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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 003
管理番号 1347856 
審判番号 取消2017-300489 
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-07-06 
確定日 2018-12-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第3059543号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3059543号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3059543号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成4年6月5日に登録出願、第3類「化粧品」を指定商品として、同7年7月31日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成29年7月19日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同26年7月19日ないし同29年7月18日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の趣旨
本件商標は、第3類の指定商品「化粧品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人が使用を主張している商品について
被請求人は、本件商標を使用している商品「ウレパールプラスローション10」及び「ウレパールプラスクリーム」(以下、「ウレパールプラスローション10」を「使用商品1」、「ウレパールプラスクリーム」を「使用商品2」といい、これらをまとめて「使用商品」という場合がある。)について、それぞれ、前者を第3類の「薬用化粧水」、後者を第3類の「薬用クリーム」に属する商品と主張している。
しかしながら、乙第5号証の商品を紹介するウェブページにおいて、使用商品は、いずれも「第2類医薬品」であることが明示されていることから、薬事法(審決注:昭和35年法律第145号。現行の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(平成26年11月25日施行)への改正前のもの。以下同じ。)の「第2類医薬品」に属するものであることが明らかである。
そして、薬事法上、「医薬品」、「医薬部外品」及び「化粧品」は、それぞれ別々に分類されているところ、「第2類医薬品」は、「医薬部外品」や「化粧品」ではなく、「医薬品」に属するもの(薬事法第2条第1項)であるから、使用商品は、当該分類中の「医薬品」に属するものである。
そうすると、使用商品は、薬事法上、「医薬品」に属するものであって、「医薬部外品」及び「化粧品」には属さないものであり、商品及び役務の区分においては、第5類「薬剤」に属するものであって、第3類「化粧品」には属さないものであるから、使用商品について、薬事法上の「医薬部外品」としてのいわゆる「薬用化粧品」であって、当該区分における第3類「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」に属する商品であるとする被請求人の主張は誤ったものである。
したがって、使用商品は、本件審判の請求に係る第3類「化粧品」には属さないものであるから、本件商標の使用は認められない。
(2)被請求人が使用を主張している商標について
ア 被請求人は、乙第3号証の会社パンフレットにおいて表示されている「図形+TAIHO PHARMA EUROPE,LTD.」(別掲2)、「図形+TAIHO PHARMA SINGAPORE PTE.LTD.」(別掲3)、「図形+TAIHO ONCOLOGY,INC.」(別掲4)等の態様で図形及び文字を横一連に表してなるもの(以下、これらをまとめて「使用商標」という場合がある。)について、本件商標と社会通念上同一と認められる旨を主張している。
しかしながら、使用商標中の文字部分は、それぞれ、被請求人である商標権者の欧州、東南アジア、米国における開発等の拠点の会社名として、会社パンフレット(乙3)において紹介されているものである。
したがって、上記文字部分は、いずれも全体で一つの社名を表す一体のものとして理解、認識されるものであるから、使用商標は、本件商標とは明らかに態様が異なるものであり、社会通念上同一の範囲にあるとは認められないものである。
その他に、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の範囲にあると認められる商標の使用の証拠を提出していない。
イ 被請求人の会社パンフレット(乙3)の製品一覧に示されているように、被請求人が使用商品について使用している商標が「ウレパール」であることは、登録商標の表示(英文字のRを丸で囲んだ記号。以下同じ。)を付して明確にされている。
したがって、被請求人が使用商品に現実に使用している商標は、「ウレパール」であり、被請求人が使用を主張している商標とは異なるものである。
