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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0305 |
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管理番号 | 1347875 |
審判番号 | 不服2017-14774 |
総通号数 | 230 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-10-04 |
確定日 | 2018-12-27 |
事件の表示 | 商願2016-95798拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「家庭の感染対策」の文字を標準文字で表してなり、第3類及び第5類に属する別掲1のとおりの商品を指定商品として、平成28年9月1日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由(要点) 原査定は、「本願商標の構成中、『家庭』の文字は『夫婦・親子など家族が一緒に生活する集まり。』の意味を、『感染』の文字は『病原体が体内に侵入すること。また、病気がうつること。』の意味を、『対策』の文字は『相手の態度や事件の状況に応じてとる方策。』の意味を有する語であるから、本願商標は全体として、『家庭内で病気がうつることを防ぐための方策』程の意味合いを容易に理解させる。そして、該文字は、本願指定商品を取り扱う業界においては、商品の宣伝・広告等を表現するものとして、一般的に使用されている実情があるため、本願商標をその指定商品に使用しても、顧客の吸引、販売促進等のための宣伝広告を表示したものと理解させるにすぎず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審における審尋 当審において、平成30年8月7日付け審尋により、「本願商標は、その指定商品中、第3類及び第5類に属する別掲2のとおりの商品との関係においては、商品の用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといわざるを得ないから、商標法第3条第1項第3号に該当する」旨を開示し、期間を指定して、これに対する回答を求めた。 4 審尋に対する請求人の回答(要旨) 請求人は、上記3の審尋に対し、平成30年9月10日付けで、以下を要旨とする回答書を提出した。 (1)本願商標は、抽象的な意味合いしか有さず、本願の指定商品の品質や用途を直接的に表す表現とはいえない。「家族が生活する所」の感染の対策をするといっても、具体的にどのような用途を意味しているのかは全く判然としない。本願商標は、通常は文章中の一部でしか使用されない「家庭の感染対策」との印象的なフレーズを単体で取り出して、商標として採用することで、本願の指定商品の品質を暗示させつつ、出所識別機能を発揮させることを意図した商標であり、かかる表現が、商品の品質や用途を直接的に表すものでないことは明らかである。 (2)別掲3で挙げられたウェブサイト中には「家庭の感染対策」、「家庭用」、「家庭」の文字も一切表されていない。また、当該ウェブサイトに掲載の商品は、家庭だけではなく、職場や学校等でも使用できるものである。そのため、これらのウェブサイトは、単に様々な場所で使用できる感染予防の効果を持つ商品が存在することを示すものにすぎず、本願商標が、本願の指定商品の品質、用途を表すことの論拠には全くなり得ない。 (3)よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。 5 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、上記1のとおり、「家庭」の文字と「感染対策」の文字とを格助詞「の」で連結した「家庭の感染対策」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「家庭」の文字は、「夫婦・親子など家族が一緒に生活する集まり。また、家族が生活する所。」の意味を有する語(「広辞苑第六版」から引用。)として親しまれているものであることから、全体として「家庭における感染対策」程度の意味合いを容易に理解させるものである。 そして、本願の指定商品を取り扱う業界において、別掲3のとおり、「家庭において使用する感染対策用の商品」が販売されている事実が認められることから、これをその指定商品中、第3類及び第5類に属する別掲2のとおりの商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、家庭における感染対策用の商品であると理解、認識するにすぎない。 そうすると、本願商標は、その指定商品中、第3類及び第5類に属する別掲2のとおりの指定商品との関係においては、商品の用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといわざるを得ない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は、別掲3で挙げられたウェブサイト中には「家庭の感染対策」等の文字は一切表されていない旨主張するが、本願商標は、上記(1)のとおり、その構成文字から、全体として「家庭における感染対策」程度の意味合いを容易に理解させるものであり、また、別掲3のとおり、本願の指定商品を取り扱う業界において、「家庭において使用する感染対策用の商品」が販売されていることからすれば、「家庭の感染対策」の文字が、本願の指定商品を取り扱う分野において、取引上普通に使用されていないとしても、本願商標をその指定商品中、第3類及び第5類に属する別掲2のとおりの商品に使用したときには、これに接する需要者、取引者は、「家庭における感染対策用の商品」という商品の用途を理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないと判断するのが相当である。 また、請求人は、別掲3で挙げられたウェブサイトは、単に様々な場所で使用できる感染予防の効果を持つ商品が存在することを示すものにすぎない旨主張するが、別掲3に示す事実は、本願の指定商品を取り扱う分野において、家庭において使用することを第一の目的として販売されている感染対策用の商品が存在することを示すものであるから、本願商標は、需要者、取引者に「家庭における感染対策用の商品」という商品の用途を理解させるにとどまるといえるものである。 したがって、請求人の上記主張はいずれも採用することはできない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することができない。 