーンに係るモニター商品として、使用標章が表示された「化粧水」、「メーク落とし」、「洗顔料」、「乳液」及び「クリーム」の商品写真が掲載されている(乙4)。
さらに、ナリスコスメティック社は、2016年(平成28年)9月2日付けで、「@cosmeブログ」のウェブサイトにおいて、上記キャンペーンに係る記事を掲載したところ、その1葉目には、使用標章の表示とともに「サイクルプラスのブログ」の記載があり、その2葉目には、使用標章が表示された「化粧水」等の商品写真が掲載されている(乙5)。
加えて、2016年3月に作成され、ナリスコスメティック社により頒布されたとする「『肌サイクルをプラスに』セットのご案内」と題する広告チラシには、使用標章が表示された「化粧水」等の商品写真が掲載されている(乙3)。
そこで、上記ウェブサイトや商品に表示された使用標章についてみるに、当該使用標章は、別掲として示すとおりの構成からなるところ、その構成中、上方に位置する「CP」の欧文字をモチーフとするロゴ(CPロゴ)と、その下方に位置する「CYCLE」及び「PLUS」の各欧文字を二段に表してなるものとは、それぞれの構成態様に照らし、視覚的に分離して看取、把握されるといえるものの、当該二段に表された欧文字部分については、同じ書体及び大きさをもって表されており、その全体から生じる「サイクルプラス」の称呼も無理なく一連に称呼し得ることからすれば、その全体をもって一体のものとして看取、把握されるというべきである。
そして、上記したことは、例えば、(ア)使用標章を付したナリスコスメティック社の化粧水等に係るウェブサイト(乙4、乙5)において、「サイクルプラスは、ナリス化粧品グループの通信販売専用ブランドです。」や「アフターサマーケアが重要な今こそ、肌が求めるものを届ける『サイクルプラス』を試してみませんか?」といった説明がされていること、(イ)要証期間に発行された雑誌(乙6?乙14)において、「サイクルプラス エンリッチ ローション」や「サイクルプラス エンリッチ ジェルクリーム」といった商品名の下に商品紹介がされていることに加え、請求人が平成30年2月13日付け審判事件弁駁書とともに提出した甲第1号証ないし甲第6号証において、例えば、「CYCLE PLUS サイクルプラス」の見出しの下、「お肌への『効果』と『安全性』の両立を目指したサイクルプラスは、ナリス コスメティック フロンティアのオリジナル商品です。」との記載(甲2)、「創業以来80余年に渡り『ナリス化粧品』が培った研究開発・製造における知識や技術のすべてを統合し開発した通販コスメのスキンケアシリーズ『サイクルプラス』。」との記載(甲4、甲5)があることによっても首肯されるといえる。
してみれば、上記ウェブサイトや商品に表示された使用標章は、その構成中、上方に位置するCPロゴとその下方に位置する「CYCLE」及び「PLUS」の各欧文字を二段に表してなるものとが分離して看取、把握されるとはいい得るものの、それを超えて、当該「PLUS」の欧文字部分のみが分離して看取、把握されることはないとみるのが相当であるから、本件商標と同一の商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)とは認められない。
(3)被請求人は、上記(2)で述べたナリスコスメティック社に係るウェブサイトや広告チラシ(乙3?乙5)に記載された「肌サイクルをプラスに」の語句における「プラス」の文字をもって、本件商標の使用に該当する旨主張するが、当該「肌サイクルをプラスに」の語句は、被請求人が述べるように、「肌状態が向上する(プラスになる)」などといったイメージを想起させるものであり、また、その語句が記載されたウェブサイトや広告チラシが、上記(2)のとおり、「サイクルプラス」と称する肌用の商品に関するものであることからすれば、その語句全体をもって、当該肌用の商品に係る宣伝文句として認識されるにとどまるというべきである。
なお、被請求人は、上記広告チラシ(乙3)の左上部において、「プラス」の表示が周囲の文字に比べて大きく表示されているのは、本件商標に係る「プラス」の表示を強くアピールするためのものである旨主張するが、その主張に係る表示は、「肌サイクルをプラスに」の語句のうち、「を」と「に」の文字が他の文字に比してやや小さく表されているものの、それ以外の「肌サイクル」の文字及び「プラス」の文字は、いずれも同じ書体及び大きさをもって表されていることからすれば、当該「プラス」の文字のみが看者に強く印象付けられるとはいい難く、その構成全体をもって宣伝文句として認識されるにとどまるとする上記判断に影響を及ぼすものともいえない。
してみれば、上記語句の使用は、本件商標と同一の商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用とは認められない。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば、要証期間に、ナリスコスメティック社が本件商標に係る商標権についての通常使用権者であったことは認められるものの、本件商標と同一の商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)が本件審判の請求に係る指定商品について使用されていたものと認めることができない。
その他、被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証を総合してみても、本件商標が、要証期間に、本件審判の請求に係る指定商品について使用をされていたことを認めるに足る事実は見いだせない。
2 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標と同一の商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品に本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(使用標章)(色彩は、乙第4号証を参照。)



審理終結日 2018-11-02 
結審通知日 2018-11-06 
審決日 2018-11-22 
出願番号 商願2009-80407(T2009-80407) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X03)
最終処分 成立 
前審関与審査官 村上 照美 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 中束 としえ
小松 里美
登録日 2010-09-24 
登録番号 商標登録第5355950号(T5355950) 
商標の称呼 プラス 
代理人 本宮 照久 
代理人 柏 延之 
代理人 朝倉 悟 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 中村 行孝 
代理人 高田 泰彦 
代理人 永井 浩之 
代理人 砂山 麗 
代理人 佐藤 泰和 
代理人 宮嶋 学 
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