ウ 上記のとおり、被請求人が使用を主張している商標は、本件商標とは社会通念上同一と認められるものではないから、本件商標の使用は認められない。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、商標権者が、日本国内において、本件審判の請求に係る第3類「化粧品」に属する「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」について本件商標の使用をしたとは認めることができない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標は、要証期間に、日本国内において、本件商標の指定商品である第3類「化粧品」に属する「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」に使用されている。
すなわち、本件商標は、商標権者の会社パンフレット(乙3)において、「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」の範ちゅうに属する使用商品に使用されている。当該パンフレットの7ページないし10ページには、本件商標と社会通念上同一と考えられる商標(使用商標)が表示されており、33ページ及び34ページには、商標権者が製造販売を行う他の商品とともに、使用商品が掲載されている。
また、上記パンフレットは、表紙に「Company Profile 2016」と表示され、裏表紙の下欄に「16.04」と記載されていることから、2016年に発行されたものである。
したがって、本件商標は、要証期間に使用商品の広告に使用されている。
(2)本件商標の指定商品の範囲について
ア 登録商標の指定商品の範囲は、出願日を基準として判断されるところ、本件商標は、1992年(平成4年)6月5日に登録出願されていることから、この時点に適用される類似商品・役務審査基準(国際分類第6版(乙4-1)を参酌すると、第3類「化粧品」の範囲には、「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」が含まれることが明らかであり、また、使用に係る証拠の提出時期に適用される類似商品・役務審査基準(乙4-2)によれば、第3類「化粧品」の範囲に「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」が含まれている。
したがって、本件商標の指定商品である第3類「化粧品」には、「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」が含まれる。
イ 「商品及び役務区分解説」(特許庁商標課編 改訂第2版)(乙6)によれば、第3類「化粧品」の概念には、「医薬部外品のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものが含まれる。」と説明され、また、「『薬用化粧水』及び『薬用クリーム』は、薬事法上の“医薬部外品”としての、いわゆる“薬用化粧品”である。」と説明されている。
さらに、薬事法第2条によれば、医薬部外品には、「あせも、ただれ等の防止」や「人又は動物の保健のためにする・・・また、使用目的・人体に対する作用の面等、総合的にみて、これらに準ずる取扱いを行うことが適当と考えられるものとして、厚生大臣が指定した」「法第2条第3項に規定する使用目的(化粧品)のほかに、にきび、肌荒れ、かぶれ、しもやけ等の防止又は皮膚若しくは口腔の殺菌消毒に使用されることもあわせて目的とされる物」等、いわゆる薬用化粧品が含まれている。
そして、使用商品1を紹介するウェブページの商品説明(乙5-1)によれば、「保湿成分として、天然保湿因子の尿素が乾燥肌に水分を保持し、しっとり、なめらかにします。」、「かゆみ止め成分として、2種類のかゆみ止め成分を配合しています。」、「天然保湿因子の尿素により、カサつくお肌をしっとりなめらかにします。」及び「かゆみ止め成分をプラスし、乾燥肌によるかゆみをおさえます。」と記載されており、このような効能表示からは、皮膚の乾燥等による肌荒れ、かさつき等を防ぎ、皮膚にうるおいを与え、皮膚を健やかに保つために塗布する商品であると考えられる。
したがって、使用商品1は、「薬用化粧水」に属する商品と解される。
また、使用商品2を紹介するウェブページの商品説明(乙5-2)によれば、「保湿成分として、天然保湿因子の尿素とビタミンE(酢酸トコフェロール)が乾燥肌に水分を保持し、しっとり、なめらかにします。」、「かゆみ止め成分として、3種類のかゆみ止め成分を配合しています。」、「天然保湿因子の尿素により、カサつくお肌をしっとりなめらかにします。」及び「また、かゆみ止め成分をプラスし、乾燥肌によるかゆみをおさえます。」などと、使用商品1と同様の効能が記載されている。
したがって、使用商品2も、「薬用クリーム」の範ちゅうに属する商品と解される。
ウ 乙第7号証は、使用商品のドラックストアの売場写真である。例えば、大型のドラックストアでは、薬効が強い「皮膚治療薬」とは別に、人体に対する作用が比較的緩和でかゆみを抑えたり保湿効果がある「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」は、1つの商品群にカテゴライズされ、1つの売場を形成して販売されていることが多い。これは、「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」は、様々なメーカーから多様な商品が販売されているが、長年の取引の実情により、需要者にも「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」という商品又は商品カテゴリーが浸透していると考えられ、これら「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」を1つの商品群としてカテゴライズして一緒に販売し、需要者がその売場から個々の商品を選択できる方が利便性が高いからである。