なお、原査定は、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして、本願を拒絶したものであるが、本願商標は、上記のとおり自他商品の識別標識としての機能を有しないとするものであるから、この当審の認定、判断の内容は、原査定と実質的に相違するものではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願の指定商品 第3類 洗濯用剤,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,つや出し剤,殺菌・消毒効果を有する洗浄剤を浸み込ませた清掃用紙製シート又は清掃用不織布シート,除菌効果を有する洗浄剤を浸み込ませた清掃用紙製シート又は清掃用不織布シート,紙製シート又は不織布シートに含浸させた殺菌・消毒効果を有する洗浄剤,その他の殺菌・消毒効果を有する洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。),紙製シート又は不織布シートに含浸させた除菌効果を有する洗浄剤,その他の除菌効果を有する洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。),その他の洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。),せっけん類,歯磨き,化粧品,薫料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布 第5類 紙製シート又は不織布シートに含浸させた殺菌剤・消毒剤・除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)・抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),その他の殺菌剤・消毒剤・除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)・抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),その他の薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,おりもの専用シート,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,おむつ,おむつカバー,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品 別掲2 商標法第3条第1項第3号に該当する本願の指定商品 第3類 殺菌・消毒効果を有する洗浄剤を浸み込ませた清掃用紙製シート又は清掃用不織布シート,除菌効果を有する洗浄剤を浸み込ませた清掃用紙製シート又は清掃用不織布シート,紙製シート又は不織布シートに含浸させた殺菌・消毒効果を有する洗浄剤,その他の殺菌・消毒効果を有する洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。),紙製シート又は不織布シートに含浸させた除菌効果を有する洗浄剤,その他の除菌効果を有する洗浄剤(製造工程用及び医療用のものを除く。) 第5類 紙製シート又は不織布シートに含浸させた殺菌剤・消毒剤・除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)・抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),その他の殺菌剤・消毒剤・除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)・抗菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),衛生マスク 別掲3 本願の指定商品を取り扱う業界において、「家庭において使用する感染対策用の商品」が販売されている事実 (1)「サラヤ株式会社」のウェブサイトにおいて、「プロの現場の品質をご家庭に SARAYAの感染対策商品 スマートハイジーン」の見出しの下、「『スマートハイジーン』は、衛生管理に厳しい飲食店や食品工場をはじめ、病院や学校で使われる信頼と実績のある感染対策シリーズ商品。プロの現場で培った感染対策のノウハウをご家庭でも手軽に使っていただけるよう、予防から二次感染対策までトータルにご提案します。」の記載とともに、商品ラインナップとして、ウイルス・細菌除菌スプレー、除菌ウェットシート、除菌クリーナー、マスク等が掲載されている。 (https://family.saraya.com/products/smarthygine/index.html) (2)「サラヤ株式会社」のウェブサイトにおいて、「アラウ.ベビー ウイルス感染対策ウェットシート」の見出しの下、「赤ちゃんをいたわるママのために、しっかりと感染対策できる厚手タイプのウェットシート。・・・おむつ交換台やテーブル、おもちゃなど洗えないものをしっかりと除菌します。」の記載とともに、ウェットシートが掲載されている。 (https://www.arau.jp/baby/products/sheet.html) (3)「りょうざい屋」のウェブサイトにおいて、「感染対策用強力マスク ”KIDSうつさんぞ“(子供用 インフルエンザ・風邪対策マスク)」の見出しの下、「インフルエンザや風邪にかかった時は、このマスクを付けて、家族や友人にうつさないようにする。」の記載とともに、マスクが掲載されている。 (http://ryozai-ya.com/shopdetail/000000000143/) (4)「メディカルスマイルウェブ」のウェブサイトにおいて、「感染対策用品」の見出しの下、「感染対策品をうまく使ってこの時期を乗り切りましょう!気温が低く乾燥する時期は風邪やインフルエンザウイルスの流行の時期です。ご自宅で不足している感染対策用品はございませんか?メディカルスマイルウェブでは感染対策製品の購入を応援!」の記載とともに、マスク、消毒スプレー・アルコールジェル等が掲載されている。 (http://www.medical-smile.com/html/page29.html) |
審理終結日 | 2018-10-29 |
結審通知日 | 2018-10-30 |
審決日 | 2018-11-14 |
出願番号 | 商願2016-95798(T2016-95798) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W0305)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 白鳥 幹周、小田 昌子、小林 稜 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
石塚 利恵 小松 里美 |
商標の称呼 | カテーノカンセンタイサク |
代理人 | 山田 威一郎 |