そして、乙第7号証によれば、使用商品は、薬効が強い「皮膚治療薬」の売場ではなく、「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」の売場で販売されていることが示されている。
したがって、販売状況などの実際の取引の実情から、使用商品は、「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」の範ちゅうに属する商品である。
エ 以上のとおり、使用商品は、本件商標の登録出願時期並びに商品の効能表示及び販売状況の取引の状況から、「化粧品」の範囲に属する「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」の範ちゅうに属する商品である。
なお、使用商品は、仕切書(乙8)に示すとおり、株式会社大木、アルフレッサヘルスケア株式会社及び株式会社茂木薬品商会宛に発送されており、継続して製造、販売されているものである。
オ 請求人は、使用商品について、使用商品を紹介するウェブページ(乙5)に「第2類医薬品」であると明示されており、「化粧品」に属する「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」ではないことから、使用商品が薬事法上の「医薬部外品」としてのいわゆる「薬用化粧品」である、第3類の「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」に属する商品であるとする主張は誤りであると主張している。
確かに、使用商品は、「第2類医薬品」で販売されている(乙5)が、本件商標の登録出願時及び要証期間に適用される類似商品・役務審査基準(乙4)には、「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」が「医薬部外品」でなければならないとの記載はなく、また、商品及び役務区分解説(改訂第2版)(乙6)には、「化粧品」の概念について、「医薬部外品のうち、人体に対する作用が緩和なものであって、身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことを目的として、身体に塗擦、散布等の方法で使用するものが含まれる。」と説明され、かつ、「『薬用化粧水』及び『薬用クリーム』は、薬事法上の“医薬部外品”としての、いわゆる“薬用化粧品”である。」と説明されている。
そして、「商品及び役務区分解説」は、平成4年に国際分類を主たる体系として採用した関係上、特定の商品又は役務の分類を確認するための参考資料及び位置付けとなる資料である(乙9)。
そうすると、上記説明は、「医薬部外品」としての、いわゆる「薬用化粧品」が、第3類の「化粧品」に含まれることを明らかにしているのみであり、それ以外を排除する記載とまで解することはできないものであるから、使用商品が「医薬部外品」として販売されていないことのみを理由に、「化粧品」の範ちゅうに属する「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」ではないと断ずることはできない。
さらに、「商品及び役務区分解説」は、上述したとおり、特定の商品又は役務の分類を確認するための参考資料及び位置付けとなる資料であり、国際分類の一般的注釈では、「完成品は、原則として、その機能又は用途によって分類する。」と説明されている(乙10)ことから、本件審判事件においても、商品の実態に応じ、商品の「機能又は用途」を考慮して判断すべきであるところ、使用商品は、皮膚の乾燥等による肌荒れ、かさつき等を防ぎ、皮膚に潤いを与え、皮膚を健やかに保つ機能を有する商品であり、また、薬効が強い「皮膚治療薬」の売場ではなく、人体に対する作用が比較的緩和でかゆみを抑えたり保湿効果がある「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」の商品群でカテゴライズされた売場で販売されている。
したがって、本件商標の使用商品への使用は、本件商標の登録出願時期並びに商品の効能表示及び販売状況の取引の状況から、「化粧品」の範囲に属する「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」についての使用と解すべきである。
(3)使用商標について
ア 会社パンフレット(乙3)の7ページないし10ページには、「図形+TAIHO PHARMA EUROPE,LTD.」(別掲2)、「図形+TAIHO PHARMA SINGAPORE PTE.LTD.」(別掲3)、「図形+TAIHO ONCOLOGY,INC.」(別掲4)等の態様で図形及び文字が横一連で表示されているところ、本件商標と会社パンフレット(乙3)における当該各表示に係る使用商標とは異なるものの、登録商標は、商品の具体的な性状や時代によって、適宜に変更が加えられて使用されるのが通常であり、また、登録商標が商標の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えて使用される場合には、その商標の登録の効力は、失われるべきではない(パリ条約5条C(2))。
そして、本件商標と使用商標の構成中の「図形」及び「TAIHO」の部分とは、同一であり、縦書きと横書きの相違があるにすぎず、また、使用商標における「PHARMA」は業種、「EUROPE」及び「SINGAPORE」等は地名、「ONCOLOGY」は事業分野、「LTD.」等は会社形態を示す文字であり、自他商品識別機能は極めて弱く、本件商標が独自に有する「図形」及び「TAIHO」の識別性に影響を与えない。
したがって、会社パンフレット(乙3)における使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
イ 会社パンフレット(乙3)には、商標権者の沿革、日本を含めたグローバルなビジネス展開や、商標権者が製造販売する2016年当時の商品が紹介されており、使用商標と使用商品とは、別々のページに表示されているが、使用商標とともに商標権者の国内外のビジネス等が紹介されており、当該使用商標にも業務上の信用が化体されていると考えられるから、業務上の信用が化体された当該使用商標は、使用商品についても、出所表示機能、商品品質機能や広告宣伝機能を発揮すると考えられる。
そうすると、上記使用商標は、指定商品について、広告として使用されていると解されるものであり、「商標の不使用を事由とする商標登録取消しの存在理由(全く使用されていないような登録商標は、第三者の商標選択の余地を狭めるから、排他的な権利を与えておくべきでないとするのが、主たる理由と考えられる。)に鑑みると」及び「『商標法第50条所定の登録商標の使用』は、商標がその指定商品について何らかの態様で使用されておれば十分であって、識別標識としての使用(すなわち、商品の彼比識別など商標の本質的機能を果たす態様の使用)に限定しなければならぬ理由は、全く考えられない。」(東京高判平成3年2月28日、判時1389号128頁「POLA事件」)とされていることからすれば、仮に、当該使用商標が指定商品についての広告的な使用と解されない場合においても、不使用取消しの審判においては、商標の使用に該当すると解釈すべきである。
したがって、会社パンフレット(乙3)における使用商標は、使用商品に関して使用されていると解される。
ウ 請求人は、上記アに記載された乙第3号証の会社パンフレットにおける使用商標は、商標権者の欧州、東南アジア、米国における開発等の会社名として紹介されているのであるから、いずれも、全体で一つの社名を表した一体のものとして理解、認識されるものであり、本件商標の社会通念上同一の範囲にあるとは認められない旨主張する。
しかしながら、会社名は、常に全体で一体のものとして理解、認識すべき具体的な理由はなく、例えば、取消2002-30131審決(乙11)、取消2003-30508審決(乙12)において、会社名は一体のものとして理解、認識されていない。
また、請求人は、本件の使用商標について、全体で一体のものとして理解、認識すべき具体的な理由を述べていない。特に、本件においては、商標権者である「大鵬薬品工業株式会社」は、1963年に設立され、長年にわたり、医療用医薬品、一般用医薬品やサプリメントを含むコンシューマー商品の製造、販売を通じて、例えば、滋養強壮剤「チオビタ」や胃腸内服液「ソルマック」等のロングセラー商品の製造、販売をしており、商標権者の「大鵬」やその称呼である「タイホー」には業務上の信用が化体されている。
そうすると、使用商標において識別性のある部分は、「図形」及び「TAIHO」の部分であり、使用商標に含まれる「PHARMA」の文字等は、商標の識別性に影響を与えない付記的部分であると解すべきである(パリ条約5条C(2))から、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の範囲内での使用であることが明らかである。
エ 請求人は、使用商品について使用している商標は、「ウレパール」の文字に登録商標の表示(英文字のRを丸で囲んだ記号)を付して明確にされていることから、「ウレパール」であると主張している。
しかしながら、現在の商取引において、1つの商品にハウスマークやペットネーム等の複数の商標が付されて取引が行われていることは、顕著な事実である。
したがって、「ウレパール」の文字に「英文字のRを丸で囲んだ記号」が表示されているからといって、本件商標が使用されていないという主張は、明らかに失当である。
(4)まとめ
以上、乙第1号証ないし乙第12号証から明らかなとおり、本件商標は、その権利者である「大鵬薬品工業株式会社」により、要証期間に日本国内において、指定商品である第3類「化粧品」の範ちゅうに属する「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」について使用されている。

第4 被請求人に対する審尋及び被請求人による審尋への回答
審判長は、被請求人に対し、平成30年6月12日付けで、被請求人による主張及び立証に係る使用商標及び使用商品については、本件商標と同一の商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)とは認められず、かつ、本件商標の指定商品である第3類「化粧品」の範ちゅうに属する商品とも認められない旨の合議体による暫定的見解を示した審尋を送付し、相当の期間を指定して、当該審尋への回答をする機会を与えた。
しかしながら、被請求人は、上記審尋に対し、何ら回答をしていない。

第5 当審の判断
1 使用商品について
(1)被請求人は、本件商標について、要証期間に、本件商標の指定商品中の「薬用化粧水」(商品名「ウレパールプラスローション10」)及び「薬用クリーム」(商品名「ウレパールプラスクリーム」)(使用商品)に使用している旨を主張している。
そこで、被請求人の主張に係る乙各号証をみるに、使用商品については、以下のとおりである。
ア 商標権者の会社パンフレット抜粋(乙3)の33ページ及び34ページには、商標権者のコンシューマーヘルスケア本部に係る製品一覧が掲載されており、その製品の一つとして、「乾燥性皮ふ治療薬」の見出しの下、「第2類医薬品」として使用商品が掲載されている。また、商標権者のウェブサイト上にある「ウレパールプラスローション10」の商品情報(乙5-1)及び「ウレパールプラスクリーム」の商品情報(乙5-2)には、そのいずれにおいても、該当する商品が「第2類医薬品」であって「乾燥性皮ふ治療薬」である旨の記載があるほか、「効能・効果」の項に「かゆみを伴う乾燥性皮膚(老人・成人の乾皮症、小児の乾燥性皮膚)」の記載があり、「用法・用量に関連する注意」の項に「6.化粧品ではないので、効能・効果で定められた患部のみに使用し、基礎化粧等の目的で顔面には使用しないでください。」の記載がある。
ところで、薬事法第2条は、同法における「医薬品」や「化粧品」等の定義を規定しているところ、同条第1項では、「医薬品」について、第1号で「日本薬局方に収められている物」、第2号で「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)ではないもの(医薬部外品を除く。)」、第3号で「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等ではないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)」とされており、同条第3項では、「化粧品」について、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項第二号又は第三号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。」とされている。
また、薬事法第25条第1号では、同法における「一般用医薬品」について、「医薬品のうち、その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであつて、薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているものをいう。」とされている。
さらに、薬事法第36条の3は、「一般用医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)」の区分について規定しているところ、「第二類医薬品」について、同条第1項第2号で「その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害が生ずるおそれがある医薬品(第一類医薬品を除く。)であつて厚生労働大臣が指定するもの」とされている。
そうすると、第二類医薬品である使用商品は、薬事法上、「医薬品」(一般用医薬品)に属する商品であり、「医薬部外品」又は「化粧品」のいずれにも属さない商品とみるのが相当である。
イ 本件商標の登録出願時に適用された商品及び役務の区分について、商標法施行令第1条は、第5類「薬剤」と規定しており、同法施行規則第6条に規定する別表においては、第5類「薬剤」の範ちゅうに属する商品の例として、「鎮痒剤」を含む「外皮用薬剤」等が示されている。そして、被請求人が乙第6号証として提出したものと同じ「商品及び役務区分解説」の第5類に属する商品の解説には、「薬剤」の概念に含まれるものとして、「(1)薬事法(昭和35年法律145号)の規定に基づく“医薬品”の大部分/“医薬品”とは次に掲げるものをいう。」として、薬事法第2条第1項第1号ないし同項第3号と同旨の記載があることに加え、「(2)同法にいう“医薬部外品”の一部」として、「薬事法に規定する“医薬部外品”のうち、例えば『薬用ベビーパウダー』『薬用ベビーオイル』・・・等が含まれる。ただし、“医薬部外品”であっても、その使用目的において身体を清潔にし、美化し、魅力を増す等の用途に使用されるもの、例えば、“薬用化粧品”は、第3類3化粧品に含まれる。」と記載されている。
ウ 上記ア及びイを総合すれば、薬事法上、「医薬品」(一般用医薬品)に属する商品であって、「医薬部外品」又は「化粧品」のいずれにも属さない使用商品は、商標法上、第5類「薬剤」の範ちゅうに属する商品とみるべきものであり、第3類「化粧品」中の「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」の範ちゅうに属する商品とはいえないものとみるのが相当である。
(2)被請求人は、使用商品について、薬効が強い「皮膚治療薬」の売場ではなく、「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」の売場で販売されている(乙7)という取引の実情からすれば、本件商標の指定商品である「化粧品」中の「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」の範ちゅうに属する商品であると解すべきである旨を主張している。
しかしながら、乙第7号証は、商標権者の社員が2017年10月17日に撮影したとするドラッグストア(2店)における使用商品に係る商品陳列棚の写真とするものであるところ、その写真には、商品陳列棚に多数の商品が並べられている様子が写っているが、これらの商品が、使用商品を含むものであるか否かを含め、それぞれいかなる商品であるのかが明らかではないから、これをもって、被請求人が主張する「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」の売場なるものが一般に確立されているとは認められないし、仮に、使用商品が、商標法並びに同法施行令及び同法施行規則(以下「商標法等」という。)で規定する第3類「化粧品」の範ちゅうに属する「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」とともに陳列されていたとしても、そのことをもって、使用商品が、「第2類医薬品」であることを超えて、「薬用化粧水」及び「薬用クリーム」の範ちゅうに属する商品と解することはできない。
(3)上記(1)及び(2)によれば、被請求人が本件商標を使用していると主張する使用商品は、商標法等で規定する第3類「化粧品」の範ちゅうに属する商品ではなく、第5類「薬剤」の範ちゅうに属する商品というべきである。
なお、上記パンフレット抜粋(乙3)には、使用商品以外の商標権者による国内事業に係る製品が掲載されているが、その製品中に本件商標の指定商品である「化粧品」の範ちゅうに属すると認められるものは見いだせない。 2 商標の使用について
被請求人は、商標権者の会社パンフレット抜粋(乙3)には、その7ページないし10ページに別掲2ないし別掲4に示す使用商標が表示されており、その33ページ及び34ページに使用商品が掲載されているから、本件商標と社会通念上同一の商標が使用商品に使用されている旨を主張している。 そこで、上記パンフレット抜粋をみるに、その表紙の「Company Profile 2016」の表示及び2ページの「Contents」(目次)の内容によれば、2016年当時の商標権者の業務に係る総合パンフレットの抜粋といえるところ、使用商標は、「大鵬のグローバル展開」の項目において、2009年に欧州の開発拠点として設立された「Taiho Pharma Europe,Ltd.」について別掲2に示す商標、2011年に東南アジアにおける開発・マーケティングの拠点として設立された「TAIHO PHARMA SINGAPORE PTE.LTD.」について別掲3に示す商標、2002年にグローバル開発拠点として設立された「TAIHO PHARMA U.S.A.,INC.(現「TAIHO ONCOLOGY,INC.」)」について別掲4に示す商標が、それぞれ、設立された海外事業所を表彰するものとして、その事業所を紹介する記事とともに表示されているといえるものであり、同項目においては、商標権者についても、別個、その紹介記事とともに、自己を表彰するものとして、別掲5に示す商標が表示されている。
他方、使用商品は、上記パンフレット抜粋中、商標権者による国内事業に係る製品を示す「コンシューマーヘルスケア本部/製品一覧(ヘルスケア製品)」の項目(33ページ及び34ページ)において、その製品の一として掲載されているものである。
そうすると、使用商標と使用商品とは、1冊のパンフレットに掲載されているものの、その体裁及び内容を鑑みれば、これに接する者をして、使用商標が使用商品について使用されていると認識されることはないとみるのが相当である。
また、使用商標は、上記のとおり、商標権者との関連はあるものの、別個に設立された海外事業所を表彰するものであるから、たとえ、その構成中に「PHARMA」「EUROPE」「SINGAPORE」「ONCOLOGY」「LTD.」等の文字を有するとしても、これらが捨象され、その構成中の図形及び「TAIHO」の文字部分のみが看者に強く支配的な印象を与えることはないとみるのが相当である。
してみれば、使用商標は、別掲1に示した「TAIHO」の文字の上部に図形を配してなる本件商標と同一の商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)とは認められず、また、使用商品について使用されているとも認められない。
3 小括
上記1及び2によれば、商標権者である被請求人は、要証期間に、本件審判の請求に係る指定商品である第3類「化粧品」について、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)の使用をしたものと認めることができない。
その他、本件商標が、要証期間に、その指定商品である第3類「化粧品」について使用されていたことを認めるに足る証拠の提出はない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標をその指定商品に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
本件商標



別掲2



別掲3



別掲4



別掲5


(別掲2?別掲5の色彩については、乙第3号証参照。)

審理終結日 2018-10-29 
結審通知日 2018-10-31 
審決日 2018-11-15 
出願番号 商願平4-120841 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (003)
最終処分 成立 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 金子 尚人
中束 としえ
登録日 1995-07-31 
登録番号 商標登録第3059543号(T3059543) 
商標の称呼 タイホー 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 小出 俊實 
代理人 橋本 良樹 
代理人 吉原 省三 
代理人 幡 茂良 
代理人 吉水 容世 
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